長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第45回『秀吉の最期』

2014年12月11日 23時33分33秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第45回『秀吉の最期』(2014年11月9日 演出・大原拓)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○冒頭で、第二次大陸出兵軍の総大将が、若干16歳の小早川秀秋であることを黒田家重臣の面々が不安視するという会話があったのですが、あれ、総大将、秀秋くんだったの? 出兵したことは確かなんですが、特に秀秋が総大将になるという陣立てではなかったと思うんですが……第二次も、総大将は引き続いて宇喜多秀家だったんじゃなかった?
 だいたい、第一次大陸出兵のときだって、総大将は当時21歳の宇喜多秀家くんだったわけでしょ? 今さら、総大将が若いとか経験がないとか言って士気を下げてる場合じゃないと思うんですけどね。
 秀家だって秀秋だって、血こそつながってはいないものの、まごうことなき豊臣家の貴重なプリンスなんですから! あえて彼らを総大将に選ぶしかなかった、秀吉の苦境も察していただきたいと! あぁ、末期。

○21世紀の現代だってそうなんですから、16世紀の戦国時代ならばなおさら! 海をナメてはいけなかった……黒田熊之助と母里吉太夫、あまりにも残念な海難事故死!!
 でも、熊之助たちが兄や父の許しを得ずに出航したのって、史実だったのか……まさに、若さゆえの過ちというものは認めたくないものです! 認めるもなにも、死んじゃったらおしめぇよ。
 熊之助たちがおそらくは死んだ、と伝える書状を読んだ如水のリアクションが、思いのほか冷静だったのは印象的でしたね。だいたい、熊之助の気性や出発前の剣幕からして、たぶん止めても海を渡ろうとするだろう、とは予想がついていたのでしょうか。
 息子の夭逝を悲しむ感情も当然ありつつ、と同時に、そういう性質を持つ人間は戦国の世を生き抜いていけないと冷徹に見限っている部分もあったんでしょう。天才ゆえの、諦念の境地ですよね。

○自分の手塩にかけて育てた長男・吉太夫の死を悲しむよりも先に、吉太夫が熊之助を止められなかったことを、如水に土下座して詫びる母里友信。う~ん、家臣の鑑だ。友信ほどの武将ならば、おそらくそうするだろうなという、非常に定型的なシーンなのですが、それでもやっぱり、感動しちゃうなぁ。

○結婚して実に14年目、ついに待望の第1子が無事に誕生したというのに、それが男子でなく女子だった(菊姫)ということで落胆の色を隠せない糸姫。
 現代の感覚からしてみれば、男子じゃなかったということでそんなにがっかりするのはなかなか理解できない部分もあるのですが、なんてったって大大名・黒田家の跡継ぎが生まれるかどうかの話なんでねぇ……正直なところ、お光の方のフォローのほうがむなしく聞こえてしまう感情が、黒田家中にはあったでしょうね。
 結婚14年目でやっと1人目か……大変だったのねぇ、長政さんとこも。

○家康「なにが起ころうとも、我ら家臣一同、秀頼ぎみをもり立てますゆえ、豊臣家は磐石。太平の世が続きましょう……」

 出ました、豊臣政権末期名物、家康の心にもないうそうそトーク! 16世紀には ICレコーダーがないゆえ、いくらでも言うのはタダよのう!! 文章の最後に、「秀頼ぎみがちゃんとわしの言うことを聞いてくれたら、ですけどね☆」というただし書きがついているのが見え見えです。

 いくらそういった家康の言葉を聞いても、いっこうに心を安らかにできない秀吉の表情が、まさしく家康の本心を見抜いていますよね。どうしようもない、聞いたところでまるで意味がないのに、何度も確認をとってしまう老王の最晩年……哀しいなぁ~オイ!

●秀吉「わしとて、信長様亡きあと、天下を奪い取ったんじゃ……」

 え!? いやいや、じいちゃんボケたか? あんたが自力で取った領土に比べたら、信長の持ってた範囲なんて、とてもじゃないけど「天下」なんて呼べない狭さですよ! 豊臣政権の3分の1くらいでしょ? あんなもん。
 そりゃあ確かに、信長がヒーコラ言って獲得した畿内・中部地方が全国の中でも特に重要な地域だったことには間違いがないんでしょうが、私はこういう、織田信長の業績を不相応に拡大解釈するような発言がまったく許せません! ましてや、それを老齢で気弱になったとはいえ、あの秀吉に言わせるという脚本の思考回路がまるで理解できない。秀吉は自力で天下を統一したの! 信長は天下統一なんて程遠い時点で、自業自得なうっかりミスで死んじゃったの! そこの差は歴然としてるでしょ。
 脚本家は、毛利家や北条家や上杉家をなんだと思ってるんですか!? 地方大名なめんなよ!! まぁ……私の地元の最上家からは、特にコメントはありませんけどね。

○大陸から帰国した如水の説得によって、初めて次男・熊之助の死を受け入れ、堰を切ったように号泣するお光の方。
 気丈な性格のお光の方ならではの悲しみのシーンなのですが、本人が語っていたように、そりゃああんなに死んだ、死んだと言われてたダンナが有岡城から生還するという奇跡を体験したことがあるんですから、海難事故くらいで息子が死ぬなんてことは、信じられなかったのかも知れませんよね。確かに、遺体が見つかったわけじゃあなかったんでしょうから……でも、それはそれでつらいよなぁ。

●死病の床に伏せる秀吉のもとを如水が訪れるシーンなんですが、如水が右手で片手の手首をつかんで、左手のひらを背中に「そっ。」と軽くそえただけで、けっこう簡単にむっくりと起き上がった秀吉のアクションが、とても死にかけている老体とは思えない! こいつ、自分の腹筋を使って起き上がってるぞ! しかも、如水が脇息を取りに離れたときにもちゃんと自力で起きたままになってるし……じいちゃん、まだまだ元気だわ、これ!!

