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長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

これから読もうと思ってんだけどさぁ9  ~前勉強をつらつら~

2014年02月11日 23時47分11秒 | すきな小説
『創雅都市 S.F 』

 『創雅都市 S.F(そうがとしサンフランシスコ)』は、小説家・川上稔の「都市シリーズ」の第6作。川上と、イラストレイターのさとやすによる共著である。
 異世界の大都市サンフランシスコを舞台に描くイラストノベルで、文章を川上稔が、イラストをさとやすが担当している。
 メディアワークスのライトノベル雑誌『電撃 hp 』(季刊から隔月刊になり、2007年に休刊)で、1999年9月~2002年8月に全9回連載された。2001年2月から隔月刊化した『電撃 hp 』では、「都市シリーズ」第7作『矛盾都市 TOKYO 』の連載もスタートし、本作と交互に掲載されることとなる。
 実際には、本作の連載が始まった後に、シリーズ作『閉鎖都市 巴里』が刊行されたが、読者の混乱を避ける意味もあってか、完結が遅れた本作が第6作とされている。
 川上とさとやすの所属するゲーム制作会社「 TENKY(テンキー)」のホームページ内の「テンキーストア」で販売されている単行本には、書き下ろし短編も2話収録されている。

あらすじ
 なにごとも「描き」創られていく都市、サンフランシスコ。この街は、かつて人々が入植する以前から、大神祭(だいしんさい)との戦いが続いていた。
 時は現代、1999年。サンフランシスコ市役所衛生課のエースとして活躍するサラは、ペットの狐鬼ベレッタとともに、自動人形のベンドゥーターと仲良くなったり、風雷神サンダーバードに尻をつつかれてみたりと大騒ぎ!
 そんな人外の者たちの日常の裏側では、次なる大神祭が刻々と近づいており、世界各地ではサンフランシスコ援護の準備が始まっていた。
 世界各国の代表が各種準備を整えてサンフランシスコに集結する。果たして、サラの運命は!?


創雅都市(Image City)サンフランシスコとは……
 サンフランシスコは、アメリカ合衆国西海岸カリフォルニア州の大都市である。
 同じカリフォルニア州の大都市ロサンゼルスと並ぶ西海岸主要都市のひとつで、その名は、紀元前3000年からの先住民族時代を経て、1769年にスペイン帝国の植民地となった時点から世界史に登場する。アメリカ合衆国の領土となったのは1846年からである。
 気候は温暖で自然環境も申し分ないが、サンタクルーズ山脈のふもとに位置するために土地の起伏が激しく、狭い平野部や丘陵地帯の下部に主要機能が集中する原因となっている。
 一部に商業地域が集中している点や、湾の出入り口に位置するために国内と国外の中継地点であるという点が、風水街都・香港やソウ楽都市・大阪と共通している。
 サンフランシスコの名物のひとつは、その土地環境から生まれた世界初のケーブルカーで、1873年に開業した路線はいまだに運行している。

 また、1896年にイギリス帝国から贈られた時詠(ときよみ)式自動人形(ザインフラウ)も、2000年4月に大改修を受けて稼働中である。
 サンフランシスコがかかえる最大の問題は、この都市を気まぐれに襲う大神祭である。地下からドラゴンが復活しようとして発生するこの神祭を、次回はどのように抑えるべきなのか、世界各国が懸念している。

 市街地の南部には、大神祭への対抗策として、地盤を強化する目的でアメリカ合衆国の首都ワシントンDC から送られた世界最大級の大桜がそびえ立っており、その周辺には巨大な溜め池をそなえた森林公園がある。また、サンフランシスコの歴史をおさめる郷土資料館も根本部分にある。
 大桜内の時計台は、台風などの災害時には住民の緊急避難所にもなり、市内放送の臨時中央放送局の役目も果たせる。
 都市の人口はおよそ80万人であるが、純粋な人間の割合は低い。


主な登場人物
サラ
 使堕天使と人間との間に生まれた匪堕天(ディスデモン)の女性。1976年生まれ。金髪碧眼。
 サンフランシスコ市役所衛生課(クリアード)のエースで、狐鬼のベレッタをペットに西へ東へ活躍中。性格は大雑把で適当。酒と飲み会が大好き。
 衛生課で担当している業務は「空を夜から朝に描き変えること」で、仕事には使い捨ての空間固定具(グリッドシーカー)と、日本の IZUMO 社製の珠座神形具(マウスデヴァイス)である「白帝(ハリハクス)」を使用する。
 背中に3枚ずつの羽根のある2枚の翼を持っている。翼の色はやや黒みがかった金色。
 1995年に、出身地である風水街都・香港からサンフランシスコに移住してきた。サンフランシスコ市役所には1998年から勤務している。

ベレッタ
 三尾の狐鬼(スリーテイル)のオス。1995年に生まれた直後からサラのペットとなる。「都市シリーズ」第5作『閉鎖都市 巴里』に登場する同名の狐鬼とはパラレルな存在。本編中では7歳だが、まだ成体にはなっていない(狐鬼の寿命は約20歳)。

シングルホーン
 魔界出身の魔神族(ディスロード)。サンフランシスコ市役所の衛生課課長で、サラの上司。年齢は500歳以上。
 100年前の19世紀末にはすでにサンフランシスコの市政に携わっており、1896年から始まったベンドゥーターの設置にも関わっていた。衛生課の業務全般の他に、常時大神祭対策にも携わっており、大神祭の発生前後には国際規模の人員派遣団の団長も兼任する。

ベンドゥーター
 時詠式自動人形。サンフランシスコの南部にある大桜の幹部分をくりぬいて建造した世界最大級の時計台(ハイパーベン)で、平常時は毎日、正午と15時に300万詞階(オクターブ)を超える時報を唄う。おっとり気質で、サラとはつきあいの長い親友。
 イギリス帝国の首都である架空都市(エアリアルシティ)ロンドンのウェストミンスター宮殿の大時計台「ビッグベン」で時を詠む三姉妹と同型で、その半身は超重琴神形具(ハープデヴァイス)「爪弾女神(リ・アルテミス)」と合体していた。
 他の三姉妹と同じく、ビッグベンが完成した1859年生まれで、もともとはビッグベンの北方を守る目的で製作されたが、組み立てが放棄されていた。その後、1896年にアメリカ合衆国独立120周年を記念してイギリス帝国からサンフランシスコに寄贈され、1902年に組み立てが完成した。
 当初は感情のない中期アイラム式自動人形だったが、2000年4月に感情の豊かなアイレポーク式に完全改修され、「爪弾女神」から分離して活動することも可能になった。
 アイレポーク式になってからは、日本文化趣味に強く傾倒している。時計台への設置当初は裸眼だったが、暗所で歌集を詠むことによって両目の機能が劣化してしまい、現在は大改修後もメガネをかけている。

藤浦 鉄
 人間。機密都市・呉(広島県南西部)の技師で、繰運時計店の28代目店長。1974年生まれ。和服を好み、ふだんは作務衣を着ている。
 曽祖父も、100年前のベンドゥーター設置に関わっていた優秀な技師だった。サンフランシスコには2000年12月から、ベンドゥーターのメンテナンスと技術研究のために留学している。

オババ
 人間。1920年代生まれ。アメリカ先住民族の衣装を常に着ているラテン系女性で、サンフランシスコ在住の先住民族の代表。サンフランシスコ市役所の直下に位置する地下遺跡で発掘作業をしている。必要以上に元気。少なくとも1937年からサンフランシスコに住み続けており、そのころに負傷したサンダーバードを救ったことから、現在にいたるまでサンダーバードに守護されている。日本語の読み書きが堪能。

サンダーバード
 鳥型ドラゴンである神鳥「風雷神」の化身で、本来は全長8メートルを超える巨体だが、ふだんは中型の鳥の姿をしている。かつてはアメリカ先住民族の守護神だったが、現在はオババのペットになっている。オス。人間の言葉の意味を理解することはできる。サラと違って酒を呑む人間が嫌い。本来の姿に戻れば、大神祭を引き起こすドラゴン「大地竜」と互角に闘えるほどの実力を発揮する。

サラの同僚たち
 サラの同期、同年齢の同僚で、主にツッコミやフォロー専門。本名は言及されていないが、作者は便宜的に「義腕子」と「地味子」と呼称している。義腕子は左腕の義腕を密閉防水加工しているらしく、夏には3人でいっしょに海水浴に行くこともある。地味子は人間。
 サンフランシスコ市役所衛生課内では、地味子が事務、義腕子が整備を担当している。義腕子は2002年の大神祭に向けてのベンドゥーター改造チームにも参加していた。

エルフ子
 長寿族の女性で、1900年生まれ。本名は言及されていないが、作者は便宜的に「エルフ子」と呼称している。サラの近所に住む友人。

サラの母親
 サラと同じ匪堕天。1952年生まれ。茶髪碧眼。風水街都・香港の新界地区に住んでいる。夫(サラの父)は1990年代前半に死去している。かつては香港市役所の住民課課長補佐だったが、1997年の香港大崩壊を期に退職し、現在は風水師として活躍しながら新界地区の相談役的存在になっている。

ゲストキャラクター
ベレッタ=マクワイルド
 人間の重騎師。「都市シリーズ」第5作『閉鎖都市 巴里』の主人公ベレッタの「もうひとり」の存在。サンフランシスコの沿岸で自動人形の整備工房を経営していた。1915年生まれ。白髪だが、背筋も伸びて闊達とした老婆。
 1995年6月に、サラに生まれたばかりの狐鬼のベレッタを託し、整備工房を引き払って母親の生まれた国であるフランスに去っていった。

ロゼッタ=バルロワ
 「都市シリーズ」第3作『閉鎖都市 巴里』に登場した、アティゾール式自動人形の重騎師。1915年の製作で、金髪の長髪に碧眼の女性の姿をしている。
 ヨーロッパの重騎師界では知らぬ者がいない伝説的存在で、現在はアメリカ製の専用重騎を所有している。かつてフランス王宮の御用守護騎師だった名門バルロワ家の現当主で、「自由フランス守護騎師」の称号を得ている。フォレット=ミゼールの師匠。
 1995年にサンフランシスコにあるベレッタ=マクワイルドの整備工房でサラと出会ったのち、2002年にも風水街都・香港で再会する。狐鬼のベレッタになつかれている。

マレット=ハルキュリア
 「都市シリーズ」第3作『閉鎖都市 巴里』に登場した、ベレッタ=マクワイルドの親友で、ロゼッタとも親しい。ユダヤ人豪商で、現在はフランス王立歴史学会の OGでもあり、国内外の政財界に相当な発言力とコネクションを持っている。1915年生まれ。白髪で、常に喪服のような黒いワンピースを身にまとっている。未婚。
 実業家としての第一線を退いてからは、ロゼッタとともに世界中を悠々自適に旅している。

奉 鈴(ホウ リン)
 軽度に吸血鬼化している人間。1972年生まれ。「都市シリーズ」第3作『風水街都 香港』に登場した香港商店師団(ホンコンヤード)捜査課巡査長で、2002年現在は新ホンコンヤードの副団長。風水師。ほぼ全身が義体化している。

フェイ=ガーラント
 『風水街都 香港』に登場した、座天使(天使位階第三位)と人間との間に生まれた匪天で、2002年現在は新ホンコンヤード副団長補佐。鈴の恋人。全身を義体化している全方位義体師。新ホンコンヤードでは鈴に代わって外交・現場指揮・コンピュータ作業などをこなす、鈴の参謀的存在。

将軍
 『風水街都 香港』に登場した、ホンコンヤード特殊車両部隊大隊長。第四神罰戦の英雄と呼ばれる。やや腰の曲がった痩せぎみの老人。2002年現在は新ホンコンヤードの衛生課顧問になっている。
 新ホンコンヤードの入口でサラと挨拶を交わすが、用務員だと勘違いされていた。

