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長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第42回『太閤の野望』

2014年11月21日 10時23分07秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第42回『太閤の野望』(2014年10月19日 演出・本木一博)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

豊臣 秀次      …… 知力32、統率力35
 豊臣秀吉の甥。関白。(演・中尾明慶)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

宇喜多 秀家     …… 知力50、統率力61
 宇喜多直家の嫡男。秀吉の養子でもある。(演・武田航平)

浅野 長吉      …… 知力74、統率力62
 (演・長森雅人)

小早川 隆景     …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○鶴松丸の夭逝、そして大陸出兵の直前という、ギリギリのタイミングで豊臣秀次がやっと初登場! 遅い!! でも、間に合った!
 秀次の「豊臣家の数少ない貴公子のひとり」という存在感や、そのあまりにも頼りないキャラクターをよりドラマティックに『軍師官兵衛』に組み込んでいくのならば、やはり秀吉 VS 家康の歴史的決戦だった小牧・長久手合戦から登場したほうがおもしろかったと思うのですが……いつもの歴史ドラマど~り、まごうことなき「秀吉の傀儡」という意味合いで出てきましたね。初シーンではセリフもなしか……死兆星が日中でもくっきり目視できるレベルの哀しさですね。
 でも、演じている俳優さんが今をときめく「味わい深い脇役界の貴公子」中尾明慶さんなんですから、今後の秀次の活躍シーンが待ち遠しいですね。まぁ、出番はそんなに多くはないでしょうけれども……側室の最上駒姫、出てきてくれるかな……

○「国際戦争のための拠点要塞」という、日本史でもそうとう珍しい目的で建造された肥前国名護屋城は、やっぱり豊臣政権時代の大坂城や徳川政権時代の江戸城・名古屋城に匹敵するかそれ以上の威容を誇っていたのではなかろうかと思うのですが、内観はわかったから、できれば外観のほうを、ちょっとでいいのでドラマの中でおがませていただきたいです……そのうち、CG で製作したものが登場するかしら!?

○絵に描いたようにイケメンな宇喜多秀家も初登場! あなた、ほんとにあの陣内直家の息子さんなのか!? そこはかなくただようバカっぽさも、まさにけがれを知らぬ若殿って感じで、非常に絶妙なキャスティングですよね。宇喜多秀家と豊臣秀次は、まさに豊臣政権の光と影のような関係にありますからね。

●おい、小西行長! 「先陣は小西行長殿。」の宣告に「ニヤリ。」じゃねーだろーが!! 誰のせいでこんな急ごしらえな戦争になったと思ってんだバカヤロー!!
 それは「前線で何かあったら、日本に帰ってくるなよ♡ 」という秀吉からのメッセージなんじゃないのか? 海外事情はどうなのか知りませんが、日本の歴史上の多くの戦争で前線に送り出されるのは、だいたい「裏切る可能性がある」とか「ここで功績を残しとかないとあとがない」とかいう、けっこうヤバめな立場の武将だって相場が決まってますからね。そんなに名誉なことじゃあないと思うんですが……
 ここの行長は、やっぱり千利休切腹の遠因にもなった先週の最低人間っぷりを引き継いで、ダーイシの視線に冷や汗をかきながら「ハイッ、誠心誠意、がんばらせていただきまっしゅ!!」と震え声で叫ぶのが正解なのではないのでしょうか。
 「ニヤリ。」はわけわかんないですよねぇ。二重人格か、脚本のキャラクター造形がぐずぐずなのかのどっちかですよね。

●官兵衛と小早川隆景という、当時の日本で最高峰の司令官2人の提案した修正案に不満をつのらせるダーイシもダーイシですけど、「うん、じゃあ先陣は交代制で。」と、いとも簡単に太閤の意思をねじ曲げる秀家くんも秀家くんですよ。
 いや、そこはやっぱり軍師'S の意見がいちばん正しいわけなんでしょうが……そんな、いちいち各武将のメンツを考えなきゃ動けない遠征軍なんて、出陣する前からダメだ、こりゃ!!

○わずかな時間ながらも、渡海中のゲーゲーシーンをちゃんと映像化した製作陣に拍手を送りたいです。うん、そこは大事ですよ。
 母里友信と後藤基次でさえダメなのに、井上之房が平気な顔をしてにぎりめしを食べているという人選もいいですよね。有岡城救出作戦でもそうだったけど、井上さんはホントにひとりだけいいところをかっさらっていくな!

●制作上の都合でたぶんそうなるだろうなぁ、とは思っていたんですが、やっぱり、大陸出兵の戦場シーンが日本軍の進撃ばかりを簡単に映してナレーション処理するばかりで、相手である李氏朝鮮王国軍の軍装や防戦のもようがさっぱり描写されてないのは、やっぱり残念だったらありゃしねぇ!!
 予算上も放送スケジュール上も、そして現代における国際関係上もキビしいだろうことはよくわかるのですが……もうひとこえ、いけなかったかしらねぇ!?

