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長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

2017年は、今川氏真から目が離せない!?

2015年08月26日 22時53分44秒 | 日本史みたいな
2017年 NHK大河ドラマ主演は柴咲コウ、戦国時代『おんな城主 直虎』
 (スポニチアネックス 2015年8月25日付け記事より)

 2017年の NHK大河ドラマの主演を、女優の柴咲コウ(34歳)が務めることが25日、同局から発表された。タイトルは『おんな城主 直虎』。脚本は森下佳子氏で、戦国時代の女城主・井伊直虎を描く。

 柴咲演じる井伊直虎(?~1582年)は、戦国時代の女性領主。遠江国(とおとうみのくみ)井伊谷(現・静岡県浜松市)の当主として、内政に手腕をふるった。「女地頭」と称され生涯独身を貫いた。後に彦根藩初代藩主となる井伊直政(1561~1602年)の養母。

 柴咲は NHKドラマ初出演となる。会見で柴咲は、「大河ドラマ初出演になります。直虎という人物については初めて知った。これから彼女の魅力を模索してつかんでいくつもり。しなやかさと強さを併せ持つのは間違いない。そういった人物を演じるのに声をかけていただいたのは光栄」と意気込みを示した。
 さらに、「一度も大河ドラマにも出演したことがなく、他の(NHK)ドラマにも出ていなくて、いきなりの大役で驚いています。自分の生き方にも似る部分、まねしたい部分もあり、光栄です。」と、驚きと喜びを表した。
 また、「体力も含め精神力が問われるかな。飽き性なので1つのことを1年かけることはなかなかないが、そこが試される。今までやったことがないことをやるのは楽しみ。今の時代ではあまりないような、所作、動きをお稽古できることはすごく楽しみです。」とし、オファーがあった時は「やりたい!って。早い段階でお返事したかもしれません。1週間ぐらい」と振り返っていた。
 作品の見どころについては、「直虎と(深く関わる)4人の男というキーワードはある。ロマンスもあるんです、女性には共感できる一途さもあるんじゃないかな。」と語った。

 NHK大河ドラマは、今年2015年の『花燃ゆ』が井上真央(28歳)主演で江戸幕末を描き、来年2016年の『真田丸』が堺雅人(41歳)主演で戦国時代末期を取り上げ、2017年も戦国時代もので女性が主人公となる。



 なるほど大河ドラマ、三谷脚本の真田信繁の次は、そうきますか!!

 とは言いましても、時代がギリギリずれてるとはいえ、ちと地理関係が『真田丸』と近すぎるというか……もしかして、立場的に完全な「敵味方」なんじゃありませんか!?
 そりゃまぁ、敵味方の関係が完全に逆という意味では、今やってる『花燃ゆ』と『八重の桜』(2013年)なんかもう、気持ちいいくらいに正反対なので視点のまったく違う作品があってもいいわけなんですが、年を空けずに連続っていうのは、ちょっと……
 たぶん、少なくとも井伊直政と徳川家康は両作品に出てくるわけなんだろうし、そのへんの俳優対決なんか、とってもおもしろそうなんですが、それをやるんだったら、『直虎』でそこらへんの青春グラフィティをやってから、その後の『真田丸』にいくという順番の方がよかったんじゃないのでしょうか。逆はなぁ~。「あんな徳川ファミリーにも、昔はこんな苦労時代があった!」みたいな感じになるのかしら。

 それにしても、史実上の誕生年は不詳なわけなんですが、おそらくその経歴から見ても、いいなずけとなった親戚の井伊直親(1535~63年)とほぼ同年代のはずでしょうから、ということは、信長・秀吉・家康ともほぼ同じ世代で、しかも3人いずれともドラマ的にからんでいてもまぁまぁおかしくはない絶好の人物を主人公にピックアップしたということになりますね。
 ただ、信長・秀吉サイドに対しては、桶狭間合戦を通して、敵に近い複雑な感情をいだいている可能性も濃厚なわけで、同盟関係にはありながらも、決して織田政権の栄華を享受している立場にはなかった、常在戦場のかなり泥臭いドラマになることは間違いなさそうです。

 主人公の直虎さんの死去が本能寺の変の直後っていうのも、苦労しか知らずに逝ってしまった、みたいな哀愁が漂いますね。井伊家の興隆は、まさにそこからだったのに!
 そういう、関ヶ原合戦までにいけない(ダイジェストで最終回に流れる可能性は高いですが)で終わる戦国ものになるという点でも、この『直虎』は、女性が主人公でありながらも、あの『風林火山』(2007年)なみに質実剛健、言い換えれば「地味~な」正統派の大河ドラマになることも確実でしょう。

