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長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

ついにやった! ひとり「世にも奇妙な物語」  ~辻村深月 『きのうの影踏み』~

2015年12月03日 23時57分40秒 | すきな小説
辻村 深月 『きのうの影踏み』(2015年9月 角川書店)

 怪談には死者の「思い」が込められている。人の喪失に寄り添ってきた文学に、辻村深月が心血を注ぎ込んだ。失った「大切な誰か」を思い出して読んでほしいと願いながら。
 辻村深月の新境地! 絆を感じる傑作短編集

 「本作は全くのフィクションではなく、現実と地続きの物語です。『身近な誰かの血の通った物語』ということを大切にして書きました。」


収録作品
『十円参り』(2009年8月)
『手紙の主』(2013年10月)
『丘の上』(2012年10月)
『殺したもの』(2013年4月)
『スイッチ』(2014年4月)
『私の町の占い師』(2014年7月)
『やみあかご』(2013年4月)
『だまだまマーク』(2015年4月)
『マルとバツ』(2013年4月)
『ナマハゲと私』(2014年11月)
『タイムリミット』(2007年1月)
『噂地図』(2015年9月 書き下ろし)
『七つのカップ』(2013年11月)




《やっぱり怪談短編集はおもしろいねぇ。本文マダヨ》
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あえて考えてみよう!  辻村深月『ハケンアニメ!』で描かれなかったことって、なぁに?

2015年07月09日 22時19分42秒 | すきな小説
辻村 深月 『ハケンアニメ!』(2012年10月~14年8月連載 マガジンハウス)

2013年のおもな春アニメ
※新規に放送されたアニメの作品総数は53作だった(再放送作品を除く)
※特に記載のない作品は1クール放送

3月放送開始
『 RDG レッドデータガール』
 ※荻原規子による児童文学小説(2008~12年)を原作とするアニメ、角川文庫創刊65周年記念作品
『サイクロプス少女さいぷ~』
 ※寅ヤスによる4コママンガ作品(2010~14年)を原作とする1本約2分間のショートアニメ
『デート・ア・ライブ』(ソフト商品各巻平均売り上げ約8千本、2013年春アニメ第9位)
 ※橘公司によるライトノベル(2011年~)を原作とする