●李氏朝鮮王国の首都・漢城が陥落したという報告を聞きながらも、「王を逃がしたか……」と落胆の色を隠さない官兵衛。さすがですね。
 でもよくよく考えてみれば、戦争で大将が死亡するなんてことはどこの国の歴史をひもといても滅多にないことですし(それこそ今川義元か龍造寺隆信くらい?)、たとえ死亡しても、その後継者がどこかで健在だったら戦争は終わらないわけです。その上さらに、アジア大陸は日本どころじゃなく逃げ放題な広さなんですからね……
 つまり、「首都が陥落した」というニュースを聞いただけで狂喜する秀吉、という描写は、あまりにも秀吉を馬鹿にしすぎた虚構なんじゃないか、と思うんだなぁ。いくらなんでも、そんなにボケてはいないと思うんだけど……

○長政「このひと月、敵の水軍に阻まれ、何も届いておりませぬ……」
 うをを、「敵の水軍」!? いま、「敵の水軍」って言った!? それ、李舜臣(イ・スンシン)じゃね!? そこよ! そこをどこよりも先に映像化してくれって言いたいのよ~!!
 でも最近の研究によれば、朝鮮水軍は日本軍の兵糧補給にとってそれほど決定的な脅威にはなっていなくて(完全な分断状態にはならなかったらしい)、とにかく問題だったのは「日本軍の補給範囲の急激すぎた拡大」と「朝鮮王国の深刻な食糧不足」だったのだそうで。前線まで兵糧が行き渡らないんですよね。『信長の野望』でも初心者がよくやってしまうイージーミスです。
 戦いに勝っても勝っても実入りが減るだけなんだったら、そりゃあ当時世界有数の軍事力を誇った日本軍だって、戦意も喪失しますよね。
 官兵衛が言うように「大義がない」から戦争に負けるんじゃあないんです。「ごはんがない」から戦争に負けるんです。

○何のためにのこのこ顔を出してきたのかわからないダーイシにますますイライラのつのる前線軍議なわけですが、一見無表情なだけのように見える黒田長政のつぶらな瞳が、まぁ~怖い怖い。
 これはまさに、あの城井鎮房を自ら斬り捨てるというエピソードを経た、『軍師官兵衛』の松坂桃李さんが演じているからこその殺気ですよね。見事な緊迫感でした。

 ところで、あの長政と後藤基次の不仲のきっかけになったという「基次見てるだけ一騎打ち」エピソードは、映像化されないんでしょうか? おもしろいのになぁ、映像化されたら。

●豊臣秀次の登場や、弟・秀長の死がかなり淡白に扱われているということもそうなんですが、秀吉周辺の人間模様ということになると、最近のドラマではまず確実に出てくるはずの「秀吉の生母・なか」や「秀吉の実姉・とも」が意図的にお話に顔を出さないという『軍師官兵衛』の采配が、今週も如実に現れていましたね。母ちゃんが死んだという、その直後のシーンで「めでたけれェ~♪」と能のお稽古とは……
 考えてみれば、秀吉一家だけの話にとどまらず、『軍師官兵衛』には、『秀吉』であたたかく描かれていた「ファミリー」の要素がかなり削がれているような気がします。それは、さかのぼれば柴田恭兵さんが退場したあたりから顕著になりましたよね。官兵衛と長政の関係も、ずいぶんとドライだし……
 その反面で「夫婦」をクローズアップするという趣向は、「官兵衛&お光」、「信長&お濃」、「秀吉&お寧」、「長政&お糸」あたりで強調されていたような気がするのですが、それも最近はあんまり観られなくなってますよね。「秀吉と茶々」の関係は、あれは夫婦じゃなくて「永遠にすれ違い続ける恋愛」ですから。秀吉が道化になるばかりで深みがないんだよなぁ。肝心の茶々も一向に魅力的にならないし。

 それで、じゃあ今はなにが『軍師官兵衛』の特色になってるのかっていえば、「ダーイシのジェラシー」と「寺尾家康の右目」でしょ……もっとなんかさぁ、フレッシュな見どころはないもんかねぇ!?

●「碁」だの「無断帰国」だのと……あまりにも姑息な手段で官兵衛を陥れるダーイシの短絡さ加減、ここにきわまれり! おまえは『小公女セーラ』の意地悪な女の子か!?
 いや、いくらなんでも、そんなに自分の利益のことしか考えてないひどい人じゃあなかったと思うんですが……全ては、関ヶ原合戦に通じる「負けフラグ」なのか!? 小西のキャラクターのまれに見るひどさも、そこなのかなぁ、結局。


結論、「第43回がとてもたのしみです。」

 「王を逃がしたか……」という発言からもわかるように、いちおう平和、平和と言いつつも、始めたからには確実に戦争に勝つことを目指す官兵衛ではあったのですが、全体的に時間の流れを休戦にササーッと持っていったために、「大戦争に積極的に参加した黒田家」というポイントがわざとかすむという、なんとも玉虫色なエピソードになってしまいました。まさに、「悪いところはぜんぶ秀吉と三成にひっかぶってもらう」という、本編の三成もかくやという脚本テクニックでしたね。ほら、だから「名将」と「戦争反対」なんて共存しっこないんですってば!

 余談ですが、私が歴史に興味を持つきっかけとなった記憶のひとつに、私が小学校高学年だったか中学生だったころに NHKの衛星放送第2で放送されていた、韓国の歴史ドラマ『朝鮮王朝500年 壬辰倭乱』(1985年制作)にドはまりした、というものがありました。
 これはタイトルのとおり、「壬辰倭乱(イムジンウェラン 文禄役のこと)」を朝鮮王国の視点からドラマ化し、物語の主人公を救国の英雄と今なおたたえられる李舜臣にしたという作品で、今週の『軍師官兵衛』のようなていたらくしかお目にかかれない日本人からしてみれば、まさしく「かゆいところに手の届く」内容になっていました。まぁ、朝鮮王国の当時の風俗やリアクションがよくわかるという反面、日本軍の軍装が「え……源平合戦? 段ボール製?」と感じられなくもない違和感もあったのですが、そんなことはどうでもいいでしょう。

