長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

祝・ガメラ復活しそう企画 便利屋怪獣ギャオス 嗚呼、傷だらけの人生!!

2022年12月01日 23時36分22秒 | 特撮あたり
ギャオスとは
 ギャオスは、大映の怪獣映画『ガメラ』シリーズに登場する怪獣。コウモリのような羽根を持つ飛行生物である。
 直立歩行が可能で、前足が翼となっている。翼はコウモリのように数本の指骨に支えられ、その間を皮膜がつないだ構造に見えるが、コウモリにおける親指1本が遊離している位置には自由に動かせる指が3本ほど存在する。頭部は上方からの視点だと歪んだ六角形に見え、鼻先や後頭部両側後方が尖っているため、形状は「初心者マーク」と同じである。尾はあまり長くないが、先端が魚類の尾鰭に近い扇状になって縦向きに付いている。
 ガメラシリーズでは、ガメラ以外で唯一、昭和と平成の時代をまたがって映画作品に登場している怪獣であり、その他のマンガやゲームなどの媒体作品でも、ガメラの敵役怪獣の中で出演回数が最多におよぶ。

超音波怪獣ギャオス
 身長65m、翼長172m、体重25t。飛行速度マッハ3.5。出身地は日本列島の中部大断層地帯(フォッサマグナ)の地下空洞。
 ガメラシリーズ第3作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)に登場する。
 尾は短く、ジェット戦闘機の垂直尾翼に似ている。口からは何でも切断する300万サイクルの衝撃波「超音波メス」を発射するが、これは音叉の役割をする二股の頸椎から発振するため、太く短い首は正面でほぼ完全に固定された構造となっており、普通の動物のように振り向くことができない。あらゆる動物を食する肉食性であり、特に人間の血肉を好む。
 頭部からは光のシグナルを発するうえ、空腹時は頭部の後ろが緑に、体調が危機に陥ると頭頂部が赤に発光する。夜行性で、太陽光線の紫外線を浴びると体細胞が破壊される弱点を持つが、再生能力は非常に高く、切断・欠損した部位も短時間で再生できる。光の他に炎も苦手とされるが、胸から放出する黄色い消火液で鎮火できる。血液はくすんだ色合いのピンク。
 名称は、英一少年の「ギャオーと鳴くからギャオスだ」という発言から命名された。
 主に空を活動域にしており、地上では活動が緩慢である。一方、ガメラは水中や地上では自由に動けるものの、空ではギャオスの機動力におよばないという風に、両者の活動の差がその戦いに影響を与える。英一少年を襲おうとした際にガメラと対決し、物語の後半では名古屋に飛来して名古屋城や新幹線などを襲う。
 フォッサマグナ付近の地下空洞で眠っていたらしく、富士山の突然の爆発によって復活すると、そこへ飛来したヘリコプターを地下空洞から発射した超音波メスで切断し、その搭乗員を捕食する。やがて夜間に空洞から外へ飛来し、人間や家畜を襲う。ガメラとの初戦では強力な超音波メスを放って近寄らせなかった。
 造形物は翼を広げたタイプと翼を折りたたんだタイプの着ぐるみ2体に加え、操演モデルと実物大の足の指が作成された。そのうち、翼を広げたタイプの着ぐるみは後に宇宙ギャオスに流用された。

宇宙ギャオス
 『ガメラ対大悪獣ギロン』(1969年)に登場。身体が銀色の光沢を持つこと、血液が濃い紫色をしていることを除けば、過去のギャオスと変わらない。この種は複数登場した。
 反地球の第10惑星テラは原子力を利用して文明を発達させていたものの、原子炉の爆発の影響によって宇宙ギャオスが生まれ、次々にテラの住人を襲って捕食するようになった。
 ギロンとの戦闘では得意の超音波メスを放つものの、ギロンの包丁のような頭部で反射され、右足を切断されてしまう。今度は空中から背後に迫るが、ギロンの背面斬りで左翼を切断されて墜落したうえに右翼も切断され、身動きが取れなくなったところで首を切断され、ついに死亡する。肉は酷く臭いらしく、ギロンは殺した個体を切り刻んで食べようとしたが、あまりの臭さに食べるのをあきらめている。
 過去のギャオスと違い昼間に活動し、血の色が紫色。ガメラとは戦っていない。
 着ぐるみは『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)の翼を広げたタイプを流用。着ぐるみのほか、ギニョールや操演モデルも使用されている。