 さらに私といたしましては、この井伊直虎という人物の生涯を観るだに、「史上最弱の戦国大名」としても名高い(実際にはそんなことないでしょうけど)、あの今川氏真(1538~1615年)さまが、なんと「主人公の命運を脅かす強大な敵キャラ」として登場してくるであろうことがほぼ確定であることに注目したい!! うをを!!
 すごい! 大河ドラマの中で氏真が、急死した親父の敗戦処理係だけじゃなくて、ちゃんと独立した戦国大名として活躍する出番が与えられるかもしれないとは、な~んて夢みたいな時代になったのでしょうか!!

 これは、観ざるを得ない! 今のところ、『真田丸』以上に要チェックな作品になりそうなのは揺るぎありませんね!! きたる2017年は、今川氏真、そして、かなりえげつない執念深さで井伊家をつけねらう小野道高・道好父子のヒールっぷりに大興奮の1年になりそうです。

 た~のしみだなぁ~オイ♡


《おまけ》
『おんな城主 直虎』に登場しそうな戦国武将の、『信長の野望』シリーズにおけるだいたいの評価

井伊 直政(直虎の養子)…… 知力69、統率力81

井伊 直親(直政の父) …… 知力51、統率力46

井伊 直盛(直虎の父) …… 知力45、統率力63

徳川 家康       …… 知力102、統率力65

酒井 忠次(徳川四天王)…… 知力76、統率力82

本多 忠勝(徳川四天王)…… 知力66、統率力84

榊原 康政(徳川四天王)…… 知力45、統率力78

今川 義元       …… 知力88、統率力72

今川 氏真(義元の嫡男)…… 知力47、統率力30
※氏真のみ、あまりにも不憫な評価なので、平均ではなくシリーズ中でも最も高かった数値(『烈風伝』)を採用しています。それで、これ!?

織田 信長       …… 知力115、統率力108

明智 光秀       …… 知力93、統率力95

羽柴 秀吉       …… 知力95、統率力94


井伊直虎のざっくりした略歴
1、今川義元の配下時代(1530年代~60年)
1530年代
遠江国井伊谷領主・井伊直盛の娘・次郎法師、誕生

天文十三(1544)年
いいなずけだった親戚の井伊直親(10歳)の家族が主君・今川義元(26歳)に謀反の疑いをかけられ自害し、直親は信濃国へ亡命
井伊次郎法師(10代?)、出家

弘治元(1555)年
信濃国に亡命していた井伊直親(21歳)、今川義元の赦免を得て井伊家に復帰
井伊次郎法師、還俗?
直親は信濃時代にすでに結婚していたため、次郎法師とは婚姻していない

永禄三(1560)年 五月
桶狭間合戦で、井伊直盛(55歳)と主君・今川義元(42歳)、討死
井伊直親(26歳)、直盛の跡を継いで井伊家当主となる

2、今川氏真の配下時代(1560~68年)
永禄五(1562年)十二月
井伊直親(28歳)、主君・今川氏真(25歳)に謀反の疑いで攻められ討死
井伊次郎法師は、母親らの氏真への説得により謀反の嫌疑をかけられず

永禄六(1563)年
井伊直親の死後に井伊家の当主代行となっていた一族長老の井伊直平(次郎法師の曽祖父)、今川氏真による天野家の犬居城攻略戦への従軍中に死没

永禄七(1564)年
今川氏真による飯尾家の曳馬城攻略戦に従軍した井伊家重臣の多くが討死し、井伊直親の遺児・虎松丸(4歳 のちの井伊直政)は寺に預けられる

永禄八(1565)年
井伊次郎法師(30歳前半?)、「直虎」に名を改めて井伊家当主となる
井伊直虎、井伊虎松丸(5歳)を養子とし時期当主として育てる

3、徳川家康の配下時代(1568~82年)
永禄十一(1568)年
今川家重臣・小野道好に攻められ井伊谷を奪われるが、徳川家康(26歳)の配下となり領地を奪還する