 李舜臣の波乱の生涯のおもしろさや、日本人から観たときの内容の新鮮さもさることながら、私が当時、ガキンチョだてらにいたく感心したのは、制作した国からしてみれば悪逆非道の人でなしに見えてもおかしくはなかった豊臣秀吉の人間性を、日本制作のドラマと遜色ないほどに立体的かつ魅力的に造形して、「戦争をせざるをえなかった孤独な老王」として活かしていた、という点でした。確か、泉谷しげるさんみたいな人間味のある俳優さんが好演していたと記憶しています。もちろん、秀吉を無言でおびやかす徳川家康(顔は五木ひろし系)の存在もしっかり描写されていました。
 ミニチュア撮影ながらも迫力満点な海戦シーンもすばらしかったのですが、やっぱり、敵も味方も同じようにわけへだてなく活写するというそのスタイルに、私はかなり感動した記憶があり、あれから20年ほどたった今でも、私の心の中には強く、「歴史ドラマかくあるべし。」という教えが生きているような気がするわけです。


 つまりなにが言いたいのかといえば……最近の『軍師官兵衛』、視野せますぎ!! ここまでやったら NHK、いつか必ず石田三成が主人公の大河ドラマを作って穴埋めしろよ~!!
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第41回『男たちの覚悟』

2014年10月27日 11時45分26秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第41回『男たちの覚悟』(2014年10月12日 演出・藤並英樹)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

豊臣 秀長      …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

千 利休
 (演・伊武雅刀)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○官兵衛「徳川様……こたびの国替え、天下のためになるかどうかは、徳川様次第!」
 おぉ、ここで出ました、官兵衛の「秀吉とはもうやっとれんわ」宣言!! 豊臣政権はまだまだ続くんですが、けっこう早いうちに出ちゃいましたね。
 豊前国の城井騒動からず~っとわだかまっていた不信が、ついに今回の北条家処分で爆発した、というかたちになりました。なかなか、ここ5回ぶんほどの秀吉の暴君っぷりは常軌を逸したものがあり、それにしたがってみるみるうちに無口になっていく官兵衛の姿も痛々しいものがあったのですが、これも、元はといえば官兵衛はついつい口にしてしまった「ご運が開けました」発言に起因するものが大きいわけでありまして……
 視聴者としては、どんどん人としての魅力が下がっていく秀吉と、その陰湿なあてつけに苦悩する官兵衛を毎週観るのはツラいものがあるのですが、それだけ、ここ最近の脚本には一貫した流れがあるわけでね。信長時代にはいまひとつはっきりしなかった官兵衛中心の物語が、秀吉時代にはものすごく前面に押し出されていて、すばらしいことだとは思います。
 思うんですが……秀吉・ダーイシ・茶々の3人の魅力のなさがキッツいキッツい! 早くなんとかなってくれや~。

○右目の開きぐあいは相変わらずアレなんですが、なんだかんだいっても、やっぱり寺尾家康は精悍で肌ツヤが若々しいですよね! うん、確かに、秀吉の後の時代を担うエネルギーは持ってるわ。低音の声と身のこなしに言い知れぬスゴみがありますよね~。

●はい、予想はしてたんですが……ズコー! オープニングクレジットが終わって本編に入った瞬間に、全国の東北戦国大名ファン、枕をならべてみ~んなズコー!!
 東北平定がまるごとオールカット!? いや、気持ちはわかる! とっとと大陸出兵にいきたい気持ちはよくわかる!! でも……北条が滅んだからってハイ天下統一、ってさぁ! そりゃあ~いっぐらなんでもあんまりなんでねぇがず!?
 「源頼朝を超える史上最強の天下人」という目標を強く意識していた秀吉にとっては、例えそれがほぼ形式的な内容だったのだとしても、奥州の奥の奥までたいらげるという事業は非常に重要な意味があったと思うんですが……まぁ、確かに実質的な最後の強敵は北条家だったわけだし、しょうがねっか。
 これじゃあ、まるで九州と瓜二つの混乱っぷりを呈したその後の東北とか、翌年の九戸政実の乱とかもオール無視なんだろうなぁ……
 私自身は特に好きではないんですが、伊達政宗みたいな好キャラクターもドラマに出したらいいと思うんですが……ダメ? もう時間ない?

○官兵衛「耳の痛くなる言葉はいらぬとおおせであれば、それがしにはもはや殿下の軍師は務まりませぬ!」
 秀吉 「たわけたことを申すな! 貴様がこのわしの軍師になるかならないかは、このわしが決めることじゃあ!!」

 官兵衛と秀吉の決裂をしめす迫力の名シーンだったのですが、このときの秀吉の剣幕って、明らかに『秀吉』の渡信長のドスのきいたタンカを意識してますよね……江口信長じゃなくて。
 信長なんかハナにもひっかけない強大な権力を手中におさめた秀吉ですが……言ってることはただの成金わがままオヤジだからなぁ。人間、裕福になってもこうはなりたくないもんですね。

○ついに明帝国への出兵が間近になった段になって、李氏朝鮮王国にまったく話が通っていないという大問題が出来! その全権外交を務めたはずの小西行長は、まるでガキの使いにもならない、コンビニアルバイト初日の大学生のようなオロオロぶりを発揮!! 「ごめんなさい、まだ言ってない。」じゃないよと、あきれ返る官兵衛と利休。
 いや、そりゃあ朝鮮王国だってひとつの国家だし、そうすんなりと首を縦にふるわけもないのは当たり前なんでしょうが、話をしてないとは、いったい……穏便にすませられるとでも考えていたんでしょうか。国際戦争の話だっていうのに?
 小西の能力に問題があるのか、それとも、小西に否定的な報告をすることをためらわせた秀吉の恐怖政治がいけないのか。
 私も若いころは一方的に「小西、使えねぇ~!」などと考えていたんですが、年をとっていろいろな経験を積むと、これが段々と小西の肩も持ちたくなってくるようになるんですよね。中間管理職を苦しめるような職場は、いけませんよ……まぁ、小西は最低ですけどね。