『宇宙怪獣ガメラ』(1980年)のギャオス
 宇宙海賊船ザノン号にコントロールされ、名古屋を襲撃する。登場シーンはすべて『ガメラ対ギャオス』(1967年)の映像の流用である。

平成ガメラ3部作のギャオス
超遺伝子獣ギャオス
 身長85m、翼長185m、体重75t。飛行速度マッハ4.2以上。
 『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)に登場。劇中では当初「鳥」と呼ばれていたが、後にガメラの背中にあった古代の石板に記された碑文を解読した結果、「ギャオス」と呼称されるようになった。
 平成ガメラ3部作では、はるか太古に滅亡した超古代文明による遺伝子工学の産物であり、目的は不明であるがのちの『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』で「増えすぎた人口を減らすため」という説が提唱されていることからも、一貫して「餌は人間、敵はガメラ」という設定である。人間だけでなくブタやイヌなども食することが示唆されているほか、共食いすら行う。昭和版のギャオスは首を動かせなかったが、今作でのギャオスは問題なく動かせるうえ、超音波メスも首を動かしながら発射できる。体細胞のうち染色体は大きいものが1対のみで、無駄な塩基配列がない完全な構造となっている。また、卵生で孵化直後は全員雌であるが、さまざまな生物の遺伝子情報が入っているため、性転換できる。これにより単独で産卵、繁殖することが可能である。孵化直後から体長は数メートルとすでに人間よりも大きいうえに成長速度が非常に速く、翼長については約15メートルから数日後には46メートルの亜成体となり、さらに185メートルの成体に成長する。体格も昭和版よりも格段に巨大化しているうえ、成長に伴って凶暴性も増していく傾向があり、食糧不足になると同種間での共食いも始め、弱った仲間や死んだ仲間に平然と食らいつく。
 昭和版に比べると体色は赤く、頭はやや平たく幅広くなり、眼は目立たないものの蛇や猫のような瞳孔で、より動物的なプロポーションとなり、地上での活動も自由自在でガメラとも格闘戦で互角に渡り合っている。昭和版では動かなかった首も、何ら問題なく動かせる。地上を走り、翼を振り回して殴りかかり、低く飛び上がって足の爪で攻撃することもでき、設定ではこの爪から神経毒を分泌する。また、昭和版と同様に光が苦手で活動は主に夜間が中心となるが、夕暮れ時に飛び回るシーンがあることから、昭和版よりは幾分耐性があるらしく、細胞の破壊が起こる様子はないようである。強力かつ迅速な自己進化能力を持っており、成体になると眼の辺りに無数の水晶体で作られた遮光膜が発生し、苦手だった太陽光にも耐性ができ、光の反射によって目が赤く光って見えるようになる。終盤におけるガメラとの戦いでは、昼間にもかかわらず普通に活動できている。しかし防御力はあまり高くなく、成体になってもガメラの火球攻撃に耐えることはできない。敵からの攻撃に対しては、空中を飛翔して回避することが主である。飛行速度は昭和版と同じくガメラを上回り、可変翼戦闘機のように「空中で羽根を折り畳み、空気抵抗を減らす」ことによって、その速度をさらに増すことも可能である。捕食する際には相手を手掴みして口へ放り込む昭和版と違い、直接口で食らいついて貪る。体液は宇宙ギャオスのような紫色であり、これは後に登場するギャオス・ハイパーも同様である。超音波メスは、音波を収束させて放つビームのような描写がなされており、その影響か劇中ではケージを切断する際に収束した音波がケージを振動させていた他、近くにあった吊り橋のワイヤーロープの留め具が外れたり、腕時計の文字盤のガラスが割れたりする描写があった。
 当初は長崎県五島列島に出現し、嵐の夜に姫神島の小さな集落を壊滅させた。この時点での体長は数メートルで、3体が確認されている(姫神島の洞窟でも、仲間に食害された死骸が2体発見されている)。
 スーツアクターは、ギャオスの体格の細さから、女性の亀山ゆうみが起用された。
 造形物は着ぐるみがアクション用とアップ用の2体作られ、前者は『3』のギャオス・ハイパー爆破シーンに流用された(頭部のみ現存)。そのほか、ギニョールや操演モデルなどが製作された。
 なお、ギャオスのデザインには西洋のドラゴンや中国の龍のイメージが投影されている。

