私はかねがね、「感染経路不明」というが、どういう状況で感染したのかなぜ調べないのだろうと不思議に思っていました。しかし1件だけ見つけました。
日経新聞 2020年 4/27 21:09 掲載 (抄録) によると、福岡市は4月27日までに、新型コロナウイルスへの感染が確認された事例のうち、感染経路が不明な人の約4割がナイトクラブやバーなど接客を伴う飲食店に立ち寄っていたと明らかにした。同市が行動歴を分析した。性別では男性が80%、役職別では経営者・役員などが34%を占めた。接客を伴う飲食店を訪問した人は全体の38%に上った。
とのことです。接客を伴う飲食店が危険性が高いということでしょうが、それ以外が6割もあるのです。その6割の人たちの行動分析はしていないようです。分析すれば買い物なのか通勤なのか、図書館や美術館なのか、公園の散歩なのか、パチンコなのか、多少何かわかるのではないでしょうか。全国で大規模に調査すれば、業種別・一律といった粗雑で影響の大きい自粛要請ではなく、的確な行動抑制ができるのではないでしょうか。
とここまで書いて、感染経路不明という言葉の意味がどうなのか、と思いました。私はこれまで、「感染経路」という言葉の意味は当然のように「感染した場所・機会」と思っていました。スポーツジムとかナイトクラブとか、飲食を伴う宴会・会合などのイメージです。ところが調べてみると、見た限りすべてのサイトで「感染経路」 とは 「感染場所」 ではなく「感染の仕方」 ということでした。「接触感染、飛沫感染 (エアロゾル感染を含む)、 空気感染、媒介物感染」があげられている (ほかに母子胎内感染もある) だけです。
感染経路不明という報道の「感染経路」は「場所」を指しているようにしか思えませんが、専門的にはそうではないのです。専門語がそういう意味なら、報道で「感染経路」は「感染経緯」と呼ぶ方が適切ではないでしょうか。どこそこの店でクラスターが発生した、というだけではなく、「感染経緯不明」の詳細を調査し発表してほしい。それによりいっそう適切な対応ができるでしょう。