○小西「正直に申しあげれば、それがしの首が飛びます……なにとぞ、お助けくだされ!」
 出ましたね~、この『軍師官兵衛』における、中川清秀に続く「悪役にもなれない最低ダメ人間」、認定でございます。
 なんでわしがお前の尻拭いを……という官兵衛のまなざしが哀しい。それにかまったら荒木村重の二の舞どころか、それ以上の崩壊が待っていることは間違いがありません。
 でも、まさかこんなにひどい役回りをさせられることになろうとは。小西本人も草葉の陰でオーマイゴッドですよ。

○今まで、政治に関してはかたくなに沈黙を守り続けていた利休が、ついに官兵衛もかくやというストレートな諫言を秀吉にぶつける!
 昔から、「秀吉 VS 利休」という名勝負は数多くの名優同士の演技対決で彩られてきましたが、やはり今回も、利休の権力にまったく動じない言葉の重みが勝りました。やっぱりすごいなぁ、利休って。
 それにしても、先ほどの秀吉 VS 官兵衛さえをも上回る名シーンだったわけなのですが、まるで官兵衛が2人いるような……ってか、実際に「新旧の」官兵衛役がそろい踏みしていたわけでしてね。伊武さんが利休を演じているというキャスティングが大いに奏功した共演でしたね! これにはさすがの竹中秀吉もたまらず逃走。

○利休「茶の支度が、できております。」
 う~ん、まさしく死にも動じない利休の境地が垣間見える最期のセリフでしたね。
 これにバカ正直な足軽が「あっ、切腹直前なのにスンマセン、じゃあ、寒いんでいただきます。」って答えて茶室に入ってくるまで、ちゃんとやんなきゃ! 畳びしょびしょ。

○今も昔も、夏の酷暑っていうのは身体の弱い人にとっては大敵なんですねぇ。「七五三」っていうくらいで、三歳になるまでが一苦労な時代だったんですもんね。でも、今でも「 SIDS(乳幼児突然死症候群)」だなんだって言いますから、いつの世も子どもは大切にしなきゃあいけませんね。もっとも鶴松丸だって、当時の日本の中では最高級の環境の中にいたんでしょうが。


結論、「第42回がとてもたのしみです。」

 序盤の天下統一という大ニュースも瞬時に消えうせてしまうかのような、豊臣秀長・千利休・豊臣鶴松丸の死の3連チャン!! 非常に重苦しいムードの回になってしまいましたね。まぁ、そうなるのはわかってるんだけどよう!

 そして、いよいよ大陸出兵になだれ込んでしまうわけなんですが……黒田父子は隠れもなく大陸戦線で大活躍してしまうわけなんですから、ここ最近の戦国もの大河ドラマの主人公たち(徳川家・前田利家・山内一豊・直江兼続・お江の方)のように、知らぬぞんぜぬの「エセ反戦スタイル」をとるわけにもいかないし。ドラマでどう描写されるのか、現代的な観点からみれば非常に大変な脚本の舵取りが予想されます! 「命を大事に」なんて言ってられな~い!!

 いよいよ終盤戦! がんばれ黒田ファミリー!!
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第40回『小田原の落日』

2014年10月24日 11時27分05秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第40回『小田原の落日』(2014年10月5日 演出・大原拓)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

北条 氏政(うじまさ)…… 知力101、統率力106
 (演・伊吹吾郎)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

豊臣 秀長      …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

北条 氏直(うじなお)…… 知力64、統率力79
 (演・羽田昌義)

浅野 長吉      …… 知力74、統率力62
 豊臣家重臣。秀吉の義弟にあたる。秀吉の死後に「長政」と改名した。(演・長森雅人)

長束 正家      …… 知力87、統率力13
 豊臣家重臣。主に財政を担当し兵糧奉行を歴任する。(演・佐久間哲)

小早川 隆景     …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

千 利休
 (演・伊武雅刀)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

●なんで、おねが大坂城から京の聚楽第(じゅらくてい)に居を移す、っていう秀吉の裁定に、その場が急激にぎすぎすした空気になるのか、その理由がさぁあ~っぱり、わかんない!
 九州征伐が終結したあとの天正十五(1587)年九月から、秀吉が関白位を甥の秀次に譲る天正十九(1591)年十二月まで、豊臣政権の中枢である秀吉の居城は、まごうことなく聚楽第だったわけでしょ? そこに秀吉の正妻が移住して、なんでそれが冷遇みたいな印象になっちゃうわけ!?
 これはもう完全に、大坂城もどきの大阪城のほうが、現存していない聚楽第よりも「秀吉といえば?」のイメージが強いっていう、後世の勝手な思い込みだけにしか基づいていない脚色じゃないですか。くっだらねぇなぁ~オイ!! 現存していないのは大坂城もおんなじことなのにさ。

 大坂城が、竣工から1600年までず~っと天下の中心だったと思うなよ!? ジュラクよ~ん♡

○まことに地味~な顔ぶれですが、ダーイシ・増田・浅野・長束という「豊臣政権五奉行」のうちの4名までがそろい踏み! 燃えてきたぞ~。もうひとりの前田玄以(映画『清須会議』ででんでんさんが演じていた人物)が登場するのは、もうちょっと後でしょうか。浅野長吉(長政)がミョ~に男前だ!
 ちなみに、「五奉行」というのは、豊臣政権下で奉行職を務めることが比較的に多かった5人をピックアップしただけの後世の呼称であって、当時の政権下でその5人が特に強大な権力を握っていた、という「四天王」みたいなニュアンスは特になかったようです。THE・管理職!!

