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長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

なんだか夢のような日であつた。 ~舞台版『スロウハイツの神様』~

2017年07月08日 21時04分03秒 | すきな小説
演劇集団キャラメルボックス 2017サマープレミア 『スロウハイツの神様』(2017年7月5~16日 東京池袋・サンシャイン劇場)


 実は今日、実にありがたいご縁があって、すごく観たかったこの作品を観劇するために東京に日帰りで行きました。
 いや~、東京暑かったね!! 地元の山形も同じ35℃だったみたいなんで、わざわざあっちい所に来ちゃったっていう感じでもなかったんですが、大都会は暑さを反射する反射する! どこも吸収してくんないもんねぇ。よくあんな場所でわいわいがやがや集まれるもんですわ……と、3年前まで千葉に住んでいた奴がほざいております。暑さと人口密集にホントに弱くなっちゃいました……夏の日本武道館なんか、よく行ってたもんですよ。

 舞台版『スロウハイツの神様』は、すっごく良かったですね。

 文庫本上下巻の小説を正味2時間きっちりの舞台にするんですから100%そのままになんてできるわけがないんですが、それでも相当なレベルの高さで小説の原作を「完全舞台化」している作品だな、と観ました。
 カットやアレンジはあるにしても、味わいやその作品を楽しんでいる時の、観る側の「体温の上昇具合」が小説版とほぼおんなじなんですよね! 脚本を担当した成井さんの作家性がオリジナルな解釈を付け加えるというものじゃなくて、「私は原作のここを演劇化したいと強く思ったからこれを選んだ。」という、人に何かを熱心に伝えようとするボルテージの高さで前面に押し出されているわけです。これは非常にわかりやすい。観た映画の面白いところをすっごくわかりやすく説明してくれる人みたいなスマートさと丁寧さがあるというか。

 辻村深月先生のような、小説ならではの構成のマジックをフル活用している作品世界を、小説以外の別の表現形式に変換するのは非常に難しい作業かと思います。特に長編小説なんてボリュームが大きいし。映画で言えば『ツナグ』は群像劇のバランスの取り方がやや不揃いだったように感じたし、『太陽の坐る場所』はそもそも原作小説の構成を初めから放棄していたために、ちょっと監督の主張が独り相撲を取っている印象はありました。

 でも、今回の舞台版はかなり原作に近かったなぁ。近いけど、舞台版にした意義もちゃんとあった。こんなに「笑いあり涙あり」の王道なエンターテインメント作品であるとは思いませんでした。確かに、登場人物のひとりの、どこからどう見ても滑稽な孤軍奮闘が、笑いと一緒に涙を誘っちゃうんだよなぁ。それが神々しく輝いちゃうんだよなぁ。そこが見事に演劇化されてました。あそこらへんの芋づる式の伏線回収の気持ち良さったら、ないですよね!

 こう観てみると、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』でも強く感じたのですが、辻村先生のお話に対する向き合い方は非常に古典的だと思います。
 と言うのは……物語の中で、ある時にギアの掛かり方が音を立てて「ガチャッ!!」と変わるというか、「ハイここからクライマックス入りまーす!」という感情の2部構成がすごくわかりやすいんですよね。これがもうアレなのよ、野村芳太郎監督の映画版『砂の器』みたいなわかりやすさ!! わぁ、ジェットコースターが下りに入ったぁ!みたいな。

 とことん古典的なところを突き詰めれば、亡者の一人語りに入る能楽(もちろん三島由紀夫の『近代能楽集』も)だとか、コナン=ドイルの『緋色の研究』みたいなギアチェンジが堂々と21世紀現代を舞台とした作品の中でなされる世界、それが辻村深月ワールドなのではないかと、今回の舞台化を拝見して改めて感じ入ったる次第。


 ある日ある時に突然やってくる、「あの人、そうだったんだ……」という新しい一面の発見によって、見慣れた隣人の顔がその瞬間からまるで違った感じに見えてくる感動をつぶさに拾い上げ、そこにこそ人生の奇跡が潜んでいるという事実を物語る世界。みごとですねぇ。

 実に恥ずかしながら、キャラメルボックスのお芝居を観るのは今回が初めてだったのですが、やっぱり本物の熱量には他の追随を許さないオリジナルな魅力が満ちていると感じました。その、もはや伝統芸能的にさえなっている「全力投球感」に、長らく食わず嫌いな印象を抱いていたのですが、これはこれで素晴らしいんですよね。

 いい一日でした……時の流れと、東京のラーメンの味の濃さを痛感した夢のような日でした。暑さでかなりげんなりした表情のホットパンツ姿の白人さん、もう何十人見たろ。
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これから読もうと思ってるんだけどさぁ17 ~前勉強をつらつら~

2017年04月08日 15時11分33秒 | すきな小説
『終わりのクロニクル 第7巻(最終巻)』(2005年12月刊)

 『終わりのクロニクル(おわりのクロニクル)』は、川上稔のライトノベル。イラストはさとやす。電撃文庫(メディアワークス)より2003年6月~2005年12月に刊行された。単行本全14巻。
 川上稔による架空の世界観「都市世界」における「AHEAD」時代を取り扱った作品。総じてページ数が多く、最終巻は1000ページを超えて(1091ページ)、当時の電撃文庫における最厚記録を樹立した。


あらすじ
 2nd-G の概念下で戸田命刻の攻撃を受け、危篤状態に陥った新庄運切。一方、その命刻は田宮詩乃を抱え、かつて Top-Gで新庄の両親が創り上げた概念創造機械「ノア(バベル)」へと向かった。
 そして、マイナス概念の活性化により、全てが失われる運命の日。佐山御言たち全竜交渉部隊は、自分達の全ての力と想いを込め、最後の戦闘を開始する。果たして、彼らは滅亡の危機から世界を救うことができるのか?