4月放送開始
『あいうら』
 ※茶麻による4コママンガ作品(2011~14年)を原作とする1本約5分間のショートアニメ
『惡の華』
 ※押見修造によるマンガ作品(2009~14年)を原作とするアニメ
『アラタカンガタリ 革神語』
 ※渡瀬悠宇によるマンガ作品(2008年~)を原作とするアニメ
『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE 2000%』(ソフト商品各巻平均売り上げ約3万3千本、2013年春アニメ第3位、2013年年間第4位)
 ※ブロッコリー発売の女性向け恋愛アドベンチャーゲーム(2010年~)を原作とするアニメの第2シリーズ
『宇宙戦艦ヤマト2199』(ソフト商品各巻平均売り上げ約3万9千本、2013年春アニメ第2位、2013年年間第3位)
 ※1974~75年放送の SFアニメシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク作品、2クール放送
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』(ソフト商品各巻平均売り上げ約1万5千本、2013年春アニメ第5位)
 ※伏見つかさによるライトノベル(2008~13年)を原作とするアニメの第2シリーズ
『革命機ヴァルヴレイヴ』(ソフト商品各巻平均売り上げ約5千本、2013年春アニメ第10位)
 ※サンライズ制作による SFロボットアニメ
『ガッ活! 第2シリーズ』
 ※Flash アニメ作家のラレコによる1本約5分間のショートアニメ、2クール放送
『カーニヴァル』
 ※御巫桃也によるマンガ作品(2007年~)を原作とするアニメ
『ガラスの仮面ですが』
 ※美内すずえのマンガ作品『ガラスの仮面』(1976年~)を原作とする1本約4分間のショートアニメ
『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』
 ※東宝プロデュース、動画工房制作による SFロボットアニメ、2クール放送
『黒魔女さんが通る!! 第2シリーズ』
 ※石崎洋司の児童文学小説(2005年~)を原作とする1本約7分間のショートアニメ
『血液型くん!』
 ※Real Crazy Man による4コママンガ作品(2010年~)を原作とする1本約2分間のショートアニメ
『恋旅 True Tours Nanto 』
 ※富山県南砺市プロデュース、P.A.WORKS 制作による1本約5分間の地域限定配信ショートアニメ
『ジュエルペット・ハッピネス』
 ※サンリオ原作による魔法少女ものアニメ『ジュエルペット』シリーズ第5作、4クール放送
『進撃の巨人』(2013年春および2013年の年間を通しての覇権アニメ、ソフト商品各巻平均売り上げ約5万1千本)
 ※諌山創によるマンガ作品(2009年~)を原作とするアニメ、2クール放送
『翠星のガルガンティア』(ソフト商品各巻平均売り上げ約9千本、2013年春アニメ第8位)
 ※Production I.G 制作による SFロボットアニメ
『スパロウズホテル』
 ※山東ユカによる4コママンガ作品(2005年~)を原作とする1本約5分間のショートアニメ
『絶対防衛レヴィアタン』
 ※GREE 配信のソーシャルゲーム(2013年~)を原作とするアニメ
『探検ドリランド 1000年の真宝』
 ※GREE 配信のソーシャルゲーム(2011年~)を原作とするアニメの第2シリーズ、4クール放送
『断裁分離のクライムエッジ』
 ※緋鍵龍彦によるマンガ作品(2009年~)を原作とするアニメ
『団地ともお』
 ※小田扉によるマンガ作品(2003年~)を原作とするアニメ、8クール放送
『ダンボール戦機ウォーズ』
 ※レベルファイブ発売の男児向けロールプレイングゲーム(2011~13年)を原作とするアニメの第3シリーズ、3クール放送
『ぢべたぐらし あひるの生活』
 ※マツダユカによる4コママンガ作品(2011年~)を原作とする1本約3分間のショートアニメ、4クール放送
『 DD(デザイン・デフォルメーション)北斗の拳』
 ※カジオによるマンガ作品(2010年~)を原作とするアニメ
『鉄人28号ガオ!』
 ※横山光輝によるマンガ作品(1956~66年)を原作とする1本約10分間のショートアニメ、2015年7月現在も放送中
『デビルサバイバー2 the ANIMATION 』
 ※アトラス発売のシミュレーションRPG ゲーム(2011~15年)を原作とするアニメ
『デュエル・マスターズ ビクトリーV3』
 ※タカラトミー発売のトレーディングカードゲーム(2002年~)を原作とする『デュエル・マスターズ』シリーズ第10作、4クール放送
『とある科学の超電磁砲S』(ソフト商品各巻平均売り上げ約1万6千本、2013年春アニメ第4位、2013年年間第10位)
 ※鎌池和馬によるライトノベル(2007年~)を原作とするアニメの第2シリーズ、2クール放送
『トレインヒーロー』
 ※タカラトミー発売の男児向けロボット玩具を原作とするアニメ、2クール放送
『波打際のむろみさん』
 ※名島啓二によるマンガ作品(2009~14年)を原作とする1本約15分間のショートアニメ
『はいたい七葉 第2シリーズ』
 ※パッショーネ制作による1本約5分間の沖縄県ローカル放送ショートアニメの第2シリーズ
『這いよれ! ニャル子さんW』
 ※逢空万太によるライトノベル(2009~14年)を原作とするアニメの第4シリーズ
『はたらく魔王さま!』(ソフト商品各巻平均売り上げ約1万1千本、2013年春アニメ第6位)
 ※和ヶ原聡司によるライトノベル(2011年~)を原作とするアニメ
『ハヤテのごとく! Cuties 』
 ※畑健二郎によるマンガ作品(2004年~)を原作とするアニメの第4シリーズ
『百花繚乱 サムライブライド』
 ※すずきあきらによるライトノベル(2009年~)を原作とするアニメの第2シリーズ
『フォトカノ』
 ※角川ゲームス発売の恋愛シミュレーションゲーム(2012年~)を原作とするアニメ
『プリティーリズム・レインボーライブ』
 ※タカラトミー発売の女児向けアーケードゲーム(2010~14年)を原作とするアニメの第3シリーズ、4クール放送
『変態王子と笑わない猫。』
 ※さがら総によるライトノベル(2010年~)を原作とするアニメ
『宮河家の空腹』
 ※美水かがみによる4コママンガ作品(2008~13年)を原作とする1本約5分間のショートアニメ
『ムシブギョー』
 ※福田宏によるマンガ作品(2009年~)を原作とするアニメ、2クール放送
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(ソフト商品各巻平均売り上げ約9千本、2013年春アニメ第7位)
 ※渡航によるライトノベル(2011年~)を原作とするアニメ
『ゆゆ式』
 ※三上小又による4コママンガ作品(2008年~)を原作とするアニメ
『よんでますよ、アザゼルさん。Z 』
 ※久保保久によるマンガ作品(2007年~)を原作とする1本約15分間のショートアニメの第2シリーズ
『 LINE TOWN 』
 ※ソーシャルネットワーキングサービス「LINE」のスタンプキャラクターを主人公とするコメディアニメ、4クール放送