ギャオス・ハイパー
 体長88m、翼長190m、体重78t。
 『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』(1999年)に登場。
 前作『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)のレギオン戦でガメラが大量の「マナ」を消費した影響により、世界中にある耐久卵が一斉に孵化したことが示唆されている。『大怪獣空中決戦』のギャオスに比べて体格はよりシャープかつ動物的なものとなり、体色も黒っぽくなっている。両翼の上部には新たに肘が形成されており、被膜を支える指のうち2本が肘の先から生えているほか、翼の皮膜のない3本の指の1本が親指のように生えている。また、飛行能力のみならず繁殖力も大幅に増大しているほか、爪に猛毒を持つ。
 物語の冒頭で、東南アジアにて幼体の死骸が確認できるほか、メキシコにおいても成体の目撃が報告される。日本には渋谷近辺に『大怪獣空中決戦』のギャオスと同じサイズにまで成長した個体が2頭出現するが、1頭は画面登場の時点でガメラのプラズマ火球によって墜落したうえ、全身に大火傷を負って眼球が飛び出すなどの深刻なダメージを受けた状態であり、墜落した後に着陸してきたガメラにとどめを刺された。もう1頭はガメラと渋谷にて交戦し、プラズマ火球の連射を回避しながら超音波メスを放つなどの高い戦闘力で渋谷が壊滅するほどの激戦を展開する。なお、世界中に大量発生したその他のギャオスもガメラによって倒されていたことが、劇中の台詞で示唆されている。
 ラストではギャオス・ハイパーの大群が日本に向かって飛来するシーンが描かれる。
 造形物は着ぐるみではなく、すべてギニョールや操演モデル。幼体の死骸は実物大の造形物である。

『小さき勇者たち ガメラ』(2006年)のギャオス
 体高30m、翼長90m、体重500t。
 1973年にガメラと戦った怪獣。成体4頭の群れで出現し、集団で襲いかかってガメラを苦しめたが、ガメラの最後の手段である自爆に巻き込まれて全滅した。その後、ギャオスの再発生は確認されておらず、具体的な出自などについてもまったく触れられていない。
 設定上では歴代個体と同様、強靱な生命力を持っている。本作で後に登場する怪獣ジーダスは、ギャオスの死骸を食べた爬虫類が変異したものと設定されており、人肉を好む性質など共通点も多い。
 造形物は『ガメラ3』と同様にぬいぐるみはなく、すべてギニョールや操演モデルである。また全身モデルはなく CGで表現されている。体色と翼の構造はギャオス・ハイパーとほぼ同じだが、被膜のない指が2本になっている。

『GAMERA』(2015年)のギャオス
 ガメラ生誕50周年記念でKADOKAWA制作、石井克人監督の CG映像作品『GAMERA』(2015年10月公開)に登場。本作でも平成3部作のように群れで東京を襲撃し、逃げ惑う人々を追い回しては捕食する姿や、共食いする姿が描かれている。超音波メスを発射している個体も背景に複数いた。
 3DCG で表現されてより細身になり、背中に1列の背鰭が骨状に隆起して並ぶほか、歴代ギャオスとの最大の違いはそのドラゴンを思わせる姿(尾が細長く頭部や舌も鳥類よりはヘビなどの爬虫類に近いうえ、口先などが幾分丸みを帯びている)にある。ガメラに倒される際には、ギャオス・ハイパーのように眼球が飛び出る描写がある。

ギャオスの亜種
イリス
『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』に登場。作中ではギャオスの変異体と見なされているがその経緯は一切不明で、その容姿はギャオスとは程遠い。


≪その、うす汚れ切った生きざま……愛さずにはいられない!! 本文マダナノヨ≫

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6 コメント

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Unknown (mobilis-in-mobili)
2022-12-04 21:58:47
実は私はギャオスのプラモデルを作ったことがあります。羽根の部分が蝶番になっていてこの組み立てが難しかった記憶があります。
初代ギャオス(展望台レストランの回転で飛び立つタイミングを逃してガメラに足をカジられた奴)は『これ絶対飛ばんやろ❗』と子供心に思うほど羽根が小さかったです(笑)。
しかし、その特異な形状からしても、ガメラシリーズを通じての悪役No.1の座は間違いありませんね。

