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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

池の結氷

2008年03月13日 05時47分27秒 | 住宅取材&ウラ話


写真は福島県の川内村での「亜鉛閣」のもの。
この建物は、本体よりも周辺の自然回復と言うことの方がテーマが大きい。
敷地が8000坪もあるんですが、その背景には山林原野が200000坪ほども広がっている。
そうした後背地の自然系がうち捨てられていた。
敷地自体は農地で、農家が廃業したあと、
誰も手を付けることなく、放置されていたのだそうです。
建築家の山下和正さんはそういう敷地を買い取り
長い年月をかけて自然環境の再生に取り組んできたのです。
その自然再生のなかで、最初に取り組んだのが
沢水の管理の必要性。
雨が降り続いたりすれば、伏流水の小川がすぐに土砂災害を引き起こしていた。
農地利用のために、自然が破壊されるに任せていたのです。
人間が自分だけの都合で、勝手にこの近辺の自然をねじ曲げていた。
そうした「暴れ水」に、秩序を与えて、
きちんとした生態系を復元させるように考えたのですね。

で、できあがったのが「調整池」。
まぁ、自然の水に呼吸の場所を提供したようなもの。
いったんこの池で水量を調整しながら、
河川に放水するように改良しています。
その結果、よき生態系が復元している。
手を付け始めた頃には、小動物も目にできなかったのが、
いまでは、大型ほ乳類・いのししなどが遊びに来るほどに回復したのだとか。
人間の、自然への回心に似たような営為と感じた次第です。

今月初めに訪れたのですが、
「福島県最寒の地」ということで、零下10度ほどの寒さが続きます。
その結果、ごらんのように結氷しておりまして、
人間が乗っても全然大丈夫なほど。
わたし、北海道でもこんな光景に出会ったことはありませんで(笑)
っていうか、体重が心配で恐ろしくて、
氷の上なんて、とても乗れませんです(笑)。
まぁ、徐々に融けてきておりましたので、
いまころはそろそろ、氷が水になっておるかも知れませんが、
自然の素晴らしさを実感させられる光景でしたね。

本日から、青森県で集中的に取材です。
朝一番で列車移動。
これから出発いたします、ではでは。
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亜鉛閣再訪

2008年03月05日 06時34分21秒 | 住宅取材&ウラ話

さて、きのうから「東北住宅大賞」現地審査です。
昨年は車での移動で大雪に見舞われて、死ぬ思いをしたので、
ことしはおとなしく、新幹線などの列車移動で動いております。
JIAなどの建築関係の審査員の常連の古谷さんや、五十嵐さんといっしょで、
いろいろ勉強になることも多いです。
JIA東北支部さんから審査員の依頼があって、断り切れず、
お引き受けしているのですが、
まぁ、寒冷地住宅という点で、北海道の人間が入っていると
バランスも取れるというような判断なのでしょうか。

で、きのうは東北の一番南とも言えるいわきの近くの川内村。
写真の「亜鉛閣」さんの訪問でした。
郡山から直線距離で45kmということで、山道を走破するコースです。
しかし、山道なので、なかなか到着しない。
結局、食事を挟んで行きに2時間半近く掛かりました。
建築家山下和正さんの週末のくらしのための住宅です。
以前にもこのブログでご紹介したのですが、今回2度目の訪問。
はじめて行ったのは写真撮影でのときなのですが、
秋だったのできれいな紅葉を見ることができたわけですが、
今回は、ややゆるんできたとはいえ、冬。
ごらんのように建物前にある「調整池」は結氷しています。
茶目っ気のある古谷さんは、勇敢にも氷の上に乗っかっていましたが、
さすがに体重増に悩む当方は、丁重に命乞い。
この家はOMソーラーによって屋根面を暖める太陽熱を暖房として利用する計画。
中気密、というルーズな環境を前提にしているOMソーラーですが、
ここでは高断熱高気密仕様で、しかも2×6の壁厚で重厚に装備しています。
久しぶりに伺ったのですが、
温度ムラのない環境が確かめられました。

さて、この住宅を見たあと、郡山に戻り、
そこから新幹線で、仙台乗り換えで盛岡市に移動。
多くの建築家のみなさんから歓待いただいて、バタンキューです。
さて、本日は盛岡周辺で2件の住宅を見て、その後、秋田県湯沢市に。
なかなかな強行軍日程です。
しかし、住宅を見て歩くというのはやはり、面白い。
楽しみながら、おつとめがんばりたいと思います。ではでは。

