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長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第47回『如水謀る』

2014年12月19日 23時01分18秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第47回『如水謀る』(2014年11月23日 演出・田中健二)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

豊臣 淀殿      …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

安国寺 恵瓊     …… 知力80、統率力31
 (演・山路和弘)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

毛利 輝元      …… 知力85、統率力80
 (演・三浦孝太)

吉川 広家      …… 知力59、統率力48
 吉川元春の三男。吉川家当主となり従兄・毛利輝元を支える。(演・加藤頼)

大谷 吉継      …… 知力81、統率力80
 越前国大名。豊臣政権の実力者だが、病床に伏している。(演・村上新悟)

豊臣 秀頼      …… 知力44、統率力39
 豊臣秀吉の三男。わずか6歳の若さで豊臣政権総帥となる。(演・小美野来希)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)


ざっとの感想

○「今、天下を太平に導くことができるのは、徳川様しかおられませぬ! この黒田長政、どこまででも徳川様をお助けいたす所存。」
 長政の相変わらずのゾッコンっぷりを軽く受け流す家康ではあったのですが、肝心カナメの親父・如水の動向に関しては、「父は隠居の身でございます。」と、まったく軽く見ている長政の返事しかかえってこないことに若干の不安を残します。

 「これだから、自信過剰なだけの若造はどうしようもない……お前の意見なんかどうでもいいから、少しはあいつの本心のひとつでも探ってくれっつーんだよ!」

 自分が興味のある相手はそっぽ向いたまんまで、ど~でもいいヤツばっか、頼んでもいないのにベタベタくっついてくるこの家康の状況。モテモテねぇ~! こういう側面がミョ~にセクシーに見えてくるから、今年の寺尾家康はいいのよねぇ。なんか、歴代家康役者の中でも、きわだってイケメンなんだよなぁ。いや、実際イケメンなんですけど。

○黒田家の存亡がかかった大いくさも間近だというのに、必死に一日中、諸大名との交渉に駆けずり回って夜中に帰宅すれば、ヨメは得体の知れない心の病にかかって先に床についているという、このさみしさよ……長政さんも大変なのねぇ。
 なんだか、ここ数回の放送のうちに、異様に急激な速さで、今まで円満そのものだった夫婦仲に暗雲がたれこめてきてしまっている長政・お糸カップルなのですが、『軍師官兵衛』の流れでは、その責任の半分は死んだ長政の弟・熊之助にある、みたいな解釈になってますよね。タチワルいな~、だって、たまたまあの朝に熊之助を最後に見かけたのがお糸だった、ってだけなんですからね。熊之助くんも損な役回りをもらっちゃったもんだなぁ。
 史実では、慶長四(1599)年当時のお糸の方は数え年29歳だったということで、現代の感覚からすれば特にどうってこともない肉体年齢なんですが、16世紀のあのころに、この年齢で10年以上かかってやっと1人しか出産できていないという状況は、なかなかにつらいものがあったのかも知れず。「離縁」なんてことを自分から切り出すのも、無理のないことだったのかもしれませんがねぇ。21世紀の日本って、なんだかんだいってもほんとに医学的に恵まれてますよね。今も昔も「さずかりもの」であることに違いはないんでしょうが、昔はほんとに、いろんな厳しい条件が重なりあってシビアだったのねぇ。

○瀬戸内海の海運をフル活用して、京・大坂で起きたニュースをたった「3日」の時間差で九州の豊前国に伝えるという情報体制を可能にした井上九郎右衛門。グッジョブ!
 でも、「3日」かかるんですけどね……「3日」かかるという事実があっても、あの如水が「やりおるのう!」と俄然上機嫌になっちゃうんですから、当時の地方大名にとって、確実かつ迅速な情報伝達がどれほど大変で重要なファクターだったのかが、よくわかるってもんです。
 今じゃあ、よっぽど電波の届かない山奥か離島にでもいないかぎり、日本で情報が伝わるのに「3日かかります。」なんていう状況なんか存在しないでしょうからね。やりようによっては、「所要時間ほぼゼロ秒」で遠い場所の様子がわかっちゃうんですから……すごいなぁ、21世紀! ま、私はそういうの、まったく使いこなせませんけど。畿内~九州間で情報伝達に1週間かかるくらいのスピードで充分ですよ~、あたしゃ。

○冷静に内容だけを見れば、完全に父子決裂の場面なのですが、夕刻の大坂邸での如水と長政の会話のくだり、これはなかなかの名シーンでしたねぇ!
 黒田家の未来を第一に考える太守に成長した長政と、その姿に感じ入りつつも、自らの「天下」にとり憑かれたかのような野望に忠実に生き抜こうとふっきれた如水との、お互いの本質を深く認めあう「わかれ」のひととき。なんか、非常に男くさくてよかったですね~。
 また、生真面目な長政をいなすかのように、苦みばしった笑みを浮かべながら片手をふっと上げる如水のクセが、まぁ~おっさんくさい、おっさんくさい。これまた、岡田さんの老け演技のひとつですよね。顔以外はなかなかにおじいちゃんです。

○最近ず~っと、大坂城以外はなかなか城郭の外観グラフィックが出てこなくてフラストレーションがたまっていたんですが、やっと新しいお城が出てきたかと思ったら、ダーイシの居城の近江国・佐和山城、でかっ! 五層の天守閣だったのねぇ~。なにかとケチな印象の強いダーイシなんですが、ちゃんと使うとこには使ってんじゃないの! この期に及んで、ダーイシの好感度がいきなりアップしました。
 さすが、ダーイシが最終的な防衛拠点に想定していたお城なだけはあります。まぁ、ダーイシ本人は大坂や京で奉行職としてあくせく働いていたから、佐和山城にいる時間自体はそんなになかったそうなんですけど。ワーカホリックだったのねぇ。

○長盛「(如水と)会わぬほうがよい……会えば、たぶらかされるぞ!」

 あくまでも盟友ダーイシのことを思って忠告する長盛だったのだが、それを聞いて内心で、「いや、大丈夫。おめーじゃねーから。」とつぶやくダーイシ。
 長盛てめぇ、それでも、あの太閤殿下のおん弟・秀長公の遺した大和国郡山城を本拠とする戦国武将なのか!? 所領20万石のいっぱしの大名が、所領19万4千石の隠居状態のオレにぐちぐち泣きついてくんじゃねー!! てめーが反徳川派を率いてなんとかしろや!!

 一瞬のうちにさまざまな言葉が脳内に氾濫するダーイシであったが、そんなことを言っちゃうと長盛がほんとに泣き出しそうな気がしたので、ここは言わないでおくのであった……
 ダーイシさんって、ほんとにいいひとなんですね。

○「ぱちんっ、ぱちんっ。」と、なにやら神経質に扇を開けたり閉じたりするクセを、いつの間にやらつけてしまったダーイシ。
 いやいや、この『軍師官兵衛』において、その扇パッチンのクセは、あの将軍・足利義昭公を即座に連想させる特濃な敗北フラグですから、やめといたほうがいいですよー!! 牛乳飲んで、カルシウムを摂取して落ち着いてください!

 ちなみに今さらですが、その当の義昭公は、『軍師官兵衛』ではあったりまえのようにスルーされつつも、秀吉が没する丸1年前の慶長二(1597)年)8月に、61歳の天寿をまっとうしておられます。
 『軍師官兵衛』に登場しなくなって以降の義昭公って、実は天正十五(1588)年10月に秀吉の許しを得て京に帰還できていて、山城国槙島(現在の京都府宇治市)1万石の所領をもらって、だいたい10年くらい、けっこう気ままに京や大坂を行き来するフリーな余生を送っておられてたらしいんですよ。
 これって……戦国の世で言っても現代の感覚から観ても、完全なる「勝ち組」なんじゃないの!? 少なくとも、織田信長とかダーイシよりは安楽な最期を迎えられただろ!
 さすがはおん大将……おつかれさぁーっした!!