5月放送開始
『イナズマイレブンGO ギャラクシー』
 ※レベルファイブ発売の男児向け育成ロールプレイングゲーム(2011~13年)を原作とするアニメの第3シリーズ、4クール放送
『踊り子クリノッペ』
 ※GREE 配信の育成シミュレーションゲーム(2007年~)を原作とする1本約5分間のショートアニメ


TV アニメ『輪(まわ)るピングドラム』(2011年7~12月放送 監督&シリーズ構成&脚本・幾原邦彦)

映画『ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー…ですか!?』(2010年10月公開 監督・松本理恵)


≪2022年の実写映画化についての記事は、こちら!
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かぎりなく天国に近い地獄のメルヘン  ~辻村深月『盲目的な恋と友情』~

2014年07月20日 23時25分35秒 | すきな小説
辻村深月 『盲目的な恋と友情』(2014年5月 新潮社)


《単行本帯より》

女の美醜は 女が決める。

肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされた、ふたりの若い女。

これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への……

一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。

恋にからめとられる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。

暗く深い、静かで透明な果てまで、堕ちていきたかった。

そう、私だけのあなたと、二人だけで……


醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書き下ろし長編。




《さぁ、完成はいつになるかナ~!? 本文マダヨです》
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これはすごい……20年くらい、このニュースを待ってました

2014年05月27日 23時04分40秒 | すきな小説
『夜の寝覚』欠巻部の古筆切を発見 平安の長編
 (読売オンライン 2014年5月27日付け記事より)

 平安時代後期(11世紀後半?)の長編王朝文学『夜の寝覚(よるのねざめ)』の、失われた最終第四部(末尾欠巻部)の一部を写した、南北朝時代(14世紀中~後期)の古筆切(こひつぎれ 古代・中世の優れた書を書写した断簡)が京都府京都市で発見され、東京都日野市の私立実践女子大学が購入した。鑑定した国文学者の横井孝・同大教授(65歳)によると、末尾欠巻部と特定できる古筆切が発見されたのは今回が初めて。同じ部分の写本ではないかと推測されていた既存の古筆切9点とも類似するため、合わせて約2000字分の本文を復元できる可能性が出てきた。

 『夜の寝覚』は、貴族の女性「寝覚の上」の恋と波乱の生涯をたどる。作者は『更級日記』で名高い菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ 1008~59年?)とも言われる。内容的に4部構成とみられるが、末尾などの2部を欠いたまま転写されて後世に伝わり、本文の完全復元が課題となってきた。

 今回の古筆切は縦16.9センチメートル、横14.8センチメートルの高級紙に約190字が書かれ、桐箱や鑑定書には、「後光厳院(1338~74年 北朝第4代天皇)」の筆と記されている。書き始めには、「しらざりし やまぢの月を ひとりみて よになき身とや 思ひいづらん」の歌があり、散逸した物語の歌も収録した『風葉和歌集』(1271年)などに登場する寝覚の上が詠んだ歌とほぼ一致した。
 続く本文で、寝覚の上は登場人物「女三宮(おんなさんのみや)」の人柄を語っており、両者の関係も新たに判明した。さらに、紙のしみの位置が、末尾欠巻部の可能性が指摘されつつも確証のなかった既存の9点の古筆切と似ているという。このため横井教授は、「同じ冊子にとじられていた可能性が高く、失われた本文を計10枚分復活させることになる。」と話している。



 うをを!! これは早く読みたいです!!