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大雪再来

2008年02月24日 09時16分44秒 | 住宅取材&ウラ話

もうすこしで3月というこの時期ですが、
今年の冬はなかなかにやってくれますね。
先週はすっかり春めいた気候が続いていたのですが、
どっこい、すんなりとは春にはなってくれません。
関東では春一番だそうですが、
こちら札幌では、きのうも一日降り続き、今日朝にはすごい状態でした。
季節風も強く吹き付けていたようで、
事務所のエントランスは腰までの積雪状態。
吹きだまりのようなことになっていたのですね。
雪の降り具合、風の向き・強さで、雪の状態はまさに千変万化します。
きのうは、風邪気味の体をいとい、
雪かき作業をさぼっておりましたが、さすがにもう手が付けられなくなるので
朝から、大汗かいての雪かきに追われました。
おかげで、坊主は友人たちとのスキーが荒天のため中止。
まぁ、遭難の危険があるし、第一、スキー場もクローズかも知れません。

っていう、冬真っ盛りの札幌地方ですが、
この季節、いつもお伝えしている「雪庇」が各家庭で順調に成長しています。
無落雪屋根をはみ出して、季節風の風下方向に雪の庇がせり出す現象。
わが家の3階居室から、屋根からの雪庇が見えるようになっておりました。
ちょっと、オブジェとしてみていると面白い。
わたしたちが子どもの頃には氷柱が冬の北海道の風物詩でしたが、
坊主たちの年代には、この雪庇が冬の風物詩になっていくかも知れません。
じっくりと観察してみると、
端っこ部分では微妙な自然の造形が見られてなかなかに楽しい。
見ていても面白いし、窓を開けて破壊するのも楽しそう。

なんですが、やはりこれが急激な暖気などが来たら、
落雪して、危険も伴う。
北海道は、氷柱を克服し、屋根雪崩の危険を克服し、
無落雪屋根というユニークなデザインも生み出して、
敷地の狭小化も克服してきたけれど、
いまは、この雪庇問題が、なかなか難しい問題になってきています。
まぁ、危険の度合いは昔とは比較にならない低レベルではありますが、
とはいえ、対応策は考えねばならない問題ではあります。

でも、けっこう面白くて、きれいでしょう。
ゆとりももって、考えていきたい問題だと思います。
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里山に繋がる裏庭

2008年02月13日 06時00分32秒 | 住宅取材&ウラ話

きのう書いた集住形態の農家群の中の住宅です。
このお宅は、この一帯の「家守り」役であったと思われる大工さんの家。
というか、いまは大工さんだったお父さんが亡くなって、
その娘さん夫婦を中心にした4世代同居のお宅です。
どうも推察するに、この大工さんが、きのう触れたような農家住宅を建てたり、
保守管理・増築などの作事一般を受け持っていた気がします。
現代がもう、システムとしてなくそうとしている、
「家守り」システムですね。
これは、建築の専門家である地域居住の大工さんが、
その地域での色々な建築的相談事を専門的に受け、管理していく社会システム。
現代のように、ハウスメーカー・商品化住宅システムの全盛期になってくると、
ちょっとした補修など、「どこに頼んでいいかわからない」
というような状況が生まれてきてしまう。
たぶん、こういう不便な状況って、最近というか、
戦後高度成長期以降、顕著になったのではないかと思います。
いわゆる、ハウスメーカーの成長期で、国策としてもそういう建築企業を培養した。
官主導で進められた「ハウス55」計画は、
労働者として大量に都市に集められた農家の2男・3男という
あらたな「住宅希望者」に対して、
既存の家づくりシステム(家守り」を中心とした地域工務店ネットワーク)では
住宅建築を請け負うのは不可能だと判断して、
そういう建築の受け皿として、
規格大量生産型のプレハブメーカーを国策で養成したのですね。
というような経緯で、今日の状況を迎えてきていて、
いまや、地域工務店というのは、業界としての存続の縁にある。
先日も、全建連という工務店の全国組織のトップの方とお話ししたのですが、
そうした危機が、まさに迫っているという状況ということです。