あ、そもそもガメラからしてジェット噴射で空を飛ぶンですから科学的考証に深入りすべきじゃありませんね(笑)。

あと、余談ですがイリスの話では、まだあまり有名ではなかった仲間由紀恵が無残に血を抜かれて殺されるのが印象に残ってます。
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好きですね、昭和ギャオス! (そうだい)
2022-12-05 22:45:34
 なつかしいですね、プラモデルのギャオス! 確か、私の物ではありませんが近所のお兄さんが持っていたような気がします。小学生男子の感性にグイグイ訴えてくる単純明快なワルいデザインが最高ですよね。
 映画の怪獣同士のアクションのテンポも、『ガメラ対ギャオス』は随一だと思います。『対バルゴン』の重ったるさもいいのですが、陸空海陸とフィールドを変えるスタッフ側のサービス精神には敬服の一言ですね。悪役怪獣を陰で操る宇宙人みたいな、まだるっこしい要素が入らないガチンコバトルなのも、いいんだなぁ~。

 仲間さんも無惨でしたが、昭和の宇宙ギャオスもたいがい無惨ですよね……彼と、なぜか銀色っぽい再塗装という点で彼と共通項のある『ウルトラマンA』のムルチ2代目のおふたかたには、ぜひとも令和復活のお慈悲をめぐんでいただきたいですね。
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Unknown (mobilis-in-mobili)
2022-12-07 16:14:44
関係ない話をしつこく書いて申し訳ありませんが、ムルチと聞いて思いついたことをメモさせていただきます。ドラゴリーに引き裂かれたムルチ、実に無惨でした。
ブロ友のkiyasumeさんによれば初代ムルチの話は宇宙人の本質に迫るイイ話だったそうですが、私はすっかりストーリーは忘れてしまいました。ただムルチの形状だけはハッキリと覚えています。『あっ‼️塩ジャケが歩いてる❗(笑)』・・・もしかしたらウルトラマンAのスタッフは高橋由一の『鮭』の絵を知っていて、それでドラゴリーにムルチを引き裂かせたのでは❔
由一→ユイチ→ユルチ→ムルチ(やっぱり無理がありますねー‼️)。
どーもすいません😢⤵️⤵️
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異様に魂のこもった名作 (そうだい)
2022-12-07 21:27:27
 いえいえ、何度もこのような廃墟同然のブログに足をお運びいただき、まことにありがとうございます!! いつも想像力を引き出してくださるコメントに、感謝の言葉もありません。

 怪獣ムルチのイメージ元が魚、特にあの口の形から鮭であることに疑う余地はないのですが、私はもう、手も足もないはずの魚類をあのような二足歩行の立派な怪獣にまで何の無理もなく進化させてしまうデザインの天才的仕事にうならざるをえません。でもこれ、番組プロデューサーの熊谷健氏のデザインなんですって! 片手間だったのか……

 でも、「ムルチ」という名前の由来は確かにはっきりしないんですよね。「カムルチー」という実在の魚から、という説もあるのですが、似ても似つかない姿の魚なのであやしいです。やっぱりご明察の通り、ほんとに高橋由一が関係あるのでしょうか!?
 ともかく、「シャケラ」とか「サーモンガー」とかいう名前にならなくてよかったと思います。
 ギャオスとは逆で、なんとも得体のしれない不気味で正体不明な語感が素晴らしいですよね、「ムルチ」って。しかも微妙においしそうだし。