山城 孔臥(コウガ)
 『風水街都 香港』に登場した、中国系ヴァンパイアと日本人のクォーター。金髪リーゼントにサングラスというチンピラのような風貌をしている。かつてはホンコンヤード捜査課巡査で鈴の直属の部下だったが、新ホンコンヤードに移行して鈴が最前線に立たなくなった後も現役捜査官を続けている。
 サラに尋ねられて新ホンコンヤード本部の場所を教えるが、サラは山城の素性に気づかなかったらしい。

グレアン=クーラーズ
 ゲーム版『奏(騒)楽都市 OSAKA 』のヒロイン。イギリス帝国の首都である架空都市ロンドン出身の猫人。神器(リズム)「凍王」を使用する遠隔神術師(エナジーガンナー)。1980年生まれ。ややウェーブがかった金髪に碧眼の女性。
 2002年現在は新・反戦独立部隊(反独隊)「 NUSIF 」中尉で、祖父も NUSIFの大佐だった。高校生時代に日本に留学していたため、対日交渉に強い。
 2000年4月にイギリスに戻って大改修を受けたベンドゥーターの運搬業務を担当していた。2002年には、サンフランシスコの大神祭対策援護のイギリス代表として活躍する。ギャンブル、特にポーカーが強い。

九条 句刻(くぎり)
 ゲーム版『奏(騒)楽都市 OSAKA 』のヒロイン。奏(騒)楽都市・大阪を擁する大阪圏守護役・九条家の次女。人間。絵を媒介とする言霊師。1984年生まれ。やや痩せ型で黒い長髪の、メガネをかけた少女。
 1999年の矛盾都市・東京の閉鎖後は、日本国臨時内閣対特殊領域部隊「 GASAS 」の臨時要員として活躍している。
 2002年のサンフランシスコ大神祭対策援護の日本代表として渡米するが、それ以前にも、2000年12月にサンフランシスコに留学した藤浦鉄の護衛のために同行していた。

フォレット=ミゼール
 フランスの首都である閉鎖都市パリ出身の重騎師。1976年生まれ。黒髪の長髪で、眼帯をした隻眼の女性。フランス王立騎師団女性隊隊長。代々、パリ守護騎師の家柄である名門ミゼール家の現当主。ロゼッタ=バルロワの教えを受けて重騎師となる。本文中での言及はないが、『閉鎖都市 巴里』に登場したベレッタ=マクワイルドの親友フィリップ=ミゼールの子孫(孫?)にあたる人物であると思われる。
 1988年の東西ドイツ統一紛争に12歳の若さで参戦し、右目を失う。現在はパリ守護騎師として活躍するが、よくロゼッタの世界旅行に護衛という名目で付きあわされている。
 2002年のサンフランシスコ大神祭対策援護のフランス代表として渡米する。

ベルマルク・アインス
 「都市シリーズ」第6作『機甲都市 伯林』に登場した、ベルマルク・フィーアやベルマルク・ナインといった「アイラム式自動人形ベルマルクシリーズ」の最初期型。1832年の製作。長身痩躯で、蒼白な肌をした白髪の初老男性の姿をしている。
 現在のドイツ連邦共和国におけるゲハイムニス機関の大将軍で、機関長グリレ=シュバイツァーの秘書を務めている。2002年のサンフランシスコ大神祭対策援護のドイツ代表として渡米する。
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これから読もうと思ってんだけどさぁ8  ~前勉強をつらつら~

2014年01月09日 09時39分18秒 | すきな小説
『連射王』(2007年 メディアワークス電撃文庫)
 『連射王』(れんしゃおう)は川上稔の小説。上下2巻組み大長編。2007年1月に単行本がメディアワークスより発行された。
 これまで、電撃文庫レーベルを主体にライトノベルを執筆していた川上稔が、初めて執筆した一般向け文芸作品である。
 内容は、シューティングゲームと、それに挑戦するゲーマーを題材とする。川上作品全体に共通して設定されている「都市世界」観における「 FORTH シリーズ」第1作とされているが、2013年時点では、このシリーズを構成する唯一の作品である。

 この作品は、川上のサイト上で Web小説として不定期に連載されていたものを改稿し、大幅に加筆して出版したものである。
 一般向け小説として単行本が刊行されたため、2013年2~3月に刊行された電撃文庫版にも、挿絵イラストは掲載されていない。

あらすじ
 「俺って何かに本気になれるのかな……」
 高校生活の卒業を目前にひかえ、それぞれの道を選択して歩み始める者たち。進学する者、就職する者、現実を見据える者、夢に突き進む者。
 新たな自分の可能性を目指す級友たちの中で、何に対しても本気で向き合えない野球部3年生の高村昴(コウ)は一人、取り残される。
 希望などない自分。目標などない自分。彼は急激に変化していく環境の中で、自身の立ち位置を見失いかけていた。
 そんな中、彼はある一人の人物との出会いから、「自分の本気」を模索する道を歩み始める。あるかどうか分からない、自分の中にいまだ秘めた「資質」。果たして、自分自身の本質はどこにあるのか? それは、射撃ボタンだけが知っている……
 「敢えて問いますが、君は、ゲームが好きですか?」

本作の時代設定について
 この小説の物語が展開する年代についての具体的な言及は作中ではなされないが、登場人物の会話から年号が「平成」であることがわかり、さらに主人公がメガドライブ(セガ)とおぼしき家庭用ゲーム機を自宅に持っていることから、「1989~94年ごろ」であると推定される。
 また、作中に登場するフィクション上の縦スクロール型シューティングゲーム『連射』シリーズ(『連射王』『大連射』『大連射2』『大連射 sp 』)を制作したゲーム会社について、実在した「東亜プラン」(1984~94年)を意識したと思われる描写が多く見られ、本作が東亜プランの倒産を目前にひかえた「1993年」の物語である、と解釈しても矛盾はない。
 ちなみに、『連射王』のモデルは東亜プランの『タツジン』(1988年)、『大連射』のモデルは『達人王』(1992年)、『大連射2』のモデルは『バツグン』(1993年)であると考えられる。


川上作品の「都市世界」とは……
 「都市世界」は、川上稔による各小説シリーズの舞台となっている架空の世界観である。
 時間の順番としては、「 FORTH 」、「 AHEAD 」、「 EDGE 」、「 GENESIS 」、「 OBSTACLE 」と、それらの滅亡と発展を繰り返した先に始まる「 CITY 」というそれぞれの世界を指す。各小説シリーズには、この世界の中の様々な時代・場所で発生した出来事が語られている。

世界の成り立ち
 最初に、「 CITY(都市世界)」の基礎となる「 FORTH 」、「 AHEAD 」、「 EDGE 」、「 GENESIS 」の4時代が存在した。これらはまとめて「基礎世界」と呼ばれ、ひとつの連続した時代でもある。この基礎世界は最終的に滅びることとなり、安定した世界を模索して世界の構築と崩壊が繰り返された「 OBSTACLE 」と呼ばれる時代となる。その末に成立した、これまでで最も滅びに強い世界が、都市世界と呼ばれる「 CITY 」である。

FORTH(前望の時代)
 全体としては概ね平和だった時代。この時代に開発された技術を「旧技術」と呼ぶ。世界が無個性であるがゆえに、個人重視となっていた。簡潔に言えば、今現在の現実世界(『連射王』の舞台となる、平成時代の日本もこれに含まれる)のことを指す。

AHEAD(前進の時代)
 基礎世界が、元々この世界に存在していなかった技術(二足歩行の大型人型機械や「異族」の存在、人体改造技術など)の導入により、変容していった時代。しかしその技術はまだ受容するだけの状態であり、人類が自由に利用できる技術にするための研究が進められた。なお、はるか未来の「 CITY 」時代では、それらの技術の由来は謎とされているが、この「 AHEAD 」時代の最初期にあたる『終わりのクロニクル』シリーズでは、その始まりの歴史が語られている。

EDGE(大先端の時代)
 「 AHEAD 」時代の技術を、人類が自らのものとしていった時代。また、人類は地球を出て外宇宙へと進出している。原因はある星系による内乱といわれているが、詳しくはわかっていない。さらにこの時代では、「 AHEAD 」後期に発見された「流体」と呼ばれる新しい燃料が実用化されている。

GENESIS(大基盤の時代)
 人類が地球に戻ってきた時代。「旧技術」の大半が使用できなくなり、それ以降の時代の技術が主流となり、それらの新技術が完全に人類のものとして定着した。最終的には、「 EDGE 」時代を終える契機となった大戦争が再び勃発し、この世界も滅びることとなる(『境界線上のホライゾン』シリーズがこの時代にあたる)。

OBSTACLE(大障壁時代)
 基礎時代をベースに様々な要素が追加されたり削られたりした世界が、無数の構築と崩壊を繰り返した時代。そのそれぞれの世界が、これまでの基礎時代と同程度の長さの歴史を持っていた。2004年2月から連載が開始されている短編小説シリーズ『 OBSTACLE OVERTURE 』(現在は休載中)がこの時代にあたる。

CITY(都市の時代)
 基礎時代と「 OBSTACLE 」にあった全ての技術が集約された時代。これまで世界自体に組み込まれていた「世界保護」の機能が無く、滅びに世界の住人が対峙できるようになった「自己責任の時代」でもある。そのため、何度も世界滅亡寸前の事態が起きているが、そのたびに住人(一連の「都市シリーズ」作品における主人公たち)の活躍によって滅亡は回避されている。
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これから読もうと思ってんだけどさぁ7  ~前勉強をつらつら~

2013年12月07日 23時30分18秒 | すきな小説
『電詞都市DT』(2002年 メディアワークス電撃文庫)

 『電詞都市DT』(でんしとしデトロイト)は、川上稔の代表作「都市シリーズ」の第8作である。シリーズ第4作『ソウ楽都市 OSAKA 』以来、ふたたび時代設定を執筆当時の現代(2001~02年)に戻している。上下2巻組み大長編。2013年12月時点では、「都市シリーズ」の最終作となる。
 「都市シリーズ」の第6・7作にあたる『創雅都市 S.F 』(1999~2002年)と『矛盾都市 TOKYO 』(2001~05年)は、どちらも川上が所属しているゲーム制作会社「 TENKY 」ホームページ内の「テンキーストア」で単行本が販売されている。
 全ての物質が「電詞」情報として変換され、再構築された都市デトロイトが舞台となっている。文庫版イラストはさとやすが担当した。
 「神の符号(聖書神話)」や「 BABEL 」など、作者の次シリーズ『終わりのクロニクル』(2003~05年)を想起させるキーワードが多いが、作品同士に直接の関連はない。
 
あらすじ
 こことは異なる世界のアメリカ合衆国。
 過去に新型爆弾が暴発した影響で、全ての物質が電詞情報として変換され、再構築された、アメリカ中西部の大都市デトロイト。そこはかつて「大神(おおかみ)」の降誕に失敗し、一度記憶を封じられた経験のある都市でもある。
 日本政府の特殊部隊班長・青江は、重犯罪者アルゴを追い、自らも犯罪者という立場に偽装してデトロイトに潜入する。だがデトロイトは、日本のソウ楽都市・大阪から移送された、神の信託を降ろす預言塔「 BABEL 」の起動や、封じられた記憶の公開を間近に控えていた。青江は、デトロイトを治める「十三亜神」の一人であり、自分の後輩でもあった優緒と再会して捜査を進める。だが、アルゴは亜神の一人エダムザと共謀して王城を占拠。神の符号をもって、かつてデトロイトを壊滅の危機に陥れた大神の降臨を再び引き起こそうとしていた……デトロイトにふたたび、崩壊の危機がおとずれる。