 『夜の寝覚』はもう、私が中学生くらいのころ、最初にそのタイトルを知った時点でビビビッと魂を奪われ、それ以来ず~っと好きで好きでしょうがない作品なんです。なんか好き! とにかく超好き!! 私が「無人島に持って行きたい1冊」と問われたのならば、間違いなくここ20年間は、そしておそらくはこれからもオールタイム1位になり続けているはずの作品。それが、『夜の寝覚』!!

 なんか……その存在のすべてが女性なんですよね。勝手に私が思い描いているタイプの女性。いや、主人公がタイプとかいう単純な話なんじゃなくて、作品世界全体がタイプなんです。作者が好き、ということなのだろうか……いや、それだけでもない。現代に残る古典文学作品としての目立たなさもタイプなんです。ほんとに大好き。

 またのんびりと読み返してみたいな~。
 おそらく、これは私の「15連勤」貫徹を応援するための、天からのご褒美なのであろう……と稀有壮大な勘違いをしつつ、今夜もさっさと寝て明日にそなえたいと思います。


 は~、明日もなにごとも障らずに、嵐の中を疾走していけますように……愛に満ちた職場だよぉ、ホント。
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これから読もうと思ってんだけどさぁ10  ~前勉強をつらつら~

2014年03月20日 23時14分23秒 | すきな小説
『矛盾都市 TOKYO 』

 『矛盾都市 TOKYO 』(ゼノンシティとうきょう)は、小説家・川上稔の「都市シリーズ」の第7作。川上と、イラストレイターのさとやすによる共著である。
 異世界の日本の首都・東京を舞台に描くイラストノベルで、文章を川上稔が、イラストをさとやすが担当している。
 メディアワークスの隔月刊ライトノベル雑誌『電撃 hp 』(2007年に休刊)で、2001年2月~03年6月に全10回連載された。すでに1999年9月から同誌で連載されていた「都市シリーズ」第6作『創雅都市 S.F 』と交互に掲載される形式となった。
 「主人公の回想」という形式で、1ページ毎に短編を繋げていく形式をとっている。主人公は「信頼できない語り手」であり、作中で書かれていることが全て真実とは限らないという可能性も、作者は連載当初から示唆している。川上の手掛けたゲーム版『ソウ楽都市 OSAKA 』の内容とほぼ同じ時期の東京が描かれており、また、小説版『ソウ楽都市 OSAKA 』の主要登場人物も一部登場している。
 川上とさとやすの所属するゲーム制作会社「 TENKY(テンキー)」のホームページ内の「テンキーストア」で販売されている単行本には、書き下ろしの最終回「第12層」が追加されている。

 本作は、川上稔が中学2年生の終わりから高校1年生の時期にかけて(1989~90年)書きためた生涯初の創作ショートショート集35編が原型となっている。
 また、川上は大学1年生の時期(1993年)に、「本作の登場人物たちが神田の時館で時間が止められる計画を阻止する」というストーリーの、本作の続編ともいえる『長編小説版 矛盾都市 TOKYO 』(原稿用紙350枚ほど 未発表)を書き上げており、この『長編版 TOKYO 』が、自分自身に「小説家として生きていけるか」を問いかけるはじまりになったという。2004年の時点で、川上はこの原型をもとにして『長編版 TOKYO 』を改めて完成させる実力は、自分にはまだないと語っている。


あらすじ
 何もかもが完全にして不完全である、それゆえに矛盾都市(ゼノンシティ)と呼ばれる街、東京。
 東西に分裂した日本の首都・東京の総長連合で副総長を務める「僕」は、ある事件を封印するために自身の記憶を封印することにした。
 しかし「僕」は記憶を忘れるために、一つ一つの記憶を断片的に思い出していくこととなる。
 それは、1997年の2月から1999年の2月までの2年間の記憶。「僕」が「君」や仲間達と一緒にいた日々の記憶。
 楽しいことも大切なことも全て思い出し、そして「僕」は全てを忘れていく……その後に「僕」の中に残っているものは、果たして何なのだろうか?