元亀元(1570)年
徳川家康、井伊直虎の嘆願を聞き入れ、小野道好を井伊直親讒言の罪で処刑する

元亀三(1572)年 十月
井伊直虎、武田信玄(52歳)の侵攻によって井伊谷を奪われ、徳川家の浜松城に寄寓する

元亀四(1573)年 四月
武田信玄が病に倒れ撤退したため、井伊直虎、井伊谷を奪回する

天正三(1575)年
井伊虎松(15歳)、名を「万千代」と改め、徳川家康の小姓となる

天正十(1582)年 八月
井伊直虎、死去(50歳前後?)
井伊万千代(22歳)、元服して「直政」と名を改めて井伊家当主となる
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勝ち負け言うつもりはないけれども!  映画『日本のいちばん長い日』

2015年08月17日 22時51分28秒 | 日本史みたいな
 はいはいど~も、こんばんは! そうだいでございます。みなさま、夏まっさかりの今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか?

 私はいろいろ言っているように、今年は実に18年ぶりに山形で夏を味わうという生活を送っているところなんですが、さすがは盆地、東北だって夏の暑さはそんなに変わんないやねぇ。ただ、朝夕がしっかり涼しくて、熱帯夜もどうやらなさそうなのがとってもありがたいです。ほんとに暑いのは日中だけなんですね。もちろん、外に出たときの熱中症は十二分に気をつけないといけませんけど。

 そんな、千葉時代に比べたらいくらか楽な夏をエンジョイしているわけなんですが、ヒマなときはいちおう映画を観にいっとこうかということで、今回もちょっと気になっていた1本を観てきました。
 まぁ、そんなに期待して観に行ったわけでもないんですが、やっぱり終戦から70年目という今年のタイミングを考えたら、これはスクリーンで観とかなきゃいかんのじゃなかろうか、ということでありまして。


松竹版『日本のいちばん長い日 THE EMPEROR IN AUGUST』(2015年8月8日公開 136分 松竹)
 半藤一利のノンフィクション『日本のいちばん長い日 決定版』を原作に映画化され、戦後70年にあたる2015年に全国公開された。

主なスタッフ
監督・脚本 …… 原田 眞人(66歳)
撮影    …… 柴主 高秀(57歳)
美術    …… 原田 哲男(49歳)
音楽    …… 富貴 晴美(30歳)
編集    …… 原田 遊人(37歳)
製作・配給 …… 松竹


主なキャスティング
内閣総理大臣・鈴木貫太郎    …… 山崎 努(78歳)
外務大臣・東郷茂徳       …… 近童 弐吉(55歳)
海軍大臣・米内光政(元首相)  …… 中村 育二(61歳)
陸軍大臣・阿南惟幾       …… 役所 広司(59歳)
情報局総裁・下村宏       …… 久保 酎吉(59歳)
内大臣・木戸幸一        …… 矢島 健一(59歳)
枢密院議長・平沼騏一郎(元首相)…… 金内 喜久夫(82歳)
国務大臣・安井藤治       …… 山路 和弘(61歳)
国務大臣・左近司政三      …… 鴨川 てんし(67歳)

内閣書記官長・迫水久常        …… 堤 真一(51歳)
総理大臣秘書官・鈴木一(貫太郎の長男)…… 小松 和重(47歳)
宮内省庶務課長・筧素彦        …… 笠 兼三(41歳 笠智衆の孫)
陸軍大臣官邸の女中・絹子       …… キムラ 緑子(53歳)

阿南綾子(惟幾の妻)   …… 神野 三鈴(49歳)
阿南喜美子(惟幾の次女) …… 蓮佛 美沙子(24歳)
秋富(阿南喜美子の婚約者)…… 渡辺 大(31歳)

鈴木たか(貫太郎の妻)     …… 西山 知佐(50歳)
陸軍大将・鈴木孝雄(貫太郎の弟)…… 福本 清三(72歳)

陸軍省軍務課員・井田正孝中佐           …… 大場 泰正(42歳)
陸軍省軍事課長・荒尾興功大佐           …… 田中 美央(41歳)
陸軍省軍事課員・椎崎二郎中佐           …… 田島 俊弥(35歳)
陸軍省軍事課員・竹下正彦中佐(阿南陸軍大臣の義弟)…… 関口 晴雄(39歳)
陸軍省軍事課員・畑中健二少佐           …… 松坂 桃李(26歳)
陸軍参謀総長・梅津美治郎大将           …… 井之上 隆志(54歳)
陸軍第二総軍司令官副官・白石通教中佐       …… 本郷 壮二郎(39歳)