作中での関連年表

1945年 アメリカ合衆国南西部ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所からデトロイトに輸送された、アメリカ軍の「言詞爆弾」の起爆遺伝詞封入中に暴発事故が発生し、デトロイト全域が広大な空白地帯に変質する。
1946年 イギリス・フランス両国の研究チームによる解析の結果、デトロイトの「電詞空間化」が確認される。
1951年 デトロイトの分解作業が開始され、作業をバックアップする永世中立国スイスがデトロイトの統治権を獲得する。
1952年 デトロイト内部の混沌化が確認され、都市機能が完全に放棄される。
1957年 「三賢者」によるデトロイト研究開発が本格的に開始され、「電詞都市」構想が表明される。
1958年 この年から1982年までの研究記録は全て非公開となり、情報の開示は「デトロイト歴5800年(西暦2040年)7月7日15時」まで禁止となる。
1963年 世界各国より、研究者がデトロイトに招集される。
1977年 「第一次神触実験」が失敗し、デトロイトが半壊する。その結果、実験に参加した「三賢者」は消失し、13名の研究関係者が「大神」の遺伝詞に神触してデトロイトの基盤OS に融合。不老不死の「九家十三亜神」となる。
    デトロイトの復興に際し、十三亜神のリーダーであるアカラベス=チューブズリーブを「女王」とした都市王朝が建国される。
1982年 「第二次神触実験」が失敗し、デトロイトが再び半壊する。十三亜神のメンバーであるアーコン=エダムザが重傷を負い、優緒=NATAS は死亡が確認された後に蘇生するが、2名とも記憶を喪失する。この実験が行われた7月7日から「デトロイト歴」が始まる。
1983年 女王アカラベスが2回の神触実験に関する情報の封印を宣言し、開示は「デトロイト歴2000年(西暦2002年)7月7日15時」まで禁止となる。
1985年 女王アカラベス、「大神降誕機構(クエストロン)」の研究記録を喪失技巧(デステクノ)化して封印する。
1999年 同年に「世界破滅に至る不幸」を封印して閉鎖された日本の首都「矛盾都市・東京」の救済策を得るために、ソウ楽都市・大阪からデトロイトに預言塔「 BABEL 」が輸入され、神の信託の抽出がはかられる。


主な登場キャラクター

青江 正造
 ASB 詞族(高速動作耐性)の近接格闘師(クリティカルフォーサー)。召喚紋章は「ブラックベルト」。1976年生まれ。
 「拳聖」小林吽暁(うんぎょう)を師に持つ、元・北関東圏総長で、現・日本国臨時内閣対特殊領域部隊「 GASAS 」第四班班長。同じく吽暁の門弟だったアルゴの弟弟子にあたるが、アルゴが吽暁を殺害して吽暁の養女オルタネートの意識遺伝詞を拉致していったため、アルゴを追跡する。拳位は「拳豪」。
 過去に自身も人を殺め、優緒との不本意な別れを経験したことをいまだに気にかけている。必殺の拳を持つ完全体育会系で、エロい。
 「都市シリーズ」第4作『ソウ楽都市 OSAKA 』に登場した東京圏総長連合第一特務隊長・池丸孝弘によく似た名前の「池丸孝一」という人物が上司である(両者の関係は不明)。
 得意とする技は「疾風雷花拳」。

優緒(ゆうお)=NATAS
 WAV 詞族(長寿族・音声系強化)の少女で、全方位理術師(プログラムマスター)。召喚紋章は「ウィッシュブリンガー」。
 1977年の「第一次神触実験」によって不老不死者となり、電詞都市デトロイトの「九家十三亜神」の第十三亜神となるが、1982年の「第二次神触実験」で、それ以前の過去の記憶を失っている。ややユルい。
 自分の失われた記憶を探るために日本に留学していた時期(1993~95年)に、青江が総長を務めていた北関東圏総長連合で広報長として活躍していたため、青江の後輩にあたる。今も昔も青江のエロの被害者だが、6年前に青江に何も告げずに日本を去ったことを後悔している。
 長寿族特有の歌唱能力の高さから、現在はデトロイトで、音声入力も駆使する理術師として活動する。デトロイド憲兵師団(ヤード)機軍少尉。
 第二次神触実験の直後に、女王アカラベスの養女となって後継者に指名された。
 亜神己動詞(プログラム)は「シャドウキープ(高度結改)」。

オウガ=テライ
 DLL 詞族。召喚紋章は「バランスオブパワー」(フーブリッキーとの合一)。黒人の太り気味な中年男性。
 電詞都市デトロイトの「九家十三亜神」の第五亜神で、デトロイドヤード団長。フーブリッキーの夫。
 亜神己動詞(プログラム)は「スペルブレイカー(高度均転)」(フーブリッキーとの合一)。

フーブリッキー=テライ
 SYS 詞族。召喚紋章は「バランスオブパワー」(オウガとの合一)。金髪碧眼の女性。
 電詞都市デトロイトの「九家十三亜神」の第六亜神で、デトロイドヤード副団長。オウガの妻。
 亜神己動詞(プログラム)は「スペルブレイカー(高度均転)」(オウガとの合一)。

アルゴ=エバークエスト
 ASB 詞族(高速動作耐性)の近接格闘師。召喚紋章は「サドンストライク」(オルタネートとの合一)。アメリカ合衆国出身。
 青江の兄弟子で、最強の拳を持つ男。師匠・小林吽暁の娘オルタネートが侵されている「言障(ワーズワーン)」と呼ばれる不治の病を治すためにデトロイトにやってきた。青江に追跡されている。
 「拳聖」である師匠の吽暁を殺害したため、不老不死の特性を継承している。

オルタネート=小林
 ASB 詞族(高速動作耐性)の一般市民。召喚紋章は「サドンストライク」(アルゴとの合一)。
 青江とアルゴの師匠である「拳聖」小林吽暁の姪にあたるが、1962年8月に遺伝詞研究者の父・小林阿昏(あこん)がデトロイトに旅立ったため、阿昏の弟である吽暁の養女として日本で育った。不治の病「言障」に侵されており、2001年の段階で翌年夏までの命と診断されていた。
 肉体は日本の病院施設で昏睡状態となっているが、アルゴが意識遺伝詞を拉致したため、意志はデトロイトでアルゴと行動を共にしている。デトロイトでのアバターである「旧型・贋作外殻(NPC ボディ)」の等級は「ミカエル(一天)級」で、基本的に3頭身の状態になっている。白いワンピース姿。ノン気系。
 父とともにデトロイトに旅立った双子の姉がいる。

エクセル
 アルゴに従う「四管理長」の一人。SYS 詞族。擬似召喚紋章は「ロータス」。
 長身痩躯の黒人男性で、ベストにシャツ、黒トルーザーという執事のような風貌をしており、戦闘時には両手に白手袋と右目にモノクル(片眼鏡)をかける。「旧型・贋作外殻(NPC ボディ)」の等級は「ラファエル(三天)級」。

ミスト
 アルゴに従う「四管理長」の一人。AVI 詞族。擬似召喚紋章は「プレミア」。長さ1.4メートルの巨大な白い電詞ペンを珠座神形具(マウスデヴァイス)として使用する。
 白いドレスを着た金髪で細身の若い女性。「旧型・贋作外殻」の等級は「ガブリエル(二天)級」。

大刀(ダイカタナ)
 アルゴに従う「四管理長」の一人。ASB 詞族。擬似召喚紋章は「メビウス」。
 長い鉄杖を持ち、帯に脇差をさした青と白の和装の男。「旧型・贋作外殻」の等級は「ウリエル(四天)級」。

メクトン
 アルゴに従う「四管理長」の一人。ASB 詞族。擬似召喚紋章は「トライブス」。
 ブラウンの短髪の巨躯の男で、肩から先を破いた紺色の軍服を着ている。「旧型・贋作外殻」の等級は「ウリエル級」。


電詞都市デトロイトとは……
 アメリカ合衆国中西部ミシガン州の大都市だったが、1945年に発生した「言詞爆弾」の暴発によって電詞的に閉鎖されてしまった。
 住民はデトロイトを放棄したが、研究者たちの努力によって電詞的加圧が100倍に制限され、「大神」を降誕させるための実験都市として再利用された。それ以来、旧来の奏荷(プラス)を象徴する工業都市の要素は撤廃され、外観は RPGゲームのような中世ヨーロッパ風のものへと組み替えられた。そのため、デトロイトは「偽物の都市」とも呼ばれている。
 電詞都市となるにあたり、「広域結改」で包まれた街の周囲は、無限ループする水域で取り囲まれるようになった。
 デトロイト内の時間は通常の100倍の速度で進行しているため、西暦1982年7月7日に開始された「デトロイト歴」は、20年経過した西暦2002年7月7日の時点で「デトロイト歴2000年」を迎えることとなる。
 西暦2002年時点での総人口は4096名で、デトロイトにもともと在住している住民数はそのうちの約2300名である。

九家十三亜神とは……
 1963年に世界各国からデトロイトに招集された遺伝詞研究者の中から選抜された12名のエリートと、1名の民間人が、1977年の「第一次神触実験」の失敗に巻き込まれ、「大神」の遺伝詞に神触してデトロイトの基盤OS に融合した結果、不老不死の「亜神」となったもの。
 電詞都市デトロイト自体が滅亡しない限り消滅しない彼ら彼女らは、デトロイトの実質的な統率者となっており、全員が自らの出自、本名、過去の経歴、デトロイトの成立過程を明らかにしていない。
 「チューブズリーブ家1名(デトロイト王朝王家)」、「テライ家2名(デトロイトヤード団長)」、「リーブ家2名(商業地区管理)」、「ナスラップ家1名(デトロイト大聖堂司祭)」、「ノーミャ家2名(外交担当)」、「ナパツ家1名(デトロイト自治体代表)」、「エダムザ家1名(医療・遊戯地区管理)」、「レイルブ家2名(デトロイト刑務所管理)」、「ナタス家1名(デトロイトヤード団員)」の9家13名で構成される。
 本編の時点では、リーブ家、ノーミャ家、ナパツ家、レイルブ家の7名が、デトロイト歴2000年(西暦2002年)7月7日15時にせまった情報公開に向けての外交交渉のために国外に出張しているため、デトロイト内に残っていた亜神は6名だった。


主な用語

召喚術(ロードエンブレム)
 全てが電詞で構成された「電詞都市」であるデトロイトでは、電詞化の際に強烈な速度加圧がかけられるため、人間が生身の遺伝詞のままで入ると、その急激な熱量消費に耐えられなくなってしまう。
 そのため、入市者は遺伝詞情報を基にして作成された、入市者との遺伝詞共鳴で操作できる「アバター(偽物の身体)」である「通常外殻(つうじょうがいかく)」を使用することになる。
 通常の生活のほとんどは、この通常外殻で活動できるが、あくまでもアバターであるため、本人ほどの能力も精密さもない(0% 召喚)。
 しかし、緊急の事態には本人の意思により、この通常外殻に一時的に入市者の遺伝詞(本人)を召喚することができる。これを「字呼召喚(ダウンロード)」と呼び、字呼召喚は入市者の遺伝詞の50% を召喚することができる。
 更に本人が意思を強く持つと、「大召喚(グランドロード)」と呼ばれる、遺伝詞の100% 召喚が可能になる(完全展開)。
 これらの召喚時に現れる紋章を「召喚紋章」と呼ぶ。

召喚紋章(エンブレムパターン)
 字呼召喚や大召喚の際に、自身の遺伝詞を召喚するための触媒として、デトロイトのOS から与えられた個別の紋章。

奏荷(プラス)
 現実の中で真実を見いだす力。「生」「現実」「奏」。

騒荷(マイナス)
 架空の中で真実を見いだす力。「殺」「架空」「騒」。

言定議状態(ボードモード)
 電詞都市デトロイトはネットワークゲームの世界に非常に似ており、「言定議状態」は、ネットワークゲームにおけるチャットに感覚が近い、会話と思考しか表示されない高速会議状態。
 チャットでは、文字のみで映像がないが、そのために消費する電詞熱量が少なく「軽い」。ただし、アバター(通常外殻)の行動はプログラムで自動化しているため、精密な動作はできない。また、この言定議状態では周囲の情報が映像として理解できないため、周囲の情報を文字情報として出力する必要があり、この作業を「言像更新(オーバーリロード)」と呼ぶ。

言解議状態(サイトモード)
 言解議状態は、ネットワークゲームにおいてゲーム本編をプレイしている状態に近い。
 本人がダイレクトにアバター(通常外殻)を操作することができ、情報も視覚から得るため、こちらの方が現実世界に近い状態だと言える。
 ただし、そのために消費電詞熱量が多く、使用し過ぎるとアバターが疲弊するため、「高機能化(SD)」によって、アバターを二~五頭身にディフォルメして消費電詞熱量を節約することもできる。