10th-G
主要概念 …… 不明(神の力、加護など)
対応神話 …… 北ヨーロッパ神話
対応地域 …… ドイツ / 近畿地方

10th-Gの世界観
 神々が住むギア。
 概念核を宿した世界樹を主軸に天上・地上・地底が連なる3層構造で、天上と地上は繋がっていた。天上に住む神々は人類を管理し、地底には罪を得た死者や巨人たちが住んでいた。詳細な政治大系は不明だが、神族が中心となって世界を統治していた。 精霊の住む大気は清浄であり、神々はその中でしか健康を保てない。

10th-Gの概念戦争
 滅亡の予言に神々は概念核を抽出して治世を保とうとしたが内乱が勃発、鎮圧用にトールハンマーが開発されたが、地下組織の手引きを得た9th-G に奪われた。神々は調査に来ていた出雲・全に奪還を託し、奪還されたトールハンマーはG-Sp に改造され概念核が収められた。しかし9th-G によって組み込まれたザッハークの遺伝子で概念核は神焉竜に変貌し、逆に10th-G を滅ぼした。後に神焉竜は Low-Gに出現し、衣笠・天恭を人柱にした封印式でG-Sp に封印された。


作中の専門用語
10th-G 製の概念兵器
G-Sp(ガスプ)
 概念戦争時代に開発された10th-G 製の機殻槍(カウリングランス)。風見千里の専用武装 G-Sp2の前身。10th-G 概念核を封印するために内乱鎮圧用機殻鉄槌(カウリングハンマー)「雷神鉄槌」を機殻槍に改造したもので、「神槍」の名を冠していた。

トールハンマー
 概念戦争時代に開発された10th-G製の機殻鉄槌。ヨルスが使う。
 柄の長い鉄槌。10th-G 居留地に保管されていた物で、あらゆる能力・機能の効果を反転させる概念空間を造る。G-Sp2の原型となった「雷神鉄槌」とほぼ同型式だが、G-Sp2の原型となった物とは別個に造られた機体。

雷神鉄槌(トウールハンマー)
 10th-G で内乱鎮圧用に開発された概念兵器。G-sp の前身。10th-G の地下組織の手引きで9th-G に奪われ、出雲・全が取り戻したが組み込まれたザッハークの遺伝子により、神焉竜を生み出した。

神様式武器
 ヨルスが用いる武器群。Low-G の通常兵器をヨルスが10th-G 概念で加工したもの。作中では神様パンツァーファウスト、神様機関銃、神様対戦車弾、神様手榴弾、神様拳銃、神様散弾銃の6種類の武器が登場している。


神族
 10th-G にのみ存在する、全ギア中最高の種族。強大にして崇高な力を持ち、自らもあらゆる種族の上に立つ種族という自負とプライドを持っている。そのため人類には理解し難い行動基準で動くことが多く、10th-G も「人間の世話にはならない」として最終的には自ら捨てる形となっている。10th-G の清浄な大気の中でしか健康を維持出来ないはずだが、リヴァイアサンとの最終決戦に出陣する。

木霊
 植物に由来する肉体を有した10th-G の異種族の一種。耳が長く尖っている以外は人類と遜色がない。その姿は長い年月を生きることで作られる対話用の分身であり、本体は樹木である。樹木内は自らが望む部屋を作ることができ、媒体の肉体がそこを家屋として使う。本体の樹木が倒れることは生命の危機であり、媒体の方にも深刻な影響がある。同名の種族が1st-G にも存在する。


主な登場キャラクター
佐山・御言
新庄・運切
出雲・覚
風見・千里
大城・一夫
大城・至
Sf(エスエフ)
リール=大樹
シビュレ
田宮・遼子
田宮・孝司
飛場・竜徹
ディアナ=ゾーンブルク
月読・史弦
戸田・命刻
田宮・詩乃
長田・竜美
飛場・竜司
ダン=原川
ヒオ=サンダーソン
出雲・烈
ロベルト=ボルドマン

ヨルス
 「軍」に協力する10th-G 神族。通称「期待外れのヨルス」。出雲・覚の母方の祖母。
 延命処置を受けている巨躯の老女。覚の父方の祖母の友人でもあり、友人と娘(覚の母)といった大事な相手が揃って自分を捨ててLow-G に走った頃から、他者に期待することをやめた。そのため覚を「期待外れの塊」として厭い、10th-G 居留地に住んでいた頃も一度として会わなかった。「相手の期待を絶対に外す」概念を使う。
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これから読もうと思ってるんだけどさぁ16 ~前勉強をつらつら~

