日刊スポーツ 2020年 8/4(火) 18:47配信 によると、大阪府の吉村洋文知事が4日、会見を開き、イソジンなど殺菌効果のある 「ポビドンヨード」 を含むうがい薬を使用し1日4回うがいをすると、唾液のPCR検査の陽性率が9%になった。一方、うがいをしなかった患者は、陽性率が40%だったという。このため本格的な研究を進めると明らかにした。
知事はこの 「ポビドンヨードでうがいをする事によって、このコロナに、ある意味打ち勝てるんじゃないかというふうにすら思っている」 と話した。
とのことです。 ポビドンヨードがまるで特効薬であるかのような印象を与えるコメントです。 このためイソジンが売り切れになり、早くもネット上で違法に高値転売されているし (医薬品の転売自体が違法)、メーカーの株価は暴騰したそうです。
しかしこの話はどうも怪しい感じがします。トランプの、消毒薬を血管注射すればいいと発言した話ほどひどくはありませんが、根拠薄弱なことに変わりありません。
すぐにお医者さんから注意書きがアップされました。
Yahooニュース 2020年 8/4(火) 21:32 堀向健太 (日本アレルギー学会専門医・指導医。日本小児科学会指導医。) 氏の記事、『ポビドンヨードによるうがいは新型コロナを改善させる』は本当か? (要約)
「唾液(つば)の検体でPCR検査が陰性化することと、新型コロナによる悪化を防ぐかは、似ていますが、同じではない。
検査結果を良くしても最終的にはデメリットが大きくなってしまう可能性もある。
(例えば) ポビドンヨードによるうがいは、『風邪予防に有効ではない』という研究結果があります。 (健康な大人387人が参加したこの研究で) 水のみでうがいをすると、うがいをしないグループよりも風邪にかかる確率が下がったものの、 ポビドンヨードでうがいをするグループは効果が認められなかったのです。 ポビドンヨードは強力な殺菌性ゆえに、のどや口の中にもともといる 『正常な細菌』 をも叩いてしまい、 さらには粘膜なども痛めてしまうからと考えられています。強すぎるゆえに 『総合的には効果が相殺されてしまう』 のですね。
長期使用に関しては甲状腺機能を障害する可能性が指摘されています。」
まったくもっともな指摘です。イソジンで 「うがいをして、唾液を検査」 すれば、同一人の口の中ウイルスが減少して陰性が出やすいのは不思議ではありません。しかしうがいで 「体内のウイルス」 が減少したのかどうかは、分かりません。
うがいの後、鼻または血液で検査して、ウイルスが減少し陰性になれば、効果があることが推定できますが、なぜそういう検査をしないのでしょうか。不思議な話です。また症状の改善などについては何も触れられていません。
この発表を医学者ではなく吉村知事が冗談めかして切り出した、というのも解せません。医学者としてはとても公式に発表できる段階ではないと考えているのでしょう。そうでなければシロウト以下です。
このイソジン騒動、はたしてどう決着するか? カラ騒ぎで終わればいいですが・・・