写真は、この地域(宮城県の石巻近郊の山間農業地域)での
家づくりの基本である、里山に寄り添った住宅計画の結果、必然化する
自然の里山の裏庭を撮影したものです。
家の裏の山からは、四季変化に応じて
いろいろな恵みももたらされて、暮らしになくてはならない潤いを
もたらしてきたに違いないと思います。
春の山菜採りから、秋のキノコ取り、落葉は貴重な肥料に、と
伝統的な農家の暮らしの基本的バックグラウンドだった。
そういう暮らし方が、そのまま、国土の保全に繋がっていた。
そうです、身近な森林の管理に繋がるわけですね。
こういう一連の営みを、官僚統制的手法で破綻させてきたのが
戦後の高度成長システムの弊害であった。そして、気付いたときには
それを復元する社会システム自体も崩壊してしまっていた、
というのが現実の姿なのです。

しかし、そういうなかで、この家に暮らして育った娘さんが
この家に愛着を感じて、お父さんが建てた家を壊して建て替えるのではなく、
なんとかリフォームして暮らし続けたいという希望を持たれたのです。
現代では、こういう古い建物を延命させて現代的な暮らしやすさを実現するのは
たいへん気骨のいる作業だと思いますが、
幸いにしてリフォーム会社の担当の女性の方も、
「またこの家に帰ってきた気がするんです(笑)」っていうように、
建て主さんといっしょになって苦労したことが、
その明るい表情から伺えたのです。
そんな明るい女性ふたりの会話を聞いていて、
なんとなく救われるような気がした取材でした。
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農家住宅の地域性

2008年02月12日 06時49分00秒 | 住宅取材&ウラ話

先週末には、宮城県石巻近郊の住宅のリフォーム事例を取材。
周辺には独特の形式の農家群が集まっています。
昔の農家の建てられようには色々なスタイルがありますが、
一般的に多いのは集住スタイルで、ミニ都市のように集まって暮らすもの。
それに対して、各家屋がぽつんぽつんと建てられるのが「散村」といいます。
この地域では、集住の家屋が、それも周囲の小山を背にするように建つ
「里山」形式で、しかも路に沿って連続して建てられていました。
これは、たぶん、季節風から暮らしを守る知恵でしょうね。
その目的をさらに明確にしてくれるものも見られます。
面白いことに、この地域では道路側に面して、
各戸が納屋のような建物を一様に建て並べているのです。
このように建てられれば、区切られた内部の空間は
冬の季節風から、ほぼ守られるような半外部の空間になる。
写真は、そうしたなかでもひときわ立派な建物。
高さも通常の2階分ほどもあり、内部の平面も広大に保護できます。
このように季節風を遮れば、内部には宮城県らしい
日射の豊かさが実感できるような空間が出来上がる。
大変よく考えられた、地域のくらしに似合った住宅装置であることがわかります。
塗り壁などは剥落して土壁が露出し、
何度もリフォームを試みてきた様子が手に取るように残されていますが、
いまは、どうも使用を諦めたと思われるような佇まい。
そうでしょうね、この建物の用途を推察すれば、
たぶん、農業用の倉庫が主要任務。
入り口から内部を見通すと、いろいろな農家の仕事のための小屋がけがあります。
それらはみな、ほぼうち捨てられたような状態だったので、
最近は使用されていないような雰囲気なのです。
そうなれば、外観的なものに気を使っていくような心映えはなくなる。
入り口の上部には、外部なのに開口部飾りの欄間まで見られています。
欄間は通風などの用途を考えているもので、しかもデザイン的に考えているということは
「家格」を表現しようとした装置であったことはあきらか。

考えてみると、いまの日本ではここまで考えている
「農家としての住宅装置」というデザインは存在しない。
農家であっても、主屋についていえば、
無国籍的な都市型住宅のプロトタイプが無自覚に建築されているケースが多い。
農家の側からも、ハウスメーカー的な宣伝デザインを希望する、
というような場合が多いのではないかと思われます。
素晴らしい伝統的建築デザインの古民家を
「○○ホームみたいな洋風の感じにしてください」
というようなリフォーム希望が寄せられる。
確かに、農家の暮らしようも、農作業のやり方も
伝統的な様式とはまったく変わってしまっているので、
そうした変化自体はやむを得ない部分ではあるけれど、
そのまま放置していけば、いったいどのような「地域的アイデンティティ」が残るのか?
まず、残っていくことはないでしょうね。
後世の人が、こういう家の建て方を見て、現代の暮らしを想像すれば、
その驚くべき想像力の枯渇ぶりに驚くのではないか、
そんな危惧の思いがわき上がってくるのを禁じ得ません。

でも、じゃぁ、どうすればいいのか、
と考えても、残念ながらなかなか、解決策は見つからない。
実際にこうした建物のオーナーさんから、
「都市的な快適性」を願われれば、そのように建築することになるのは
自明なのではないかと思われます。
地域的必然性の欲求の低下というなかで、
現代的な暮らし方という摩訶不思議なパワーが、無国籍建築を
大量生産していく、
こういうプロセスは、これからも増殖し続けるのでしょうか?