2017年03月05日 22時22分22秒 | すきな小説
『終わりのクロニクル 第6巻(上・下)』(2005年11月刊)

 『終わりのクロニクル(おわりのクロニクル)』は、川上稔のライトノベル。イラストはさとやす。電撃文庫(メディアワークス)より2003年6月~2005年12月に刊行された。単行本全14巻。
 川上稔による架空の世界観「都市世界」における「AHEAD」時代を取り扱った作品。総じてページ数が多く、最終巻は1000ページを超えて当時の電撃文庫における最厚記録を樹立した。


あらすじ
 マイナス概念の活性化により、世界が崩壊するまで、あと5日。
 だが、「軍」の元9th-G 将軍ハジが糾弾した Low-Gの罪と Top-Gの存在が、思わぬ波紋を呼んでいた。そして、Top-Gの存在を秘していた Low-Gに対し、各ギアは疑念を抱き、全竜交渉は最大の危機を迎えることに。そんな中、佐山と新庄は一つの答えを求め、再び出雲と堺へ向かう……
 果たして、全ての謎は解き明かされることになるのか? 各ギアの疑念はどんな結論を導くのか? シリーズ完結に向け、物語はいよいよクライマックスを迎える!


6th-G
主要概念 …… 輪廻転生の概念
対応神話 …… インド神話
対応地域 …… インド / 静岡

6th-G の世界観
 2つの川を挟んで「破壊」、「停滞」、「再生」の三種の空間が存在していた。生物は「停滞」で生き、死亡すると魂は「破壊」へ移り、肉体を与える「再生」を経て再び「停滞」に戻る。人類は総じて黒人系であり、政治は合議制によって決定される民主主義だった。

6th-G の概念戦争
 戦乱により「破壊」の空間が広がったため、2つの川それぞれにヴリトラとヴァジュラを配置して安定させた。だがそれによって執政者たちは死と再生を管理できるようになり、民衆は反発して内乱が発生した。やがて内乱の不毛さに気づいた人類はヴァジュラとヴリトラを「災いの象徴」とし、調査に来ていた Low-Gの出雲・全に処理を押しつけた。全はそれらを Low-Gに持ち帰ったため6th-G は滅びた。


8th-G
主要概念 …… 熱量が生物化する概念
対応神話 …… アボリジニ神話
対応地域 …… オーストラリア / 四国

8th-G の世界観
 何もない空間に大小無数のワムナビの遣いが浮遊する構造だった。遣いのサイズは砂粒大から惑星大まで多様であり、思考による熱量で生命を維持し、より高度な計算力を得るように進化していった。人類は存在せず、統率者を要する種族でもなかったので政治体系は存在しない。

8th-G の概念戦争
 有能な計算力からどのギアでも馴染めると悟っていたワムナビの遣い達は、戦闘力や故郷への執着の無さもあって、概念戦争を移住によって解決しようとしていた。そこへ調査に来た新庄・要から Low-Gの日本語を教わり、約束と「なぞなぞ」を与えられた。ワムナビの遣い達はそれらを果たすために Low-Gへ亡命し、概念核を持つワムナビ全体が移ったので8th-G は滅んだ。


作中の専門用語
6th-G 製の概念兵器
V-Sw(ヴィズィ)
 自意識を持つ6th-G 製の概念核兵器。出雲・覚の専用武装。ヴァジュラにヴリトラを納めたもので、普段は身の丈程もある白い大剣の形態をとる。性格はマイペースでのんびり屋。

ヴァジュラ
 6th-G を維持するために造られた6th-G 製の機殻剣(カウリングソード)。V-Sw の前身。概念戦争当時はヴリトラに釣り合うように、大量の概念が詰め込まれていた。後に6th-G 概念核であるヴリトラを収め V-Swに改造される。

試作型ヴリトラ
 6th-G と10th-G の全竜交渉の際、ロベルト=ボルドマンをはじめとした6th-G 残党が放った概念兵器。概念核は有していないが6th-G 残党を皆殺しにできる程の戦闘力を有している。ボルドマンと出雲・覚の会話の間に出たのみで、詳細は不明。

ヴィーマ
 6th-G 製の機殻鉄槌(カウリングハンマー)。ロベルト=ボルドマンの専用武装。巨大な鉄槌型で、強力な打撃力を誇る。


クサナギ
 鹿島・昭緒が新たに造った2nd-G 概念対応の Low-G製機殻剣。熱田・雪人の後期専用武装。
 所有者が存在を明確にすることで、視界にある空間そのものを刀身として切断する。強大な攻撃力を持ち、熱田も両手で握らなければ使用できない。当初は使用回数に制限のある試作品が登場したが、後に制限のない完成品ができた。


新庄との約束
 新庄・由起緒とワムナビの遣い達の間で結ばれた約束。それは「このギア(Low-G)にあってこのギアに無いものとは何?」というなぞなぞであった。ワムナビの遣い達はこれを考え、悩み続ける限り新庄の姓を持つ者にまた会えると考え、新庄・運切と出会うまでずっと考え続けていた。