陸軍東部軍管区司令官・田中静壱大将 …… 木場 勝己(65歳)
陸軍東部軍管区参謀長・高嶋辰彦少将 …… 奥田 達士(47歳)

陸軍近衛師団第一師団長・森赳中将      …… 高橋 耕次郎(53歳)
陸軍近衛師団参謀長・水谷一生大佐      …… 香山 栄志(47歳)
陸軍近衛師団歩兵第二連隊長・芳賀豊次郎大佐 …… 安藤 彰則(46歳)
陸軍近衛師団参謀・古賀秀正少佐       …… 谷部 央年(34歳)
横浜警備隊隊長・佐々木武雄大尉       …… 松山 ケンイチ(30歳)
陸軍通信学校・窪田兼三少佐         …… 青山 草太(35歳)
陸軍航空士官学校・上原重太郎大尉      …… 松浦 海之介(23歳)

陸軍大将・東条英機(元首相)…… 中嶋 しゅう(67歳)
陸軍士官学校・藤井政美大尉 …… 戸塚 祥太(A.B.C-Z 28歳)

海軍軍令部総長・豊田副武大将  …… 井上 肇(54歳)
海軍軍令部次長・大西瀧治郎中将 …… 嵐 芳三郎(50歳)
海軍大将・岡田啓介(元首相)  …… 吉澤 健(69歳)
米内海軍大臣副官・古川少佐   …… 原田 遊人(37歳)

侍従武官長・蓮沼蕃大将 …… 姉川 新之輔(66歳)
侍従長・藤田尚徳    …… 麿 赤兒(72歳)
侍従・徳川義寛     …… 大蔵 基誠(36歳)
侍従・三井安弥     …… 植本 潤(48歳)
侍従・入江相政     …… 茂山 茂(39歳)
侍従・戸田康英     …… 松嶋 亮太(37歳)
侍従・岡部長章     …… 中村 靖日(42歳)
女官長・保科武子    …… 宮本 裕子(46歳)

日本放送協会放送員・館野守男 …… 野間口 徹(41歳)
日本放送協会技師・保木令子  …… 戸田 恵梨香(27歳)

昭和天皇 …… 本木 雅弘(49歳)



 いや~もう、錚々たるオールスターキャスト作品でございますけどね。
 太平洋戦争の非常に重要な最終局面をドラマ化した作品、という内容にこだわらずとも、単純に現在2010年代におけるスター名鑑、として楽しめるような俳優陣になっていますよね。これはやっぱり、1800円払ってスクリーンで観なきゃねぇ。

 言うまでもなく、この『日本のいちばん長い日』は、すでに48年前に一度映画化されています。こちらもまた、今や伝説ともいえる当時の名優のみなさまが終結したとてつもないオールスター映画になっていましたね。当然、私は DVDの形でこちらを観ていたのですが、まぁ~これが滅法おもしろいんだ! かなり深刻で厳粛な「終わり」を描いた挽歌であるはずなのに、笑えるところはもちろん笑えるし、スペクタクルもちゃんとある娯楽映画になっているんですね。
 こっちのほうも、情報を載せておきましょう。


東宝版『日本のいちばん長い日』(1967年8月3日公開 157分 東映)

 モノクロ、東宝スコープ作品。 「大宅壮一・編」名義で発表されたノンフィクション『日本のいちばん長い日』(1965年 文藝春秋社)を、「東宝創立35周年記念作品」として映画化した。

 原作の本来の著者である半藤一利は、刊行された1965年当時は文藝春秋新社の社員であったため、営業上の理由から「大宅壮一・編」として出版された。序文のみを大宅が書いている。半藤を著者において「決定版」とした改訂版は、戦後50年にあたる1995年6月に文藝春秋社から刊行された。

 昭和天皇と当時の内閣が御前会議において降伏を決定した昭和二十(1945)年8月14日の正午から、深夜に発生した宮城事件(きゅうじょうじけん)、そして国民に対してラジオ(日本放送協会)の玉音放送を通じてポツダム宣言の受諾を知らせた8月15日正午までの24時間を描く。