 初代ムルチの話は、宇宙人の本質にも迫るし、それと同じかそれ以上に「日本人」の本質に迫る名作でもあるのではないかと思います。放送から半世紀が経ちますが、私たちの品性があの物語を昔話と笑い飛ばせるくらいに成熟している……と願いたいです。
 そんなの、子ども向け番組でやらないでくださいよ~! でも、そこが昭和特撮の味わいなんですよね。
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旧大映ガメラこそ東宝ゴジラを駆逐した世紀大スター (大石良雄 (本名))
2023-07-11 22:54:57
拝啓 よろしくお願いいたします。
*「原水爆の怨念を背負って出現したゴジラ 更に一時代経過後に同条件で出現したガメラ その差とは?」
ご承知の通り「ガメラとゴジラとでは同じ怨念を背負いこむ存在として物凄い差」がありますね。ゴジラは常に「暗く怖く重い」がガメラは「何故か明るく決して怖く無く軽そうで重い=質量感を感ずる」と。此処に旧大映陣の「同じ設定環境では到底ゴジラには勝てないしかし、違う視点から勝負すれば必ず勝てる」と。おそらくは「P田中友幸&円谷の戦時中体験と唯一の被爆国を意識強調路線」では無く、「明らかに戦後の日本の姿を念頭に、違った意味での被爆国意識」を持つ象徴がガメラでは無かったでしょうか。
*「そのひとつの体現が、音楽=テーマ&BGMでした」
初代モノクロームガメラは「山内正さん=伊福部昭先生の門下生」起用しある意味「ゴジラに近い雰囲気を現出」させ、ある程度以上成功させた訳ですがやはりどうしても伊福部先生のゴジラ節は強烈過ぎましたね。此処で大映は第二作目「ガメラVSバルゴンで、初めて大人向けの恋愛を絡ませた素晴らしいストーリーを敢行し、音楽も木下忠司先生と言う約100年の生涯のうち、たった一作の怪獣映画の音楽」を創造した事は特筆に値いたします。

かつて「水戸黄門BGMの不思議な音を出す楽器=後にシンセとの証言を得た」際に、木下先生にガメバル音楽についてもご教示頂きましたが、驚くのはそのメロディー、サウンド、オーケストレーションは全く異質斬新!! 伊福部節とはまるで異なる大人の音楽でしたね。まず「弦ストリングスを徹底して少なくし、ブラス&ウインド更に当時の幼稚な電子オルガンに「通称エコー=おそらくはSPリバーヴ&テープエコー」をかけて強調し「Eギターの特殊奏法を用いてのエフェクト音の多用」等、ゴジラ節では得られなかった別の凄さを演出し大成功しましたね。
その「いかにも日本人的な、感傷的で、何故かちょっと地方の田舎の、、沈む夕日を視るごとくの懐かしささえ覚えるそのおセンチなメロディー」こそ木下節の真骨頂であります。更に衝撃的でしたのが「伊福部昭先生に勝るとも劣らない大傑作曲=防衛隊マーチ」です!! 主にバックミラー作戦で使用された素晴らしいマーチは「弦を用いず徹底したフルバンドスタイルにウィンドを加え、何故か強烈なノスタルジックな印象を心に残す大変なマーチの名曲でしたね。やはり木下忠司先生は天才でありこの点では伊福部昭先生にも肉薄していたのです。

*「この後大映は路線を変更し、かなり子供を意識した内容となりますが、此処に物凄いモンスターを創造した=ギャオスです!!」
このギャオスこそ実に考え抜かれたキャラクター=モンスターであり、東宝を完全に駆逐さえしていましたね。この作より音楽は「東映と縁の深い=菊池俊輔さん」がBGMを担当されますが、実は菊池俊輔さんは「音大卒業後に木下忠司先生に弟子入り師事された方であり、子弟の関係」でした。この菊池さんの凄い処は「喜怒哀楽、恐怖、異形、感情等を音楽=メロディで表現できた凄い方」で、どうしてもこの当時の他の作曲家さん=一例では渡辺宙明みちあき氏等は、同じ表現でも「音響 サウンドで勝負」されましたが、これはおそらく「師事された師匠の影響=宙明氏は団伊玖磨氏に師事」されたのでそうなったと推測されます。おそらく菊池俊輔さんは木下忠司先生よりその「メロディー第一=これは自分も直接木下先生よりご教示を受けましたし、更に後年=山下毅雄先生にも同じご教示を受けました」事から、何よりメロを大切にされましたね。
菊池さんのガメラBGMは一見一聴「軽く聴こえる」が決してそうでは無く、師匠木下先生のDNAを引き継いだガメラ節を構築されました。