主な登場キャラクター
佐山・御言
新庄・運切
出雲・覚
風見・千里
大城・一夫
大城・至
Sf(エスエフ)
リール=大樹
シビュレ
田宮・遼子
田宮・孝司
飛場・竜徹
ディアナ=ゾーンブルク
月読・史弦
戸田・命刻
田宮・詩乃
長田・竜美
飛場・竜司
ダン=原川
ヒオ=サンダーソン
出雲・烈

ロベルト=ボルドマン
 6th-G 人類代表。全竜交渉の通常課連携役を担う。専用武装ヴィーマを使う。
 元は帰化したアメリカ軍少佐だったが、母親から6th-G 指導者の血筋であることを知らされ、6th-G残党と合流する。

趙・羽(ちょう・う)
 中国UCAT 代表。趙・晴の甥。Top-Gの告発に対応して来日する。

ワムナビ
 8th-G概念核の化身。
 ワムナビの遣い達の共有された意識から漏れ出した、余剰分の意識で出来た思念体。熱量と情報の存在であり、ワムナビの遣いが一定以上密集しなければ発生しない。そのため8th-G の概念核を奪うことは非常に難しい。

ワムナビの遣い
 8th-G概念で動物化した熱エネルギー。
 熱量を補給するため、思考によって熱量を発生させる。その延長線上として、周囲の別個体と意思を共有して莫大な計算速度を作る能力を得た。当初は本体が剥き出しの状態だったが、長い年月を経て鉱物に宿り、熱量の無駄な発散を抑える手段を得た。
 4th-Gの草の獣とは異なり、個性を持って分化しつつも意識を共有して一個体になることができる。新庄・要との交流で日本語のしりとりを学び、暇な時はそれで熱量を稼いでいる。
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これから読もうと思ってるんだけどさぁ15 ~前勉強をつらつら~

2017年02月07日 23時44分24秒 | すきな小説
『終わりのクロニクル 第5巻(上・下)』(2005年6月~7月刊)

 『終わりのクロニクル(おわりのクロニクル)』は、川上稔のライトノベル。イラストはさとやす。電撃文庫(メディアワークス)より2003年6月~2005年12月に刊行された。単行本全14巻。
 川上稔による架空の世界観「都市世界」における「AHEAD」時代を取り扱った作品。総じてページ数が多く、最終巻は1000ページを超えて当時の電撃文庫における最厚記録を樹立した。


あらすじ
 5th-G との戦闘から1ヶ月。UCATには9個の概念核が揃い、いよいよ回収は7th-G を残すのみとなった。だが、その7th-G との全竜交渉を前に、佐山御言と新庄運切は自らの過去を追うことを決める。そして、佐山は奥多摩の山奥へ、新庄は堺へと向かった。一方、UCATに全ての概念核が揃う機会をうかがっていた「軍」は、総攻撃の準備を整え、ついに行動に移そうとしていた。
 果たして佐山と新庄は、どのような過去を見つけ出すのか。そして、新たな危機を迎えた全竜交渉の行方は……


7th-G
主要概念 …… 不明(肉体改造に長けている)
対応神話 …… 中国神話(神仙譚)
対応地域 …… 中国 / 東北

7th-G の世界観
 起伏に富んだ8つの円盤状の大地が連なる階層構造で、最上階にあたる9つ目の大地には巨大な山と川が流れていた。人間の身で文化・文明を極めることに執心し、人類はほぼ全てが仙人・仙神と呼ばれる技術者で、人間が生きるために最高の環境が築かれていた。延命や不老といった人体改造系の技術に特化し、施術し続けた末に人類の行き着く最高潮に達したとされる。天体・政治体系は不明。

7th-G の概念戦争
 「門」を閉ざして異G との交流を一切断っていたが、一度だけ日本UCAT を侵攻して壊滅させかけた。しかし趙・晴と共感して侵攻を中止し、7th-Gに招いて全技術を託す後継者とした。後に7th-G の全人類は四竜兄弟として概念核と合一、Low-Gが概念核を譲るに足る「芳醇な世界」であるのかを見定めるために渡り、7th-Gは滅びた。


9th-G
主要概念 …… 光と闇、熱と停止
対応神話 …… ゾロアスター教神話
対応地域 …… 中東 / 紀伊半島

9th-G の世界観
 光熱と闇が切り替わる空間に球状の大地が浮かぶ構造で、天体は無く、空そのものが太陽と闇夜を担った。昼夜は温度差が激しく水源も少ない厳しい環境だったが、人類は水源を中心にして都市を作り、幾度かの抗争を経て王家を定めた。人類は総じて中東系人種で、王家と将軍家による政治と軍事の分担が行われていた。両家は反発したが概念戦争時代の王サルバによって平定され、開発途上で放棄されていたザッハークを使役して土地を開発しようとしていた。

9th-G の概念戦争
 純戦闘志向ギアとして3rd-G、5th-G、10th-G の崩壊を引き起こしたものの、王サルバは9th-G 内に他ギア人類難民を受け入れる計画を練っていた。しかし、和平政策を嫌った重臣団はサルバを暗殺し、10th-Gから奪ったトールハンマーとサハルナズによってザッハークを戦闘用として起動、全てを諦めたハジに軍と恭順した3rd-G を率いさせて勝利しようとした。しかし調査に来ていたアブラム=メサムがビルマーヤでハジに重傷を負わせ、ザッハークをサハルナズごと破壊した。概念核はビルマーヤに統一されて持ち出されたため、9th-G は滅んだとされる。