 東宝版に登場する、航空士官学校の「黒田大尉」という人物はフィクションであり、これは、航空士官学校の上原重太郎大尉と、通信学校の窪田兼三少佐をミックスさせた人物である。現在は上原大尉が殺害犯であるとする証言が大勢だが、窪田は戦後も生き残っており、自分こそが森師団長を殺害したと証言していた。
 東宝版で昭和天皇を演じた八世・松本幸四郎は、ピントをずらした遠景撮影や手のみ後姿のみのカット撮影、および声のみで演じており、その表情が明確に作中で映し出されることはなかった。

 作中、畑中少佐が放送会館内のスタジオで放送員の館野に正面から拳銃を突きつける場面があるが、館野自身は後年、畑中少佐ではなく、少佐と一緒に入ってきた少尉が背中に拳銃を突きつけた、と証言している。


主なスタッフ
監督    …… 岡本 喜八(43歳)
脚本    …… 橋本 忍(49歳)
製作    …… 藤本真澄(57歳)、田中友幸(57歳)
音楽    …… 佐藤 勝(39歳)
美術    …… 阿久根 厳(42歳)
録音    …… 渡会 伸(48歳)
照明    …… 西川 鶴三(57歳)
製作・配給 …… 東宝

主なキャスティング
内閣総理大臣・鈴木貫太郎    …… 笠 智衆(63歳)
外務大臣・東郷茂徳       …… 宮口 精二(53歳)
海軍大臣・米内光政(元首相)  …… 山村 聰(57歳)
陸軍大臣・阿南惟幾       …… 三船 敏郎(47歳)
厚生大臣・岡田忠彦       …… 小杉 義男(63歳)
情報局総裁・下村宏       …… 志村 喬(62歳)
農商務大臣・石黒忠篤      …… 香川 良介(70歳)
大蔵大臣・広瀬豊作       …… 北沢 彪(56歳)
司法大臣・松阪広政       …… 村上 冬樹(55歳)
内大臣・木戸幸一        …… 中村 伸郎(58歳)
枢密院議長・平沼騏一郎(元首相)…… 明石 潮(68歳)

内閣書記官長・迫水久常        …… 加藤 武(38歳)
内閣書記官・木原通雄         …… 川辺 久造(35歳)
内閣官房総務課長・佐藤朝生      …… 北村 和夫(40歳)
内閣理事官・佐野小門太        …… 上田 忠好(33歳)
総理大臣秘書官・鈴木一(貫太郎の長男)…… 笠 徹(笠智衆の実子で東宝社員)
鈴木総理大臣私邸の女中・原百合子   …… 新珠 三千代(37歳)

外務次官・松本俊一     …… 戸浦 六宏(37歳)
宮内省総務課長・加藤進   …… 神山 繁(38歳)
宮内省庶務課長・筧素彦   …… 浜村 純(61歳)
情報局総裁秘書官・川本信正 …… 江原 達怡(30歳)

陸軍省次官・若松只一中将             …… 小瀬 格(36歳)
陸軍省軍務局長・吉積正雄中将           …… 大友 伸(48歳)
陸軍省軍務課員・井田正孝中佐           …… 高橋 悦史(32歳)
陸軍省軍事課長・荒尾興功大佐           …… 玉川 伊佐男(45歳)
陸軍省軍事課員・椎崎二郎中佐           …… 中丸 忠雄(34歳)
陸軍省軍事課員・竹下正彦中佐(阿南陸軍大臣の義弟)…… 井上 孝雄(32歳)
陸軍省軍事課員・畑中健二少佐           …… 黒沢 年男(23歳)
陸軍大臣副官・小林四男治中佐           …… 田中 浩(33歳)
陸軍参謀総長・梅津美治郎大将           …… 吉頂寺 晃(61歳)

陸軍第二総軍司令官・畑俊六元帥    …… 今福 正雄(46歳)
陸軍第二総軍司令官副官・白石通教中佐 …… 勝部 演之(29歳)

陸軍東部軍管区司令官・田中静壱大将 …… 石山 健二郎(63歳)
陸軍東部軍管区参謀長・高嶋辰彦少将 …… 森 幹太(43歳)
陸軍東部軍管区上級参謀・不破博大佐 …… 土屋 嘉男(40歳)
陸軍東部軍管区参謀・稲留勝彦大佐  …… 宮部 昭夫(36歳)
陸軍東部軍管区参謀・板垣徹中佐   …… 伊吹 徹(27歳)
陸軍東部軍管区参謀・神野敏夫少佐  …… 関田 裕(34歳)