○先週から、伊達政宗とか上杉景勝とか直江兼続とか、大河ドラマ好きにとってはたまんないビッグネームがポンポン飛び出てきているのですが、まぁ~、放送スケジュールから観れば、関ヶ原合戦に直接姿をあらわすわけでもないこのへんのメンツは、『軍師官兵衛』には登場はしないんだろうなぁ。惜しいなぁ~!
 でもさぁ、もし出てきたとしても、今までのイメージで言ったら、松田龍平に北村一輝に妻夫木聡ですよ! お茶の間の TVの前にイケメン指数計があったら、全員出てきた瞬間にてっぺんが破砕して水銀とびだしちゃうよ!!
 いいですよ、セリフにその名前が出てくるだけでご飯3杯はいけますからね。今年は名前だけでいいんじゃないんでしょうか。どうせあれでしょ、再来年には出てくるんでしょ? うちの地元の最上義光公は……出てこないかなぁ。『天地人』でさえ出られなかったんだもんねぇ。ハセドージョー!!

●上杉軍と畿内の石田軍とで、徳川勢を関東地方に押し込めて挟み討ちにするという秘策を披露しながらも、「まぁ、これはやんないほうがいいけどね……」と、さっさと撤回してしまう如水。じゃあなんで言ったの!? と唖然とするダーイシ。
 フタを開けてみれば、これは翌年に実際に展開された関ヶ原合戦前夜の情勢にかなり似ているのですが、ここで如水が、おそらくはわざと言わなかったのであろう、「徳川サイドの東北勢が上杉軍を牽制する」という第4の動きによってパワーバランスがかなり変わり、結局は畿内に入る寸前の中部地方でダーイシと徳川軍とのタイマンになるという事態になってしまったのでした。いや~、こうなっちゃうと、ダーイシサイドの勝利はかなり厳しくなっちゃう!
 ただ、この程度の「上杉・徳川・畿内の周辺にいる勢力の動向」というファクターならば、逆にダーイシほどの人物が気づいていないと考えるほうが明らかに不自然なわけで、特に当時の伊達(親徳川派)なんかは、絶対に無視できない恐ろしさがあったはずなのです。

 つまり、ドラマ上は、如水がしれ~っと「関東で挟み討ちプラン」をダーイシにプレゼントしたという流れになるのでしょうが、それがかなり実現困難であることはダーイシにだってすぐに想像がつくはずだったわけなのでありまして……如水、あなた、ダーイシをナメすぎなんじゃありませんこと? いや、結局そういうことにはなったんですけどね。そんなに簡単にダーイシがひっかかるか?

○うわー、AKB 、ひっさしぶりー!!
 しばらく観ないと思ってたら、1599年だから、もう「 AKB61」か! 歳とったねぇー!!
 でも、ドラマ本編に出てないあいだも、彼は小早川隆景といっしょに大陸出兵に従軍して、ちゃんとバリバリ戦果を挙げる武将として大活躍してたんですよ。なかなかマルチな才能を持ったお人だったのねぇ。
 まぁ、もしかしたら、そういう自信が翌年の関ヶ原合戦に向かっていったのかも知れませんが。「高ころび」という予言は、最後には自分に降りかかるものだったのかしらねぇ。シェイクスピアみたいで、ものすごい生涯ですね!

○毛利さんとこの輝元くんは、相変わらず威厳が1ミクロンもないねぇ!
 AKB が、「我が主(輝元)は大老のおひとり。亡き太閤殿下のご遺言を守り、豊臣家をお支えいたす。」としゃべっている間も、なんだか「聞いてねーよ……」とでもつぶやかんばかりの涙目で、おどおどと視線を泳がせています。

 あなた、もっと根性決めてしっかりしなさいよ! 来年の大河ドラマで、あんたの子孫を、あの北大路欣也ちゃんがおやりなさるのよ!? ご先祖様が聞いて呆れますよ。まぁ、あんたがしっかりしてたら、その後の長州藩は存在してなかったかもしれないんですけどね。
 でも、毛利輝元と毛利敬親って、意外とキャラクターが似てたりして……この先祖にしてこの子孫あり、ですよね~!
 勝てねぇ戦いは、ドロひっかぶってでもおりまくる! それがおれたち毛利家のポリシーだぜ!!

○うわー、AKB を演じている山路さん、メイクとかはそんなに変わってないのに、演技が確実に歳をとってる! この人、すごいな!!
 まだ最後まで観たわけじゃないから、ここで言うのはちょっと早いんですが、今年の『軍師官兵衛』で私が感動したキャスティングって、この山路さんと、片岡鶴太郎さんの小寺政職くらいがツートップかなぁ。鶴太郎さんは序盤はコント風すぎてどうかと思ってたんだけど、とにかく晩節の汚しっぷりが最高だったからなぁ。陣内さんの宇喜多直家も良かったんだけど、あれはちょっと、出番が少なすぎだったかしら。

●九郎右衛門「小早川隆景亡き後、毛利には意見をまとめる者がおりませんな……いざ戦となれば、毛利はバラバラになる。」

 いやいやあなた、自分の家のことは棚に上げてよく言うよ! 黒田家だって、先代と当代とで完全に意見がバラバラになってんじゃないのよさ!!
 真田さんとこのご兄弟の話なんか特に有名ですけど、大乱にあたって武家が分裂するのは、どっちかが間違いなく勝ち組についているってことで、最終的に必ずお家を存続させるための鉄板プランなの! そんなの、保元大乱の昔から決まってることじゃないの!!
 石田派と徳川派に分裂してたっていいんです。要は、大乱の後に勢力が半分以下になっていてでも、毛利家が残っているのかどうか!
 むしろ、大老っていう超重量級な立場にありながら(輝元はさらに西軍総大将になってしまう)、ひら~り、ひら~りと限りなく無重力に近い足どりで責任逃れをしまくった末に徳川幕府の大名におさまるというウルトラCをやりのけるにあたって、重臣の誰かが責任を引っかぶるっていうのは回避不可能なアポトーシス的損害なわけなんですよ! トカゲのしっぽ切りとは、よく言ったものです。いや、それはアポトーシスじゃねぇけど。

 というわけで、ご本人はとんと気づいておられないのでしょうが、AKB 、あうとぉ~。

○いや、あの、家康さん、その「人質生活経験者つながり」のトーク、もう前に聞きました。

 ……とは言いつつも、これもあの寺尾家康さんの言うことなんだから、たぶん「いやぁ、キミとの宴席が楽しくてしょうがないから、おじさん久しぶりに酔っぱらっちゃったよ~。」ってことをアピールするための計算づくの演技なんです。こわいよね~!!
 廊下に出た途端に酔ったふりを解除する家康を演じる寺尾さん、楽しそうですねぇ~! そういうところ、秀吉と家康ってけっこう似てるんですね。

○長政からお糸の方に離縁の話が切り出されるシーンが、完全に無言で隣り合って座る2人というショットで処理される演出、なんか、好きですね。セリフを入れてもいいシーンになったのでしょうが、その短さもまた、よしということで。あわれだなぁ。お糸の方、まさかこんなリタイアの仕方になるとはなぁ。初登場時の輝き方がすばらしかっただけに、響きますね。

○ズラリとならんだ西軍武将の名前だけを見ればものすっごく勝てそうですなんですけどね。とくに「島津義弘」と「真田昌幸」の名前が、ギラッギラに輝いて見えるなぁ! ありがたや~。
 ただ、武将のネームバリューも大事ではあるんですが、もっと重要なのは「動員数」と「士気」なのでありまして……「数の上でも勝っている!」とほくそ笑むダーイシのかたわらで、「うち(毛利家)の兵力がみんな西軍についたら、ね……」と、なんだか申し訳なさそうな表情を浮かべている AKBが、来週のキーワードになりそうだぞ! 油断めさるな、ダーイシ殿~。


