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新たなる支配者は、雨の日もよく燃えます ~映画『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』~

2022年08月10日 20時44分37秒 | 特撮あたり
映画『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』(2022年6月アメリカ公開 146分 ユニバーサル映画)

 映画『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者(原題: Jurassic World: Dominion)』は、『ジュラシック・ワールド 炎の王国』(2018年)の続編で、「ジュラシック・パーク」シリーズ第6作目であり、「ジュラシック・ワールド」3部作の完結編である。アラン=グラント博士役のサム=ニールとエリー=サトラー博士役のローラ=ダーンが21年ぶりにシリーズ作品に出演した。
 アメリカ本国では2021年6月11日の公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染流行を受けてスケジュール調整を強いられ、1年後の2022年6月10日に延期された。日本では2022年7月29日公開。

 2018年4月にトレヴォロウ監督は、「ジュラシック・ワールド」3部作の第1作『ジュラシック・ワールド』(2015年)をアクションアドベンチャー、第2作『ジュラシック・ワールド 炎の王国』をホラーサスペンスに分類し、本作がシリーズ第1作『ジュラシック・パーク』(1993年)に原点回帰したサイエンススリラーになると発表した。シリーズの主要人物であるオーウェンとクレアが引き続き中心人物となることと、『炎の王国』で初登場したメイジーも物語の鍵を握る可能性があることも、この時点で公表していた。2019年9月には『ジュラシック・パーク』の登場人物であるアラン=グラント、エリー=サトラー、イアン=マルコムも再登場することが明かされた。
 2021年6月には、トレヴォロウ監督のツイートで羽毛恐竜の登場が明かされ、本作の舞台が前作から4年後の2022年であることも発表された。ジュラシック・パークシリーズは映画の公開年と劇中の時代設定が同一となっており、今作もその流れを踏襲した形となる。

 本作は、前作『ジュラシック・ワールド 炎の王国』の公開以前に本作の構想はすでに持ち上がっており、2020年2月に撮影が開始されたが、新型コロナウイルスの感染流行の影響を受け、翌3月に撮影の中断・延期が発表された。その後はリモートワークによる製作が進行し、7月6日からイギリスのパインウッド・スタジオで撮影が再開された。500万ドルを投じた消毒や検査などの対策の下で撮影が進行していった。


あらすじ
 太平洋・アメリカ大陸中部沖の孤島イスラ・ヌブラル島からアメリカ本土に連れてこられた恐竜たちが人間の社会に解き放たれてから4年の月日が流れた。恐竜たちは繁殖して世界中に生息地を広げ、今や地球は、現旧の地上支配者である「人間」と「恐竜」が混在する新たな世界「ジュラシック・ワールド」と化していた。恐竜たちによる人間社会への被害が問題になる中、恐竜を自分たちの欲望のために利用する人間もいた。そんな中、かつて恐竜のテーマパーク「ジュラシック・パーク」を建造したインジェン社のライバル企業であったバイオシン社が、CEOルイス=ドジスンの指揮の下、アルプス山脈東部のドロミーティ山脈に恐竜の保護施設「バイオシン・サンクチュアリ」を設立した。
 前作の主人公オーウェンとクレアは、恐竜の保護活動をしながら、アメリカ西部シエラネバダ山脈の山中でメイジーと共に暮らしていた。2人はメイジーを実の娘のように育ててきたが、特異な存在である彼女の身の安全を考え、メイジーの行動範囲を厳しく制限していた。14歳になり思春期に入ったメイジーは、そういった行動制限を疎ましく思っており、今の生活を窮屈に感じて自由を求めていた。すぐ近くの森には、オーウェンがかつてジュラシック・ワールドで調教したヴェロキラプトルのブルーと、ブルーの子ベータが棲息していた。
 ある日、オーウェンとクレアに反発して外出したメイジーが、ベータ共々、密猟者のデラコートに拉致されてしまう。デラコートを追跡するオーウェン達は、かつてジュラシック・ワールドで共にラプトルを調教した同僚であり、今は CIA職員となっているバリーの手引きで、地中海マルタ島の恐竜の闇市場に潜入する。そこで、メイジーとベータが闇市場を牛耳る商人ソヨナの手からバイオシン社に引き渡され、バイオシン・サンクチュアリに移送されたことを突き止める。マルタの街中でサントスが放ったアトロキラプトルと激しいチェイスを繰り広げたオーウェンとクレアは、闇市場で知り合った輸送機パイロットのケイラに助けられ、ケイラの操縦する飛行機でバイオシン・サンクチュアリに向かう。