作中の専門用語
7th-G 製の概念兵器
四竜兄弟(よんりゅうきょうだい)
 7th-G の概念核を有する4人の人造人間。Low-Gが7th-G概念核を託すに相応しいかを見定めるべく、7th-G人類全てを概念核に合一、四分割して造られた。全力を出し切った末に破壊されることが目的。総じて並みならぬ身体能力を持ち、固定概念も相まって高い戦闘力を持つ。退屈すると老化するように設定されており、老衰死すると概念核ごと消滅する。

大聖(たいせい)
 四吉の専用武装。「生殖攻殻」と呼ばれる巨大な両腕型生体兵器。四吉の意思で動き、巨大化と空間破裂の能力であらゆる距離での戦闘が可能。普段は四吉が持つ概念空間に収納されているが、小出力なら概念空間から出さなくても空間破砕を発動できる。

9th-G 製の概念兵器
ビルマーヤ
 「聖槍」と呼ばれた9th-G 王家の秘宝。概念核の半分を内蔵し、アブラム=メサムがザッハークを破壊して残り半分を吸収したことにより完全な概念核兵器「B-Sp(ベスプ)」となった。



 手の平大の猪に似た姿をしている7th-G の獣。7th-Gが滅びたことで絶滅の危機に瀕しているが、Low-Gの中でも普通に行動することができる。1頭が全竜交渉を進める助力として佐山御言に与えられた。条件が満たされると過去を夢として周囲の人間に見せる能力を持っている。

固定概念
 7th-Gが開発した技術で、生体に付与された概念。賢石とは異なり、概念空間を展開することができる。

後継者
 7th-Gが持っていた2つの目的のうち、「自分たちの技術を誰かに受け継がせる」目的を果たすために選ばれた人間のことで、該当者は趙晴。

9th-G 王家
 かつて9th-G を将軍家と二分して統治していた一族。多くの政治家や家臣を持ち、政治関係の統治を担当する。王サルバはこちら側の出身だが、史上初の王家と将軍家を統一した人物である。

9th-G 将軍家
 かつて9th-G を王家と二分して統治していた一族。屈強な武人が集い、軍事関係の統治を担当する。ハジはこちら側の出身で、将軍家の最上位に立つ大将軍を担っていた。


主な登場キャラクター
佐山・御言
新庄・運切
出雲・覚
風見・千里
大城・一夫
大城・至
Sf(エスエフ)
リール=大樹
シビュレ
田宮・遼子
田宮・孝司
飛場・竜徹
ディアナ=ゾーンブルク
月読・史弦
ハジ
戸田・命刻
田宮・詩乃
長田・竜美
飛場・竜司
ダン=原川
ヒオ=サンダーソン

趙・晴(ちょう・せい)
 日本UCAT 医療班長。7th-G担当の八大竜王で技術の後継者。少女のような外見は延命技術と不老技術によるものであり、実際はかなりの高齢者。しかし7th-G との概念戦争時に時間も歪んだ空間に長期滞在したことで、肉体は技術も追い付かないほど老朽化している。

一光(いっこう)
 四竜兄弟の長男。固定概念は「力は無限となる」。概念兵器は2振りの鋼鉄製の青龍刀「無列」。装甲服を着ているのが特徴。武具の使用技術に特化した肉体を持ち、固有概念と相性の良い無列を使う。本体の玉の色はブルー。

二順(にじゅん)
 四竜兄弟の次男。固有概念は「真実のみとなる」。白衣を着ているのが特徴。身体能力に特化した肉体を持ち、更に肉体強化系の概念符を用いる。本体の玉の色はレッド。

三明(みつあき)
 四竜兄弟の三男。固有概念は「解り合えるものはない」。チャイナ服を着ているのが特徴。単純な戦闘力では四竜兄弟中最弱ではあるが後方支援に特化している。概念兵器「天地戯画・一丸」を使用する。本体の玉の色はブラック。

四吉(よんきち)
 四竜兄弟の四男。固有概念は「世界は一瞬で真逆となる」。四竜兄弟最強の戦闘力を誇るが最も頭が悪い。固有武装として概念兵器「大聖」を持つ。個性を出すために常にエキセントリックな言動をとり、髪を黒く染めている。本体の玉の色はホワイト。

出雲・烈(いずも・れつ)
 出雲・覚の父。元日本UCAT 局長で、現 IAI社長兼日本UCAT 全副部長。息子の覚と同じく Low-G人類と10th-G 神族のハーフ。覚を上回るエロさとアバウトさを見せる破天荒な性格の持ち主。

ヨルス
 「軍」に協力する10th-G の神族。通称「期待外れのヨルス」。出雲・覚の母方の祖母。
 延命処置を受けている巨躯の老女。覚の父方の祖母の友人でもあり、友人と娘(覚の母)といった大事な関係者が揃って自分を捨てて Low-Gに加担した頃から、他人に期待することをやめた。それゆえに覚を「期待外れの塊」として厭い、10th-G の居留地に住んでいた頃も一度として会わなかった。「相手の期待を絶対に外す」概念を使う。
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これから読もうと思ってるんだけどさぁ14 ~前勉強をつらつら~