矛盾都市(Zenon City)東京とは……
 都市世界における日本の首都・東京のこと。
 「矛盾力」という力によって、都市内ではあらゆることが起こりえる。住人の一部は矛盾力を利用し、「記動力」という能力を用いることができる。
 第二次世界大戦時の「東京大空白襲」によって、都の東部が地下約3キロメートルまで大陥没し、国立から三鷹までの間に「東京大断層」と呼ばれる底の存在していない深い断層がある。東部の陥没した地下区域を「地下東京」、その上空に新たに建造された地上区域を「地上東京」と呼ぶ。東京大断層の上空には、東部の地上東京と西部をむすぶ高架式の国道20号線と国営鉄道中央線、私鉄京王線が走っている。
 東京大断層の中でも、調布地区のみは大空白襲時の日本軍の超大型対空重騎「報奏華」の自爆が引き起こした重力暴走によって孤立した状態で残されており、当時の帝国陸軍飛行場は現在も都営の大空港として運営されている。

 矛盾都市・東京は、記憶の断片の集合により成立している都市である。すべての存在は「誰かが覚えていること」により立証される。この都市においては、「絶対にありえない」ということが存在しない。
 東京は、1999年8月に大きな危機を迎えた。日本政府と「惑星」達が協力して「世紀末破滅」を回避するため、破滅の原因となる全ての「不幸」を東京に凝縮させたうえで都市内の時間を停止させる計画を実行しようとしたのである。
 これを阻止したのが、彼らを裏切った「お月様」に事態を知らされた、一人の少年である。その少年の手により、東京は時間が3日間分だけ「殴り飛ばされ」、1999年8月7~10日の4日間が繰り返される閉鎖状態となる。これによって、それ以後の東京には、外部からはごく一部の人間しか入れなくなってしまっている。
 この現象の調査の一環として、この少年がそれ以前に何をしていたのかを知るために、この少年が封印していた1997~99年の2年間の記憶が解析されることとなる。その少年こそが、本作品の主人公「僕」であり、本作品はそれらの記憶を記したものである。そのため、本作品で書かれていることの中には、都合のいいように改変されて憶えられている虚偽の記憶も存在している。


主な用語

東京圏総長連合(とうきょうけんそうちょうれんごう)
 学生による自治集団。
 日本国内では学生が大人からほぼ完全に独立しており、「御山」と呼ばれる修練所で修行した学生を中心とする組織が各地域に存在し、各地の学生を統括している。それが「総長連合」であり、幹部陣は全員が大学生以上の学力を持ち、「記動力」を用いることができる。総長を頂点に副総長、2名の副総長補佐、その下に特務隊長がいる。
 1980年代に関西圏と関西圏の総長連合が衝突した「近畿動乱」によって日本は東西に分裂し、1996年末に勃発した「和解動乱」により、両陣営は併合された(小説版『ソウ楽都市 OSAKA 』の内容)。しかし全世界規模広報塔「 BABEL 」を巡り、小競り合いや腕試し程度の東西学生間の争いはいまだに続いている。
 関東地方の各圏総長連合の幹部を養成する御山は、茨城県と栃木県の県境に位置する鷲子(とりのこ)山地に設置されており、通常、幹部志願者の修練は毎年5~9月に実施されている。

ある事件
 「僕」が忘れようとしている事件のこと。
 これによって「先輩」が死に、「君」が害され、東京圏総長連合の面々は分断されることとなった。東西学生間の衝突を利用した大人社会の陰謀によるものらしい。本編内でその全貌が語られることはなく、のちの「都市シリーズ」第8作『電詞都市 DT 』の中で、これと思しき事件が言及されている。