結論、「第48回がとてもたのしみです。」

 あっ、ず~っとドラマのタイトル映像に出てた「銀白檀塗合子形兜(ぎんびゃくだんぬりごうすなりかぶと)」が、やっと本編に出てきたぞ! いよいよ、最後の決戦のときが近づいてまいりましたなぁ! じゃあ、如水の肖像画でトレードマークになっている、あのおしゃれベレー帽みたいな頭巾は、いつ出てくるのかな?
 予告映像を観るかぎり、来週に関ヶ原合戦までいくのかどうかは微妙なんですが、『葵 徳川三代』の神がかった話はこびを思い出すまでもなく、とにかくここのくだりはおもしろくてしょうがないドラマの連続なので、脚本の方はそこに上手に九州のもようをからめて! がんばっていただきたいと思います~。

 ……といいつつ、そこらへんの放送は、もうとっくの1ヶ月前に終わってて、あさって(12月21日)に最終回なんだそうですけどね。間に合わなかったなぁ~、やっぱ! 毎週ドラマを観るってだけの行為が、こんなに大変なことだったとは……日本全国の主婦のみなみなさまがた、ごくろーさまです!!
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第46回『家康動く』

2014年12月17日 23時30分05秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第46回『家康動く』(2014年11月16日 演出・本木一博)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

豊臣 淀殿      …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

前田 利家      …… 知力77、統率力66
 加賀・能登・越中国を治める大大名。豊臣政権五大老の一人。(演・横内正)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

宇喜多 秀家     …… 知力50、統率力61
 (演・武田航平)

生駒 親正(ちかまさ)…… 知力67、統率力54
 讃岐国大名。豊臣政権三中老の一人。(演・酒向芳)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)


ざっとの感想

●大陸から何日間も軍船の中に押し込められて玄界灘をわたる黒田軍のみなさま、お疲れさまでございます!
 でも、疲弊しきって顔色も悪くなり、無精ひげも目立つわりには、みなさん月代の頭だけはきれいにツルッツルですよね。そこだけは手入れを欠かさないという、武士のたしなみなのか、それとも……まぁ、いいです。
 そこはやっぱり、山田太一監督の藤沢周平ものみたいに、もさっと髪の毛がはえ始めてるタイプの月代カツラを用意してほしかったんですが……そりゃあ、ないものねだりかなぁ~。そういうこだわりがちょっとでも見えると、俄然テンションがあがるんですけどね。

○「どのツラさげて博多までやって来たのか……」って言ったって、だからといって出迎えに行かなかったら、それはそれで「なんという無礼者!」とかってキレるんだろ!? もうどうしたって嫌われるんじゃねぇかよう!! そう言って涙目になり、まぁまぁとなだめる小西行長や増田長盛を相手に、呑めない酒を夜明けまであおり続けるダーイシなのであった……これが単なるツンデレ展開の「ツン」なのであったらば、どれだけ幸せであったことか。恩賞が出せないから、せめてねぎらいの言葉だけでもかけてあげようと思ったのに……
 このくだり、実際に博多港で長政たちをダーイシが迎える肝心のシーンが意図的に描写されていない演出に、ダーイシサイドに対するものすっごい悪意を感じますよね。つまり、長政が如水に語ったニュアンスは多分に長政の主観が入っている可能性が濃厚で、ほんとはダーイシだって、なれない笑顔を必死で作ってがんばって慰労していたのかもしれないのです。
 かわいそうになぁ……主人がおっ死んだ瞬間に、この逆境ですか。坂道を転げ落ちるように、ダーイシ残酷物語の幕が開いてしまうわけなのでした。

●行長「それにしても長かった……7年にもわたる戦! 得る物は何もなかった。無用な仲たがいが生まれただけだ……」

 あの~行長さん、よりにもよってあなたがそれを言いますか? え、おまえ、なに悠長に酒なんか呑んでんの?
 あんたがいっぱしの外交官としてもっとしっかりしてるか、切腹覚悟で大陸出兵を止めにかかるような気概を見せてたら、少なくとも今みたいな最悪の状態にはならなかったはずなんですがね。
 ダーイシを含めて、その場にいたひと全員が、「お前が言うな!!」と心の中で一致団結してツッコんだ瞬間であった。酒の席って、こわいね~。思わず本性が出ちゃうから。

○善助「かつて信長公が本能寺で斃れた際、大殿は、今は亡き太閤殿下を一気に天下人に押し上げなさった! こたびも、必ず動かれる。」
 九郎右衛門「そのこたびは、どう動かれるかのう。」
 友信「ウム、おもしろくなってきたぞ! フッフッフッフ……」

 しれっと、ご主人様のハードルをがん上げにする黒田家重臣団。いや、もうわし、隠居したいんじゃけど!? 廊下で思わず盗み聞きしてしまい、「カンベンしてよ……」とうつむく如水であった。ホント、かわいい部下たちですね!

○おっ、加藤清正さん、なんか久しぶり! 長政とか正則はしょっちゅうドラマに出てましたが、キヨマーだけは、なぜか「大陸に取り残されてます。」みたいなセリフ処理だけで、ず~っと登場してませんでしたもんね。
 出番が少ないせいか、この『軍師官兵衛』では、なんだか他の若手2人よりもず~っとおとなしい印象のあるキヨマーなんですが、大陸では、そりゃもうとんでもない猛将として恐れられまくってたわけでありまして……そこらへんが描かれなかったのは、非常に残念でしたね。彼のそのへんについては、マンガの『へうげもの』を参照すればよいかと思います。同一人物とはとても思えませんよね。
 『へうげもの』でのキヨマーの最後らへんは、カッコイイ男っぷりのオンパレードでしたよね! 特別出演で、大清帝国初代皇帝まで出てたし! ちなみに、加藤清正はヌルハチよりも2歳年下です。すっげぇ取り合わせ……

○おっそ! 前田利家、出てくるのおっそ!! しかも、初登場してセリフのひとっつめからイヤ~な咳してるし!! これはもう、長くて来週くらいまでの命かな……
 ただ、こんなに少なさそうな出番なのに、演じておられるのがあの横内正さまなんだから、なおさら始末が悪い! 横内さまっていうたらあーた、『水戸黄門』の格さんで、『暴れん坊将軍』の大岡越前守なのよ!? サポーターとしてこんなに頼もしい役者さんが、他にいらっしゃるでありましょうか!?

 いやぁみなさん、「殿下がお亡くなりになり、豊臣家にとって今は大事なとき……フンッ、寝込んでなど、おられませぬ……」と語りながら、実にしれーっとした表情で、隣の家康をちらっと見る演技、観ました!? すごいねぇ~、とんでもなく密度の高い名演ですね。
 その、たった数秒のしぐさと数行のセリフのみで、前田利家という大人物に関する、「秀吉のマブダチ中のマブダチ」、「昔はそうとう怖い武将だったらしいオーラ」、「家康さえも黙らざるを得ない威風」、そして、「余命いくばくもないことへの無念」といった膨大な情報を、これでもかというまでの濃度でギュウギュウに詰めて発信してるんですからね! ヨコ様は、やっぱりすばらしい!! 自分の演じる役柄のポジションをよく理解しておられる。
 その演技がすごいだけに、史実の前田利家の「残り時間の少なさ」がホントに身に迫って惜しく感じられるわけなんですが、「タヌキの皮をかぶったオオカミ」と「もと狂犬」の最後の対決、とくと楽しませていただきます!
 肖像画の前田利家ってもっと、痩せてたころの長渕剛みたいな枯れた風貌のおじいさんなんですが、まぁ、ヨコ様でもいいですよね。お顔いっぱいのまっ白ひげときたかぁ。犬千代はサンタクロース♪ 咳してるサンタクロース♪