○豊臣鶴松丸に黒田熊之助という、先々のことを考えれば涙なしには見られない「先立つ不幸をお許しください」ペアもそろい踏みしました……くぅう~!! 幸、うすいです。

●北条氏政の大爆笑、という名の滅亡フラグ。ち~ん……そんなに楽観的なバカ殿じゃあなかったと思うんですけどね。

○別におかしいとまでは言わないのですが、豊臣秀長が火鉢を使うくらいに寒い夜なのに、官兵衛がはだしなのはどういうことなのだろうか……さみぃばっかしだし、姿勢を崩さざるを得ないだけに、それはさすがに失礼なんじゃないの?
 官兵衛がそんなにアブラ足だったっていう設定なのかな……いや、それじゃなおさら失礼だよな……
 それにしても、豊臣秀長がやたら真剣に豊臣政権の行く末を気にしだしていいひとっぽくなるっていうのも、典型的な死亡フラグ&滅亡フラグですよね。なんか、今回のエピソードは全体的に不吉な予兆ばっか!

○あぁ、今年の大河ドラマって、主人公よりも徳川家康のほうが大柄なんですね。いろいろと斬新なんだなぁ、寺尾家康って! かなりスリムですしね。

○秀吉さん、「つまらんっ!」じゃありませんよ、まったく……
 官兵衛・隆景・利休のフォローを受けてやっと機嫌がよくなったとおもえば、この暴君っぷり。やっぱダメだ、このジジイ……いや、ジジイって言っても、この時点(天正十八年)での秀吉はまだ54歳なんですけど。利休のノーリアクションがめちゃくちゃ怖いですね。
 それにしても、年上の官兵衛の「じゃあ、やってみれば?」というフリに内心で恐怖するダーイシのほうに感情移入して「かわいそう……」と感じてしまうのは、私だけではないはずです。ビッグマウスは大変なのだ~。

●氏政「ふざけた真似を……いくさをなんと心得ておるのだ!?」
 いや、そう言うんだったら、かの「河越野戦」のときのあなたのお父上みたいに、堂々とうって出たらいいんじゃないっすか。ずっと引きこもってないで。
 まぁ、それができなかったという時点で、勝敗と父子の器量の差はすでに歴然としていた、ということで……もしやったら、どうなってたんだろうなぁ。
 それで豊臣軍が壊滅するということはなかったにしろ、大軍の足並みをそうとうに動揺させる撹乱にはなったかもしれませんよ。ワンチャン秀吉の首なんか取れたら、大大フィーバーものですよ☆

○うわー、今か今かと待っておりましたが、ついに放送第1回のアバンタイトルに、時間が戻ってまいりました! 初見では、のっけから「命を大事に!」なんて叫んでたから「なに言ってんだ、この戦国武将は!?」と大いに不安になっていたものですが、それまでに放送40回ぶんのあれやこれやがあったのねぇ……
 それにしても、アバンタイトルからの再録部分とその前後とで、官兵衛を演じている岡田さんの貫禄や発声がまぁるで違いすぎ!! これが経験値、というものなのね~。

 どうでもいいんですが、それの前フリということでさらっと流されていた北条軍の「火薬とか鉄砲玉とかを送りつける」返事のしかた、やだ、かっこよすぎ……やるじゃねぇか、坂東武者♡

○『軍師官兵衛』では気持ちよくカットされてしまっていましたが、ダーイシ三成が今回のエピソードの始まりと終わりとで、どうしてそんなにテンションの差があったのか……そこらへんの経緯をよく知りたい方は、小説か映画の『のぼうの城』を参照してみてネ、ということで。
 しかも、官兵衛とか秀吉の作戦のパクリとそしられても仕方のない水攻めですからね……ダーイシ、つくづくここ一番の勝負に弱い男よのう!!


結論、「第41回がとてもたのしみです。」

 なんかもう、ここんとこの秀吉さんは、機嫌がよくなって大笑した次の瞬間には、もうムッチャクチャなことを言いよるからね! ついていけません……ふと気がつけば、「さっさと死んでくんねぇかな、この人。」というブラックな感情が巻き起こる巻き起こる。気持ちいいくらいの暴君ですよね~。

 いやぁそれにしても前田利家と豊臣秀次が出てこない出てこない! さすがにそろそろかとは思うんですが、秀吉の落日を飾る面々のオールコンプリートも、そう遠い先ではないはずです。
 期待してますよ~んっと。
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第39回『跡を継ぐ者』

2014年10月09日 11時27分55秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第39回『跡を継ぐ者』(2014年9月28日 演出・田中健二)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

北条 氏政(うじまさ)…… 知力101、統率力106
 戦国北条家第4代総帥。家督は嫡男・氏直に譲っているが実権を掌握し続けている。(演・伊吹吾郎)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 豊臣家重臣。主に外交交渉を担当していた。(演・有薗芳記)

豊臣 秀長      …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

北条 氏直(うじなお)…… 知力64、統率力79
 戦国北条家第5代総帥。北条氏政の嫡男。(演・羽田昌義)

千 利休
 (演・伊武雅刀)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○天正十七(1589)年五月。黒田孝高44歳、黒田家家督を嫡男・長政22歳に譲り、隠居(ぜんぶ数え年計算です)!
 でも、そうか、かつて永禄十(1567)年に、孝高22歳は父・黒田職隆44歳に家督を譲られていたんでしたっけ。
 え!? 似てるもなにも、年齢の関係がまったくいっしょじゃありませんこと!? すごいなぁ~、黒田家! 実は豊臣家の後継者うんぬんなんか関係なく、タイミングがいいから、もともとこの年に隠居するって決めてたんだったりして!?
 現代の感覚からすればずいぶんと早い隠居のような気がするのですが、無論のこと、これが官兵衛の政治活動の終了を意味しているはずがなく、官兵衛は引き続き、というか以前にも増して中央の豊臣政権に活動の重心をおいてくるわけでして、疑われているからこそ、疑っている人物との距離を縮めるという捨て身の決意が込められている隠居であることは間違いがないのでありました。

 それにしても、かつての小寺家に相当する脅威が、今の豊臣政権とは……スケールちがいすぎ!!

