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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第44回『落ちゆく巨星』

2014年12月03日 22時52分57秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第44回『落ちゆく巨星』(2014年11月2日 演出・鈴木航)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

豊臣 秀次      …… 知力32、統率力35
 (演・中尾明慶)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

小早川 秀秋     …… 知力21、統率力34
 豊臣秀吉の正室おねの兄・木下家定の五男。小早川隆景の養子となる。(演・浅利陽介)

毛利 輝元      …… 知力85、統率力80
 (演・三浦孝太)

宇喜多 秀家     …… 知力50、統率力61
 (演・武田航平)

長束 正家      …… 知力87、統率力13
 (演・佐久間哲)

小早川 隆景     …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○冒頭から思いっきり「逆心あり!」の嫌疑をかけられてしまった関白・豊臣秀次。実にかわいそうですが、ダーイシににらまれてしまったからには、全てはもう遅いのであった……秀次の失脚とともに、ついに『秀吉』では語られることのなかった「堕ちゆく巨星」、秀吉最晩年の末路の物語が幕を開ける! うをを~。

○いくら自分の身に危険が迫っていると言っても、武装して聚楽第に立て籠もっちゃったら、もうおしまいなんだよなぁ。秀次はまさに、ダーイシの挑発に乗って「挙兵の準備」ともとられかねない行動を実際に起こしてしまったわけで、もはやなんとも言い逃れのできない窮地に立ってしまったのでありました。
 ただし、どうやら史実では、秀次がこのくらいの一触即発の事態になるまで軍事的な緊張状態をつくったという事実はなかったらしく、奉行衆の詰問を受けるとただちに、伏見城の秀吉のもとに向かって釈明のチャンスを求めたそうです。実際の秀次はドラマほど愚かではなかったらしいんですね。
 ところが、迅速に恭順の意を示した秀次ではあったのですが、ついに秀吉と面会することは許されなかったのだそうで……どっちみち、助かる可能性はなかったということなのか! 哀れ、ただひたすらに、哀れ!!

○如水「他に道はございませぬ! 太閤殿下と秀次公は、叔父・甥のおん仲。ここで争っては、天下は乱世にあともどり……天下のために! 伏見へ行かれませ。それが、天下を治める関白殿下のお役目にございます!」

 いつものように迫力だけはある如水の説得に、「天下人たる関白の役目」というアイデンティティを見いだして正気を取り戻す秀次ではありましたが……太閤に詫びを入れるのが関白の仕事なのか!? よくよく考えてみれば、ここでなぜ秀次が如水をたたっ斬らずに素直に納得してくれたのかがまったく理解できない論法になってますよね。秀次くん、そこは雰囲気に呑まれちゃダメよ!
 まぁ、もしここで秀次が意地を通して挙兵したのだとしても、如水が言うほど乱世にあともどりするような大乱になったとは、思えないんですけどね……それこそ、織田信長と将軍・足利義昭公の戦闘程度の規模で終息していたんでしょうが。
 ただし、実際に剣を交えることこそなかったものの、結局、ここで秀次一族が粛清されたことが、豊臣ファミリーの結束力や政権内部での大名間のパワーバランスをのちのち崩壊させる要因になってしまったことは間違いがないわけで、遅かれ早かれ、如水の予言したとおりに乱世にあともどりすることは明らかだったんですね。ダメだこりゃ~。

○史上名高い、京・三条河原での秀次一族39名処刑の惨劇はセリフで語られるのみにとどまったのですが、ホントのところ、豊臣秀次という人物が秀吉に対してどういった感情をいだいていたのか? 政権の中枢にい続けることを望んでいたのか、それとも、のちのちは秀頼に秀吉亡きあとの天下を譲る気でいたのかどうか。そこらへんの本音がまったく語られないまま、トントン拍子で切腹までいってしまったのが、なんとももったいない気がしました。
 証言者によっては、名君にもなるし暴君にもなるし、人格豊かな教養人にもなれば狂気に満ちたサディストにもなる、実にミステリアスな秀次というキャラクターが、中尾明慶さんの名演はあったにしても、ついに「権力闘争の哀れな被害者」という一面から語られるのみにとどまってしまったのは、ちょっと残念でしたね。
 なんか、また中尾さんに秀次をやってもらって、『軍師官兵衛』とはまったく違うアプローチの、秀次事件が中心の歴史ドラマが映像化されないかしらね? 宇月原晴明の『太閤のグロッタ』とかね~。おもしろそうですね~。NHK じゃあ絶対にやれないでしょうね~。

