怠慢主婦 ドイツで同居 

日本食を食べなくなり義両親のしもべと化し、すでに何年になるだろう。遠い目しながら今日も行き抜いてやるぞっ

将来に希望を持てる生活の大切さ

2019年09月27日 | 奉仕活動
紅葉が始まっている。

日本のそれと比較すると味気ない。広葉樹が少ないせいもあるだろう。
色付いた葉が比較的短い期間で落葉してしまうように感じる。

久しぶりにウクライナ人難民G子さんに逢った。
なにやらいつもと少し違って、ちょいとだけ幸福そうだった。

職業訓練学校に通うことが決まったそうだ。
もらったばかりの、まだビニールカバーがしてある教材を嬉しそうに見せてくれた。

日本も同様だろうが、ここでも看護・介護関係の人材は不足している。
「今までの決まりでは、同じ能力の場合、ドイツ国籍者を優先して採用することが義務付けられています。来年一月から、変わる可能性があるんです」
それはドイツ生まれのドイツ人には非常に恐ろしい変化だろうな。だが、ドイツ語が母語というところで、まだドイツ人の方が優先される傾向になるだろう。

薄いほうの教科書をペラペラめくると、簡単な計算問題が載っていた。
デシリットル、リットルなどの単位が入り混じった記載の加減乗除だ。
「学士の学位を持つ私にはこんな問題簡単です」
ことあるごとに、自分の高学歴を主張するG子さんだ。ここではとにかく、ドイツ語ができないと学歴がものを言わない場合が多い。彼女のドイツ語は凄まじくへたくそで、会話していてイライラすることもしばしばだ。

でも、この日の会話は彼女の話すことが以前よりわかるようになったことに気づいた。
「G子さん、前よりドイツ語、上手くなったね」
褒められたことと、職業訓練をすることで、ドイツ生活の明るい希望を見出したのだろう。
初めて彼女の本心からの笑顔を見た気がした。

難民たちは、自分たちの不安定な立場にイライラしていることが多い。就業など諦めて、政府の援助でのんびり過ごしていこう、という奴らの方が精神的に安定しているかもしれない。(そういう人々は、母語集団の中だけで過ごしていることが多く、ドイツ語での会話必須の私との接触は絶望的にない)
イライラしている人が周囲にいるのは非常に危険だ。
彼らのイライラが社会に及ぼす影響は大きいぞ。G子さんのもともとの性格と、安定しないここでの身分が、彼女の敵を多く発生させている。
これからは、少しはよくなるかもしれない。

キリスト教では敵をも愛せ、と説いていたような。
嫌われがちな難民を愛せ、ってのは、自分の身を守るためでもあるわけだ。
G子さんが無事に就業したところで、またさまざまな難関が待ち受けていることだろう。9歳児のお母さんでもある彼女のここでの安定した就業は必須だ。
母国の惨状を語る彼女の口ぶり(多くの知人友人たちが戦乱で亡くなっているとか)は、ここでやっていく覚悟を自分自身に誓っていたのかもしれない。