○非常に心温まる、長政とお糸の方との晩酌シーンです。お糸の方は、いいね……

○ダーイシ三成、額にぶっとい青筋をおったてて「官兵衛なんか、隠居させりゃあいいじゃない!」と秀吉に嘆願。男のジェラシーは醜いったらありゃしねぇや! 女のジェラシーは怖くて、たま~に魅力的ですけど、男はただただ、その人物が小さく見えるだけですからねぇ……
 実際の石田三成がどういう人物だったのかはよくわからないんですけれども、私はどっちかっていうと、石ノ森章太郎の『マンガ日本の歴史』に出てきた三成のような、まじめだけどどこか抜けたところもある、バブル期に浮かれてしまった悲劇の凡人のようなキャラクターのほうが好きです。田中さんの三成は、とにかくいっしょにいて肩がこりますよね、たぶん。

○「懐妊しました。」という事実で、鬼の首を取ったかのように傾城ぶりをバリバリ発揮しはじめる茶々姫。でも、別に政治にまで口出しをしてるわけじゃないから、激務に疲れた秀吉にとっての、そういうシチュエーションのお店のような存在で、たまにはけっこうなのではないのでしょうか。
 秀吉、茶々姫を抱きながら『茶々の子守唄』的なオリジナルソングを唄おうとしてたでしょ……やっぱり竹中秀吉は、油断のスキもありゃしませんな!

●茶々バッシングで100人処刑! まさに、狂王秀吉。
 でも、いくら怒ったからって、落首の燃える炎をかたわらにしながら「うおおぉ~!!」と絶叫するとは……わかりやすすぎ!

○「主君を諌めるは、家臣の務め。」とつぶやいて、なんの躊躇もなくすくっと立ち上がる官兵衛、ステキすぎです。なんとアクティヴな隠居生活か!

○100人処刑かと思ったら、今度は黄金ばらまきサービス……日本史上でも屈指の「王さまっぷり」をほしいままにしている秀吉です。単純っつうかなんつうか。でも、これほど明解な「アメとムチ」政策もないわけでして、ある意味で人を殺しもするし元気にもする太陽に酷似している君主、とも言えるのではないのでしょうか。確かに官兵衛の言うとおり、その強権ぶりが豊臣家そのものの安泰に直結するものでないことは明らかなわけなんですけれど。
 この時代の京都に住むのは、かなりのギャンブルだったんだろうなぁ~。でも、それは794年以来、ず~っとそうか。

●この『軍師官兵衛』におけるおねの方はホンットに性格が悪いというか、いいかっこしいというか……だって、自分の言いたいグチをひとしきり侍女のマグダレナに言わせきってから「これこれ、そのようなことを言うでない。」みたいなフォローを入れるパターンの繰り返しなんだもんね! しまいにゃ自分の亭主を叱るのも40すぎの大の大人に丸投げする始末。
 自分の口を汚さずに他人にブラックなことをさんざん言わせてから形だけいなして済ます……おまえはビートきよしか、コノヤロー!!

○甲斐守に推挙されたということで、これを期に口ヒゲルックにリニューアルして変化をアピールする黒田長政なのですが、それ以上にしれっと変化しているのが、秀吉の白髪の増量&勝新みたいなサイド逆毛の強調! いよいよ、『秀吉』で語られなかった晩年ゾ~ンへの突入が間近になってまいりました!! どうするどうなる、竹中秀吉☆

●うをを、織田信忠の悲劇ふたたび! 徳川家康との会見という超重要な席で、北条家代表の主席を隠居した親父に譲る、現当主・北条氏直!! 当主の威厳、1ミクロンもなし……まぁ、親父が伊吹吾郎さんなんだから、しかたねぇけどよう!
 事実を言いますと、北条氏政は天正八(1580)年八月の時点で43歳で北条家家督を嫡男の氏直19歳に譲っています。

 ね、どっちも若いでしょ!? だからたぶん、戦国時代の大名における「隠居」という言葉に込められたニュアンスを、現代のものと全く同じだと考えるのはおかしいんですよ。実際に、史実の官兵衛も北条氏政も、隠居したからといって「引退」したわけではまるでなかったわけなんですから。
 つまり、官兵衛の隠居宣言イコール「政治の喧騒から離れた生活をしたい」という、今回のエピソードに流れていた空気はドラマオリジナルの架空だと考えたほうがいいと思うんです。おそらく、官兵衛は秀吉に慰留されて政権の中枢におさまることを前提にして家督を長政に譲ったのでしょう。隠居すると聞いて、「えぇ~、やめないで!」と感じた人間はいなかったはずなのです。もちろん、長政は「うわ~、大変だ……」と気を引き締めたでしょうし、三成は「あぁ、官兵衛さんが京あたりに引っ越して来るんだな。」と理解したことでしょう。
 「軍師」とか「隠居」とか、歴史ドラマにおける日本語のあつかいはほんとうに注意が必要ですよね~。おもしろい!


