三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

室内「庭」のある家

2010年12月20日 05時48分13秒 | Weblog






なんとも面白い提案を持った住宅です。
これまで、北国の住宅でも楽しめるインナーガーデン、
というのは、通常は観葉植物をリビングなどに置いて楽しむか、もしくは
温室的なアトリウム空間というのが、一般的。
それに対して、
居間・リビング自体を庭にしてしまった、というのがこの家。

帯広のOMソーラー加盟店・佐々木建設さんのモデルハウス。
コンセプト的に大変面白かったので、きのう、往復540kmかけて
急遽、日帰りで行ってきた次第です。
帯広は冬場の日照に恵まれた地域であり、
OMソーラーには適した環境の街です。
今回のモデルハウスは、社長の佐々木雅史さんが長年温めていたアイディア。
太陽の熱を集めて暖房をまかなう、というコンセプトに共感する企業人らしく、
自然との暮らし方の調和を考えていくと
こういう環境提案に至ったと言うこと。

室内にしつらえられた「庭」は、本格的であり、
基礎外断熱を採用して凍結深度まで断熱されているので
室内側の土壌は断熱されている。
その上で、凍結深度までコンクリートで区切って
中の浸透性の土壌に対して、庭を造作してみたというもの。
さんさんと降り注ぐ陽光空間が、北国の季節感イメージをひっくり返してしまいます。
2層分の吹き抜け空間の南と西の2方向に開けられた開口部と、
天窓からの採光で、室内は汗ばむほどの日射取得。
通常、こうした装置空間はリビングとなりますが、
そこに庭を造作した、という感じでしょうか。
庭は、ベンジャミンを主要な植栽として、
ソテツ類などや、食用にほうれん草なども植え込まれています。
土は、虫の問題などを考えて、無菌土壌を採用。
また、池も造作して金魚を放してあり、
完成後、何日か経過していますが、のびのびと動き回るようになったとか。
循環水装置で「せせらぎ」の音も聞かれ、
いわば、「微・自然」な環境が作り出されている。
庭は板面の床で囲まれており、
まるで「縁側」が室内側に向けられているかのようです。
玄関方向への一方は土間空間になっていて、
そこには薪ストーブもしつらえられているので、
自然の中でたき火をして、水に親しみ緑を育てる、
季節感と、内外の感覚が両方ともひっくり返るような空間が実現しています。
コンセプトは素晴らしい。
まさに、高断熱高気密でなければ実現できない環境だと思います。
温熱環境をコントロール可能なものにすることで実現した空間性。
本州地区のみなさんが、なんとなく
閉鎖的で閉じられた環境ではないかと思いこんでいる
高断熱高気密ですが、だからこそ実現できた室内のしつらいだと思います。
さまざまに困難が予測されますが、
さて、1年かけてどんな結果が出てくるか、
実に興味津々な試みだと思います。
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