 一方、アメリカ中西部では、大量発生した巨大なイナゴに穀物畑が食い荒らされる被害が多発していた。その調査のため現場を訪れた古植物学者エリー=サトラー博士は、バイオシン社が開発した種の穀物を育てている農場が巨大イナゴの被害を全く受けていないことに気付き、疑念を抱く。このまま巨大イナゴの被害が拡大すれば世界の食料供給が重大な危機に晒されると考えたエリーは、旧知の古生物学者アラン=グラント博士に協力を要請する。アランはイナゴを詳しく調べ、白亜紀の生物の特徴があることに気付き、バイオシン社がイナゴに白亜紀の生物の DNAを組み込んで改良しているという仮説を立てる。2人はそれを確かめるため、かつて共にジュラシック・パーク事件の当事者となり、今はバイオシン社に雇われている数学者イアン=マルコム博士のつてでバイオシン・サンクチュアリに向かう。

 それぞれの目的でバイオシン・サンクチュアリに向かうオーウェンたちとアランたち。その行く手には、バイオシン社が企む巨大な陰謀と、史上最大の肉食恐竜ギガノトサウルスの脅威が待ち受けていた。


おもなキャスティング
オーウェン=グレイディ …… クリス=プラット(43歳)
 本作の主人公。ジュラシック・ワールドの元恐竜監視員。現在はシエラネバダ山脈の山中でクレアやメイジーと暮らしている。近辺に出没した恐竜の保護を行う傍ら、思春期となったメイジーの養育に苦労している。

クレア=ディアリング …… ブライス・ダラス=ハワード(41歳)
 ジュラシック・ワールドの元管理責任者。恐竜保護グループ「 Dinosaur Protection Group(略称:DPG)」のリーダー。
 メイジーの養育とともに DPGの活動も続けるが、絶えない恐竜の密猟・密売を撲滅しようと無茶をすることが多くなり、メンバーのジアやフランクリンからは難色を示されている。

メイジー=ロックウッド …… イザベラ=サーモン(16歳)
 クローン人間。前作で恐竜たちを人間の世界へと開放した張本人。
 思春期に入り、自身のアイデンティティの悩みから、彼女の安全を考え遠出をしないよう釘を刺すオーウェンやクレアとの喧嘩が絶えない。バイオシン社の依頼を受けたデラコート達によってベータ共々拉致される。

アラン=グラント …… サム=ニール(74歳)
 古生物学者。かつてのイスラ・ヌブラル島事件(シリーズ第1作『ジュラシック・パーク』)の当事者の一人で、後にカービー一家に巻き込まれてイスラ・ソルナ島でもサバイバルを経験した(シリーズ第3作『ジュラシック・パーク3』)。
 現在はユタ州で発掘調査を続けていたが、再会したエリーに誘われバイオシン社の陰謀を探る。

エリー=サトラー …… ローラ=ダーン(55歳)
 古植物学者。かつてのイスラ・ヌブラル島事件の当事者の一人。
 シリーズ第3作『ジュラシック・パーク3』に登場した頃(2001年)は外交官僚と結婚し2児を授かっていたが、現在は離婚し子ども達も巣立ったため、再び学者として復帰した。
 全米で問題となっている巨大イナゴ被害が、バイオシン社によって引き起こされたバイオハザードであると勘付き、アランと調査に乗り出す。

イアン=マルコム …… ジェフ=ゴールドブラム(69歳)
 数学者で、カオス理論の専門家。かつてのイスラ・ヌブラル島事件の当事者の一人で、サンディエゴ事件(シリーズ第2作『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』)の当事者でもある。
 現在はバイオシン社に雇われつつ、CEOのドジスンの陰謀を探っており、エリー達に協力する。

ケイラ=ワッツ …… ディワンダ=ワイズ(?歳)
 オーウェンとクレアを支援する元空軍パイロット。現在はマルタ島の恐竜密輸業に加担している。

ルイス=ドジスン …… キャンベル=スコット(61歳)
 ジュラシック・パークを建造したインジェン社のライバル企業「バイオシン社」のCEO。遺伝学者。
 表向きは慈善事業家としてドロミーティ山脈に設立した巨大施設「バイオシン・サンクチュアリ」にて、世界各地から集められた恐竜達を保護している。しかし、その裏ではサントスをはじめとする密売人と内通し、恐竜の横流しを行っていた。また、絶滅種の DNAを組み込んだ巨大イナゴを用いたバイオハザードを引き起こして、世界の食糧事情を一変させようと目論む。
 シリーズ第1作『ジュラシック・パーク』では同役をキャメロン=ソア(当時33歳)が演じており、インジェン社が開発した恐竜の胚を盗み出そうと画策し、ジュラシック・パークのプログラマーだったネドリーと結託し、ネドリーにシェービングクリームのスプレー缶に偽装した胚の保管装置を手渡していた。