結論、「第40回がとてもたのしみです。」

 さぁさぁ、秀吉の天下統一に向けて、事実上の「最後の脅威」となった北条氏政(当主は氏直……)が登場してきました! しかも伊吹吾郎さん!! 盛り上がってきましたねぇ~。そして、次回第40回で、黒田官兵衛の物語はついに放送第1回のオープニングに巡り還ってくるようであります! うわ~官兵衛さん、老けてるのになぜかなつかしい!!

 今回さんざん出産ハッピームードが満開になった豊臣家も、まぁ……歴史をちょっと調べてみればああいうことになるわけですし、まだまだ官兵衛の前途に苦難のタネは消えません。
 でも、いよいよ残すところ10回ほどとなった『軍師官兵衛』。最後までがんばっていってくださ~い!!

 蛇足ながら、自分で引用しておいて違和感を訴えるのもなんなんですが、上の戦国武将たちの能力値、いくらなんでも北条氏政のやつは優遇しすぎだろ……伊吹吾郎さんだけどさぁ。
 これは『信長の野望』シリーズ第2作の『全国版』をもとにしている数値なのですが、この氏政は、多分に親父の北条氏康のキャラクターも加味しての能力値になっているし、ある意味、居城の天下の名城・小田原城の難攻不落さも個人の技能に入ってる部分があるし……私自身も、別に氏政が特に好きというわけでもないので相当にまゆつばな値であると理解しております。こっちは第3作の『戦国群雄伝』から引用した能力値なんですが、氏直も地味~に高いですよね。
 でも、まいっか! ラスボスはそうこなくっちゃね☆
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第38回『追い込まれる軍師』

2014年09月24日 10時51分38秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第38回『追い込まれる軍師』(2014年9月21日 演出・藤並英樹)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

宇都宮 鶴姫
 (演・市川由衣)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

佐々 成政      …… 知力27、統率力70
 (演・大谷亮介)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

宇都宮 朝房     …… 知力47、統率力55
 (演・橋本淳)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

千 利休
 (演・伊武雅刀)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○長政「その黒田家が無くなっては元も子もない!」
 なんともやりきれない城井家殲滅の挙に出た黒田長政の、単なる早とちりや恨みとも言い切れない動機を端的にあらわす叫びでした。いや~、ここらへんの、決して大きな声では言えない役柄の闇の部分も、しっかりと受け留めて堂々と入魂の演技を見せる松坂さんはすばらしいですね。黒田長政のキャスティングは本当に大成功ですよ! 若くてカッコイイだけじゃないんだもんねぇ。何も見ていない空虚な瞳が、黒すぎる!!
 ただ、鎮房と鶴姫は中津にいても、もう一人の朝房は親父と一緒に出かけてるんですから、全ての泥を長政がひっかぶる、っていう解釈にはなりませんよね。官兵衛がなにもせずに知らんぷりして朝房を連れて帰ってくるわけがないですもんねぇ。
 やっぱり史実の流れからいくと、ドラマの長政独断決行説はちと苦しいんじゃないのだろうか……結局は、父子なかよく騙し討ちの汚名をシェアしようってことで!

○今まで、この『軍師官兵衛』の中でもさまざまな悲運の武将たちが無惨な最期を遂げていきましたが、直接官兵衛の手にかかるということで、朝房はやけに力を入れた誅殺シーンになりましたね。でも、どんなに意匠を凝らしたカット割りにしても、やっぱりあの手法で誰にも血が飛び散らないというのは……くるしい~!! 先週あんなに思い切った描写になったのに、官兵衛の方はやや感傷的なイメージにかたよりすぎたような気がいたしました。「みんな秀吉が悪いんだ~い!」っていうことで、いいのか? 弱者に厳しい戦国時代に強者に対して意地を張ったんですから、それはしかたのないことなのよね。
 史実でどうだったかは知らないのですが、せっかく肥後国の一揆鎮圧に出陣している最中なんですから、ドラマのように静かな陣所の中ではなく、ハデな戦闘のどさくさにまぎれて……というような朝房の最期も見たかったような気がしました。いくさのシーンが観たい~!

○又兵衛「お鶴どの、生きよ……なにがなんでも、生きるのだ。」
 長政をさしおいて官兵衛イズムを確かに継承する男・又兵衛! 落ち着くなぁ~、塚本さんの武士姿は、ほんっとうに似合ってて落ち着く。これからどのような経緯をへて黒田家を去って浪人の道を選んでいくのか、とっても気になりますね。

●エッ、鶴姫、処刑されずに生き延びたの!? いや、それはさすがにフィクションが過ぎるのでは……そこは史実どおりに涙をのんでズバッといくのが、戦国の論理なんじゃないですか。
 だったら、鶴姫のエピソードをいじくるよりも、ちゃんと朝房の妻のお龍の方が、妊娠した身でありながらも肥後国で黒田家の手からみごとに逃げきって男子を産んだという、史実そのままの城井家存続エピソードをしっかり映像化したほうがず~っと感動的だったんじゃなかろうかと思うんだけどなぁ!
 ……あ、それじゃ、黒田家が完全な悪役になりすぎちゃうのか。難しいなぁ~、大河ドラマの主人公って。

●秀吉「人は、将棋の駒じゃ! それを、わしが自在に操る。まるで、神のようにな……上様(織田信長)も、それをおもしろがっていたに違いない! ハッハッハッハ……」
 いやいや! 今現在のあなたに比べたら、織田政権なんてそんなに大したもんじゃないですって! だいたい、自分の経営術やささいなミスの積み重ねがもとで、ものの見事にすっころんだ信長のことなんか、ここで秀吉が口にするはずがないと思いますよ。縁起が悪くてしょうがないもん、あんなお方。
 この時点で秀吉が意識していた過去の人物は、間違いなく源頼朝もしくは足利義満といった最高級クラスの天下人だったはずなのです。史実の逸話でも、秀吉が頼朝を語ったという話はありますよね。
 ここで秀吉が語っている神が限りなくキリスト教の「 GOD 」に近いっていうのも、おかしな感じですけどね。でも、当時の日本人がそれに相当する存在を考えるとしたら、いったい何なんだろうか……「おてんと(天道)さま」ですかね。太陽サンサン、熱血パゥワー!!