詞族
 デトロイトにおける詞族の設定は、もとは「拡張詞族」と呼ばれていた技術で、1960年代以降に本格化した「贋作外殻」の研究の過程で生まれた。これは、アバター(外殻)に特徴と安定性を付与するために拡張された情報で、「種族」のような概念になっている。
 詞族の種類は、「外殻の使用言語」「動作時の代行己動詞(サブプログラム)や保有情報の形式」「外殻と遺伝詞との伝達形式」といった情報をもとにデトロイト入市時に設定され、デトロイト内では本来の本名をもちいずに偽名や詞族名を使用することも許可されている。なお、この偽名・詞族名はデトロイト外の世界でも使用することができるが、その場合はデトロイトとは逆に、遺伝詞(本人)に詞族の特徴がフィードバックされる形になる。
 詞族の数は多量に存在するが、基本的には、文字情報を高速精密に見聞・作成できる「文字情報型」(TXT など)、精細な音声情報を高速で作成・取得できる「音声情報型」(WAV など)、画像把握能力や画像作成・展開能力に優れている「画像情報型」(AVI など)、己動詞(プログラム)の作成や把握・制御に優れている「システム型」( DLL、SYS など)、行動や情報整理・制御などの手法が各自個性的な「機動言語型」(ASB )の5種類に分類される。

言障(ワーズワーン)
 「都市シリーズ」の世界における、原因不明の不治の病。
 人間の遺伝詞を構成する因子を崩壊させ、人間を完全に分解・消滅させてしまう正体不明の病気である。しかし、分解された遺伝詞は地脈に合流し、新たに進化した遺伝詞に再構成されて再び誕生するという、「輪廻転生」と「業」のシステムを解明する手がかりなのではないかとも推測されているが、その真相を証明する手段はない。

ブラックベルト(黒帯槍)
 青江正造の召喚紋章。腕部を中心に遺伝詞召喚し、打撃力の上限設定を解除する。

ウィッシュブリンガー(歌昇師)
 優緒=NATAS の召喚紋章。発声器官を中心に遺伝詞召喚し、発声力の上限設定を解除する。

サドンストライク(突然撃)
 アルゴ=エバークエストとオルタネート=小林の合一召喚紋章。腕部と察知力を中心に遺伝詞召喚し、精密高速打撃の上限設定を解除する。

バランスオブパワー
 テライとフーブリッキーの合一召喚紋章。体力と意識力を中心に遺伝詞召喚し、精密判断動作の上限設定を解除する。

ロータス(蓮華陣)
 アルゴに従う「四管理長」の一人・エクセルの擬似召喚紋章。プログラム制御力を中心に召喚し、プログラム制御力の上限設定を解除する。

プレミア(描写師)
 アルゴに従う「四管理長」の一人・ミストの擬似召喚紋章。技術力を中心に召喚し、描写力の上限設定を解除する。

メビウス(無双輪)
 アルゴに従う「四管理長」の一人・大刀の擬似召喚紋章。重心関係を中心に遺伝詞召喚し、剣線統合力の上限設定を解除する。

トライブス(攻種族)
 アルゴに従う「四管理長」の一人・メクトンの擬似召喚紋章。反射関係を中心に召喚し、接続設定先の反射力の上限設定を解除する。

預言塔「 BABEL 」
 日本のソウ楽都市・大阪で1971年から企画・建造が開始され、1999年に完成した「全世界広告塔」。正式名称は「 BABEL71」。全高3.2キロメートル。
 建造とそのスポンサーは、全面的に日本の「幻実都市・出雲」を拠点とする、「出雲航空電詞研究所」や「 IAI(出雲航空技術研究所)」といった、複数の出雲系列企業が競合しながら請け負っている。
 「大天蓋」の存在によって世界規模での通信網の延伸が遮断されている現在において、ケーブル系が及ばない地域にまで情報を送り、全世界ネットワークの中心基地となると期待されていた。また、第二次世界大戦で使用されたとされる「言詞塔砲」を搭載して、大天蓋を直接粉砕する構想もあったという。
 禁忌である喪失技巧(デステクノ)の復活に利用されたために、完成間もない1999年3月に運用が停止され、廃棄も検討されていたが、同年8月に「世界破滅に至る不幸」を内包して閉鎖された日本の首都「矛盾都市・東京」の救済策を得るため、同年12月に「工期およそ4ヶ月」という異例の速さでデトロイトに移送された。その際に「半トリスタン式地脈接続型」に改造され、地脈から「大神」の遺伝詞にアクセスし、東京解放の預言を得ることを目的として稼動する。
 「都市シリーズ」第4作『ソウ楽都市 OSAKA 』の後日譚にあたるプレイステーション用ゲームソフト版に登場していた。

亜神己動詞(プログラム)
 九家十三亜神がデトロイトOS から与えられている、強力なマスタータイプの己動詞。十三亜神はこれを駆使してデトロイトの諸問題の解決に対処する。本人たち以外が使用する場合には許可設定(プロパティ)が必要となる上に、デトロイトOS からの加圧援助が入らず膨大な電詞熱量を消費するため、基本的に亜神己動詞の他者への貸与は行われない。
 十三亜神のそれぞれに、デトロイトに唯一しか存在しない個別の亜神己動詞が備わっており、全てがデトロイトOS と合致しているため、複製は不可能である。

デトロイト憲兵師団(ヤード)
 1982年に発生した第二次神触実験事故による混乱期に結成された自警組織で、正式名称は「スイス銀行騎師軍情報警備部独立師団デトロイト方面警察担当」。
 結成当初は、団長のオウガと副団長のフーブリッキーが中心となった、デトロイト住民の有志による自衛団だったが、翌83年に女王アカラベスの推挙により、デトロイトの独立電詞警備機構に発展した。
 ヤードは、デトロイト以外の通常世界の情報も電詞空間に変換できる独自の「結改展開システム」を保有しており、これによって世界各国にデトロイトの出張所を設置し、人間や物品のデトロイトや各出張所間での移動を可能にし、かつ、この保安を基本任務としている。
 同時に、まれに遺伝詞乱散を起こしたデータが実在遺伝詞に憑依して発生する「妖物」を鎮圧・封印する作業もおこなう。
 アメリカ合衆国内の各警察機構への技術提供のほか、実務アシストもおこなっており、特に外界のコンピュータから電詞世界にアクセスして行われるサイバー犯罪は、厳正な態度をもって取り締まる。

四管理長(カルテット)
 デトロイトでアルゴに従い行動する、エクセル・ミスト・大刀・メクトンの4人組。全員が騎師(ナイト)級である。
 1963年に、亜神になる以前のアーコン=エダムザが創造し、1982年の第二次神触実験の失敗まで南部地区の遊園地「白城(はくじょう)」を管理していた「旧型・贋作外殻(NPC ボディ)」。第二次神触実験以前の優緒の記憶を甦らせるためにアルゴの決起に加勢する。アルゴがオルタネートの意識遺伝詞を拉致して日本から帰国する以前から、各自「名無し1~4」と匿名設定で潜伏していた。
 四管理長が持つ「擬似召喚紋章」は、自身の遺伝詞ではなく「全高度代行己動詞(サブプログラム)」と呼ばれる超重代行己動詞を召喚する。これは1977年の第一次神触実験以前に開発された試作段階の召喚紋章であるために電詞熱量を激しく消費するが、現在使用されている召喚紋章よりも専門能力に特化している。
 全員、デトロイト内では他人に干渉できない強制縛鎖(セキュリティ)がかけられていたが、アルゴがセキュリティを解除したために活動可能となる。

旧型・贋作外殻(NPC ボディ)
 デトロイトが電詞都市化した1950年代後半に、管理を担当した「三賢者」が初めて開発した「通常外殻」の原型。西暦2000年代では一般には運用されていない。初期からデトロイトOS に連動しており、アーコン=エダムザが1960年代に量産化させてからは、OS の一部として機能するようになった。
 アーコンの開発した贋作外殻は、言障患者用の「一天級」、画像系詞族用の「二天級」、SYS 詞族用の「三天級」、ASB 詞族用の「四天級」の4種類だった。
 贋作外殻の欠点としては電詞熱量を激しく消費することがあげられ、現在の体制となったデトロイトでさらに多量に作成するには高性能すぎたために生産は終了し、それに代わった新型の通常外殻が量産されるようになった。
 現在の通常外殻は共通の記憶を持たずに画一的な個性しか有していないが、贋作外殻は言障患者のアバターになることも考慮されていたために、人間的な思考をする能力も持っている。

位階制度
 人間の、特定の分野に関する能力に位階を付けて管理し、その行動を全世界共通に監視、制御する制度。国際連合決議によって1999年9月に制定された。
 具体的には、「攻撃力」「開発力」「速度」といった実質的な能力の高い人間に正当な階級を付け、その階級ごとに活動範囲などに制限を与える制度である。作中に登場する、小林吽暁の「拳聖」位や、青江正造の「拳豪」位が、これにあたる。
 1999年8月に発生した「矛盾都市・東京」の閉鎖現象は、その利権をめぐって世界各国が、「援助」や「警備」を名目として自国の最強の軍事戦力である「英雄」たちを東京周辺に展開させる事態をまねき、東アジアの沿海地域は一触即発の危険な状態となった。そのため、日本政府の要請を受けた国際連合が、個人戦力の各国による都合の良い利用を避けるために緊急に制定したのが、この位階制度だった。
 ある一定以上の高い能力を持つ個人戦力は国際連合の管理下に入り、その国籍国の「保有兵器」と認定されない限りは、国籍国の権利の行使には利用できない。また、兵器認定されない位階保持者が他国の不利益になる行為をなした場合は、他の位階保持者か、もしくは国際連合軍の討伐の対象となる。
 位階は上位から、「天」1名、「神(竜)」4名、「仙(皇)」8名、「聖(帝)」16名、「豪」32名、「王」定員無制限となっており、全ての位階保持者は国際連合への登録が必須であるほか、「聖」位以上は国籍国の兵器認定の可否を決めなければならない。
 「天」位は特定の武器や武術、技術における各分野の象徴となるべき人物が当てられており、また、「神」「仙」「聖」位の保持者は不老不死の能力を得ていることが前提となる。この不老不死能力は、過酷な修行や戦闘によって遺伝詞が歪んでいくことによって生じるもので、その方法を会得した流派が位階を継承させていくことによって、位階保持者の人数は世界的に安定すると見られている。
 ちなみに、「竜」「皇」「帝」位は、それぞれ不老不死にならずに「神」「仙」「聖」位と同じ能力を有している者に与えられる位階で、人数が少ないために特殊記号とされている。

三賢者
 1977年の第一次神触実験以前にデトロイトの研究に着手していた、「科学」「化学」「旧言詞学」の各権威による三人組。デトロイトの電詞都市化をはじめ、デトロイトOS や贋作外殻の基礎を作成した。西洋人男性、アメリカ人女性、東洋人男性の3名だったということしか明らかになっておらず、三賢者に関する記録はスイス銀行の情報金庫に保管されて完全匿秘とされている。
 三賢者による研究開発は1957年から始まったが、1963年からは亜神になる以前のアーコン=エダムザによる贋作外殻の量産が中心となり、三賢者の役割は終了した。
 その後、第一次神触実験の爆発に巻き込まれて消失したとされているが、3名の遺体が確認されなかったため、自らもデトロイトOS の一部と同化したか、デトロイト外に逃れて無事だったのではないかという説がささやかれている。
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これから読もうと思ってんだけどさぁ6  ~前勉強をつらつら~

2013年11月15日 23時20分28秒 | すきな小説
『機甲都市 伯林』(2000~01年 メディアワークス電撃文庫)

 『機甲都市 伯林』(きこうとしベルリン)は、川上稔の代表作「都市シリーズ」内の作品シリーズである。「都市シリーズ」の通算第6作だが、シリーズ第1作『パンツァーポリス1935』(1997年)の直接の続編にあたる。全5巻の大長編で、巻ごとに『パンツァーポリス19××』というサブタイトルがつく。
 1937~44年におけるドイツ首都のベルリンを中心に描いており、前作『パンツァーポリス1935』に対して「新伯林」と呼ばれる。都市シリーズの第2期第1作として始まった。作品世界が前作を遥かに凌ぐスケールに拡大している。文庫版イラストはさとやすが担当した。