○うわー出ました、豊臣政権末期名物、太閤失禁! これは危険です、秀吉の死も近いです。掃除機のコードで言ったら、もう黄色をとおりこして赤いしるしが見えちゃってます!
 でもさぁ、このとき(1595年)の秀吉って、なんだかんだいってもまだ数え年59歳なんですよ。そこらへんの年齢感覚が、現代人とはだいぶ違うんですよねぇ。現代人よりも「プラス10~20歳」って感じなんですかね。たぶん、やたらと若々しい印象の強い織田信長だって、50歳を目前にした晩年は、いろいろとジジイになりかけてたんじゃないかなぁ。秀吉だけヨボヨボなイメージなのはずるいですよね! それだけ、最期の最期まで全力疾走で生き抜いたってことよぉ。暗殺、ダメ、ゼッタイ!!

○前回からの一連の流れでは、ダーイシのいやがらせにより危うく死にかけたところを助けてくれた見返りとして、北政所おねから関白・秀次の後見人になってくれと頼まれた如水が、秀次失脚のあおりをくらってまたまた危うい立場になってしまい、そこを見透かした秀吉の提案によって、責任追及を不問に処す代わりに、播磨国2千石の小禄をもって秀吉の側近になるという処遇に如水が追い込まれる、というストーリーになっていますね。

 ただ、これは多分に今回の『軍師官兵衛』オリジナルの要素が多いらしく、史実の如水は責任を問われるほど秀次と近い距離にはいなかったらしく、秀次失脚事件とはほぼ無関係な立場におり、如水ほどの大名にとってはちと少なすぎる領地を持って秀吉に仕えていたという事実も、剃髪して隠居した身なのだから収入が簡素になるのは至極当然のことで、今さら奉行衆づれにバカにされるほど零落した処遇ではなかったらしいのです。だいいち、隠居したからといって豊前国の黒田家と関係が途絶したってわけでもないんですからね。
 つまり、如水が2千石の身におさまったのは秀次事件とはまるで関係のない、秀吉に対して他意のないことを示すための積極的かつ賢明な判断だったのであって、ダーイシがどうとか苦難の選択とかいうイメージをことさらに塗りたくるのはどうかと思うんですよね。
 なにも、そんなにダーイシを悪者に仕立てあげなくなっていいじゃないかと。事件の際に、ダーイシが秀次を弁護したと記録している史料だってあるそうじゃないですか。

 まぁ、この流れはこの流れで、物語としては自然でおもしろいからいいんですが、それにしても、この処遇を持って如水が奉行衆よりも格下になったと、増田長盛や福島正則があざ笑うのはいかにもやりすぎのような気はします。今さらあくせく出世競争する立場でもありませんしねぇ……みんな、如水をいじめすぎなんじゃないの!?

○おお、黒田家といえばこのエピソードと語られる、母里友信の「天下の名槍・日本号の呑み獲り」がついにきたー!!
 いやぁ、福島正則って、いつからこんなに品性下劣なキャラクターになっちゃったんだろうか……戦争と酒は、人を変えちゃうもんなんですねぇ!
 生来の超下戸で、酒といえば甘酒くらいしか呑めない私にとっては夢みたいなお話であるわけなんですが、あれ、なんで、お酒を呑むときに杯を「ふーっ!」って吹くんですかねぇ? よくわかんないけど、なんか憧れるゥ!

○長政といい熊之助といい、オレの息子はなんでこーも直情径行なやつばっかりなんだ……内心でため息をつく如水であった。
 そういえば、最近とんと見かけませんけど、弟の兵庫助利高さんは、一体どこで何をしてるんですかね? っていうか、他の弟の利則と直之なんか、少年時代にチラッと顔を出して以来、まるでいないみたいな無視っぷりになってるし!
 あーっ! そういえば、隆大介さんが演じていた如水の叔父・黒田休夢も、いつの間にか先週あたりに死んでる(1594年3月死去、享年70歳)!! いくらなんでも、隆さんをしてその扱いはないんでないのかい……臨終シーンを用意してもらえないどころか、セリフでさえもひとっことも言及されないなんて、やだー!