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建築家展_2斉藤裕講演

2008年02月03日 07時29分56秒 | 住宅取材&ウラ話

きのうは、いろいろと住宅建築関係では盛りだくさんの日。
新住協の全国一斉Q1.0住宅見学会が行われていて、
午前中にはわが家から一番近くの現場である勇和建設さんの住宅見学。
まえから見たいと思っていたのですが、
ようやく見ることができました。
勇和建設さんと、若手建築家・畠中秀幸さんのコラボ住宅。
その他、武部建設さんからは、見学会で「エコ住宅Q1.0」が6冊売れたよ、
といううれしいお知らせもいただきました。

で、午後からはカミさんと連れだって
きのうのブログで触れた「建築家展」を再訪。
なんですが、違う会場で建築家・斉藤裕さんの講演会が行われるので、
そっちに移動。
カミさんも、知り合いが斉藤さんを知っているということで、
斉藤さんのお話に興味を持ってくれていたのでした。
わたしは以前にも、日本建築学会賞を取られての講演会を聞いたことがあり、
その審美的な建築眼のような一貫した姿勢に
強い印象を抱いていた方です。
プロフィールなどは今回初めて知ったのですが、
北海道小樽市出身と言うこと。
そんなことからか、札幌の建築家・豊島守さんと親交があり、
今回の建築家展でも講演を引き受けられたそうです。
演題は「黄金の塵 日本建築の美」というもの。
まさに、わたしの聞きたかったいちばんのテーマだったのです。
お話しは、歴史と同時進行しながら、
日本の建築がたどってきた審美探求の流れを詳細に研究したもの。
東大の学生さんたち向けの講演を聴いた豊島さんが、
ぜひ北海道のみなさんにも聞かせたいと言うことからくどいて
実現したという、大変優れたテーマと、その深め方でした。
伊勢神宮から、出雲大社、奈良期の巨大建築から、
京都に残る建築や、歴史の舞台に残されたさまざまな建築のディテールを
詳細に解析しながら、審美的ポイントを見通していきます。
わび・さび、ということの本質を平易に語ってくれました。
久しぶりに、痛快なお話を聞くことができた次第です。
いろいろな建築に実際に行ってみる以上に、
筋を通して「体験」させてもらいながら、その本質的価値を再確認する。
斉藤さんの執着力って、本当に素晴らしい。
まさにきわまっているなと、思われたのは高松に残るという掬月亭のこと。
数寄屋とか、わび・さびというものを実際に体験してみたのですね。
名前の掬月亭というのは、月を掬うという意味。
それは、水面に映る満月を、その月明かりだけの世界の中で、
杯の中に月を、掬い上げて、飲み干す、という意味なのだそうです。
そして、建築は、その「幽玄な世界」を体験するために作事された。
そういう審美的な心的要因からスタートして、その実現のために
万金を投ずる、そういう建築が数寄屋という心ではないか。
たぶん、国宝級の建築なのでしょうから
そのように体験させてもらうためには、相当の努力が必要だと思います。
斉藤さんのお話には、そのような審美欲求への思いの強さが感じられる。

たいへん素晴らしいお話を聞くこともできて、
今回の建築家展、ほんとうに素晴らしいイベントになってきていると思います。
きょうからも、またさまざまなイベントやセミナーなどが予定されています。
住宅や建築に興味がある、あるいは特段ない(笑)、という方たちも、
この建築家展は絶対に面白いと思いますので、
北海道近代美術館に、足を運んでみてください。
月曜日は中休みですが、
会期は10日までやっています。損はしないと思いますよ。ではでは。
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十勝の寒さ

2008年02月01日 06時27分11秒 | 住宅取材&ウラ話

いやぁ、寒かったです(笑)。
先週、十勝でアース21の例会が開かれて、
多くの建築現場見学をしてきました。
住宅の方は、どれもすばらしく、以前と比較しても、
デザイン的にバリエーションが広がってきているのを実感します。
とくに天井の高さに、特徴を持たせたケースが目につきました。
設計ポイントで聞いてみたら、
全体のシンプルモダンのトーンの中で、
薄型大型テレビとのバランスを考えていくと、
いきおい、ボリューム感たっぷりの壁面が必要になってくる、
とくに居間、というような声を聞きました。
伝統的にツーバイフォーの比率が高く、デザイン的には
やや保守的に北米デザイン的な傾向が強かった地域ですが、
ユーザーさんや、ビルダー双方とも、若い世代から、
シンプルな十勝っぽさ、とでも呼べるような動きが見られるようです。