○この『軍師官兵衛』における増田長盛と小西行長って、ほんとに親しい実力者がその2人だけっていうダーイシがかわいそうでしかたなく見える貧相なメンツなんですが、それでも、「よし、わしが宇喜多、毛利を説いてまわる!」とか「わしは、前田と上杉に話をつける!」とか、けなげにがんばってくれるから泣けてきますよね……ここでダーイシが「もういいんだ、みんな! 死ぬのはおれだけでいいから、さっさと家康に頭下げて取り入れ!」なーんて言ったら、もう最高の青春映画なんですけどね。
 まぁ、「よし……とりあえずみんな、友だちをふやそう!!」くらいが最良の策かな。

○「だぁから、ただの勘違いでしたって謝ってんじゃねぇか! それ以上うだうだ言いやがるんならこっちにも考えがあんぞ!? 大老から降ろせるもんなら、降ろしてみやがれコノヤローバカヤロー!!」

 という、なんだか大河ドラマというよりは『アウトレイジ』みたいな論理で逆ギレする家康。こここ、こわ~い! 結局、力なき規則なぞはおトイレの役にも立たない、ということなのでありましょうか……まさに、乱世!!
 でも、よくよく冷静になって考えてみたら、これはその場の雰囲気に呑まれて退散してしまった生駒のほうが、格段に力量不足でしたよね。そこは家康以外の4大老の総意という形なんですから、それを盾にして、「い、言いたいことがあったら、大坂城に来てくだしゃ~い!」と強気でいけば、まぁどうにかなったはずなのです。
 これはアレよ、なんの事情だかはわかんないけど、中老なんていうケチなランクの生駒ちゃんを特使にしちゃったダーイシサイドの致命的な失敗ですよね。ここの人選で、ほぼ大勢は決したのではないのでしょうか。攻撃の初手は絶対にケチっちゃダメよ!!

○「この前は秀次を止めたかと思ったら、今度はまた長政かよ……わし最近、ひとの挙兵を止めてばっか!」
 というグチを言ったか言わずか。秀吉没後も、如水の憂鬱はまだまだ続くのであった。

 ところで、実年齢で言えば、父子を演じるのはなかなかに至難の業な岡田さんと桃李くんなんですが(8歳差)、ここにきて意外といい方向に効いてきているのが、お2人の「身長差」なんですよね!
 つまり、両者の役のキャラクターを考えてみると、「若き日の失敗を忘れず、慎重な熟慮を常に忘れない老将」という如水が小柄で、「武断派のホープで気性も激しく、苛烈な国際戦争を経験して自信もつけてきている若き大名」という長政が見るも立派な長身という対比が、少々の老けメイクなんか吹き飛ぶくらいに説得力をもってくるんですよね。単体で見ればまったく若いんですが、長政といっしょにいると実に親父っぽくなるんだよなぁ、岡田さん演じる如水が。
 背が低いというのは、岡田さんにしてみれば職業柄あんまりアピールしたくはない特徴だとは思うんですが、この『軍師官兵衛』では、ものすごくいい味わいになっていると思いますよ。逆に、桃李くんくらいに背が高くなっちゃうと、日本の甲冑が似合わなくなるような気もするし。
 こういう後半生の如水を見ていると、やっぱり私は『太平記』(1991年)での、将軍になってからの足利尊氏の苦悩の日々がオーバーラップしちゃうんだよなぁ。時代も立場もまるで違うけど、いろんな事情でやりたいことはやれてないんだけど、理想と信念だけは変えずにもち続けている男って、惚れるよねぇ。

○「じいちゃん、あんたもうすぐお迎えが来ちゃうんだから、ここで家康をやっつけて天下をとったって、どうせもとの木阿弥だよ。ムリしないでおだやかな余生を送りやがれってんだよ、こんちくしょー♡ 」

 という、まるでマムちゃん( TBSラジオ)みたいな論理で利家にせまる如水。あなた、最近言ってることが行き当たりばったりすぎじゃない?
 でも、どうせその場に息子の前田利長(俳優クレジットなし)がいるんだったら、父子そろって、「いや、ワシが死んでも利長がちゃーんとあとを継いでくれるわい! ごらんください、これが新しい『前田幕府』のグランドプランです!」とかって言いながらパワーポイントでプレゼンすればよかったのにねぇ。「え……豊臣政権は?」と唖然とするダーイシ。

○おね「この日本国に太平の世が続くなら、徳川殿でも前田殿でも、誰でもよい! 最もふさわしき方が、天下人となればよい……」

 うわー、バアちゃん、言っちゃったな! ぶっちゃけ、わたしが産んだ子じゃねーし!!

○横内さんの前田利家もずいぶん遅い登場だったんですが、のちに黒田家の深い縁者となる徳川栄姫(家康の妹の娘)15歳もやっと登場しましたね。
 吉本実憂さん、ラジオ日本の『 X21 吉本実憂カラフルボックス』けっこう聴いてます。がんばってくださーい。

○まさか、大河ドラマで「育児放棄問題」が語られる世になってしまったとは……せちがれぇ~!! でも基本的に大名は、子どもは子育てのプロフェッショナルたちに任せて、自分たちでは育てませんからね……あんまり、現代ほど深刻じゃない日常茶飯事だったのかも!? 糸姫、ちょっと休んでたら?

○今週の「寺尾家康の右目オープン時間」は、10秒間でした。だから、なんなんだってばよ……
 あれかな、右目で見ると相手の本心が読めるとかっていう、X-MEN 的ななんかなのかな? なんか、あんまりそんなに役に立ってるようには見えないんだけど……

○家康「石田殿の命にも、まだまだ使いみちはある……違いますかな?」
 こわいねぇ~、やっぱり寺尾家康は! 豊臣政権に対する不平不満をぜ~んぶひっかぶっておっ死んでいただくという算段か。利家も来週までもたずに死んじゃったし、今週の展開で、だいたい家康の天下獲りは完成しちゃいましたね。
 さぁ、どこまで意地を見せるか、ダーイシ、そして如水!?


結論、「第47回がとてもたのしみです。」

 「わしは、我が道を行く!!」

 またしても、いまいち内容のはっきりしない発言をドーンと繰り出す如水だったのですが、善助が勝手に、「天下を取るんですねわかります。」と解釈してくれちゃったから、なんだかそういうテンションになっちゃった! みたいな、実に黒田家らしい展開で来週へと続くのであった。
 でも、こういうバカっぽさって、なんかいいですよね。人生を揺るがす大きな分岐点って、けっこうそんなもんですもんね。

 う~ん、なんか、本放送の最終回(12月21日放送予定)に、この企画がまったく追いつけそうにない空気になってきたんですが……ま、いっか! 自分なりのペースでえっちらおっちらやっていきましょう。

 これ、世間ではとっくに『花燃ゆ』の放送が始まっちゃってるっていう状況で完結するぞ……でも、いいんじゃないですかね、『花燃ゆ』、私たぶん観ないと思うから。休み休み、来年2015年は私、大河ドラマ休みま~っす!!
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第45回『秀吉の最期』

2014年12月11日 23時33分33秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第45回『秀吉の最期』(2014年11月9日 演出・大原拓)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○冒頭で、第二次大陸出兵軍の総大将が、若干16歳の小早川秀秋であることを黒田家重臣の面々が不安視するという会話があったのですが、あれ、総大将、秀秋くんだったの? 出兵したことは確かなんですが、特に秀秋が総大将になるという陣立てではなかったと思うんですが……第二次も、総大将は引き続いて宇喜多秀家だったんじゃなかった?
 だいたい、第一次大陸出兵のときだって、総大将は当時21歳の宇喜多秀家くんだったわけでしょ? 今さら、総大将が若いとか経験がないとか言って士気を下げてる場合じゃないと思うんですけどね。
 秀家だって秀秋だって、血こそつながってはいないものの、まごうことなき豊臣家の貴重なプリンスなんですから! あえて彼らを総大将に選ぶしかなかった、秀吉の苦境も察していただきたいと! あぁ、末期。