○何をしても、怒っても笑っても死臭がどこかからただよってきそうな老いが目立ってきた秀吉に対して、重臣を集めて今日も薬草コレクションに精を出す徳川家康55歳、いまだ健康なり! いよいよ、彼が動き出すときがやってきた、ということなのでしょうか。
 それにしても、徳川四天王が語るように「年よりも若く見える」家康なんですが、肌ツヤよし、声の張りよし、髪も黒々といった、人もうらやむヘルシーライフを謳歌してはいるものの、なぜか右目だけは67歳なんだよなぁ、やっぱり。
 あ、あれ? そういえば、前シーンの秀頼元服のテロップで「慶長元(1596)年十一月」って出てたってことは、今までまったく登場しなかった徳川四天王筆頭の酒井忠次さん、ついに1回も出てこないまんま、亡くなっちゃった(1596年10月死去、享年70歳)!? はなはだ残念ですが……まぁ、しょうがねっか。前途洋洋たる家康サイドはヤング&フレッシュを押していかなきゃいけませんからね。さぁ、みんなで東海道をジョギングだ☆

○如水「毛利との戦、まことに難儀いたした。されど、あのころは……あのころは、楽しゅうございましたな……」
 病床の小早川隆景のもとを訪れ、織田政権下での中国戦争と、備中高松城攻防戦からの中国大返しの思い出を語り合って、しみじみ涙する如水。そこに静かに流れる、感動的な BGM……
 でも、それを聞かされた隆景にしてみたら、

「なぁに言ってやがんだ、くそバカヤロー!! お前らのおかげで毛利家は商売あがったりになっちまったんだよ! AKB とつるんで口先三寸でオレと兄貴をだまくらかしやがって……おれたちがいちばん楽しかったのは、オヤジがまだ生きてたころの厳島合戦んとき(1555年)だ、おまえらといっしょんにすんじゃねー、このヒヨッコが!!」

 と、内心グツグツと湧き上がるものがあったのでしょうが……そこは大人ですもんね。如水といっしょににこやかに笑ってましたね。さすがは隠忍自重の名将・小早川隆景よ! そういう大人に、私もなりたい。

○養父・小早川隆景の看病という、しごくまっとうな立場でこの『軍師官兵衛』に初登場した、あの豊臣秀次に勝るとも劣らない戦国悲劇人・小早川秀秋!! この人が出てきたってことは、関ヶ原も近いということなのか……ちなみに、秀次は秀吉の近親者で、秀秋は秀吉の正室おねの近親者なので、同じ豊臣ファミリーでも、秀秋は秀吉・秀次ラインとはちょっと隔たった距離にいます。
 でも、今回登場した数秒間での言動を見るかぎりは、ちょっと武将らしからぬ線の細いところはあるものの、秀秋は秀次よりもよっぽどまともで知性もありそうな貴公子でしたよね。うん、この秀秋ならば、あの天下の名城・岡山城を改修した名君にふさわしい! 秀秋を演じている浅利陽介さん、肖像画の秀秋によく似てるよなぁ~! 似てるけど、頭よさそうなんだよなぁ。
 なるほどなるほど。おそらく『軍師官兵衛』は、最近とみに脚光を浴びている、「関ヶ原合戦で小早川秀秋ははじめっからダーイシと敵対していて、積極的な自己アピールのために家康に加担した」という説を採用すると見た!

 あそらくは数回先の放送でその火蓋が切って落とされるであろう、関ヶ原合戦の展開が、今からすっごく楽しみですね~。
 ……あれ? でも、そのとき主人公の如水は九州にいるんだから……え、もしかして、関ヶ原、まともに描写しなかったりして……いや、そこはなんとか、ちゃんと2画面放送で描ききってくださーい!!


結論、「第45回がとてもたのしみです。」

 若さゆえのあやまちか……黒田熊之助と母里吉太夫のアブナすぎる決死行によってしめくくられた今回でしたが、来週はいろいろと辛気臭いトピックばっかりのエピソードになっちゃうんだろうなぁ。やぁだなぁ~!

 いずれにせよ、次回は竹中秀吉、堂々の御最期! 役柄に込めた18年ごしの想いの積み重ねがどんな感じになるのか、とくと括目して見届けさせていただきましょう!! うわ~楽しみ。

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