というようなことでしたが、
なんといっても、素晴らしかったのは(笑)、十勝の寒さ。
「十勝晴天」といえる青空が抜けるように広がりながら、
底抜けに寒い。
そう、底冷え、というようなレベルではない。
まぁ、底が抜けるほどの寒さという表現にたどりつきましたね(笑)。
早朝など、車窓からは河の周囲が霧に包まれております。
川の水自体も身を切るように冷たいのですが、
はるかに超えて寒い大気、たぶん零下20度前後の空気が
河の水とのあいだで温度差を引き起こして、霧を発生させるのです。
まぁ、美しい光景なのですが、
すごいですね。
写真は、早朝の十勝川温泉にて、川面に登る川霧を撮影したのですが、
うまく伝わってくるでしょうか?
ホテルでは、たぶん、台湾のみなさんが
早朝、ほぼ、無言で、って、ようするに寒さで震え上がっている感じ。
で、名物のバルーンに乗りに行っていましたが、
大いに寒さを体感していって欲しい(笑)、と思いました。
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坪258,000円の実像

2008年01月22日 07時06分16秒 | 住宅取材&ウラ話

特定企業のことを書くのはためらわれるのですが、
やはりあれだけ派手な宣伝をしていると、一種の社会的な影響もあるので、
触れてみたいと思います。タマホームのことです。
北海道にまだ上陸していない、ということもあって、
わたしたちにはまだ、実像が明確でない部分があり、
色々なうわさ話程度の知識しかなかったのは事実。
まぁ、一度、素知らぬ顔でモデルハウスを見に行ったことはありますけれど・・・。

これまでは宣伝だけは派手でしたが、
実際にはそのビジネスの実態はあまり表側に出ては来ていませんでした。
そんななかで今月の「日経ホームビルダー」で、リポートが掲載されていました。
記事構成は昨年11月に調査会社を使って
タマホームで実際に家を建てたユーザーにアンケートを実施して
その結果を基に、玉木社長にインタビューしているというもの。
このあたり、派手な宣伝とは裏腹に、実像が見えない企業の取材と言うことで、
「報道する」側の細心さがみえてきます。
社長さんのインタビュー自体は建前論に終始しているので
それほどの内容はありませんでしたが、
やはり目に付いたのが、実際のユーザーの声。
回答してくれた方たちの実際の坪単価は、
423,000円から、444,000円・454,000円・578,000円・
750,000円・800,000円というもの。
こういう率直な数字をぶつけてみると、
社長の方から初めて、
「ウチの場合、40坪で建築費が1,600万円、これがウチの平均です」
という答が返ってきています。
「元々の価格が安いので、それならばと、オプションに目が行く結果です」
というようなことのようです。
このあたり、やはり多くのローコストビルダーと同様で、
実際の単価とは大きな乖離があるというのが実態のようですね。
まぁ、年商が1,290億円で、建築棟数が7,600だそうですから、
単純に割れば単価は1,697万円になる。
細かく見ていくと、そのオプションというのは、
どうも、一般価格と比較してむしろ高めだったという声もある。
結果としては、言われるほどは安くなかった、というのが実態のよう。
企業のコンプライアンスが声高に叫ばれている中で、
このように大宣伝しているうえに1,290億円の売上を上げている企業として、
これでいいの?、という思いは禁じ得ません。
まぁ、世間的にはメタボリックが叫ばれている中で、
一方で「メガマック」とかの「メガ」ばやり、ということがあるので、
そういう心理に通じた側面があるのかも知れません。
しかし、地域工務店とかの経営基盤を脅かしつつある存在でもあるわけで、
冷静に実像を見る必要があると思いますね。

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札幌の冬の雪雲

2008年01月17日 06時21分00秒 | 住宅取材&ウラ話

慣れ親しんだ季節感のある雲のかたち、って、ありますか?
わたし、小さいときから雲を見続けているので
<って、誰でも当たり前か(笑)>
そんな思いをするような雲のかたちに視覚記憶があります。
近年は、生活の場が2階になっても、やはり近隣に大型の建物が多くて、
なかなか、そのような感覚が薄れては来ていますね。