ラムゼイ=コール …… ママドゥ=アティエ(34歳)
 バイオシン社の広報部長。CEOのドジスンの企みをマルコムから知らされ、アラン達に協力する。

ヘンリー=ウー …… ブラッドリー・ダリル=ウォン(61歳)
 かつてジュラシック・パークとジュラシック・ワールドの研究チームのリーダーを務めていた遺伝学者。
 現在はバイオシン社に雇われており、ドジスンの計画する巨大イナゴのバイオハザードに与するが、良心の呵責に耐え兼ね贖罪の手段を探す。

ソヨナ=サントス …… ディーチェン=ラックマン(40歳)
 マルタ島を拠点に恐竜密売の闇市場を牛耳る女。
 バイオシン社と内通しており、ドジスンからの依頼でデラコート達にメイジーとベータを拉致させ、報酬としてアトロキラプトル4頭を受け取る。

レイン=デラコート …… スコット=ヘイズ(39歳)
 サントスの部下で、現在指名手配中の恐竜密猟者。サントスの指示を受けベータとメイジーを拉致する。

フランクリン=ウェブ …… ジャスティス=スミス(26歳)
 前作『炎の王国』にも登場した DPGの ITエンジニア。
 無茶を繰り返すようになったリーダーのクレアに耐え兼ね、かねてより勧誘されていた CIAの野生生物管理部門に転職した。メイジーとベータが拉致された際は、デラコートの素性やマルタ島での恐竜闇取引の情報を提供し、オーウェン達をサポートした。

ジア=ロドリゲス …… ダニエラ=ピネダ(35歳)
 前作『炎の王国』にも登場した DPGの獣医師。
 フランクリンと同じく、無茶を繰り返すようになったリーダーのクレアには難色を示している。

バリー=センベーヌ …… オマール=シー(44歳)
 オーウェンの友人。シリーズ第4作『ジュラシック・ワールド』では、オーウェンと共にヴェロキラプトルの訓練を担当していた。
 現在はかつてのパーク職員達と共に CIA捜査官となり、マルタ島でサントスをはじめとする恐竜密売人を追っている。

ワイアット=ハントリー …… クリストファー=ポラーハ(45歳)
 CIA捜査官でバリーの部下。スパイとして恐竜密売市場に潜入し、デラコートの右腕として働く。

シャーロット=ロックウッド …… エルヴァ=トリル(30歳)
 大富豪ベンジャミン=ロックウッドの娘で、メイジーのオリジナルとされる人物。故人。
 生前は遺伝学者で、エリーやヘンリーも一目置く程の秀才だった。


登場するおもな恐竜・古生物
ヴェロキラプトル(体長3.5m、体重100kg)
ブルー
 シリーズ第4作『ジュラシック・ワールド』から登場する、オーウェンによって飼育・訓練されてきた雌のヴェロキラプトル。前作『炎の王国』の事件後、シエラネバダ山脈の山中を縄張りとして暮らしてきた。
 オオトカゲの DNAを組み込まれた影響で、単為生殖によりベータを産んだ。ベータを拉致され動揺する。
ベータ
 ブルーが単為生殖により生んだ雌の子。命名者はメイジー。
 メイジーと共に生物学上の貴重なサンプルとしてバイオシン社に捕らえられてしまう。

ティラノサウルス・レックス(体長11m、体重6トン)
 シリーズ第1・4・5作に登場した個体。
 前作『炎の王国』の事件後、捕らえられドロミーティ山脈のバイオシン・サンクチュアリへと移送された。

ギガノトサウルス(体長13m、体重7トン)
 史上最大の肉食恐竜。バイオシン・サンクチュアリ内における頂点捕食者に君臨している。

アトロキラプトル(体長2m、体重230kg)
 ヴェロキラプトルより大型で獰猛な肉食恐竜。作中には4頭登場する。
 バイオシン社により、レーザーポインターで示した標的を殺すまで追い続けるよう調教されている。メイジーとベータを拉致した報酬としてサントスに引き渡され、彼女の指示によりオーウェン達に襲い掛かる。