○21世紀の現代だってそうなんですから、16世紀の戦国時代ならばなおさら! 海をナメてはいけなかった……黒田熊之助と母里吉太夫、あまりにも残念な海難事故死!!
 でも、熊之助たちが兄や父の許しを得ずに出航したのって、史実だったのか……まさに、若さゆえの過ちというものは認めたくないものです! 認めるもなにも、死んじゃったらおしめぇよ。
 熊之助たちがおそらくは死んだ、と伝える書状を読んだ如水のリアクションが、思いのほか冷静だったのは印象的でしたね。だいたい、熊之助の気性や出発前の剣幕からして、たぶん止めても海を渡ろうとするだろう、とは予想がついていたのでしょうか。
 息子の夭逝を悲しむ感情も当然ありつつ、と同時に、そういう性質を持つ人間は戦国の世を生き抜いていけないと冷徹に見限っている部分もあったんでしょう。天才ゆえの、諦念の境地ですよね。

○自分の手塩にかけて育てた長男・吉太夫の死を悲しむよりも先に、吉太夫が熊之助を止められなかったことを、如水に土下座して詫びる母里友信。う~ん、家臣の鑑だ。友信ほどの武将ならば、おそらくそうするだろうなという、非常に定型的なシーンなのですが、それでもやっぱり、感動しちゃうなぁ。

○結婚して実に14年目、ついに待望の第1子が無事に誕生したというのに、それが男子でなく女子だった(菊姫)ということで落胆の色を隠せない糸姫。
 現代の感覚からしてみれば、男子じゃなかったということでそんなにがっかりするのはなかなか理解できない部分もあるのですが、なんてったって大大名・黒田家の跡継ぎが生まれるかどうかの話なんでねぇ……正直なところ、お光の方のフォローのほうがむなしく聞こえてしまう感情が、黒田家中にはあったでしょうね。
 結婚14年目でやっと1人目か……大変だったのねぇ、長政さんとこも。

○家康「なにが起ころうとも、我ら家臣一同、秀頼ぎみをもり立てますゆえ、豊臣家は磐石。太平の世が続きましょう……」

 出ました、豊臣政権末期名物、家康の心にもないうそうそトーク! 16世紀には ICレコーダーがないゆえ、いくらでも言うのはタダよのう!! 文章の最後に、「秀頼ぎみがちゃんとわしの言うことを聞いてくれたら、ですけどね☆」というただし書きがついているのが見え見えです。

 いくらそういった家康の言葉を聞いても、いっこうに心を安らかにできない秀吉の表情が、まさしく家康の本心を見抜いていますよね。どうしようもない、聞いたところでまるで意味がないのに、何度も確認をとってしまう老王の最晩年……哀しいなぁ~オイ!

●秀吉「わしとて、信長様亡きあと、天下を奪い取ったんじゃ……」

 え!? いやいや、じいちゃんボケたか? あんたが自力で取った領土に比べたら、信長の持ってた範囲なんて、とてもじゃないけど「天下」なんて呼べない狭さですよ! 豊臣政権の3分の1くらいでしょ? あんなもん。
 そりゃあ確かに、信長がヒーコラ言って獲得した畿内・中部地方が全国の中でも特に重要な地域だったことには間違いがないんでしょうが、私はこういう、織田信長の業績を不相応に拡大解釈するような発言がまったく許せません! ましてや、それを老齢で気弱になったとはいえ、あの秀吉に言わせるという脚本の思考回路がまるで理解できない。秀吉は自力で天下を統一したの! 信長は天下統一なんて程遠い時点で、自業自得なうっかりミスで死んじゃったの! そこの差は歴然としてるでしょ。
 脚本家は、毛利家や北条家や上杉家をなんだと思ってるんですか!? 地方大名なめんなよ!! まぁ……私の地元の最上家からは、特にコメントはありませんけどね。

○大陸から帰国した如水の説得によって、初めて次男・熊之助の死を受け入れ、堰を切ったように号泣するお光の方。
 気丈な性格のお光の方ならではの悲しみのシーンなのですが、本人が語っていたように、そりゃああんなに死んだ、死んだと言われてたダンナが有岡城から生還するという奇跡を体験したことがあるんですから、海難事故くらいで息子が死ぬなんてことは、信じられなかったのかも知れませんよね。確かに、遺体が見つかったわけじゃあなかったんでしょうから……でも、それはそれでつらいよなぁ。

●死病の床に伏せる秀吉のもとを如水が訪れるシーンなんですが、如水が右手で片手の手首をつかんで、左手のひらを背中に「そっ。」と軽くそえただけで、けっこう簡単にむっくりと起き上がった秀吉のアクションが、とても死にかけている老体とは思えない! こいつ、自分の腹筋を使って起き上がってるぞ! しかも、如水が脇息を取りに離れたときにもちゃんと自力で起きたままになってるし……じいちゃん、まだまだ元気だわ、これ!!

 こればっかりは、かぎられた予算とスケジュールの中で制作している大河ドラマに苦言を呈するのもどうかと思うんですが……実年齢以上に若々しい竹中さんが最晩年の秀吉を演じるのって、なかなかにムリがあるんですよねぇ。
 だって、眼力はしっかりあるし、歯はちゃんと全部はえそろっていてまっ白だし、首すじあたりの筋肉はしっかりついているし、腕もたくましいし! 声も、しゃべりかたこそスローにしてはいるけど、よくよく聞けば若々しいしなぁ……
 もちろん、頭や手首をこきざみに震わせる演技はしてるんですが、なんか、全体的にうそっぽいというかなんというか……正直なところ、『功名が辻』(2006年)の柄本明さん(当時57歳)とか『天地人』(2009年)の笹野高史さん(当時60歳)の演じる最晩年の秀吉には、ちょっとリアリティの点でおよばない部分があるんですよね。え……あれ? 柄本さんは今年の竹中さんとほぼ同年の時点で秀吉を演じてたんじゃないか! うわーでも十二分にジジイだったよ、あの秀吉は!? すごいなぁ、柄本明は! まったく、なにを今さらですけど。あれはあれですよ、相方の永作博美さん(茶々)も最高だったからなぁ。

 さすがに『利家とまつ』(2001年)の香川照之さん(当時36歳)よりは老けてますけどね。でも、まだまだ竹中さんは若いんだよなぁ! ちなみに、『江』の岸谷五朗さんに関しては、まるで記憶がありません。

○話の本筋には関係のないことなんですが、毎回毎回、観るたんびに「すっげぇなぁ……」と驚嘆してしまうのが、岡田さんがうつむきがちになって泣くと、涙がほっぺじゃなくて鼻筋を流れるってことなんですよね! いやいや、どんだけ鼻筋がとおってるんですか!? さすが天下のおアイドル様は、骨格からして違うよねぇ~!! ほんとに、ほれぼれしてしまいます。

○如水に対して、自分が天下人としていたらなかったことを涙ながらに詫びるというシーンはきっちりあったものの、全体的に淡白な秀吉の最期でしたね。なんか、あっさりめ……まぁ、そこは秀吉が主人公のお話じゃあないんだから仕方がないんでしょうけど。

○うをを! 秀吉の死を聞いた家康が、ついにその、いっつも開いてるんだか閉じてるんだかわかんないくらいにほっそい右目を「カッ!」とひらいたぁあ!!
 ……と思ったら、13秒後にまたいつもどおりにほっそくなっちゃった。な、なんだったんだ……

 なんか、本人の語るところによれば、あそこまで極端に右目だけを細くしているのは計算ずくの演技プランなんだそうですが、それでなくても、寺尾さんはけっこうふだんから顔が左右非対称ですからね。心配しちゃったよ、もう!
 でも、あそこまで顔をゆがめるのって、やろうとしてできることなのか? 少なくとも、私はやってみて数秒ともちませんでした。すっごい疲れるし、なんか身体にめちゃくちゃ悪そう……次に右目がひらくのは、関ヶ原合戦で小早川秀秋をびびらすときかな?