*「史上稀なる大傑作!! ガメラマーチの素晴らしさ」
実は、ガメラ代一作では「別のガメラマーチが存在し、小町昭さん作編曲のマーチ」があり、これはこれで大変良い曲で好きでしたね。マーチとは言えバッキングがマーチでは無く少々スタイルの古いラテンティックですがメロは良かった!!
しかし此処で「広瀬健次郎先生」と言う凄い大家を起用し歴史に残る大傑作の名曲ガメラマーチを再構築した大映陣の英断は素晴らしかった。この広瀬健次郎先生は主に「アニメの海底少年マリン、オバQ音頭、夜のヒットスタジオ等の作曲やアレンジ」を担当され、その才能実力は素晴らしい方でした。
この「ガメラマーチ」は、まず弦を使わず徹底したブラス&ウィンドを用い、やはり当時の電子オルガンに通称エコーのエフェクトを多用しティンパニーも絡ませ8/6拍子のノリに乗ったウキウキする様なリズムに乗せて、ガメラの凄さのみを強調したそのシンプルで覚えやすいメロは涙が出る程素晴らしい名曲でしたね!! これによりガメラは完全にゴジラ同様の徹底した地位と安定基盤を獲得、ゴジラと完全に対等の一に並びました。
正直この後ガメラは「旧大映の凋落、予算の大削減、特撮スタッフの枯渇」等により残念な状態となり、自分としては泣いて悔しがった記憶があります。

*「遂に復活した新生徳間大映の平成ガメラ!! これには本当に驚き感激しました!!」
音楽の「大谷幸さん」はクラシックにも強くよくよく聴きますと「他者の様な数多くの楽器を和声ハーモニーで豪華に鳴らすというよりは、ひとつの楽器例えば弦をモノフォニック単音で鳴らし、しかもそのメロディーは伊福部節、木下節、菊池節共全然全く異なり、つまり「メロディーとして聴かせると言うよりも、極力印象を薄くしながらも何故か画面=シーンに釘付けにしてしまう実に印象的な、不思議なメロディーを多用したBGM」は素晴らしい作品でしたね。改めて大谷幸さんの才能実力に感服した素晴らしい大傑作三部作=平成ガメラシリーズ」でした。

*「極めて残念なカドカワ大映のガメラ 小さな勇者たち」
企画アイディアは良いのですが、何分「ガメラを最初の1から始めた」事で、かなり不満の残る傑作とは言い難い出来栄えでした。事に残念なのが「音楽」で、「上野洋子」では力不足でした。
この上野洋子はどちらかと言えば「SF作品よりもホームドラマ、自然環境物作品、ジュニア向け作品」等で力を発揮できるはず=だからガメラに起用されたとしたら、完全にカドカワの人選ミスでした。

*「脅威!! 史上初 あの不滅の伊福部ゴジラ節を初めて駆逐した大天才 大島ミチル様!!!! 」
かつてゴジラ節は様々な作曲家によりクリエイトされましたがあの「大家の某氏=あえて名を伏せますが巨匠」がなんと「作曲しながら伊福部節が頭をよぎる」とさえ!! この難攻不落の伊福部音楽を史上只一人完全に駆逐したのが「自分が心底死ぬ程惚れ抜いている大島ミチル様」でした。
ミチル様を起用した東宝首脳陣の作曲家を視る眼は確かであり、ミチル様は多数のゴジラ映画を担当され「何とロシアのオケを使い=ロシアのオケは大味で音ばかりデカい」のを逆手に取り、その「たまらなくカッコ良い物凄いド迫力あるメロディーに才気溢れるスーパーデコレーションのオーケストレーションは椅子から転げ落ちる程驚き感激しましたね。
さすがは世界一の鋼鉄の女ミチル様!! 日本の女は世界一だと改めて再認識させられました。

映像を活かすも殺すも実は音楽次第 此処を解らぬ製作陣は退場せよ。もっともっと日本の素晴らしい才気溢れる女性作曲家を多用しTPOを理解して欲しい。ミチル様の他にも「城之内ミサ様、中村幸代様」等など、メロディオーケストレーションの大家は存在しも必ずや結果を出せる女性達=クラシックの基礎を完璧に学び、ポップス現代音楽にも精通し「結果を出せる女性達」 我々はまず過去の作品から学び直し、意外にも足元にこそ本当の大天才が存在する事を知り「今後予定されている新作ガメラ」に心より期待いたしたいと願います。
サイトヘッド様には今回こうした場を設けて頂きました事に心より感謝いたします! ! 敬具
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特撮の歴史に伊福部包囲網あり!? (そうだい)
2023-07-15 19:33:37
大石様、ふたたびの濃密で刺激的なコメントを、どうもありがとうございます!!