2016年12月19日 00時31分30秒 | すきな小説
『終わりのクロニクル 第4巻(上・下)』(2004年12月~2005年1月刊)

 『終わりのクロニクル(おわりのクロニクル)』は、川上稔のライトノベル。イラストはさとやす。電撃文庫(メディアワークス)より2003年6月~2005年12月に刊行された。単行本全14巻。
 川上稔による架空の世界観「都市世界」における「AHEAD」時代を取り扱った作品。総じてページ数が多く、最終巻は1000ページを超えて当時の電撃文庫における最厚記録を樹立した。


あらすじ
 世界の崩壊が3ヶ月後と迫る中、佐山御言と新庄運切は4th-G との全竜交渉を進めるため、九州地方の離島へと向かう。それと前後して、5th-G との全竜交渉のために八大竜王の一人サンダーソンが、自身の曽孫の少女と共に日本へと降り立った。だが、彼はアメリカUCAT にある文書を預けていた。それは、後に5th-G との交渉に際し、障害となる内容を秘めたものだった……
 かつて佐山の姓を持つ者と交わした約束の履行を迫る植物の世界4th-G。そして、機竜同士の内乱により滅んでいった機竜が支配する世界5th-G。2つの世界を相手に、佐山たちの全竜交渉が始まる。


4th-G
主要概念 …… 植物が動物化する概念
対応神話 …… アフリカ神話
対応地域 …… アフリカ / 九州

4th-G の世界観
 恒星を中心に3つの環状大地が自転する構造で、大地は動物化した植物に覆われ、環状の内側には川が流れていた。生態系に差異が生じると他の大地との交差時に情報を交換し、生態系を均一化した。人類は存在せず、動物化した植物「草の獣」だけが住み、ムキチの統制のもとで暮らしていた。

4th-G の概念戦争
 高い生命力と治癒力はあるものの戦闘力は無く、しかし概念核を持つムキチが所在不明になったために滅ぼすこともできず、概念戦争からは除外された。しかし佐山薫だけはムキチの正体を見破っており、結ばれた約束が果たされた時はLow-G に協力する、という交渉が成された。薫は約束を果たせなかったが、ムキチはいつか眷属によって果たされることを期待して草の獣と共にLow-G へ移住、4th-G は滅びた。


5th-G
主要概念 …… 落下方向を任意で決定する概念
対応神話 …… ネイティブアメリカンの神話(アステカ神話)
対応地域 …… アメリカ / 北海道

5th-G の世界観
 大気のある宇宙に2つの惑星が隣接して浮かぶ構造で、概念を応用した飛行技術で両惑星の交流は早期から行われた。機竜はその一環として造られ、人類はそれぞれを資源惑星と居住惑星に使い分けた。概念戦争では惑星を要塞化したものの「黒陽」に破壊され、惑星の残骸が散らばる世界となった。政治機構は不明、惑星破壊後は「白創」が黒陽を除く全機竜を統率した。

5th-G の概念戦争
 資源惑星を防衛基地に、居住惑星を生産基地に改造し、戦力として黒陽と白創が造られた。しかし黒陽は「護るべき人類を武装して送る基地を破壊すれば平和になる」と解釈して暴走し両惑星を破壊、5th-G 人類を死滅させた。白創は残った全機竜を率いて襲い来る黒陽を迎撃し、5th-G は内乱状態となった。その後ショートル3は亡命したLow-G で護国課に協力し、リチャード=サンダーソンと共に黒陽を撃墜した。しかし決戦はLow-G で行われたため、5th-G は滅んだ。


作中の専門用語
5th-G 製の概念兵器
ヴェスパーカノン
 5th-G の概念核兵器。サンダーフェロウが使う。5th-G 製の全長45メートル・全高7メートルもの異常に長大な砲塔で、事実上のサンダーフェロウ専用の武装兵器。宵星砲が白創と5th-G 機竜群と合体して完成したもので、通常規格の機竜には搭載できない。ショートル3が消えた後は奥多摩UCAT に封印されていた。黒陽を完全に破壊できる現存最強の5th-G 製兵器。
 巨大な剣のような形状で、カラーリングはブルーとホワイト。

宵星砲(よいせいほう)
 概念戦争時代の5th-G 製概念兵器。ヴェスパーカノンの前身。ショートル3に搭載され、単体では唯一黒陽の装甲を貫通できる。黒陽の撃沈後に白創と5th-G 機竜群が合一し、概念核兵器ヴェスパーカノンに進化した。


夢砂(ゆめすな)
 ロジャー=シュリーが使う砂状の賢石。1st-G 概念を劣化変質させたもので、様々な情報を夢として対象に認識させる。通常の砂を加工して造るもので、素材となった砂の加工以前の周囲状況を見せるものが多い。