結論、「第46回がとてもたのしみです。」

 ついに、放送第1回から出演していた最重要レギュラーキャラ、秀吉が堂々の退場! 竹中さん、大変お疲れ様でございました~。
 むろんのこと、『秀吉』と地続きでまったく同じキャラクターである、ということはありえなかったのですが、竹中さんが演じたかったという晩年の秀吉を、この2回で十二分に楽しめました。端的に言えば、『秀吉』で暖かく描かれていた「秀吉の家族」がほぼ語られることがなかったことからもわかるとおり、後半はただひたすらに、孤独で心の安らぎに飢える権力者の姿が強調されていたと思います。やっぱり、秀吉は「羽柴」時代が最高に輝いている黄金期だったんでしょうかねぇ。

 さてさて、いよいよ巨星・秀吉も没し、如水最後の大博打が語られるときがやってきました! 放送はあと5回ほどだそうですが、今までほとんど映像化されることのなかった「慶長九州戦争」が、いったいどのような経緯と野望をもって繰り広げられたのか? 残りも心して! 観ていきたいと思います~。

 余談ですが、豊臣秀頼を演じている子役の小美野来希(こみの らいき)くんって、肖像画の秀頼にむっちゃくちゃ似てますよね! 特に、いつも笑ってる、その目が!! やや面長でしもぶくれな輪郭もそっくりだし、これは神キャスティングだ!! でも、もうちょっとで役者さん、変わるんだろうなぁ……惜しい! 惜しすぎる!!
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第44回『落ちゆく巨星』

2014年12月03日 22時52分57秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第44回『落ちゆく巨星』(2014年11月2日 演出・鈴木航)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

豊臣 秀次      …… 知力32、統率力35
 (演・中尾明慶)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

小早川 秀秋     …… 知力21、統率力34
 豊臣秀吉の正室おねの兄・木下家定の五男。小早川隆景の養子となる。(演・浅利陽介)

毛利 輝元      …… 知力85、統率力80
 (演・三浦孝太)

宇喜多 秀家     …… 知力50、統率力61
 (演・武田航平)

長束 正家      …… 知力87、統率力13
 (演・佐久間哲)

小早川 隆景     …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○冒頭から思いっきり「逆心あり!」の嫌疑をかけられてしまった関白・豊臣秀次。実にかわいそうですが、ダーイシににらまれてしまったからには、全てはもう遅いのであった……秀次の失脚とともに、ついに『秀吉』では語られることのなかった「堕ちゆく巨星」、秀吉最晩年の末路の物語が幕を開ける! うをを~。

○いくら自分の身に危険が迫っていると言っても、武装して聚楽第に立て籠もっちゃったら、もうおしまいなんだよなぁ。秀次はまさに、ダーイシの挑発に乗って「挙兵の準備」ともとられかねない行動を実際に起こしてしまったわけで、もはやなんとも言い逃れのできない窮地に立ってしまったのでありました。
 ただし、どうやら史実では、秀次がこのくらいの一触即発の事態になるまで軍事的な緊張状態をつくったという事実はなかったらしく、奉行衆の詰問を受けるとただちに、伏見城の秀吉のもとに向かって釈明のチャンスを求めたそうです。実際の秀次はドラマほど愚かではなかったらしいんですね。
 ところが、迅速に恭順の意を示した秀次ではあったのですが、ついに秀吉と面会することは許されなかったのだそうで……どっちみち、助かる可能性はなかったということなのか! 哀れ、ただひたすらに、哀れ!!

○如水「他に道はございませぬ! 太閤殿下と秀次公は、叔父・甥のおん仲。ここで争っては、天下は乱世にあともどり……天下のために! 伏見へ行かれませ。それが、天下を治める関白殿下のお役目にございます!」

 いつものように迫力だけはある如水の説得に、「天下人たる関白の役目」というアイデンティティを見いだして正気を取り戻す秀次ではありましたが……太閤に詫びを入れるのが関白の仕事なのか!? よくよく考えてみれば、ここでなぜ秀次が如水をたたっ斬らずに素直に納得してくれたのかがまったく理解できない論法になってますよね。秀次くん、そこは雰囲気に呑まれちゃダメよ!
 まぁ、もしここで秀次が意地を通して挙兵したのだとしても、如水が言うほど乱世にあともどりするような大乱になったとは、思えないんですけどね……それこそ、織田信長と将軍・足利義昭公の戦闘程度の規模で終息していたんでしょうが。
 ただし、実際に剣を交えることこそなかったものの、結局、ここで秀次一族が粛清されたことが、豊臣ファミリーの結束力や政権内部での大名間のパワーバランスをのちのち崩壊させる要因になってしまったことは間違いがないわけで、遅かれ早かれ、如水の予言したとおりに乱世にあともどりすることは明らかだったんですね。ダメだこりゃ~。

○史上名高い、京・三条河原での秀次一族39名処刑の惨劇はセリフで語られるのみにとどまったのですが、ホントのところ、豊臣秀次という人物が秀吉に対してどういった感情をいだいていたのか? 政権の中枢にい続けることを望んでいたのか、それとも、のちのちは秀頼に秀吉亡きあとの天下を譲る気でいたのかどうか。そこらへんの本音がまったく語られないまま、トントン拍子で切腹までいってしまったのが、なんとももったいない気がしました。
 証言者によっては、名君にもなるし暴君にもなるし、人格豊かな教養人にもなれば狂気に満ちたサディストにもなる、実にミステリアスな秀次というキャラクターが、中尾明慶さんの名演はあったにしても、ついに「権力闘争の哀れな被害者」という一面から語られるのみにとどまってしまったのは、ちょっと残念でしたね。
 なんか、また中尾さんに秀次をやってもらって、『軍師官兵衛』とはまったく違うアプローチの、秀次事件が中心の歴史ドラマが映像化されないかしらね? 宇月原晴明の『太閤のグロッタ』とかね~。おもしろそうですね~。NHK じゃあ絶対にやれないでしょうね~。

○うわー出ました、豊臣政権末期名物、太閤失禁! これは危険です、秀吉の死も近いです。掃除機のコードで言ったら、もう黄色をとおりこして赤いしるしが見えちゃってます!
 でもさぁ、このとき(1595年)の秀吉って、なんだかんだいってもまだ数え年59歳なんですよ。そこらへんの年齢感覚が、現代人とはだいぶ違うんですよねぇ。現代人よりも「プラス10~20歳」って感じなんですかね。たぶん、やたらと若々しい印象の強い織田信長だって、50歳を目前にした晩年は、いろいろとジジイになりかけてたんじゃないかなぁ。秀吉だけヨボヨボなイメージなのはずるいですよね! それだけ、最期の最期まで全力疾走で生き抜いたってことよぉ。暗殺、ダメ、ゼッタイ!!