ピロラプトル(体長2.4m、体重180kg)
 ヴェロキラプトルやアトロキラプトルと近縁の肉食恐竜だが、全身が赤い羽毛で覆われている。
 バイオシン・サンクチュアリ内の凍ったダム湖に不時着したオーウェンとケイラの前に現れ、水中を水鳥のように泳ぐトリッキーな攻撃で2人に襲い掛かる。

ディロフォサウルス(体長1.5m)
 シリーズ第4・5作にもカメオ出演していたが、生きた姿としてはシリーズ第1作から29年ぶりに再登場する。
 バイオシン・サンクチュアリに不時着したクレアを襲う。

アロサウルス(体長9m、体重2トン)
 本作の冒頭でトレーラーハウスを襲う光景がニュース映像として流れる他、マルタ島の闇市場で成体と幼体が捕らえられていた。幼体は他の肉食恐竜の幼体と、闘犬のように戦わされている。成体は闇市場から逃げ出して密売人やマルタ島民を襲った。

カルノタウルス(体長9m、体重2トン)
 マルタ島の闇市場で、左の角が欠けた成体と幼体が捕らえられている。
 闇市場から逃げ出して成体は密売人やマルタ島民を襲い、幼体はデラコートの片腕に噛み付いた。

バリオニクス(体長9m、体重2トン)
 マルタ島の闇市場で左腕が義手になった幼体が捕らえられている。

コンプソグナトゥス(体長70~140cm)
 人間の幼児を襲ったり逆にチーターに襲われる光景が冒頭のニュース映像で流れる。
 マルタ島の闇市場では食用として捕らえられ、丸焼きなどが売られていた。

モロス(体長2.5m、体重80kg)
 本作では実際よりもかなり小型の恐竜として登場している。
 冒頭ではナイルチドリのようにギガノトサウルスの周りをうろつき、バイオシン・サンクチュアリではトビネズミを餌に飼育されている。

ナーストケラトプス(体長4.5m、体重1.5トン)
 植物食恐竜。ネバダ州の牧場で、密売目的で違法に飼育・繁殖させられていた現場をクレア達が摘発する。その中で衰弱した幼体が彼女たちに保護され、取り返そうと追いかけてきた牧場主たちを成体が撃退した。その後、保護された幼体たちはバイオシン・サンクチュアリへ移送された。

アパトサウルス(体長25m、体重30トン)
 シエラネバダ山脈の麓の町中に2頭が出没したが、メイジーの助言を受けた作業員たちに誘導され森へと帰った。

パラサウロロフス(体長10m、体重4トン)
 シエラネバダ山脈の麓で暮らしている群れが、オーウェン達に保護された。

ドレッドノータス(体長26m、体重35トン)
 バイオシン・サンクチュアリで飼育されている恐竜の中では最大の個体。

テリジノサウルス(体長10m、体重5トン)
 植物食恐竜だが、サイのように視力が弱いため非常に縄張り意識が強く、気性が荒い恐竜として描かれている。
 独特の鳴き声を反響定位として利用している。野球バット大の長く鋭い爪が特徴。

ミクロケラトゥス(体長2m)
 マルタ島の闇市場で捕らえられている他、生前のシャーロットのビデオ日記にも登場している。

ディメトロドン(体長1.8~4.5m、体重30~250kg)
 バイオシン・サンクチュアリの地下にある琥珀採掘抗跡に住み着いている。迷い込んで来たアラン、エリー、メイジーに襲い掛かる。

ケツァルコアトルス(翼長11m、体重250kg)
 史上最大の翼竜。冒頭につがいが大都市の高層ビルに営巣していた他、バイオシン・サンクチュアリでも飼育されている。

ディモルフォドン(翼長1.4m)
 小型であるためペット目当ての密売が横行しており、マルタ島の闇市場では籠に入れて売られている。

モササウルス(体長15m)
 ベーリング海でカニ漁の漁船を襲うなど、世界各地の海で問題を引き起こしている。

リストロサウルス(体長90~120cm)
 マルタ島の闇市場で捕らえられている。意外と気性が荒く、デラコートの片腕に噛み付いた。


おもなスタッフ
監督 …… コリン=トレヴォロウ(45歳)
脚本 …… コリン=トレヴォロウ、エミリー=カーマイケル(40歳)
音楽 …… マイケル=ジアッチーノ(54歳)
撮影 …… ジョン=シュワルツマン(61歳)
編集 …… マーク=サンガー(48歳)


≪世界サイズのふろしきをたたむのは難しいね!! 本文マダヨ~≫

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