○佐々成政さん、まるでコントみたいなやつれっぷりでしたね。織田家家臣の最後の生き残りとして、みごとな凋落っぷりを見せつけてくれました。
 ……ん? 最後? いやいや! だから、前田の犬千代さんはいつ出てくんの~!? 今週は名前だけが出てたけど、ご本人登場は、いつ?

○「大明帝国への侵攻」、「官兵衛 VS ダーイシ」、「官兵衛 VS 秀吉」、そして「秀吉 VS 利休」! いろんなフラグがおっ立ちまくりで緊張しまくりのこんな茶室、イヤ~ン!! リラックスの「リ」の字もありゃあしねぇ!!
 でも、この時点ではまだ、さすがの暴君秀吉にも、出された茶碗を蹴り倒すことを控えるくらいの節度は残ってるんですね。秀吉の中でせめぎあう良識と狂乱の闘いも、見ごたえたっぷりですね~。そりゃ、ゴールドの足袋を履いてる人はブラックはお嫌いでしょうね。

○まともなセリフがほとんどなくとも、北政所おねからスルスルと正直なうち明け話を聴くことができる寡黙なイケメン官兵衛。男前はトクだねぇ~オイ! わざわざ「おいしいです。」って言わなくても、瓜を食べるその表情だけでメッセージを伝えられる顔と度胸がほしいもんですよ、このわたくしも!!
 だいたい、脚の障害のせいだから仕方ないことはよくわかるんですけど、基本的に座る姿勢が崩れてるっていうのも、他の武将にはない魅力ですよね、官兵衛って。木村拓哉理論か!?

○加藤清正を演じる阿部進之介さんの眼光は、今日もギラギラですなぁ~。ほんとにいい面構えですよね。よっ、武断派!

○今回も冴えわたる、秀吉の作り笑いと家康の鉄面皮のマスカレード・トーク! ほんとに喰えない二人ですよね。

○意外や意外、今回で初めて実現した官兵衛と家康の会見! いや~なんちゅうか……ホントに3歳差!? あなたがた。いやでも、寺尾さんの肌つやと手の感じはものすご~く若々しいんですけどね。
 秀吉とか明智光秀とか家康とか、いちいち会うたんびに「おぬしのような軍師が欲しいもんじゃわい。」と定型のお世辞を言われる官兵衛なんですが、そんな官兵衛にしれっと秀吉の「次期天下人トーク」のうわさを語って大いに動揺させる家康の手練手管は、さすが古ダヌキ! ヤな感じですね~。
 秀吉の宴席シーンを、実は家康の作り話なのかもしれないという可能性を濃厚におわせる俗悪そのものな雰囲気にして、肝心の「官兵衛じゃ。」というセリフを対極的に静寂な利休の茶室で家康がボソッとささやくという演出は、けっこう印象的でおもしろかったですね。歴史好きな人ならば誰でも知っているようなベタなエピソードを、こういう「おっ?」と思わせるようなモダンな手法で映像化するのは、すばらしいのではないのでしょうか。演出の藤並さんって、『軍師官兵衛』ではこの回で初めて演出を担当された方でしょ? 若い方なのかな。気になりますね!


結論、「第39回がとてもたのしみです。」

 史実ではこの回の時点(1588年)でまだまだ43歳ということで、思ったよりもけっこう若い官兵衛なのですが、なんだかこの数回でぐっと老けこんできたような気がして、実際にセリフもなく苦悩する表情だけのカットが多くなってきたような気がします。その苦みばしった沈黙の姿は、確実に放送第1回のアバンタイトルの小田原征伐に近づいてきているような。いよいよ、物語が一巡するタイミングが迫ってきたわけなんですなぁ。

 にしても、前々から言ってはきたんですが、今回は特に、官兵衛を演じる岡田さんが、あの『太平記』で足利尊氏を演じた真田広之さんにオーバーラップする瞬間が多かったような気がしました。尊氏さんも、室町幕府初代征夷大将軍とは言いながらも、将軍就任後も本当に苦労の絶えないお方でしたからねぇ……実際、天下統一できてなかったもんね、尊氏・義詮の2代は。

 主人公が後半戦で苦悩する大河ドラマは、やっぱりなんといっても視聴者がその悩みについていけるかどうかが大事なポイントになるかと思います。その「ついていけるか?」という問題は、完全に観る人ひとりひとりの主観によるので、どれが成功してどれが失敗したのか、ということを議論したってしかたのないことなんですけれども、それでも個人ブログなので強いて私自身の経験だけをもとに語るのならば……成功したのは『太平記』と『八代将軍吉宗』で、失敗したのは『北条時宗』と『平清盛』、っていう記憶はありますね、なんとなくですけど。俳優さんが若いと、主人公の後半生はホントに大変ですよね!

 そんな中でも、今年の『軍師官兵衛』はおおいにがんばってると思いますよ。岡田さんと松坂くんが父子という関係も、今回の城井家殲滅エピソードでやっと違和感が消えた気がしました。
 いけいけ、オッサン官兵衛~!!
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