 こればっかりは、かぎられた予算とスケジュールの中で制作している大河ドラマに苦言を呈するのもどうかと思うんですが……実年齢以上に若々しい竹中さんが最晩年の秀吉を演じるのって、なかなかにムリがあるんですよねぇ。
 だって、眼力はしっかりあるし、歯はちゃんと全部はえそろっていてまっ白だし、首すじあたりの筋肉はしっかりついているし、腕もたくましいし! 声も、しゃべりかたこそスローにしてはいるけど、よくよく聞けば若々しいしなぁ……
 もちろん、頭や手首をこきざみに震わせる演技はしてるんですが、なんか、全体的にうそっぽいというかなんというか……正直なところ、『功名が辻』(2006年)の柄本明さん(当時57歳)とか『天地人』(2009年)の笹野高史さん(当時60歳)の演じる最晩年の秀吉には、ちょっとリアリティの点でおよばない部分があるんですよね。え……あれ? 柄本さんは今年の竹中さんとほぼ同年の時点で秀吉を演じてたんじゃないか! うわーでも十二分にジジイだったよ、あの秀吉は!? すごいなぁ、柄本明は! まったく、なにを今さらですけど。あれはあれですよ、相方の永作博美さん(茶々)も最高だったからなぁ。

 さすがに『利家とまつ』(2001年)の香川照之さん(当時36歳)よりは老けてますけどね。でも、まだまだ竹中さんは若いんだよなぁ! ちなみに、『江』の岸谷五朗さんに関しては、まるで記憶がありません。

○話の本筋には関係のないことなんですが、毎回毎回、観るたんびに「すっげぇなぁ……」と驚嘆してしまうのが、岡田さんがうつむきがちになって泣くと、涙がほっぺじゃなくて鼻筋を流れるってことなんですよね! いやいや、どんだけ鼻筋がとおってるんですか!? さすが天下のおアイドル様は、骨格からして違うよねぇ~!! ほんとに、ほれぼれしてしまいます。

○如水に対して、自分が天下人としていたらなかったことを涙ながらに詫びるというシーンはきっちりあったものの、全体的に淡白な秀吉の最期でしたね。なんか、あっさりめ……まぁ、そこは秀吉が主人公のお話じゃあないんだから仕方がないんでしょうけど。

○うをを! 秀吉の死を聞いた家康が、ついにその、いっつも開いてるんだか閉じてるんだかわかんないくらいにほっそい右目を「カッ!」とひらいたぁあ!!
 ……と思ったら、13秒後にまたいつもどおりにほっそくなっちゃった。な、なんだったんだ……

 なんか、本人の語るところによれば、あそこまで極端に右目だけを細くしているのは計算ずくの演技プランなんだそうですが、それでなくても、寺尾さんはけっこうふだんから顔が左右非対称ですからね。心配しちゃったよ、もう!
 でも、あそこまで顔をゆがめるのって、やろうとしてできることなのか? 少なくとも、私はやってみて数秒ともちませんでした。すっごい疲れるし、なんか身体にめちゃくちゃ悪そう……次に右目がひらくのは、関ヶ原合戦で小早川秀秋をびびらすときかな?


結論、「第46回がとてもたのしみです。」

 ついに、放送第1回から出演していた最重要レギュラーキャラ、秀吉が堂々の退場! 竹中さん、大変お疲れ様でございました~。
 むろんのこと、『秀吉』と地続きでまったく同じキャラクターである、ということはありえなかったのですが、竹中さんが演じたかったという晩年の秀吉を、この2回で十二分に楽しめました。端的に言えば、『秀吉』で暖かく描かれていた「秀吉の家族」がほぼ語られることがなかったことからもわかるとおり、後半はただひたすらに、孤独で心の安らぎに飢える権力者の姿が強調されていたと思います。やっぱり、秀吉は「羽柴」時代が最高に輝いている黄金期だったんでしょうかねぇ。

 さてさて、いよいよ巨星・秀吉も没し、如水最後の大博打が語られるときがやってきました! 放送はあと5回ほどだそうですが、今までほとんど映像化されることのなかった「慶長九州戦争」が、いったいどのような経緯と野望をもって繰り広げられたのか? 残りも心して! 観ていきたいと思います~。

 余談ですが、豊臣秀頼を演じている子役の小美野来希(こみの らいき)くんって、肖像画の秀頼にむっちゃくちゃ似てますよね! 特に、いつも笑ってる、その目が!! やや面長でしもぶくれな輪郭もそっくりだし、これは神キャスティングだ!! でも、もうちょっとで役者さん、変わるんだろうなぁ……惜しい! 惜しすぎる!!

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