三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

竪穴式住居

2007年02月16日 04時42分46秒 | Weblog

なんか、ふたつの低気圧が北海道南部を
横断中で、ここ2~3日、東北北海道を中心に荒天です。
今時期は、スタッフが各地で取材やらなにやら移動が頻繁だし、
同時に写真撮影も真っ盛りなので、なにかと気がかりです。
気温は北海道も高めの状態ではありますが、
雪や風といった部分では、やはり暖冬とはいえ、冬真っ盛り。
みなさんも、十分お気をつけくださいね。

さて、写真は東北北部地方の奈良時代の民家で、
一般的であった「竪穴住居」の模型写真です。
ごくふつうの庶民の家って、歴史的には、江戸期までも含めてつい最近まで、
この竪穴式住居っていうのが一般的だったんですよね。
で、こういうふうな断面模型にしてあると、
いろいろと生活ぶりとか、見えてくる部分があって、興味を引かれます。
奈良時代くらいというと、定住的な農耕が行われるようになっていて、
人口の大部分は、こうした生活様式で暮らしていたに違いありません。
日本の場合は、海での漁労を中心とした暮らしも多くあったでしょう。
しかし、民家形式としてはこういうものがベースだったに違いありません。

建物内部で火をおこして、煮炊きと暖房の用途に使い
その結果の煙を、屋根天井の方向などを検討することで、
その地域の気候風土に適した家のかたちを選択していたものと思われます。
もっと古い年代からのものを見ても、
間取りとか、大きさは構造維持の問題もあったので、大体この程度、
したがって、そこに暮らす人数も自ずと定まり、
いわゆる、夫婦を中心とした範囲内に収まっていたように思います。
屋根は、風向きとか、その土地の特徴を考えながら、
方向や開口の大きさを検討して、形態などを決めたのでしょう。
デザインで考えれば、この屋根形状が決定的だったと思いますね。
まぁ、そういうゆとりはなかったでしょうけれどね(笑)。
床は、湿気を考えて、すこし床面を上げているようです。
地盤面から掘り込んで床面を定めるので、雨水の浸入をいかに防ぐか、
いろいろに考えたに違いありません。
自然や天候に相当に翻弄される暮らしぶりだったに違いないことは
こういう住まいをみれば、あらためて認識させられますね。
仏教という、文明と不可分に結びついていた信仰以前に、
自然崇拝をベースにした呪術的な自然信仰が先行して存在していた
ということを、こういう生活ぶりからうかがうことが出来ると思います。

と、しばし、古人の生活ぶりをあれこれ想像するのも、おもしろい。
さて、きょうはわたしも仙台へ移動の予定。
どうも、外の天気が気になります。
人間、自然や天候の状況に左右されるのは古今を問わないもの。
そのうえ、最近は地球温暖化が、暮らしに直結してきていると
感じる場面が増えてきています。どうなんでしょうか?
そういう大きな変動の寸前で、われわれのいまの暮らしが
あるのかも知れませんね。
そういう意味では、この写真のような暮らしようの方が
知恵のあるくらい方だった、と言えなくもないかも知れない、って思えてきます。
コメント
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