記動力(きどうりょく)
 東京在住者の一部が使える特殊能力。
 矛盾力を起源とし、各個人が独自の能力を有している。それを修行や自己分析によって見出すことによって発揮され、主にそれは「御山」での修行で覚醒する。東京圏総長連合の幹部陣は全員この能力を有している。

BABEL(バベル)
 西のソウ楽都市・大阪に1998年に建造された、全高約3キロメートルの「超巨大広報塔」。
 第二次世界大戦以来、衛星通信が使用不能となっているこの世界では長距離通信が不可能になっているが、BABEL は全世界に情報を送ることができる。そのために BABELが完成すれば自動的に大阪が世界の中心都市となることから、日本国内では学生達がこれを巡って闘争を始め、大人社会も暗躍している。
 大阪では BABELの初使用権をかけて、学生間でのマスコミ情報戦争が開催されている(ゲーム版『ソウ楽都市 OSAKA 』の内容)。1999年3月から本格運転が開始される予定。


主な登場人物
 この都市では「本名を知ること」に特別な意味があるため、全ての登場人物は本名が明かされていない。


 本作品の主人公。東京圏総長連合副総長を務める少年。1981年生まれ。
 「ある事件」の全てを知る唯一の人物であり、それを完全に封印するために記憶を封印する。「君」とは、私立西秋川高等学校に入学する前からの付き合いであり、「先輩」に影響されて彼女と共に東京圏総長連合に入った。「先輩」が腹を割って話せる人間であり、また彼を止められる唯一の人間とされている。また、中学生時代には陸上部に在籍しており、そこで「君」やゲーム版『ソウ楽都市 OSAKA 』の主人公と面識を持った。
 記動力は「思い信じて打撃すれば、エネルギー保存の法則に従い、いかなるものも打撃力を受ける」で、「僕」が強い意思のもとに放った拳は、有形無形、感情や味などといったものまであらゆる全ての存在を殴り倒すことができる。「先輩」や「小坊主」と種族が近い。
 第二次世界大戦時の東京大空襲を免れた都西部(西多摩地方)の八王子地域に在住しており、通学する私立西秋川高等学校もその付近にある。
 ゲーム版『ソウ楽都市 OSAKA 』のヒロインである岸田葉漁(はぜり)とは中学校時代の同級生で(葉漁はのちに大阪に転校)、岸田の実家が経営しているラーメン屋には「先輩」とともによく通う。


 中学生時代からの「僕」の親友。東京圏総長連合第一特務隊長を務める少女。親は薬局を経営している。12月19日生まれ。
 「先輩」を支えたい、という一念から「僕」と共に東京圏総長連合に入った。アグレッシヴなところがあり、毎回「僕」に痛烈なツッコミを入れる。「ある事件」によって害され、それを助けるために「僕」は事件に関わった。
 記動力は「言葉のやる気は熱量になる」で、「君」が言葉にして放った応援は熱量となり、応援をかけられた相手の力を大幅に強める。

先輩
 東京圏総長連合総長を務める青年で、「僕」の指導者。
 「不滅型吸血系」の異族で八重歯が長く、常に目を伏せている。極度の心配性で常に「心配だ。」と呟き、予測できるあらゆる事態を危惧している。記動力との兼ね合いで常に日本刀を携行している。「ある事件」では大人社会の陰謀にかかり、「君」を害して消息不明となる。
 この人物はあまりに「僕」と正反対であることから、「僕」が記憶内で創造した架空の人物である可能性がある。
 記動力は「思い信じて斬撃すれば、いかなるものも分詞結合を砕かれて断ち割られる」で、「先輩」が強い意思のもとに起こした斬撃は、あらゆるものを切断することができる。

