三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

隈研吾・根津美術館から雪の静寂へ

2015年11月22日 06時22分39秒 | Weblog


今回の東京出張で見学できた建築であります。
隈研吾さんは、温暖地域の建築家としては
いちばん親近感を持てるタイプの建築家であります。
一度、北海道に建てられた「メム・メドウス」での実験住宅を見学して
その空間にはかなり魅せられた記憶があります。
その後、神楽坂の商業施設にはあまり面白みを感じませんでしたが、
最近、オリンピックのメインスタジアム設計競技で
伊東豊雄の対抗馬として注目されていますね。
個人的にはぜひ、隈さんに建ててもらいたいと思っております。
この根津美術館って、当然地名としての「根津」を想像していたので、
所在地が表参道と聞いて「あれ」と思いました。
どうやら、根津というのは人名からだそうで、
オシャレな商業施設ビル群の先に立地していました。
エントランスがたいへんすばらしい。
通りに面したエントランスから、入り口まで回遊動線があり、
そこを建物側は竹の連続する壁とし、
大きな庇が通り土間を包んでくれていて、
その外縁には黒い玉砂利が区切るようなエリアを構成している。
植え込みは個性ではなく,集団美としての植栽が担っている。
まことにここちよい視覚体験に導かれるように入り口に招かれていく。
内部も、みごとな大屋根が全体を囲む空間になっている。
雨が降っていたので、みごとな庭は鑑賞できませんでしたが、
大屋根までの吹き抜け空間からガラス越しに、
美しい庭園が眺望として飛び込んでくる。
抑えた照明設備もあって、目にもやさしい空間が広がっています。
展示に向かって「よし、見てやるぞ」という気分を盛り立てている。
まぁ展示は、日本画の中から「物語を描く」という
企画展示でしたが、全体として求心的なたいへん見やすい美術館。
都心にあって、やすらぎのある空間を造形していました。



一方、東京出張から帰還すると
人混みへの忌避感がハンパでなく襲ってくる。
そういうことで、昨日は北海道の中でも寂寥感を味わいたくなって
石狩市浜益の浜益温泉に日帰り入浴してきました。
あんまり天気は良くなかったのですが、
寂寥感を味わうには、ちらついていた雪も、またいい。
で、温泉に入っていたら、おあつらえ向きにしんしんと降ってきた・・・。
雪が降ってくると、圧倒的な「静寂」が訪れてきます。
この静寂が、ある圧倒されるような空気感で迫ってくる。
北国人には、かならずある体験記憶であります。
季節の最初の扉のまえで、凛とさせられる無言の時間。
こういうオンオフの繰り返し、
西行や芭蕉さんもここまで極端には味わえなかっただろうと思います。
現代に生きる人間だけが味わいうる一種の一期一会的な体験ですね。
まことに気分のいいリフレッシュでした。




コメント
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