○前回からの一連の流れでは、ダーイシのいやがらせにより危うく死にかけたところを助けてくれた見返りとして、北政所おねから関白・秀次の後見人になってくれと頼まれた如水が、秀次失脚のあおりをくらってまたまた危うい立場になってしまい、そこを見透かした秀吉の提案によって、責任追及を不問に処す代わりに、播磨国2千石の小禄をもって秀吉の側近になるという処遇に如水が追い込まれる、というストーリーになっていますね。

 ただ、これは多分に今回の『軍師官兵衛』オリジナルの要素が多いらしく、史実の如水は責任を問われるほど秀次と近い距離にはいなかったらしく、秀次失脚事件とはほぼ無関係な立場におり、如水ほどの大名にとってはちと少なすぎる領地を持って秀吉に仕えていたという事実も、剃髪して隠居した身なのだから収入が簡素になるのは至極当然のことで、今さら奉行衆づれにバカにされるほど零落した処遇ではなかったらしいのです。だいいち、隠居したからといって豊前国の黒田家と関係が途絶したってわけでもないんですからね。
 つまり、如水が2千石の身におさまったのは秀次事件とはまるで関係のない、秀吉に対して他意のないことを示すための積極的かつ賢明な判断だったのであって、ダーイシがどうとか苦難の選択とかいうイメージをことさらに塗りたくるのはどうかと思うんですよね。
 なにも、そんなにダーイシを悪者に仕立てあげなくなっていいじゃないかと。事件の際に、ダーイシが秀次を弁護したと記録している史料だってあるそうじゃないですか。

 まぁ、この流れはこの流れで、物語としては自然でおもしろいからいいんですが、それにしても、この処遇を持って如水が奉行衆よりも格下になったと、増田長盛や福島正則があざ笑うのはいかにもやりすぎのような気はします。今さらあくせく出世競争する立場でもありませんしねぇ……みんな、如水をいじめすぎなんじゃないの!?

○おお、黒田家といえばこのエピソードと語られる、母里友信の「天下の名槍・日本号の呑み獲り」がついにきたー!!
 いやぁ、福島正則って、いつからこんなに品性下劣なキャラクターになっちゃったんだろうか……戦争と酒は、人を変えちゃうもんなんですねぇ!
 生来の超下戸で、酒といえば甘酒くらいしか呑めない私にとっては夢みたいなお話であるわけなんですが、あれ、なんで、お酒を呑むときに杯を「ふーっ!」って吹くんですかねぇ? よくわかんないけど、なんか憧れるゥ!

○長政といい熊之助といい、オレの息子はなんでこーも直情径行なやつばっかりなんだ……内心でため息をつく如水であった。
 そういえば、最近とんと見かけませんけど、弟の兵庫助利高さんは、一体どこで何をしてるんですかね? っていうか、他の弟の利則と直之なんか、少年時代にチラッと顔を出して以来、まるでいないみたいな無視っぷりになってるし!
 あーっ! そういえば、隆大介さんが演じていた如水の叔父・黒田休夢も、いつの間にか先週あたりに死んでる(1594年3月死去、享年70歳)!! いくらなんでも、隆さんをしてその扱いはないんでないのかい……臨終シーンを用意してもらえないどころか、セリフでさえもひとっことも言及されないなんて、やだー!

○何をしても、怒っても笑っても死臭がどこかからただよってきそうな老いが目立ってきた秀吉に対して、重臣を集めて今日も薬草コレクションに精を出す徳川家康55歳、いまだ健康なり! いよいよ、彼が動き出すときがやってきた、ということなのでしょうか。
 それにしても、徳川四天王が語るように「年よりも若く見える」家康なんですが、肌ツヤよし、声の張りよし、髪も黒々といった、人もうらやむヘルシーライフを謳歌してはいるものの、なぜか右目だけは67歳なんだよなぁ、やっぱり。
 あ、あれ? そういえば、前シーンの秀頼元服のテロップで「慶長元(1596)年十一月」って出てたってことは、今までまったく登場しなかった徳川四天王筆頭の酒井忠次さん、ついに1回も出てこないまんま、亡くなっちゃった(1596年10月死去、享年70歳)!? はなはだ残念ですが……まぁ、しょうがねっか。前途洋洋たる家康サイドはヤング&フレッシュを押していかなきゃいけませんからね。さぁ、みんなで東海道をジョギングだ☆

○如水「毛利との戦、まことに難儀いたした。されど、あのころは……あのころは、楽しゅうございましたな……」
 病床の小早川隆景のもとを訪れ、織田政権下での中国戦争と、備中高松城攻防戦からの中国大返しの思い出を語り合って、しみじみ涙する如水。そこに静かに流れる、感動的な BGM……
 でも、それを聞かされた隆景にしてみたら、

「なぁに言ってやがんだ、くそバカヤロー!! お前らのおかげで毛利家は商売あがったりになっちまったんだよ! AKB とつるんで口先三寸でオレと兄貴をだまくらかしやがって……おれたちがいちばん楽しかったのは、オヤジがまだ生きてたころの厳島合戦んとき(1555年)だ、おまえらといっしょんにすんじゃねー、このヒヨッコが!!」

 と、内心グツグツと湧き上がるものがあったのでしょうが……そこは大人ですもんね。如水といっしょににこやかに笑ってましたね。さすがは隠忍自重の名将・小早川隆景よ! そういう大人に、私もなりたい。

○養父・小早川隆景の看病という、しごくまっとうな立場でこの『軍師官兵衛』に初登場した、あの豊臣秀次に勝るとも劣らない戦国悲劇人・小早川秀秋!! この人が出てきたってことは、関ヶ原も近いということなのか……ちなみに、秀次は秀吉の近親者で、秀秋は秀吉の正室おねの近親者なので、同じ豊臣ファミリーでも、秀秋は秀吉・秀次ラインとはちょっと隔たった距離にいます。
 でも、今回登場した数秒間での言動を見るかぎりは、ちょっと武将らしからぬ線の細いところはあるものの、秀秋は秀次よりもよっぽどまともで知性もありそうな貴公子でしたよね。うん、この秀秋ならば、あの天下の名城・岡山城を改修した名君にふさわしい! 秀秋を演じている浅利陽介さん、肖像画の秀秋によく似てるよなぁ~! 似てるけど、頭よさそうなんだよなぁ。
 なるほどなるほど。おそらく『軍師官兵衛』は、最近とみに脚光を浴びている、「関ヶ原合戦で小早川秀秋ははじめっからダーイシと敵対していて、積極的な自己アピールのために家康に加担した」という説を採用すると見た!

 あそらくは数回先の放送でその火蓋が切って落とされるであろう、関ヶ原合戦の展開が、今からすっごく楽しみですね~。
 ……あれ? でも、そのとき主人公の如水は九州にいるんだから……え、もしかして、関ヶ原、まともに描写しなかったりして……いや、そこはなんとか、ちゃんと2画面放送で描ききってくださーい!!


結論、「第45回がとてもたのしみです。」

 若さゆえのあやまちか……黒田熊之助と母里吉太夫のアブナすぎる決死行によってしめくくられた今回でしたが、来週はいろいろと辛気臭いトピックばっかりのエピソードになっちゃうんだろうなぁ。やぁだなぁ~!

 いずれにせよ、次回は竹中秀吉、堂々の御最期! 役柄に込めた18年ごしの想いの積み重ねがどんな感じになるのか、とくと括目して見届けさせていただきましょう!! うわ~楽しみ。
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第43回『如水誕生』

2014年11月27日 22時57分02秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第43回『如水誕生』(2014年10月26日 演出・田中健二)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

豊臣 秀次      …… 知力32、統率力35
 (演・中尾明慶)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

長束 正家      …… 知力87、統率力13
 (演・佐久間哲)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○ついに運命の貴公子・豊臣秀頼が誕生! いよいよ豊臣政権の物語も、クライマックスが見えてまいりましたなぁ。
 それにしても、その誕生の報に接した老父・秀吉が思いのほか冷静に、この大吉報を受けとめているように見られるのが、けっこう意外な演出でしたよね。もっと涙とかよだれをダラダラ流して狂喜すると思ってたのに……あと、まだまだ元気なときに全国の諸大名をムリヤリ参加させて「瓜売り」ミュージカルをやってたんですね、『へうげもの』とちがって。
 秀頼誕生で、久しぶりに思考回路が正常に戻ったか、太閤殿下!?