あらすじ
 こことは異なる世界のドイツ。
 1935年、ある新型航空戦艦を2人の男が奪取して逃走。ドイツ軍は奪還のために追跡するが、新型機の拿捕は失敗に終わる。新型航空戦艦はこの時、人類の大気圏外の飛行を世界で初めて成功させ、これを参考に、ドイツ軍の極秘機関「G(ゲハイムニス)機関」が強臓式(アインゲヴァイデ)航空戦艦「疾風(シルフィード)」の建造を開始する。
 1937年、「疾風」が開発者の死亡により暴走し、「ドイツを救う」と予言されていた救世者(メサイア)を拉致するという事件が起きる。この事件は隻腕の男が解決すると予言され、事実その通りになったが、救世者はドイツ国外のアメリカに亡命するという結末になる。
 1939年、第二次世界大戦勃発。G機関が建造していたガルド級航空戦艦の一番艦が反独隊(反戦独立部隊)によって破壊される。この事件の後、救世者は反独隊に入隊する。
 1942年、ドイツの重要都市ケルンが大空爆され、その際にドイツのガルド級航空戦艦一番艦「葬送曲(レクイエム)」と、イギリスの言詞砲搭載型双胴航空艦「大時報(ビッグシグナル)」が相討ちになり轟沈。その後、ドイツは超弩級要塞「トリスタン」を完成させ、ドイツ上空に防御用の天蓋を発生させたことにより、ドイツへの空爆攻撃は事実上不可能となる。
 1943年、G機関が救世者を確保するも、再び国外に逃がしてしまう。救世者は反独隊と共にドイツに侵攻し、「トリスタン」を破壊する。


作中での関連年表

962年 「救世者」がドイツを統一し、神聖ローマ帝国が建国される(第一帝国)。
1415年 ドイツ北東部の都市ベルリン、神聖ローマ帝国の構成国ブランデンブルク選帝侯領の首都となる。
1698年 イギリスの発明家トーマス=セイヴァリ(1650~1715年)により「精霊式機関模型」が創られる。
1701年 ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ3世、神聖ローマ帝国の認可によりプロイセン王国初代国王フリードリヒ1世として即位。
1710年 イギリスの発明家トーマス=ニューコメン(1664~1729年)により精霊式機関が実用化される。
1853年 江戸幕府治世下の日本にアメリカ合衆国の黒船来航。鎖国制度廃止。
1871年 プロイセン王国を母体としたドイツ帝国成立(第二帝国)。
1894年 イギリスに移民したアメリカ人発明家ハイラム=マキシム(1840~1916年)による精霊式飛行機の史上初飛行が成功する。
1901年 ドイツ人冒険家フーバー=タールシュトラーセ(22歳)、エジプトで「千王母の墓」を発見する。
1906年 ドイツ人技術者パウル=ヴァーグナー(31歳)、精霊式機関を応用した重力変化に成功する。
1914年 第一次世界大戦勃発。
1916年 フーバー、戦争中のフランスで「大空洞」を発見する。
1918年 ドイツ革命が勃発し、皇帝ヴィルヘルム2世のオランダ亡命によりドイツ帝国が崩壊、ドイツ共和国成立。ドイツ降伏。
1919年 ヴェルサイユ条約の調印により、第一次世界大戦終戦。
1920年 ドイツ、世界初の有人気圏外探査船の打ち上げを試みるも、失敗。
1935年 ベルリン騒乱(第1作『パンツァーポリス1935』の内容)。
1937年 「疾風」事件(第1巻の内容)。
1938年 大ドイツ帝国宣言(第三帝国)。
1939年 第二次世界大戦勃発(第2巻の内容)。
1940年 大ドイツ帝国G機関、言詞塔砲搭載ガルド級戦艦「葬送曲」完成。
1941年 大日本帝国、大ドイツ帝国に呼応してアメリカ合衆国に宣戦布告。
1942年 連合国軍、ドイツの軍需都市ケルンを大空爆(第3巻の内容)。
1943年 新ベルリン騒乱(第4・5巻の内容)。
1945年 ドイツ降伏。


登場キャラクター(新ベルリン騒乱時)

ヘイゼル=ミリルドルフ
 主人公。第1作『パンツァーポリス1935』に登場したドイツ空軍少将オスカー=ミリルドルフの娘。1922年生まれ。
 猫の獣人(母)と人間(オスカー)とのハーフであり、恐怖を感じたり興奮したりすると猫に獣詞変(フレクティーレン 変身のこと)する特徴がある。
 1937年時の異族判定の際に片目を失明し、強臓式義眼「救世者」を移植されている。
 ドイツ空軍中将ハイリガーの娘とは同級生だった。

ダウゲ=ベルガー
 「野犬(ヴィルト・フント)」のあだ名を持つ異族(ハイデンガイスト)。強臓式武剣「運命」の所持者。1914年生まれ。
 架空都市ロンドンの出身で、神の遺伝詞を持つが、能力的にはただの人間である。
 元々は逃がし屋だったが、後に反独隊に入隊。重騎の扱いに長ける。

ヘラード=シュバイツァー
 ドイツG機関空軍部所属の中尉(後に大尉)。「音速裁断師(ツェアステーラー・シャルマオアー)」の異名を持つ全方位結界師でもある。
 ノイシュヴァンタインで復活した緑竜から病院を護る際に片腕を失い、巨大な強臓式義腕「英雄」を所持することになった。
 ベルガーとは高校の同窓。

ベルマルク・フィーア
 アイラム式自動人形ベルマルクシリーズの第4号。「射撃人形(シーセラインプッペ)」の異名を持つ。
 ヘラード=シュバイツァーの副官で、強臓式拳銃「魔弾の射手」の所持者。

マルシュ=ガント
 ドイツG機関開発部第二企画班長。強臓式航空戦艦「疾風」の設計者。
 本人は死亡しているが、意識遺伝詞が「疾風」に記乗している。ベルガーとは高校の同窓生だった。

レーヴェンツァーン=ネイロル
 ドイツG機関の司令。ヘルベルトの養子。
 「速読歴(ゾフォルト・レーザー)」の称号を名乗るが、自身には予言を詠む能力はない。
 強臓式心臓「新世界」を移植されている。

アルフレート=マルドリック
 ドイツG機関陸軍部第一師団・第一独立機動重騎小隊の小隊長。「皇帝剣(カイザー・シュベールト)」の異名を持つ。
 自身の声帯を移植した強臓式重騎「皇帝」(後に「皇帝改」)に乗る重騎師。
 ボルドーゾンから欧州五行総家を継承したマルドリック家の次男であり、「幻崩の衛士(ハウンド)」としての任を務める。異族を嫌う。
 救世者ゆかりの神形具「純皇(ラインケーニッヒ)」を操る五行師(バスター)でもある。ベルガーとは高校の同窓生。

ベルマルク・ナイン
 アルフレートの部下で、「人形双騎師(ドッペルパンツァー)」の異名を持つ自動人形。
 「E(アイゼンリッター)計画」により、その脳と脊髄がそれぞれ「蒼獅子改」と「朱獅子改」に組み込まれた。

グラハム=カールスルーエ
 ドイツG機関副長にして、全軍の大将軍。カールスルーエ家の長男で、ローゼには「大兄様」と呼ばれる。
 ローゼと同じく言障患者であるため、全身を義体化し、感情喪失機構を組み込んでいる。重騎「銀獅子」に乗る。
 五大頂とG機関を組織し、フロウベルをその長に据えた。実質的なG機関の創設者。

ハイリガー=カールスルーエ
 カールスルーエ家の次男。ローゼには「小兄様」と呼ばれる。
 ドイツ空軍中将だったが、後にグラハムの遺志を汲んでG機関総帥となる。「統率者(コマンディーレン)」の異名を持つ。
 過去に反独隊の人狼将軍ペイルとの戦闘で両腕を失い、強臓式義腕「悲愴」を装着している。
 両肩に異族を材料とした言詞板(フロギストン・プラッテ)を収納しているが、右肩の2枚は妻と娘を加工したものである。
 グラハムの機体を改造した重騎「銀獅子改」に記乗する。

ローゼ=カールスルーエ
 カールスルーエ家の末妹。強臓式ガルド級航空戦艦「葬送曲」を操る少女。
 言障に犯されているため、「葬送曲」が完成するまではG機関の地下で眠っていた。

カール=シュミット
 G機関陸軍部長にして五大頂(フェンフト・ライトハメル)の一人。「鋼鉄騎師」の異名を持つ。ジャンヌの夫。
 第一次世界大戦において身体を失い、「E 計画」によって巨大な緑色の重騎「カール・シュミット」と合一している。

ヘルベルト=ミューラー
 G機関空軍部長にして五大頂の一人。「不動騎師(シュタントハフト)」の異名を持つ。
 グラハムの命により、レーヴェンツァーンの義父になっていた。

リーリエ=テルメッツ
 G機関海軍部長にして五大頂の一人。「水流師(ヴァッサーマイスター)」の異名を持つ。
 風水師であり、自身の涙を材料とした強臓式竪琴「月夜(モーントナハト)」を使って水竜を生む。
 「都市シリーズ」第2作『エアリアルシティ』に登場した「幻崩の衛士」モイラ(エリス=テルメッツ)の姉。

ガリュー=ビッツマン
 G機関情報部長にして五大頂の一人。「千里眼(ヘルゼーエン)」の異名を持つ禿頭の老人。
 特殊な紋章術を自在に操る。

コンラート=エルリッヒ
 G機関開発部長にして五大頂の一人。「穴熊(ダックス)」の異名を持つ白髪の老人。
 技術を愛する技術者であり、日本の神器を改良したり、独断で「疾風」を改造したりする。
 強臓式航空戦艦「疾風」の設計者であるG機関開発部第二企画班長マルシュ=ガントの上司だった。

ジャンヌ=シュミット
 G機関陸軍部副部長。「鋼華(アイゼンブルーメ)」の異名を持つ。
 カールの妻で、リーリエとは知己の仲である。

コレール=セバン
 反独隊大尉。輸送戦艦「 rb-21」の艦長。伝式四十七符(テリング・フルカード)を操り、「高空魔術師(ハイランディスト)」の異名を持つ。

ペイル=ホース
 「人狼将軍(ハーディストウルフ)」のあだ名を持つ異族。元は傭兵だったが、後に反独隊隊長となる。
 両腕は義腕「第三月帝」。また、過去にドイツ空軍騎師時代のハイリガーとの戦闘で右目を潰され、隻眼となっている。

「先生」(レーラア)
 反独隊の諜報員。「先生」のあだ名を持つ五行師(バスター)。ベルガーと仲がいい。26歳。

エリンギウム=エルダーリンク
 図書館司書の娘で、異族。
 かつてベルガーやヘラード、アルフレート、マルシュの友人だった。彼ら4人に重要な「約束」を課している。
 ある事件がもとで記憶を失っている。また、肉体に大きな傷痕を持つ。1942年に結婚。旧姓はイルヘイム。

ベンドゥーター・イースト
 自動人形。イギリスのビッグベン3姉妹の一人で、東方の役。「大時報」に搭載された準言詞塔砲の加圧を行う。

ミハイル=シュリアー
 「都市シリーズ」に共通して登場するマイアーの孫。新ベルリン騒乱の顛末を記録する著者。父はマクシミリアン。

レーヴェンハイト=ネイロル
 レーヴェンツァーンの父。「速読歴」の異名を持つ。1918年のイギリス襲撃事件で死亡している。

フロウベル=ネイロル
 レーヴェンツァーンの母。旧姓はイルヘイム。「速読歴」の異名を持つ。
 G機関の創設者であり、かつての長でもあった。レーヴェンツァーンが8歳だった1926年に心臓疾患で死去している。
 ハイリガー、グラハム、ベルテヒト、レーヴェンハイトの4人に、ある「約束」を課している。