陸軍近衛師団第一師団長・森赳中将      …… 島田 正吾(61歳)
陸軍近衛師団参謀長・水谷一生大佐      …… 若宮 忠三郎(56歳)
陸軍近衛師団歩兵第一連隊長・渡辺多粮大佐  …… 田島 義文(49歳)
陸軍近衛師団歩兵第二連隊長・芳賀豊次郎大佐 …… 藤田 進(55歳)
陸軍近衛師団参謀・古賀秀正少佐       …… 佐藤 允(33歳)
陸軍近衛師団参謀・石原貞吉少佐       …… 久保 明(30歳)
陸海軍混成第27飛行集団団長・野中俊雄大佐  …… 伊藤 雄之助(48歳)
横浜警備隊隊長・佐々木武雄大尉       …… 天本 英世(41歳)
航空士官学校・黒田大尉           …… 中谷 一郎(36歳)
東京放送会館警備の憲兵中尉         …… 井川 比佐志(30歳)

海軍省軍務局長・保科善四郎中将       …… 高田 稔(67歳)
海軍第302航空隊厚木基地司令・小園安名大佐 …… 田崎 潤(54歳)
海軍第302航空隊厚木基地副長・菅原英雄中佐 …… 平田 昭彦(39歳)
海軍第302航空隊厚木基地飛行整備科長    …… 堺 左千夫(41歳)

侍従長・藤田尚徳    …… 青野 平義(55歳)
侍従・徳川義寛     …… 小林 桂樹(43歳)
侍従・三井安弥     …… 浜田 寅彦(47歳)
侍従・入江相政     …… 袋 正(35歳)
侍従・戸田康英     …… 児玉 清(33歳)
侍従武官長・蓮沼蕃大将 …… 北 竜二(62歳)
侍従武官・中村俊久中将 …… 野村 明司(35歳)
侍従武官・清家武夫中佐 …… 藤木 悠(36歳)

日本放送協会会長・大橋八郎    …… 森野 五郎(73歳)
日本放送協会国内局長・矢部謙次郎 …… 加東 大介(56歳)
日本放送協会技術局長・荒川大太郎 …… 石田 茂樹(43歳)
日本放送協会放送員・館野守男   …… 加山 雄三(30歳)
日本放送協会放送員・和田信賢   …… 小泉 博(41歳)
日本放送協会技師・長友俊一    …… 草川 直也(38歳)

昭和天皇 …… 八世・松本 幸四郎(57歳)

ナレーション …… 仲代 達矢(34歳)



 こっちもすごいですよね~。東宝版であるということがよくわかるというか、円谷特撮映画や黒沢映画を子どものころから観てきた私としましては、名前は出てこなくても「見たことある、この人!」という顔が次から次へと出てくる出てくる。これぞまさしく「しっぽの先まで楽しめる」映画ということで、2時間半という恐るべきボリュームなのに、長さを微塵も感じさせない緊迫感のつるべ打ちにしびれました。
 終戦に至る流れを描いているわけなので、大人の日本人ならたぶんほぼ全員がわかっている「結末」が待っているはずなのに、そこに行くまでの一連の群像劇にまったく弛緩がないというのはもう、すばらしいの一言です。
 さすがは天下の岡本喜八監督! でも、これだけ岡本テイスト満点の大作なのに、岡本映画といえばこの人という、岸田の森サマが出ていらっしゃらないのはなぜなのか!? ……と思ってみて調べてみたら、実は岸田さんが岡本映画に出演するのは、この作品の翌年の『斬る』(1968年6月)からで、まだ出会ってなかったということなのね。岡本監督も岸田さんも、どっちもまだまだ若かったんだなぁ!


 さてさて、こんな感じでミフネは出るわ笠智衆は出るわ、黒沢年男は若さでアタックするわ天本さんは狂いまくるわという稀代の名作を向こうに回して、今回の21世紀松竹版の公開であるのですが、さぁ、どんなことになっちゃってるんだろうか?