札幌の場合、石狩湾低気圧、というのがいろいろな天候に預かっているもの。
それが、ちょうど石狩川をさかのぼるように
雲を形成するというのが多いケースではないかと思います。
こどものころから、不思議と札幌の北側に向かっての眺望を
見続けてきた視覚記憶が大きいので、
こういった認識を持つに至ったのかも知れません。
嵐のときには石狩川の川の流れに沿って、
おどろおどろしい黒雲が、まるで龍のように暴れている、と認識できました。
こういう記憶認識って、やっぱり貴重なものだと思います。
そして、季節ごとにいろいろな空気感をもたらしてくれる。
写真はちょうど、札幌から石狩湾の方向に向かっての眺望。
こういう群雲が、ちょうど夕陽の時間に向かって太陽光を反射して、
ときには魅惑的なピンク色になったりする。
「あ、こういうの見たことある!」と、素朴に感動したりする。
そういう色彩が、小さいときからの視覚記憶を刺激するワケですね。
「豊かな生活感」というものの実質の中に、というか、
自然とひとのつながりの実質として、こういう視覚記憶の連続性がもたらす
安心感とも、いごこちの良さ、ともつかない部分があると思います。
年を取ってきても、幼い頃の記憶を鮮明に保ち続けられる環境の中にいる。
記憶感覚の連続性のなかで日々暮らせる、ある種のよろこび。

わたしの場合、わが家を新築したときに
「学校の近くで、玄関が北向き」という方位角度という、
生まれ育った家や、その後過ごした家の両方と、ほぼ同じ条件の住宅だったのです。
別段、そこまでの認識はなかったのですが、
暮らし始めてから、日々視界に飛び込んでくる眺望が、
幼い頃の視覚記憶と同じようなものを得られる環境になっていた次第なのです。
こういうポイントって、なかなか考え付かない部分だと思うのですが、
ひとが生き続けるという上では、気付いていると得するポイント。
なのではないかと(笑)、最近思い続けているのです。
まぁ、根拠はそれほどはありません(笑)。
でも、やっぱり毎日、窓の外を見続けることが楽しみである家、
っていうのは、住まう大きなよろこびの部分なんですよ。
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耐震偽装からの脱出

2008年01月16日 06時42分37秒 | 住宅取材&ウラ話

事務所の斜め向かいに高層マンションの工事現場があります。
例の耐震偽装問題が相次いだ時期に着工され、
その後、長い間放置されていました。
基礎の工事が大規模に行われ、3階分くらいの地下掘削も行われる大規模MSでした。
確か、20階を超えるマンションのようでした。
その工事現場が、最近ふたたび動きだし、
きのう、見ていたら、既存の造作部分、たぶん、4階分ほどの
立ち上がりが重機で解体されていました。
とはいっても大型の工事なので、
解体自体もけっこうな時間が掛かりそうで、
へたすると1週間では済まないかも知れません。
聞いた話では、やはり偽装を告白した建築士が構造設計に関与していたそうで、
デベロッパーとしては、解体しての建て替えを選択したようです。
この間で、近隣500mほどの距離地点に別の会社の高層マンションも建てられることが決まって
モデルルームも公開されている中での工事再開。
他人事ながら、かなり厳しい工事再開と察せられます。

しかし、相当の敷地、たぶん2000坪を超えるくらいの近隣敷地が
工事途中で放置されている、というのも考え物。
まぁ、応援するわけではありませんが、
なんとか工事再開になったのは、喜ぶべきことではあるかも知れません。
この耐震偽装問題を契機として、
建築基準法とその運用が大きく様変わりし、
昨年は拙速との批判がある新法の施行にともなう大混乱で
「建築基準法不況」というかたちで建築業界へのしわ寄せが露呈しました。
建築着工数が1~2割程度落ち込み、
中小零細の事業者は厳しい状況にも追い込まれているのが実態。
住宅業界でも、都市部での3階建ての確認申請が大きく滞り、
大手ハウスメーカーなどでも、売上を大きく下方修正せざるを得ない状況。
最近の経済指標にも、この問題による景気への影響も顕著に出ていました。
サブプライム問題での景気後退もありますが、
実態としての経済への影響もあって、株価の低迷などに繋がっている部分。
国土交通省も、当初の危機感のなさからは脱却し、
相当手厚い施策をやらざるを得なくなっている局面になっています。

解体され、瓦礫と化す構造物を見ていて、
なんともいろいろな思いが見えてくる解体現場の様子でした。

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