G(ゲハイムニス)機関とは……
 総員207名のドイツ竜騎師団の末裔で構成される高機密性組織。正式名称は「大ドイツ帝国守護竜騎師団(ゲルマニアドラグーン)五大部」。
 10世紀に神聖ローマ帝国(第一帝国)を建国した「救世者」を中心にしてドイツ南西部の「黒き森」アルヘイム地方で結成され、13世紀以降はドイツ北東のプロイセン地方に拠点を移した。
 1871年にプロイセン王国がドイツ帝国(第二帝国)に発展してからは、ドイツ国軍から完全に独立した、政府への全権介入さえもが可能な全国組織になった。1919年の第二帝国崩壊後も、極秘の国防機関として本部をアルヘイムに移して機能し続けている。
 最高責任者は「騎師団長(速読歴)」で、それを補佐する「副長(大将軍)」と、陸軍・海軍・空軍・開発・情報の5部門を各自統括する「五大頂」が機関を運営している。
 あまりに危険であるがゆえに、歴史上から消された喪失技巧(オーバーゲハイムニス)を復活・改良してドイツの軍事力に加えようとする。

反独隊とは……
 正式名称は「反戦独立部隊」。
 ヨーロッパの緊張状態を避けてアメリカに亡命した資本家たちが、世界各国の速読家(ゾフォルト・レーザー)たちの世界滅亡の予言を受けて、ヨーロッパの情勢を把握するために1934年に共同で創立した民間の情報調査機関が母体となっている。
 その後、ヨーロッパ現地での諜報活動に実力行使が必要になったことと、逆にヨーロッパ各国の政府機関から情報の提供を求められるようになったことから、1937年以降は複数の企業体をスポンサーとする極秘の軍事部隊に発展した。
 部隊の主力は異族(ハイデンガスト)が多く、1939年時点ではアメリカ・アリゾナ州に大規模な訓練基地を持ち、陸上部隊・航空部隊ともに四個師団なみの軍事力を擁している。
 喪失技巧を確保・封印する他、各国軍隊の過度な実力行使や戦争商人の横行を抑止する役目も果たす。

機甲都市・新ベルリン(ゲルマニア)とは……
 1939年7月ごろから建設が開始され、翌40年9月に完成した、大ドイツ帝国首都ベルリン直下の地下要塞都市。
 地上は「緑地帯・歴史的建造物・帝国軍の地上施設」、地下第一層は「民間生産工場」、地下第二層は「ベルリン市民居住区」、地下第三層は「民間と軍事の物資倉庫・地上への鉄道路線」、地下第四層は「軍需工場・地下換気機能の中央制御機構」、最深部の地下第五層は「帝国軍大本営・政府要人の避難施設」で構成されている。
 この六層構造と、近郊に配置された超弩級要塞「トリスタン」によって、新ベルリンは戦時下の大ドイツ帝国の首都機能を果たす。


航空戦艦
dp-xxxx 疾風(シルフィード)
 第1作に登場した宇宙航空戦艦「dp-xxx 皇城(カイザーブルク)」をもとに、ドイツG機関が開発した強臓式航空戦艦。完成直前に死亡した設計者マルシュ=ガントの意識遺伝詞が記乗している。全長約27メートル。
 仮発動(ベヴァイゼン)でP 機構を動かし、駕発動(オーバー・ベヴァイゼン)で機甲紋章「疾竜」が起動する。
 1937年、マルシュの意識を乗せたまま暴走し、ヘイゼルを取り込み宇宙を目指そうとしたが、それ以前に撃ち込まれていた遺伝詞還元弾の影響を受けて崩壊をはじめ、後を追ってきたベルガーとシュバイツァーにヘイゼルを開放した後に自壊した。
 その後、パウル=ヴァーグナー研究所の跡地から機動停止していた「疾風」が発掘され、G機関による移送中に奪取。自己修復を行いつつベルガー、そして「先生」と共にヘイゼル救出のためハンブルク基地を襲撃する。
 アルフレートによって中破し、最終的には「魔王」との一騎打ちを行い、相討ちとなった。
 その後、G機関によって回収され、完全状態への修復とヘイゼルに合わせた風水神形具化の改造が行われた後に「新ベルリン」最下層に封印。新ベルリンにおけるヘイゼルの「救世者」の仮発動によって目覚め、戦いに参加。その際、「魔王」との再戦で一蹴するなど力の差を見せた。
 その後、暴走した「トリスタン」との戦いにおいて、中途で撃沈した連合国軍の自突艦 MO、墜落した「葬送曲」、さらに皆から集めた記憶を有する物品などを飲み込み、トリスタンと対決。救世者と共に過去に降りた。

dlp-444lsx 葬送曲(レクイエム)
 ドイツG機関の開発した強臓式航空戦艦。8隻の母艦を組み立てて作り上げるガルド級戦艦一番艦。全長1.1キロメートル。
 8艦はそれぞれ左右前後3隻、中央前後2隻をつなげた双胴艦形で構成されており、この構成は後の『境界線上のホライゾン』における「武蔵」にも受け継がれている。
 言詞砲を搭載するか、または言実詞により機甲紋章「駆天竜」を発動できる。
 艦長(強臓式保有者)はローゼ=カールスルーエ。素体には彼女の身体組織を用いていると思われる。
 彼女の本体は小さな赤珠となっており、艦内には大気の流体を使って立体映像のように現れることができる。
 1942年、ケルン防衛の最中にイギリス軍の「大時報」の射撃によって撃沈され、その時に大破した「銀獅子」に記乗していた兄グラハムともども死亡する。
 その際、彼女の本体であった赤珠はグラハムによって銀獅子に収められており、のちにヘイゼルが銃弾を受けた時の身代わりとなって砕けたベルガーのペンダントに移された。

魔王(エルルケーニッヒ)
 ドイツG機関が「疾風」をもとに開発した強臓式航空戦艦。最終的に全部で8艦が存在した。全長27メートル。
 「疾風」とは違い完全な無人機で、「新世界」の仮発動によって制御され、独自の言実詞を用る。
 外観は「疾風」とほぼ同一だが、メインのカラーリングが青から黒に変更されている。また無人機であるため艦橋部は無い。
 1943年7月のハンブルクにおける初出撃時は、救世者と共に時を超え修復のままならない「疾風」と戦い、相討ちのような形で墜落。その後、「疾風」と共に回収され、その際に量産型として同型艦7艦が建造される。
 しかし、43年8月のベルリンにおける、修復され完全状態となった「疾風」との戦闘時に簡単に敗北する。その後出撃した量産型7艦は途中で制御不可能になり墜落した。
 その後の「トリスタン」暴走ではハイリガーに操られて機甲紋章を展開、ドラゴンの姿となって再び「疾風」とヘイゼルの前に立ちふさがった。その時、最低1艦ずつがビッツマンとエルリッヒの両名によって撃破されている。


航空機
王飛竜(ケーニッヒ・ギドラー)
 G機関最速の戦略偵察機。

王双剣(ドッペルシュナイデ)
 G機関の最新鋭双胴艦。広範囲弾を用いた後部防御に優れる。

銀/銀改(ズイルバー/ノイエ・ズイルバー)
 G機関の戦略輸送艦。全長100メートル。

V0/V1
 ドイツ軍の巡航型自突艦。神術爆弾を搭載して、自動操縦で標的に突撃する。もともとはG機関の戦略輸送艦「銀」の同型艦として設計された。全長100メートル。

rb-21
 反独隊の航空輸送戦艦。双胴式で、右舷上部にはジプシークイーンが描かれている。全長46メートル。

大時報(ビッグシグナル)
 連合国軍の双胴式航空艦。準言詞塔砲を搭載している。

MO
 連合国軍の自動突撃兵器(自動制御爆撃艦)で、1943年にドイツ軍の自突艦「 V0」の情報をもとに開発された。内部に広範囲型爆弾を搭載し、一撃で都市を破壊する威力を持つ。全長100メートル。
 「トリスタン」暴走を知った連合軍によって放たれるも、ドイツ空軍と「疾風」の迎撃によって破壊され、その爆発のエネルギーもろとも「疾風」に吸収された。
 第二次世界大戦終結後は、大陸間巡行弾などの超々音速兵器の基礎となり、現代戦争の様相を一変させていく。



蒼獅子(ブラウ・ローヴェ)
 ドイツ空軍の艦上防御用重騎(グレーセ・パンツァー)。全高7.3メートル。凌駕紋章「空牙(ルフト・ファング)」による飛行を可能とする。V0 を迎撃するためにベルガーが搭乗し、特攻をかける形で大破した。

黒獅子(シュバルツ・ローヴェ)
 ドイツG機関陸軍部の重騎。
 「皇帝」の試用騎体で、強臓式の試作部品が組み込まれ、対空飛行も可能とする汎用型。1939年にベルガーによって奪取されて以後、彼の乗騎となった。
 その後もベルガーと共に転戦するが、43年7月のハンブルクにおいて「皇帝改」との戦闘によって中破し、その状態のまま航空艦隊の対空砲火を受けて大破する。

黒獅子改(ノイエ・シュバルツ)
 ベルガーの血液から部品を新調した重騎。「皇帝」から受け継いだ戦闘関連記録を内蔵している。凌駕紋章は「白皇」。武装は「運命」の他に、「皇帝」の使っていた神形具の大剣も常用の武装として有すると思われる。
 43年8月の「新ベルリン」における戦闘において、ベルガーの乗騎として参加。「言詞加速砲」による砲撃後、「トリスタン」内部に突入、門扉に突っ込む形で行動不能となる。
 その後「トリスタン」暴走時に「新世界」の仮発動を受け、「皇帝」の力を持って起動。最後の一撃の直前に、「救世者」たるヘイゼルに道を譲る形で撃破された。

皇帝/皇帝改(カイザー/ノイエ・カイザー)
 アルフレートの声帯を部品とした強臓式重騎。全高10メートル。機械式の推進装置を有し、凌駕紋章を展開しない状態でも対空飛行が可能。
 1939年に完成し、初戦において量産型重騎2騎を圧倒するも、ベルガーの奪取した「黒獅子」と交戦、神形具の剣を「運命」によって断たれる。
 43年7月、ハンブルク基地において改造中、ヘイゼルの「救世者」の仮発動を受けて自立起動。カール・シュミットと交戦し、これを退けるも、アルフレート自身によって主導権を取り返された。
 その後のベルガーとの交戦後、ハンブルク空爆部隊を伴った航空艦隊を北海で迎撃した際に撃墜されたが、それらの記憶と神形具の大剣は「黒獅子」に受け継がれ、また「純皇」はヘイゼルの手に渡った。

蒼獅子改/朱獅子改(ノイエ・ブラウ/ノイエ・ツィノーバ)
 E 計画により、ベルマルク・ナインの脳と脊髄が合一している重騎。意志を用いず凌駕紋章を展開することが可能である。
 「蒼獅子改」は88ミリ徹甲実弾を発射する長銃を、「朱獅子改」は左手に大盾を持ち、内部に短剣を格納している。
 基本的に「朱獅子改」が防御、「蒼獅子改」が攻撃を担当する。どちらも全高9メートル。

銀獅子(ズィルバー・ローヴェ)
 グラハムの記乗する銀色の重騎。機械式推進装置によって凌駕紋章に頼らない飛行能力を得ており、その点において「黒獅子」と同じく「皇帝」の試作機となった。全高7.3メートル。
 1942年、ケルン防衛の際に大破。残骸は回収され、改修されて「銀獅子改」となった。

銀獅子改(ノイエ・ズィルバー)
 ハイリガーの記乗する銀色の重騎。大破した「銀獅子」を修復したもの。
 43年8月の「新ベルリン」における攻防戦において人狼将軍ペイル=ホースと対決し、「背翼が無いと飛行が不可能」という固有の弱点をペイルに突かれ、地上からトリスタンの最下層まで落下し大破した。