 観た感想としては、今回の作品はあくまでも『日本のいちばん長い日 決定版』の初映画化作品なのであって、『日本のいちばん長い日』を映画化した東宝版とは、多くの部分でエピソードがかぶっているとは言いながらも、全体像としては「まったく別の作品」という印象を持ちました。
 といいつつも非常に不勉強なことに、私自身、大宅壮一・編の旧版と半藤一利の著書である『決定版』とをちゃんと読み比べていないので確たることは言えないのですが、東宝版と松竹版とでは、「物語の中心にいる人物たち」というか、主人公とその周辺に設定した登場人物の人選がまるで別になっていると感じたのです。

 具体的に言えば、東宝版では陸軍の畑中少佐、椎崎中佐、井田中佐といった若手将校たちの決起によって発生した、終戦寸前の「宮城事件」を中心に描いていたのに対して、松竹版はそこもしっかり追いつつも、そこ以上の時間と熱量をかけて、阿南陸軍大臣、鈴木総理大臣、そして昭和天皇の三者のもようを物語の中心にすえていたように感じたのでした。そのぶん、松竹版における宮城事件の描写は、確かに重大な事件ではあったわけですが、全体的に成功する可能性の低い、最初から悲観的な雰囲気の目立つドライな視点からつづられていたような気がしました。まぁ、実際もそんな感じだったのでしょうね……松山ケンイチさん演じる佐々木大尉の乱入事件なんか、もう喜劇でしかありませんでしたもんね。それらに、東宝版で中丸忠雄さんや天本さんが演じた、狂気が天下を揺り動かすかもしれないという不気味な力の台頭はみじんも介入してこないのでありました。なんというか……実に平成っぽい! 醒めてるんですよね。

 実際、今回の松竹版は、作り方のスタイルとして「終戦に至るまでの経緯を、長いスパンで遠めの距離から客観的に見つめる」という冷静さを重視していたような気がして、フィクション映画としての盛り上がりを中心において緊張の24時間を各登場人物の主観に近いカメラワークの切り替えの連続で魅せていた東宝版とはだいぶ違った戦い方をしているな、という印象がありました。
 具体的には、松竹版は昭和四(1929)年に鈴木貫太郎が侍従長として、阿南惟幾が侍従武官として昭和天皇に仕えた関係から描写を始めており、同時に畑中少佐の周辺の物語も、少佐が陸軍省軍務局に転属された昭和十七(1942)年ごろから始められています。これによって、松竹版は東宝版にはなかった、昭和天皇の終戦の意志を実現しようとする鈴木首相と阿南大臣の強い動機の源となる絆をはっきりと提示したり、畑中少佐も決して戦争を終わらせまいといきり立ちまくっているばかりの人物ではなかったという部分を強調したりしているわけです。
 確かに、東宝版ではとても軍人のようには見えなかった好々爺そのものの鈴木首相も、かつては第十五代連合艦隊司令長官も務めたれっきとした海の軍人だったのであり、黒沢年男さんが演じた畑中少佐像も、どうやら実情とはかなりかけ離れた狂気の人のように描かれていたわけで、その点、松竹版の山崎努さんは暗殺されかけた経験もあり、あの東条英機とも激しく対立する軍人であったという鈴木首相をかなりの説得力で演じ切れていたと思います。松坂さんの繊細で理知的な演技もすばらしかったと思います。
 また、昭和天皇と同じように松竹版で初めて描かれることとなった阿南大臣の家族の描写も加わったことにより、歴史的決断を迫られた偉人という描写一辺倒になった東宝版の阿南大臣よりも、温厚な家庭人でもあった彼が、そのあたたかな日々を捨ててでも戦争を終わらせなければならなかったという悲劇も強く語られていたと思います。

 そういった視点から、松竹版は主演陣のキャスティングと脚本のピントの合わせ方が非常に功を奏して、東宝版にまったく引けを取らない完成度を持つ作品になったのではないか、と感じました。それはもう、さすがはあの傑作『クライマーズ・ハイ』(2008年)の経歴のある原田監督だな、というところがありましたね。


 ただまぁ、そういうことは頭ではわかるんですけれども、「映画としておもしろいのはどっち?」という話になっちゃうと、これはど~しても東宝版としか言いようがねぇんだよなぁ!

 これはもう、他ならぬ私そうだいが「昭和生まれである」ということも非常に関係してくるので、評価が偏重していると言われても仕方のないことなのですが、だって、出てくる人たちの顔を見てるだけでどんどんテンションが上がってきちゃうんだもんね、東宝版は。三船敏郎に笠智衆に加藤武に志村喬に伊藤雄之助に土屋嘉男にエトセトラエトセトラ……もう、みんながみんなオールスター! それで全員ちゃんと自分の持ち味を「わかってる」プロばっかりなんだから、これで居眠りしろというほうが難題です。天本英世さんの佐々木大尉なんか、もう笑うしかない天才的キャスティングですもんね。これは岡本監督してやったりというワンポイントリリーフでしょう。

