飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

ゆさぶり発問

2024年04月17日 08時10分06秒 | 授業論
最近の授業研究でゆさぶり発問という言葉を聞かなくなった。
それは、個別最適な学びとか協働的な学びという言葉は子ども主体であって、教師主導ではない。
観点として出てこないだと思う。
授業の主体は教師であるということは間違いのない事実である。
授業は、子どもたちで成立するのか、教師がいない状態で学習ができるなら、もともと先生はいらない。
主体となる教師が授業を組み立て、子どもたちの可能性を引き出していくのが授業である。

自分が担任だった頃、ゆさぶり発問という言葉がよくキーワードとして出てきた。
自分が初めて聞いたのは、斎藤喜博の出口論争のときだった。
多くの若い先生の授業を参観したときに本人は意識していないが、ゆさぶり発問をすることがある。
しかし、上達論から言えば、無意識にしていることは論理的ではないし、他に伝えられる形にはならない。

では、ゆさぶり発問はどう定義づけられるのか。
「子供の常識的な解釈や建前論に終止したり、深い読み取りが不十分な授業展開に問題を投げかけ、授業の中に変化をもたらし、緊張関係を作り出す教師の働きかけ」

【ゆさぶり発問の機能】
1 無知であることをさとらすもの
・本当に日露戦争は勝ったと言えるのだろうか?
2 否定的逆説的な意味をもつもの
・消防士さんがいるので消防団の人たちは必要ないですよね?
3 意表をつき、はっとさせるもの
・お客さん側ではなく、お店側から考えるとどのように言えますか?
4 変化と緊張をつくりだすもの
・もし3度め元軍がせめてきていたらどうなっていると思いますか?
5 思考に抵抗と対立を与えるもの
・本当にみんなはAだと思うんだね。私は、Bだと思うけど。

このゆさぶり発問のあと、共有化を図る。
一人の良い考えを全員に広げ、全員でよりよい考えを作り出していく。
この共有化のときに考えるべき観点。

1 再生 「◯◯さんが言ったことをもう一度言える人?」
     「◯◯さんがとっても大切なことを言ってくれました
      ◯◯さんの発言の大切な部分を隣の人と伝え合いなさい」
2 継続 「今、◯◯さんが『〜だけど』と言いましたがその続きにどんなことを言おうとしているか予想できる人?」
3 暗示 「◯◯さんがよいことに気づいています。
      今から◯◯さんにヒントを出してもらいます。」
4 解釈 「今、◯◯さんが〜といった意味がわかりますか?」

saitani
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