○「なんとしても生き残る! 意気地がないと言われようと、這いつくばって詫びを入れてでも生き残る……その方が、それがしにふさわしゅうございまする。」
 「それがし、まだ死ぬわけには参りませぬ! この命、お救い願いたい!!」

 もはや、恥も外聞もない「丸ボウズ&土下座」の2連発で秀吉に命乞いをする官兵衛、いやさ如水円清! この、天下人の器さえあると秀吉自身が評し、恐れすらした男のすがすがしいまでのプライドの捨てっぷりに、さすがの秀吉も、笑って赦免せざるをえないのであった……
 ここで、なおも無粋に切腹を押し通すという行為は、生粋のエンターテイナーであることを自らに課した秀吉には絶対に許されない選択肢になってしまったわけで、これはまさに、秀吉が正気であるのならば、そういう人物なのであるということを熟知した官兵衛だからこそできた大博打だったのでしょうね。うむむ……さすがは官兵衛よ!

 ただ、日本には古代から、「主人の家でめちゃくちゃいいことがあったら、家臣や臣民の罪は帳消しにする。」という、理屈はまるで通っていないんだけど、気分としてはよくわかる「恩赦」という不文律な制度があったわけなので、おそらく秀頼が誕生した時点で、史実の官兵衛はかなりホッとしていたのではないのでしょうか。そりゃもう、当時の豊臣家にとって、跡継ぎの男子が生まれる以上にめでたいことなんでないですからね。
 にしても、この官兵衛蟄居と剃髪隠居とをきわめて有機的に、ひとつのエピソードとしてつなげた脚本は、お見事の一言ですね。ここでの官兵衛が、一般的にはそれほど知られていなかったけれど、実はそ~と~に危ない状況にあったという知られざる物語が、とってもドラマティックに立ち上がったと思います。こういうのが、今までの歴史ドラマではサブキャラクターになりがちな人物を、あえて大河ドラマの主人公に選ぶことの醍醐味なんですよね~。

○「官兵衛の不自由な左脚」をたくみに利用した、なんともぶざまな土下座ポーズ! あくまでも、徹底的にカッコ悪く這いつくばる官兵衛の覚悟をわかりやすく見せる演出ですよね。そうそう、「いさぎよく散る」だなんてクソ喰らえ! という戦国人らしい生きざまがよく出ていると思います。

○「水は方円の器に従う……器の形に合わせて、水はいかようにも形を変えまする。」
 う~ん、まさに、如水のスタイルこそが、最強! つまり、黒田如水は戦国武将界のバイオライダーということか! 昭和、平成ぜんぶを通して見ても、あれほどズルい仮面ライダーもいませんからね。応援するどころか、当時まっさらぴんな小学生だった私でさえも、TV の前で「ずりー!!」って叫んじゃったもんね、あのフォームは。クライシス帝国も、つくづくひどいチート野郎を敵にまわしてしまったものです。

○秀吉「清正と正則はもとより、小早川隆景から、早く官兵衛を許して、朝鮮へ戻してほしいと書状が届いた。」
 諸大名からの除名嘆願の書に感謝しつつも、「いや、朝鮮行きだけはカンベンして……」と内心ずっこける官兵衛であった。あの、それとこれとは話が別っていうことで……隠居させてください!!

○秀吉の「極めつけは……茶々からじゃ。」という言葉に、まさしく「聞いてないよー!!」というリアクションを思わずとってしまうダーイシ。おもしろいなぁ~! 秀吉の家族サイドに思いがいたっていなかったとは、どんだけ詰めが甘いんだお前は!? そういう、人情がらみの根回し工作にまったくうといというキャラクターを如実にあらわす演出がとってもいいですね。所詮は、人望においてまるで勝負にならない器の差があったということなのか。あわれなり!

○岡田さんは、ほんとに剃髪してるんですよね? いいですねぇ~、本物のボウズ頭は。頭の形がいいと、かっこいいですよね~。

○関白秀次、いいなぁ~! ていうか、中尾明慶さんが、ものすんごくいいなぁ~!!
 『軍師官兵衛』の物語には、やっと今エピソードから本格的に参加するわけなのですが、もう初登場の時点で秀頼が生まれてるんだもんね! すでに死亡フラグがビンッビンにおったっております!! ち~ん。
 この時期の秀次の、言い知れぬ不安とあせりを一挙手一投足のすべてに投影させる、その演技魂の入れ込みよう。あぁ、できればもっと早くから登場して、出番を増やしてもらいたかった……ほんと、かわいそうなお人ですよね、秀次さん。

○官兵衛の献策により、「秀頼と自分の娘(2歳)との縁談を取りつける」という粋なはからいで秀吉の機嫌をとることに成功する秀次。よかったね!
 それにしても、このエピソードが描かれた1593年の時点で、秀次は26歳の若さでありながらも、すでに「四男一女」に恵まれているという、なかなかな子沢山ファミリーのパパでもありました(子どもたちは全員、母親違い)。
 叔父さんがあんなに子作りで苦心惨憺しているというのに、たいした苦労もせずに4人も跡継ぎ候補がいるという、このあまりにも空気を読まないハッピー感……いや、秀次にとってはどうしようもない不可抗力なんでしょうが、そこらへんに、秀吉が秀次に対してなんらかの悪感情を持つ重大な素因があったのかもしれません。
 どんなになにげないものでも、人よりも運がいいということは、ときに恐ろしい嫉妬を生む……よりにもよって、あの秀吉にねたまれちゃったんですから、まぁ~先は茨の道ですよね。

○家康「分けても長政殿は、他人のような気がせん。」
 うをを、なんという家康必勝の落としテク! これに心を奪われない若手大名がいるでしょうか!? 「あなただけは、別♡ 」という言葉の魔力は、古今東西、男女を問わずものすごいものがありますよね~。怖いね!
 女性方面の話題はなかなか取り上げられない『軍師官兵衛』の家康なんですが、絶対に女性にもモテモテのようなオーラをふんだんに放っている寺尾家康は、明らかにそのルックスだけではない色気を、そのセリフづかいにも濃厚に帯びているのでありました……さすがはルビーの指輪!!

○秀次「官兵衛……今は本気であったか? わざと負けたのではないか?」
 くぅ~、この、秀次と官兵衛との将棋のエピソード、ものすっごくいいですねぇ! 秀次の政治家としての度量の限界と神経質さ、そしてどうしようもない人の良さを、これほど端的にものがたるシーンがあるでしょうか? 秀次、ホンットになんでこんなに出番が遅かったの!?
 「仕える者の顔色をうかがっているようではいけませぬ。」という言葉の重さね。いや、仕える者の内心は絶対につかんでいなければならないわけなんですが、その作業を仕える者自身に感づかれてはいけないという、非常に高度な情報戦の極意ですよね。いや、確かにそれは、秀次には難しいことなのかもしれません。
 しかし、明に暗に、将棋でも政治でも、自分がおそらくは永久に勝てない存在がいるということを知ってしまう秀次の悲しさ。そこを悲しいと感じずに、能天気に達観して生きるという道は、果たして秀次にあったのでしょうか。鈍感に生きるのも、才能ですよねぇ。
 でも、相手が手加減してるってわかるゲームほどつまんないものも、ないよね……


結論、「第44回がとてもたのしみです。」

 案外、スラスラ~ッと文禄役の停戦までトントン拍子で進んでいった今エピソードでしたが、ついにテロップが「文禄四(1595)年七月三日」となり、あの大河ドラマ『秀吉』(1996年)では語られることのなかった、「秀次失脚事件以降」の竹中秀吉の末路編が開幕となりました! うわ~、あんまり観てて気持ちのいいものになりそうにはないけど、やっぱり観たいよう!!

 秀吉の死、家康の台頭、そして運命の関ヶ原合戦……まさに見どころ目白押しの残り数回。豊臣政権のドロドロは、いったいどのような終焉へと歩を進めていくのでありましょうか!?
 正直言って、官兵衛ファミリーのなんやかやはそんなに興味はないけど、慶長九州戦争の初映像化(?)はとっても楽しみです!
 『軍師官兵衛』、どうか尻すぼみだけはせずに、ゴールまでがんばっていってね~!!
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