サッカールーの何でもござれ

サッカーとオーストラリアに関するサッカールーのエッセイです

燃え尽きた井上康生

2008-04-30 18:36:41 | Weblog
柔道家と呼べる選手は少ない。現役の選手で柔道家と呼べるのは井上康生くらいだっただろうか。アテネ五輪の時に井上は敗退してしまったが、自分の競技が終わった後でも他の競技の応援に回っていたのが、話題を呼んだ。

オーストラリアの新聞のコラムでもそれが紹介され、柔道家とは何か、何故井上はそのような行動を取ったのかを論評していた。

昨日の全日本選手権の準決勝の石井vs棟田の試合は興ざめだった。しかし石井は勝った。勝ちさえすればいいんだろうが、後味が悪かった。

準々決勝で井上は負けた。終了間際に自分から果敢に技を仕掛けてそれを返されていわば逆転負けである。それでも非常に潔い負け方だった。常勝だった選手は散り際も男らしくという負け方である。見ていて気持ちがいい。

負けは負けなんだろうが、石井がオリンピックで「技のかけ逃げ」のような勝ち方をして金メダルを取ったとしても井上のシドニー五輪での金メダルのようには賞賛されないだろう。柔道とは実に難しいスポーツである。スポーツであると同時に精神論も重視される。

2000年のシドニー五輪の柔道初日を筆者は見に行った。男子は60kgの野村、女子は48kgの谷。二人とも見事に金メダルを取り、谷に群がった日本のマスコミの多さに圧倒されてしまった。カメラマンだけで100人以上いたように見えた。

あれが谷の初めての金メダルであり、野村の2つめの金メダルだった。もうあれから8年である。

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