カール・シュミット
 カール=シュミットの合一した陸戦用重騎。全高25メートル。本体は真鍮色、装甲服は当時のドイツ陸軍軍服の意匠である濃緑色。
 他の重騎に比べてかなり大型であり、装甲服には「航空艦用の浮遊紋章をハニカム状にして仕込んである」など、重量軽減に配慮がなされているようである。
 その巨体(蒼獅子改が抱えるようにして使っていた88ミリ徹甲長銃を「拳銃サイズ」として扱っている)に加えてかなりの重武装であり、2門の竜詞砲を背中に背負う他、多数の火砲を有している。
 なお、背中側に副座を備えており、火器管制を分業していると考えられる。

狗鎧(パンツァー・フクス)
 凌駕紋章で凍気をまとう重騎。1937年のベルリンでベルガーと相対したが、撃破された。

黒犬(ヤークト・フント)
 量産型中騎。肩の装甲板が厚い。第5作『閉鎖都市 巴里』にも同種の騎体が登場している。


銃砲・火器
言詞砲・言詞塔砲(独:ベイベルカノーネ/英:バベルカノン)
 加速させた言詞の言詞格を開放し、照射する兵器。対象空間を広範囲に言詞崩壊させる。
 準言詞砲と比べて複雑な機構を必要とするが、長時間の照射や連射が可能である。

準言詞砲・準言詞塔砲(独:クルツ・ベイベル/英:バベルガン)
 加速させた言詞の言詞格を固め、弾丸として発射する兵器。効果は言詞砲とほぼ同じ。
 言詞砲と比べ簡易な機構で済むものの、弾丸を生成するために長時間の加圧が必要となる。

竜詞砲・竜詞塔砲(独:ドラッヘ・カノーネ/英:ドラゴン・ブレス)
 竜の吐く竜詞砲を機械に置き換えて再現した兵器。遠距離用である。

準竜詞砲・準竜詞塔砲(独:ギドラー・カノーネ/英:サブ・ブレス)
 竜の吐く竜詞砲を機械に置き換えて再現した兵器。竜詞砲よりも小型のものを指す。

言詞銃(ベイベルゲヴェーア)
 超弩級要塞「トリスタン」に搭載された言詞兵器。ガルド級二番艦の言詞砲を転用している。

機甲浄弾(パンツァー・ライニグン)
 対異族用の武器。長さ30センチメートルほどの鉄製の筒から霊木の杭を打ち出す。

魔弾の射手(フライシュッツェ)
 ベルマルク・フィーアの持つ強臓式拳銃。歯と骨を材料にしている。
 仮発動ではその名の通り魔弾を射出し、駕発動であらゆる機械を分解する。


神形具(ヴェルクツォイク)
純皇(ラインケーニッヒ)
 神聖ローマ帝国皇帝からマルドリック家に預けられた、救世者ゆかりの神形具。純白。アルフレートが使っていたが、彼の撃墜と共にヘイゼルへと受け継がれ、過去に渡った。

月夜(モーントナハト)
 リーリエの扱う強臓式竪琴。涙を材料としている。言実詞により水を風水し、水竜を生む。


義体
救世者(メサイア)
 ヘイゼルの持つ強臓式義眼。仮発動で他の強臓式機械を操作し、駕発動で周囲の遺伝詞を読む。素体にはマルシュ=ガントの目が使用されているため、青い色の人間の目である(ヘイゼル自身の目は猫目)。

新世界(ノイエ・エールデ)
 レーヴェンツァーンの持つ強臓式心臓。仮発動で他の強臓式機械を操作し、駕発動で超弩級要塞「トリスタン」の加圧を行う。

英雄(デア・ヘルト)
 シュバイツァーの持つ強臓式義腕。長杖を射出し、周囲の空間を言実化する。

悲愴(トラーギシュ)
 ハイリガーの持つ強臓式義腕。素体は彼の両腕と思われる。仮発動で機械に仮初の命を与え、駕発動ではあらゆる機械に記乗できる。
 燃料として異族を加工した高出力言詞板を必要とし、其々の肩内部に二枚ずつ収めることが可能。駕発動には2枚とも使用するが、仮発動は1枚で済むものと思われる。
 右肩部に収められている言詞板は過去に「加工」されたハイリガーの妻と娘である。
 「新ベルリン」における戦闘によって左腕側は失われ、残った右腕に残っていた言詞板を燃料に駕発動して「トリスタン」に記乗した。

運命(ゲレーゲンハイト)
 ベルガーの持つ強臓式武剣。精燃を動力として「運命の糸を断つ」闇の刃を発生させる。
 ある理由で、駕発動は使えないことになっている。

祖国(ファーターラント)
 ドイツの強臓式地脈加圧炉。ドイツ国内のみでなく、世界各地に建造されている。
 高純度の精燃を生成する。また、ドイツの地脈を改造し、全てのドイツ国民に言実化能力を付与できる。

トリスタン
 新ベルリン近郊に建造された「祖国」にガルド級戦艦二番艦を合体させた超弩級要塞。全高は1.6キロメートルを超える。
 ドイツ上空に防空用の「天蓋」を発生させるほか、各地の「祖国」への加圧支援などを行う。
 最終的な目的は、地脈から時虚遺伝詞を抽出し、「破滅の転輪」を起こして世界の崩壊を防ぐことである。
 1942年6月以降は、G機関本部の機能も兼務するようになった。

伝式四十七符(テリング・フルカード)
 コレールが操る「幻実都市 出雲」の占術符。奏の22符、騒の22符、噤の3符から成る。
騒の10番「破滅の転輪(ニーベルンゲ)」…… 何が起こるか分からない不幸の連鎖を予兆する。
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これから読もうと思ってんだけどさぁ5  ~前勉強をつらつら~

2013年11月08日 23時23分41秒 | すきな小説
『閉鎖都市 巴里』(1999~2000年 メディアワークス電撃文庫)

 『閉鎖都市 巴里』(へいさとしパリ)は、川上稔の「都市シリーズ」の第5作。前作・前々作に続く上下2巻組み大長編。

 異世界のフランスを舞台にした小説。シリーズ第2作『エアリアルシティ』以来ふたたび、物語の舞台を現代でない過去(厳密には過去が現在にいたるまで繰り返され続ける世界)に移した内容となっている。日記や手紙などで物語が綴られていくという特殊な形式をとっている。
 実際には、発売される以前から、季刊ライトノベル雑誌『電撃 hp 』(2001年からは隔月刊)でシリーズ作『創雅都市 S.F 』が連載されていたが、読者の混乱を避ける意味もあってか、後発の本作が第5作とされている。

あらすじ
 全てが文字情報によってのみ存在する都市、パリ。
 しかしパリは第二次世界大戦中、ドイツ軍の投下した「言詞爆弾」によって時間の連環を起こし、1944年の1年間のみを繰り返す「閉鎖都市」となっていた。
 そして時は流れて1998年現代。既に54回の回帰を行ったパリに、ひとりの少女が訪れる。
 少女の名はベレッタ=マクワイルド。優秀な重騎師である彼女は、幻の重騎開発計画「 A計画」と、それに関わったと思われる祖父ジャックの謎を追ってパリへ留学していた。そこでベレッタは、不思議な自動人形ロゼッタと出会う。
 ロゼッタと付き合い A計画を調べていくうちに、ベレッタはパリを閉鎖から解放する方策を模索していく。

歴史
 元来、パリは「あらゆるものが文字情報によってのみ存在する」という特性を持つ都市だった。 住人達はそれを活かし、最も正確で安全に己の情報を作り、秘め、そして発信するために数百年前から都市全体に結界を張っており、それによって「閉鎖都市」と呼ばれていた。
 しかし第二次世界大戦中の1944年8月6日午前5時32分18秒、ドイツ軍によって占領されたパリで新たな閉鎖が発動する。ドイツ軍の支配を破るために連合国軍が仕掛けた解放戦の中、ドイツ軍の言詞爆弾が炸裂したのである。これによって時空間の遺伝詞が変質し、パリは「市外の時間を無視して1943年の8月から1944年の8月までの1年間を繰り返す」という、第二の「閉鎖」を起こした。
 1963年、電詞都市 DT(デトロイト)の遺伝詞解析技術によって、市外との出入りが可能となる。しかし、持ち込める物品は「1944年当時に存在していたもの」に限られ、しかも一度持ち込まれた物品は都市の免疫機構によって二度と持ち込むことはできない。それは人間の場合も同様であり、一人の人間がパリに入ることができるのは生涯に一度だけである。この免疫機構は年々強まっており、次第に持ち込める物品は限られ、研究予測によれば2005年には、パリはあらゆるものが入り込めない完全な閉鎖都市になるとされている。

特性
 パリ本来の特性は、「あらゆるものが文字情報によってのみ存在する」ということである。人間や物品を問わず、万物が三次元に物体として存在するのではなく、文字よる単語や形容詞によってのみ、その存在と個性を立証される。
 住人達は「加詞筆」と「詞認筆」によって行動し、日記をつけることで自己の生活を立証する。ゆえに個人単位でのボキャブラリや想像力が非常に重要であり、主観と現実に齟齬が生じやすい都市である。
 またこれとは別に、フランスという国家全体の特性として、「騎の開発に古くから携わっている」というものがある。

パリにおける人間
 パリ内部にて1944年の言詞爆弾の爆発に巻き込まれた人間は連環の一端となり、時間の回帰に気づくこともなく、毎回同じように生活し、同じように死んでいく。外部から入り込んだ人間がパリ内部で死んだ場合、回帰の際にその存在は消滅する。生きていた場合も回帰の時点でパリに「気付かれ」、余計なものとして市外に排斥されて二度と入ることはできなくなる。
 パリの住人であったものの、何らかの原因で言詞爆弾の爆発に居合わせなかったために連環から免れた者達は、「第一の避難者」と呼ばれている。


巴里に関する用語

詞認筆
 全てが文字によって存在するパリ独自の要素。英語で「サイン」、フランス語で「シーニャ」、ドイツ語で「レルネン」と読む。
 パリにおいて、個人が自身の行動や主観を実現するために用いる。基本的にパリ内での個人行動はこれによって実行され、その表記によって行動や結果が果たされる。しかしこれはあくまでも主観によるものであり、他者との詞認筆がぶつかった場合、事実に近い方が優先される。もしも他者の詞認筆が事実に近かった場合、自身の認識とは異なる結果を突然受けるという事になる。ゆえに事実を確認する加詞筆との兼ね合いが非常に重要である。

加詞筆
 全てが文字によって存在するパリ独自の要素。英語で「ポイント」、仏語で「アジュテ」、独語で「フェアベッセリング」と読む。
 パリにおいて、客観的な事実を確認するために用いる。これを行うことによって基準となる現実を把握し、それに則した行動をとれるようになる。ただしこれを行っている間、自身の行動を果たす詞認筆を行うことはできない。

初期化
 パリが1年前へと逆行する現象のこと。英語で「フォーマット」、仏語で「プリミティーフ」と読む。
 これが発動する時間が、ドイツ軍による言詞爆弾の爆発(1944年8月6日午前5時32分18秒)であり、これが起きるとふたたび1943年8月6日まで逆行する。これに巻き込まれているパリの住人達はそれに一切気づくことはなく、パリの外から来ていた人間や物品は全て排除され、二度と入ることはできない。また、これを打破して巴里が市外と繋がった場合、54年間の誤差という矛盾を解消するため、市外の全世界は1944年まで逆行することになるという。

連環
 パリが1943年8月6日から1944年8月6日午前5時32分18秒までの1年間を繰り返すこと。仏語で「ロンド」、独語で「メタフィジコーズ」と読む。

第一の避難者(ファーストイレイサー)
 パリの住人だったが、何らかの原因で言詞爆弾の爆発に居合わせなかった者の総称。

言詞爆弾(ヴォルト・ボンベ)
 爆発地点から広範囲に渡り、空間の遺伝詞さえも変異させる強力な兵器。パリが連環を起こしている原因。


 重騎、中騎、軽騎の総称。英語で「バレル」、仏語で「アパレイユ」と読む。
 総じて巨大な人型機械であり、騎師が記乗することによって同化し、自らの体として操縦する。中でも重騎は別格の存在であり、性能や存在意義において中騎と軽騎を遥かに上回る。ちなみに騎自体はあくまでも素体であり、戦場では装甲服(英語で「ドレス」と読む)をまとう。