悪臭(オドー)
 オドーがアンクレットに嵌めて肘に装着する賢石製の武器。周囲の敵意を感知し、オドー自身の敵意を物理化して対象の頭にぶつけて叩き伏せる。攻撃は指を鳴らすことで発動し、その打撃力は常に上から降って来る。


機竜
 概念戦争時代、単体では最強の戦闘力を誇ったドラゴン型の機械兵器。強大な戦闘能力を有しているが、合一搭乗すると搭乗者は二度と分離できない欠陥がある。1st-G、5th-G、Low-G、Top-G の4世界で開発されているが、本家は5th-G のものであり、1st-G とLow-G の機竜は5th-G 機竜の模倣である。

5th-G の量産型機竜
 5th-G 概念の特性を活かした航空型機竜。変形型と非変形型の2種類がある。

非変形型機竜
 内部の主骨格フレームに対して外装をほとんど変動させないタイプ。航空形態・格闘形態・汎用形態の3種類がある。主軸となるフレームが形を変えないので耐久度は高い。しかし航空形態と格闘形態は戦況の変化に対応できず、汎用形態も航空・格闘形態双方の長短を引きずるため、性能がどっちつかずとなる欠点がある。

完全変形型機竜
 内部の主骨格フレーム自体を変形させて外装も変動させるタイプで、航空形態と格闘形態の2形態を切り替えられる。状況に応じ形態を切り替えるため機動力・攻撃力共に高いが、フレーム自体を変形させるため耐久度が低い。

サンダーフェロウ
 概念空間に各種部品やフレームを収納し、状況に応じてフレームを交換することでサンダーフェロウは格闘形態・通常巡航形態・高速巡航形態およびヴェスパーカノン砲撃形態の4形態に己を組み替えられる。また、概念戦争から現代までの間に合一搭乗に関する欠陥が解決された唯一の機体である。全長約30メートル。時速約1200キロで飛行できる。口部の主砲「竜砲」のほか、両翼から雷状の光学兵器を発射し、それを収束して爪状の刃にして攻撃することもできる。
 黒陽と同様に全身の装甲板に光学迷彩ステルスを施すことができる。ボディカラーはブルーとホワイト。

黒陽
 5th-G の自己進化型戦闘用大機竜。別名テスカトリポカ。本体のみの全長は約300メートル。単体では5th-G 最強の戦闘力を持ちながら概念戦争で5th-G の旧式機竜群に敗北した黒陽は、その原因を個体数の差と解釈し、自らの部品から無数の子機を分裂・開発し、大群を形成した。黒陽本体は非変形型の進化をとり、外部に巨大で非常に重厚な双胴のフレームを装備し最終的な戦闘装備の完成した全長は約800メートルに及ぶ。
 爪と牙のほか、背部に合計64門の重連砲門、腹部に強力な主砲「竜砲」を装備している。最終形態で放つ竜砲は、小出力の状態でも有効射程距離21キロメートルの威力を誇る。砲撃するビームは全て黒く光り視認しにくい。基本的には全身の装甲板に光学迷彩ステルスを施した状態で行動しているため姿は目視できず、風圧のみでその存在を確認できる。不可視型の防護フィールドを展開すれば通常型機竜の竜砲攻撃も軽微に抑えることができる。

Low-G の機竜
 Low-G の機竜は、5th-G の機竜を研究して開発したもので、アメリカUCAT が最も先進している。概念戦争時代には、完全変形型機竜ブランカと非変形型機竜サンダーバードの2機種がアメリカUCAT の主力量産機の座を争っており、最終的にはブランカがその座を射止めた。全竜交渉時にはブランカ9というブランカの最新後継機体が量産・主力とされており、アメリカUCAT は68機保有している。日本UCAT や黒陽との戦いで戦線に合計22機が投入された。
 ブランカ型、サンダーバード型ともに全長約30メートル、翼幅約5メートル。ブランカ型のカラーリングはホワイト、サンダーバード型のカラーリングはブルーとホワイト。ブランカ9のカラーリングはブルー。ブランカ9は口部に主砲「竜砲」を、両肩に副砲を装備している。


4th-G と佐山薫との約束
 概念戦争時代に、佐山薫が4th-G の協力を得るためにムキチと結んだ約束。その約束とは、「佐山が知る中で最も信頼し、また治療が必要な者」を「4th-G の治癒力によって癒すこと」であった。薫は治療が必要な者に新庄要を選び、4th-G に治癒を願おうとしたが要は治療を受ける前に亡くなり、結局約束は果たされなかった。

幸いの名
 リチャード=サンダーソンと5th-G 製機竜群の間で結ばれた、5th-G の全権と生き残った竜たちの加護を与える相手につける名。Low-G の発音では「ヒオ」。


主な登場キャラクター
佐山・御言
新庄・運切
出雲・覚
風見・千里
大城・一夫
大城・至
Sf(エスエフ)
リール=大樹
シビュレ
田宮・遼子
田宮・孝司
飛場・竜徹
ディアナ=ゾーンブルク
月読・史弦
ハジ
戸田・命刻
田宮・詩乃
長田・竜美
飛場・竜司