ガメラシリーズの音楽にも、実に魅力的な歴史ありなんですね~!! 申し訳ございません、実は当ブログでも、『対バルゴン』と『対ギャオス』各作のレビューをせんと別記事を立ち上げてはいるのですが、『ラドン』と同様に Wikipedia資料をまとめただけで塩漬けになっているのです……これらも、いつか必ず更新する所存です! こんなんばっかりであいすみません!!

私は、生まれて最初に観た怪獣映画が1984年版『ゴジラ』だったので、「正義のヒーロー怪獣」という一時期のゴジラやシリーズ全般でのガメラのあり方には多少の抵抗のある人間であります。
しかし! そんな私でも、『対ギャオス』は日本特撮映画史上でも屈指の傑作だと思いますし、例外的に子どもとの絡みの無い『対バルゴン』は、本当に大好きな作品なのです。この2作は心の底から大好きです! ガメラとバルゴンの実に動物的な闘いは、『ゴジラの逆襲』の見事な返歌になっていると思います。あえて大阪城を舞台にしているのも、ほんとに挑戦的ですね!!

音楽、いいですよね~。『対バルゴン』の実に情緒的なメロディは、『水戸黄門』で行く千万もの悪人の生きざま散りざまを彩ってきた木下サウンドの真骨頂ですよね。バルゴンじゃなくて、戦争の狂気のある意味で被害者となった小野寺が、音楽でクローズアップされているような気がします。
『対ギャオス』の山内サウンドは、空飛ぶ2大怪獣のスピーディな闘いに、あえて伊福部サウンドの流れをくむティンパニが印象的な重厚なテンポを加えることで、それ以降のガメラシリーズには無くなってしまった巨大な質量同士の衝突感をおさえていたような気がします。これは、後年『仮面ライダー』に代表される無数の等身大ヒーロー作品を手がけてきた菊池サウンドで上書きされた『宇宙怪獣ガメラ』での対ギャオス戦と比較すると非常に分かりやすいですよね。

今回のあなたさまのコメントを機に、有名な日本特撮映画の音楽担当者をざっと見直してみたのですが、1954年の『ゴジラ』から95年の『ゴジラVSデストロイア』にいたるまで30本前後手がけてきた伊福部先生は別格としても、その重厚なサウンドを取り囲むように、敬称略ですが佐藤勝、真鍋理一郎、宮内国郎、山内正、菊池俊輔らと綺羅星のごとき才能が特撮映画に挑戦していたことに驚きました、特撮映画の音楽を手がけることは、これすなはち伊福部サウンドに挑戦すること! まさに、天正年間後期の織田信長や、秦の始皇帝に戦いを挑むかのごとき勇気のいる仕事だったのでしょう。敬礼!!

現役で活躍されている作曲家さんで言うと、今のところは服部隆之さんが頭ひとつ抜き出ていますが、あなたさまのおっしゃる通り、大島ミチル先生にも、また挑戦していただきたい気もします。今年公開予定の『ゴジラ・マイナスワン』の音楽は、大河ドラマ『龍馬伝』や実写版『るろうに剣心』などの佐藤直紀さんが担当するかと思われますが、これにも期待したいところです。
平成ガメラシリーズの単純明快な大谷サウンドは大好きだったのですが、その一方でゴジラシリーズに殴り込みをかけたはずの「白目ゴジラ」で有名な『大怪獣総攻撃』では、どこか無理をして重厚さをとり繕っているような印象があって、逆にインパクトが希薄になる残念さがあったと思います。『小さき勇者』は……語るべきことはありませんね。新怪獣ジーダスは好きだったんですけども。

いや~、好きなことを語ると字数がいくらあっても足りませんね!!
『初代ラドン』、『バルゴン』、『昭和ギャオス』……完成させなきゃいけない記事がいっぱ~い! 誠に申し訳ございません!!
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