重騎
 三種の中で最も強く、大きな騎。英語で「ヘビィ・バレル」、仏語で「ルール・デ・マリオネッタ」、独語で「グレーセ・パンツァー」と読む。
 戦闘力以上に戦場での旗印としての意味が強く、重騎の有る無しで戦意は格段に変わるとされている。その全てが職人達によるオーダーメイドであり、凄まじい維持費と制作費がかかるので量産されることはなく、市場も存在しない。最大の特徴は搭乗者の強い意思によって発揮される機体の強化変質「凌駕紋章」であるが、機体全ての凌駕紋章が行える者はほとんどいない。
 扱いの難しさや少数生産限定という点から、戦車や戦闘機に主力兵器の座を奪われるが、旗印としての意味合いから、開発は現在でも行われている。

凌駕紋章
 重騎の機体表面に彫り込まれた紋章であり、重騎が搭載する最大の特徴。英語で「オーバーエンブレム」、仏語で「エクシードアンブレム」と読む。
 記乗者の強い意思に反応し、紋章によって周囲の流体に干渉、紋章が示す形へと機体を変質させる機能。その場合、重騎は機械というよりも人間に近い形となる場合が多い。機体全てを凌駕紋章によって変質させる事は限りなく困難であり、それが可能な重騎師は歴史に名をのこすレベルといえる。そのため、ほぼ全ての重騎師は機体の一部を変質させることができるのみで、それ自体も非常に難しい。

記乗
 騎師の肉体を遺伝詞分解し、騎と合一する事で機体を操縦すること。英語で「ライトブリング」、仏語で「レクリア」、独語で「シュレイブン」と読む。

重騎師
 重騎を駆る者の総称。英語で「ナイトストライカー」、仏語で「ルール・デ・エクリヴァン」、独語で「パンツァー・カバリエ」と読む。
 同様に、中騎を駆る者は中騎師、軽騎を駆る者は軽騎師と呼ばれる。

守護騎師
 フランス各地で地方の守護を司っていた騎師の総称。
 バルロワ家が「王宮守護騎師」として統括していたが、王家の没落によってその役職は無くなり、他の守護騎師達も革命によって同じく役を失った。しかし、いまだに強い政治的発言力を持っている。「巴里守護騎師(シュバリエ・デ・パリ)」のミゼール家もこの一流。

自動人形
 等身大の人型機械。仏語で「ベル・デ・マリオネッタ」、独語で「ザインフラウ」と読む。
 架空都市ロンドンで多くの発展を遂げる。中には、「自動人形の意思に応じて肉体が人間へと進化する」機能を持つ機種があり、ロゼッタやベレッタの実家で造られている自動人形達もこの機能を持つ。しかし多くは労働力や愛玩品として存在しており、強い差別対象であることもあって、多くの自動人形は進化を諦め、わざと失敗して自壊する場合が多いのが現状である。
 川上稔の「都市シリーズ」において、ほぼ全作に登場する。

A 計画(アティゾールけいかく)
 第二次世界大戦中、フランス中部のブルゴーニュ地方モルヴァン山脈で進められていたとされる計画。
 「最強の騎を開発する計画」とされているが、世間一般ではおとぎ話のような認識であり、わずかにマイアー=シュリアーの著作の一部にその内容がまとめられている。ジャック=マクワイルドはこれに関わっていたとされている。
 その正体は P計画の対とでも言うべき、騎体の能力を最大限に引き出すために「機械を人とする」というものであり、最強の「騎」ではなく、最強の「騎士」となる自動人形を開発する計画であった。
 自動人形の「人に進化する」という特徴を応用したこの理論は、逆にその「人に進化すること」の目的が戦闘機械となることであるという矛盾から自動人形の自殺や暴走を生み、それによって計画は頓挫。それまでの全てのデータを組み込んだ最後の一体であるロゼッタを残し、全ての資料は破棄された。

P 計画(パンツァーリッターけいかく)
 ドイツ第三帝国の G機関が取り組んでいるとされる計画。
 被験者の体を義体化する計画で、これによって身体能力と機械への順応性を極限にまで高め、騎への記乗では人間を遥かに超える速度と精度の操縦を行うことができる。また、感情喪失機構も搭載することで正確な判断を行い、記憶も戦闘に関するもの以外は全て封印される。仮に何らかの要因で封印された記憶が触発されたとしても、感情喪失機構がこれを抑制する。ただし、感情の喪失による弊害として、凌駕紋章が使えなくなる。
 作中において A計画と対になる、騎体の力を引き出すために「人を機械とする」計画である。

G 機関(ゲハイムニスきかん)
 ドイツ第三帝国の秘密機関。ドイツにおいて正規軍以上の地位を持つとされる。後続の『機甲都市 伯林』にも登場する。


主な登場人物
ベレッタ=マクワイルド
 1998年現代のアメリカから留学してきた女学生。実家は S.F.(サンフランシスコ)の自動人形工場で重騎を駆り続けていたベテラン重騎師。
 あっけらかんとした豪快な性格で、やや強引なところもある。しかし実は押しが弱く、失敗や不安にとらわれがち。祖父ジャックの謎の死の原因と、彼が関わっていたという A計画を調べるためにパリへ留学してきた。その過程でロゼッタと出逢い、彼女の進化を促す。フィリップの恋人だが、彼の未来を知るために衝突することも多く、疎遠になりがち。パリへの干渉と自分のあり方に悩む。

ロゼッタ=バルロワ
 1944年のパリのバルロワ邸で女給を勤める形式不明の自動人形。
 当初はほとんど進化していなかったため感情を見せなかった。しかしベレッタとの出逢いで心身共に成長し、控えめで天然ボケなところはあるが、温和で純真な性格になっていく。ベレッタを通じて下界や多くの人間と出会い、多くのことを知り人間へと進化する。ややベレッタに依存しがち。

フィリップ=ミゼール
 かつてパリ守護騎師だったミゼール家の嫡男。ベレッタの恋人。
 口数の少ない無愛想ともとれる性格だが、割と浅はかなところもあって周囲には誤解されがち。しかし実際は信念と情に厚い性格。ドイツ軍に名誉将校として所属していることからパリの住人や同級生達とは疎遠だが、実はレジスタンスのスパイとして潜り込んでいた。歴史上では蜂起の際にハインツ=ベルゲと交戦して戦死し、ミゼール家は断絶することになっている。

マレット=ハルキュリア
 ベレッタの親友で、フィリップとも友好がある。ユダヤ人豪商の令嬢。
 はすっぱで不真面目な一面が目立つが友情に厚く、リーダーシップのある性格。ベレッタを含む友人グループのリーダーで、ロゼッタも友人の一人として歓迎した。

ハインツ=ベルゲ
 ドイツ軍重騎師。陸軍中佐。58歳。P 計画によって全身を義体化し、感情喪失機構(サイコアウター)を搭載したことで最強の称号を得た。
 機構騎師となったことで戦闘に関する以外の記憶を失い、感情も封印されたために人格を持っていない。あるのは「最強であり続けなければならない」という鉄の意思のみ。パリでの駐屯中に過去の記憶を触発され、そのために己の過去とそれに関わる A計画を追う。

ギヨーム=バルロワ
 パリのとある丘の家に住む義足の老人。ロゼッタの主人。第一次世界大戦でのドイツ軍のハインツとの戦闘で右脚を失った過去を持つ。
 外見相応に無骨で愛想の無い性格。突然転がり込んできたベレッタをなし崩しでかくまうこととなった。元・王宮守護騎師で、その縁もあってレジスタンスの中心にいた。ジャック=マクワイルドやロゼ=フランシスカの友人で、A 計画にも携わった。ロゼッタを引き取ったのもその縁によるものである。

ジャン=ミゼール
 フィリップの祖父。元パリ守護騎士で、レジスタンスのリーダー。組織内では「蒼目」と呼ばれる。
 蜂起戦後のドイツ軍の襲撃で致命傷を負い、ベレッタとわずかに会話した後に死亡する。

女剣士(ベレッタ=マクワイルド)
 ベレッタの祖母。ベレッタとは完全に同名の「もう一人のベレッタ=マクワイルド」。
 1944年当時は諜報員をしており、言詞爆弾投下時は特殊工作員としてフランス国外にいたため、連環による封鎖を免れた。その後はアメリカの S.F(サンフランシスコ)で自動人形の工房を作って生活し、1995年に引退。パリに向かった孫娘のベレッタに数十通に渡る手紙を送った。

ロゼ=フランシスカ
 「女剣士」の母親で、ベレッタの曾祖母。風水師の老女。
 風水によって、連鎖の中で記憶を継続させ続けている唯一の人間。ベレッタが潜り込んだことで輪廻打破の希望を見出し、ギヨームに未来の歴史を綴った手紙を送る。

ジャック=マクワイルド
 「女剣士」の父親で、ベレッタの曾祖父。ロゼ=フランシスカの夫。
 ギヨームの友人で、A 計画の開発者。1939年のジャックの死の真相を知るため、ベレッタはパリ留学を決意した。

マイアー=シュリアー
 「都市シリーズ」を通じて登場する人物。『喪失技巧(デステクノ)奇集本』シリーズの執筆者。ドイツ第三帝国の「裏切り者」で、1943~44年の期間にはアメリカに亡命していた。

黒竜
 ブルゴーニュ地方モルヴァン山脈の地脈から生まれた黒いドラゴン。重騎を狙って襲う。体長180メートル。

狐鬼(ファンタズマ・ルナール)
 バルロワ邸の庭園に住む霊獣「三尾の狐鬼」の一家。夫婦と子供が3匹(メス1匹、オス2匹)の計5匹がいる。
 生涯において一度だけ人間の姿に化けることができる。

重騎
快(グラッチェ)
 HLP-018・77-LL(量産雌型重騎「快」軽陸戦式)。凌駕紋章は「飛天(アンジェ)」。
 作中で使用されたのはパリ大学で保存されていた機体。

快・改
 学園祭の重騎戦で破損した「快」を改修したもの。
 脚部の強化や小翼の追加などがなされている。

楽(スリール)
 HLT-001X・XX-XL(試作雌型重騎「楽」重陸戦式)。凌駕紋章は「直天(オート・アンジェ)」。
 ブルゴーニュ地方の村に保管されていた機体。2つの増槽と六連神術砲、改造された凌駕紋章を持つ。

庇護女帝(プロテクティッド・エンプレス)
 HLF-087・13-LL(単作雌型重騎「庇護女帝」軽陸戦式)。凌駕紋章は「戦女后(スパルタネス)」。
 レジスタンスの保有する最新鋭重騎。曲線シリンダー機構を持ち、武器「戦乙女の鋼槍(ヴァルキリー・ストライク)」を装備している。

剣将(エクスペール・デ・オレイル)
 ミゼール家の家宝の重騎。凌駕紋章は「炎舞(フラーム・バル)」。
 重騎用の神形具「第三炎帝」を装備している。

赤獅子(ロート・レーヴェ)
 ドイツ G機関陸軍部の重騎。P 計画によって反射速度と出力の上限は通常の50~150倍に強化されている。
 凌駕紋章は「鋼獅子(アイゼン・レーヴェ)」だが、搭乗者のハインツ=ベルゲが感情を喪失しているため、使用されることはない。「重裂杖」を装備している。

戦(ゲイル)
 HMP-035・22-LL(量産雄型重騎「戦」軽陸戦式)。
 作中ではパリ大学で運用されている。第一次世界大戦時代の平均型重騎。

中騎(英語で「ミドル・バレル」、仏語で「フォルマ・デ・マリオネッタ」、独語で「ミッテル・パンツァー」と読む)
黒犬(ヤークト・フント)
 ドイツ軍の中騎。装甲が厚い。

軽騎(英語で「ライト・バレル」、仏語で「レジェ・デ・マリオネッタ」、独語で「クライン・パンツァー」と読む)
闘犬(ビルト・フント)
 ドイツ軍の軽騎。
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