雪の字
 「僕」の1学年後輩の部下。東京圏総長連合副総長補佐を務める少女。1982年生まれ。
 胸を病んでいるがそれを隠しており、その事実を知っているのは「僕」のみ。現・日本軍の要職に就いている「大佐」の娘。「僕」とは高校入試の時に出会い、御山の副総長の座をめぐる最終試験で対戦、持病の発作を起こして敗退した。「僕」の補佐役だが、仲が悪く連携することはほとんどない。
 記動力は「女が持つものは何でも武器になる」で、「雪の字」が所持したものはどんなものでも刀としての武器の特性を帯びる。

令嬢
 「僕」の同級生。「神罰都市・横浜」から転校し、東京圏総長連合に所属した少女。
 大きな丸眼鏡をかけて小柄な体格で、真面目なようでいてすれっからいところがある。
 記動力は「共鳴するものの性質は等しい」で、「令嬢」が音を鳴らした対象とそれに接続した物体を自在に変質させることができる。

大将
 「僕」の同僚。関西からの転校生でありながら東京総長連合に所属する青年。平常は標準語で話しているが、大阪弁の他に名古屋弁も話すことができるらしい。
 金髪リーゼントでオープンカーを乗り回す。女性主体の東京圏総長連合で「僕」が同じ目線で話せる数少ない相手であり、またリーダーシップもあるため、「先輩」や「僕」の不在時には「大将」が総長連合を指揮する。
 記動力は「加速は無限に重ねることができる」で、記動力発動中の「大将」が乗る車両は、6速まで上げたギアをいきなり1速まで下げることで「6速分の速度を持つ1速」になり、この要領で無限に速度を上げることができる。

博士
 「僕」の悪友で、「僕」の通学する私立西秋川高等学校の科学部部長。
 「僕」とは出会うたびに罵詈雑言を交わす間柄で、ヒヒのような顔をしている。毎回トンデモ理論の発明品を造っては騒動を起こし、「僕」に殴り倒される。「僕」が記憶を封印するために「感情喪失機構」を造った。総長連合ではないためか、記動力は登場しない。

先生
 「僕」や「令嬢」の通学する私立西秋川高等学校のクラスの担任。1974年生まれ。
 天然ボケで幼げな性格だが、「僕」に大人や教師として認められる人徳を持つ。同僚の教員陣からはアイドル扱いされている。「小坊主」に好かれている。

小坊主
 「僕」の1学年後輩。東京圏総長連合副総長補佐を務める少年。1982年生まれ。
 生意気な性格で「僕」に反目するが、実力で大きく劣るために毎回負けている。「雪の字」の同僚だが未熟であるため、実質的には「雪の字」が「僕」を補佐している。
 記動力は「僕」のものに近く、拳ではなく「蹴り」によってその能力を発揮する。

大太郎(だいたろう)
 「僕」や「君」が世話している、幼い白狐型の聖獣。
 大人になると変化などの様々な能力を得るが、幼体では人語を話す以外の能力は持たない。ちなみに、現在発することができる言葉は「エサ」のみ。

ゲストキャラクター
西風
 東京の矛盾力によって擬人化した西風。ちょっと迂闊な性格。

北風
 東京の矛盾力によって擬人化した北風。優等生だが未熟なところも見られる。

守護役
 「僕」が「御山」で修行していた頃に来ていた関西圏の VIPで、古都圏守護役。その正体は、小説版『ソウ楽都市 OSAKA 』に登場する結城夕樹。ちなみに陽坂勝意らしき人物も登場している。

教官
 「僕」が修行していた「御山」の教官。本人は蹴り技が主体だが、拳が主体である「僕」のスタイルを懐かしんでいた。その正体は、小説版『ソウ楽都市 OSAKA 』に登場する中村久秀。ちなみに池丸孝弘らしき人物も登場している(葵聖と学生結婚をした模様)。

ノーバディ
 東京の矛盾力によって擬人化した「何もない所」。

ケリー=バンサム男爵
 東京の矛盾力によって擬人化した彗星。かつて「毒や不幸を呼ぶ」として誰からも忌み嫌われていた頃、唯一人見てくれた東京・神田の時計台「時館」の時詠式自動人形に恩を感じており、機能停止される直前の彼女に見せるために1999年の惑星十字列をもたらす。
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