ダン=原川
 全竜交渉部隊の対機竜戦力。尊秋多学院生徒会副会長補佐。2年生。サンダーフェロウの操縦を担当する。日系アメリカ人の少年。本名はダン=ノースウィンドだが、嫌いな父方の姓であるため母方の性を名乗っている。
 相手をフルネームで呼ぶ癖がある。尊秋多学院の自動車部に所属しており、部内では飛場竜司の先輩。横田基地でアルバイトをしている。ニヒルな常識人なのだが、ヒオの行動に巻き込まれて誤解されることが多い。黒陽から逃げ延びてきたヒオを匿ったことから全竜交渉に関わることになる。

ヒオ=サンダーソン
 全竜交渉部隊の対機竜戦力。中学生。サンダーフェロウの操縦補助とリミッター制御を担当する。5th-G の全竜交渉のためにリチャード=サンダーソンと共に来日した少女。黒陽から逃げた先でダン=原川と出会う。
 リチャードとの約束でサンダーフェロウに護られている。黒陽に母親を殺された一件から「悪魔憑き」という誤解を受け、転校を繰り返していた。流暢な日本語を話す。彼女の名「ヒオ」は5th-G において「幸い」を意味し、「いつか護るべき子が生まれた時その名を与える」とショートル3と約束した曽祖父リチャードによって名付けられた。それと同時に5th-G の全権も与えられている。

リチャード=サンダーソン
 5th-G 担当の八大竜王。5th-G の全竜交渉に際して曽孫ヒオ=サンダーソンと共に来日し、復活した黒陽との戦闘で死亡した。アメリカUCAT 所属時代に盟友ジェイムズ=デイヴィスを黒陽に殺されて以来打倒に執念を燃やし、ショートル3や5th-G 機竜群と共に黒陽を北海道近海に沈める。ジェイムズの遺児ジェシカ=デイヴィスを養女とし、行方不明になったジェシカの双子の弟を探している。ヒオの母マリアの死後にヒオを育てていた。

ショートル3
 概念戦争時代に護国課と協力した5th-G の機竜。単体では唯一黒陽の装甲を穿てる武装「宵星砲(ヴェスパーカノン)」を腹部に搭載していた。1941年3月にLow-G の北海道北部の海岸に打ち上げられたところを護国課に捕獲された。概念戦争当時にリチャード=サンダーソンを5th-G に導き、滅亡の真相を語っていた。黒陽との決戦で相打ちとなり大破したと考えられている。
 全長約30メートル。カラーリングはブルーとホワイト。

オドー
 アメリカUCAT の監査官。ディアナ=ゾーンブルクの書類上の夫。「悪臭」の賢石を使う。最初の言葉を二度繰り返す癖がある。生粋のアメリカ至上主義者。かつて親を失い、引き取られた先で虐待を受けていた。オドー(「悪臭」)という名はその当時に付けられたもので、本名を隠すために今も名乗っている。本名はリチャード=デイヴィスで、ヒオ=サンダーソンの大叔父に当たり唯一の肉親である。

ロジャー=シュリー
 アメリカUCAT の監査官補佐でオドーの副官。「夢砂」の賢石を使う。かつて日本UCAT に所属していたことがあり、そのツテでオドーを補佐している。大城至やディアナ=ゾーンブルク、原川唯とは面識があり、少佐になった今も彼らには頭が上がらない。

草の獣
 4th-G の概念世界で動物化した植物。身体を分化できる種族で、複数体に見えても一つの意思が全体を動かしている。「草の獣」とは他種族との対話用に捻出したインターフェイスのこと。6本足のトカゲに似た形をとることが多いが、形状は変えられる。熱を栄養源とし、主に生物の疲労を余剰熱として摂取する。密集すると自重で発熱するため、集団になるだけで生きられる。

ムキチ
 草の獣の指導者。4th-G 概念核の化身。正体は水を肉体とするドラゴンであり、植物に宿って支配すると同時に、情報を共有することもできる。ただしあくまでも植物に宿るだけであり、草の獣とは別個体である。概念戦争中は正体不明の存在として知られ、見破ったのは佐山薫だけだった。

黒陽(こくよう)
 概念核を内蔵する5th-G 最強の黒い大機竜。Low-G では「テスカトリポカ」と呼ばれていた。元は概念戦争における防衛兵器として開発されたが、「要塞化した惑星を壊せば争いは無くなる」と自分で解釈して暴走し2つの惑星を破壊、5th-G の人類を死滅させたとされている。

白創(はくそう)
 5th-G の概念核を内蔵していた自己進化型の白い大機竜。Low-G では「ケツアルコアトル」と呼ばれていた。気象管理用として黒陽と共に開発された。黒陽が暴走した後は機竜達の長として対立した。概念戦争における黒陽との決戦後、ショートル3を除く全機竜と共に宵星砲と合体し、ヴェスパーカノンとなった。

サンダーフェロウ
 ヒオ=サンダーソンを護る機竜。普段は概念空間で待機し、危機に際しては自律行動で現れる。大破したショートル3が自ら修復・進化した機体であるが記憶を失い、機体性能も引き出せず迷彩で姿を隠していた。5th-G の全竜交渉でヒオの前に現れ、一度は拒絶されるがダン=原川の説得により和解し、「雷の眷属の同志(サンダーフェロウ)」の名を得て覚醒する。
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