 それに対して松竹版はというと、そりゃもちろん演技力は東宝版にまったく負けていないのだとしても、さっき挙げた主演陣の豪華さは言うまでもないにしても、その周辺は演劇界出身の実力派を集めたというおもむきがあり、「あぁ、どっかで見たことはあるかな。」といった感じか、もしくは初めて見たような若手で固められているといった堅実な布陣でした。
 まぁ、御前会議にカクスコの人が2人いる!とか、ちょっとおもしろいところはありましたが、全体的にそんなに体温の上がるキャスティングはなく……決して悪くはないんでしょうけど、映画作品のポイントが配役だけで上がる、という効果は少なかったですよね。安井大臣を演じた山路和弘さんはムダにカッコよくて笑ってしまいました。

 思った以上に存在感が際立っていて良かったのは、松竹版初登場の東条英機元首相を演じた中嶋しゅうさんね! もっとチョイ役なのかと思ってたんですが、あぁ、こういう種類の怖い人だったのかな、と納得させるすごみがしっかり出ていたのが素晴らしかったですよね。歴史的偉人じゃなくてちゃんと生臭い軍人兼政治家として物語の中でけむたがられていたと思います。この東条さん主人公で、もう1本作ってくれないかな!?
 あと、松竹版の藤田侍従長を演じた麿赤兒さんはセリフこそほぼなかったのですが、70歳すぎにしてあまりにもきれいな45°のお辞儀にため息が出てしまいました。さすが……


 そんなこんなで今回観た松竹版は、昭和の東宝版のフィクション性とはまったく別のテリトリーに比重を置いて、かなり手堅いドキュメンタリー調の名作になっていたかと思います。映画館で観たのは正しかったと思うのですが、何度も観たいとは思わないかなぁ。その点、東宝版は完全なエンターテインメントだから、DVDを買ってでも繰り返し観たくなっちゃうんだよなぁ。難しいところなんですが、東宝版でまったく省かれてしまった人間関係がしっかり描かれたという点でも、戦後70年を迎えた人々が作った最新解釈作品という点でも、松竹版が世に出た意義は確かにあったと思います。

 本木さんの昭和天皇は……まぁ評価はできないよね。TV業界にそれほど干渉されていないという意味で、「守られた現実味のなさ」がある本木さんが起用されたのは的確だったと思うのですが、おもしろくて斬新な冒険演技はまだまだできない役柄だしなぁ。『太陽』(2005年)のイッセー尾形さんは確かにおもしろかったんだけど、あれ歴史映画じゃないもんね。
 あの徳川慶喜役もそうでしたし、「粛々としたつまらなさ」をあえて自分に課しているキャラクターを演じることが多いような気がします、モックンって。度を過ぎたイケメンっていうのも、たいへんなのねぇ~。
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 最終回『乱世ここに終わる』

2015年01月02日 22時56分08秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』最終回『乱世ここに終わる』(2014年12月21日 演出・田中健二)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

豊臣 淀殿      …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

安国寺 恵瓊     …… 知力80、統率力31
 (演・山路和弘)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

平岡 頼勝      …… 知力70、統率力30
 (演・今井朋彦)

小早川 秀秋     …… 知力21、統率力34
 (演・浅利陽介)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

豊臣 秀頼      …… 知力44、統率力39
 (演・葉山奨之)

大野 治長(はるなが)…… 知力50、統率力28
 (演・嶋尾康史)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)


ざっとの感想

○これは、司馬遼太郎の『箱根の坂』(1982~83年)なんかを読んでもしみじみそう思うんですが、いつ戦争が始まるのかも知れないという一触即発の緊張状態の中ででも、平然とガツガツ食事ができる人! こういう人はねぇ~、傑物ですよ。肝が据わってる!
 そういう意味で、どちらも同じく緊張しているようでも、まずそうにではあっても湯漬け飯をかっこんでいる家康と、いかにも食事も睡眠も充分にできていなさそうなおももちのダーイシとでは、すでに開戦する前から、演出の点で勝敗が決していますよね。私も、そういう図太さがほしい!

○濃い霧のたなびくかなたから、不意に聞こえてくる法螺貝や鉄砲の音、そして、万と万の軍勢同士が激突する雄叫び! きたきたきた~、これが関ヶ原合戦だ!! もういい、『葵 徳川三代』からの使いまわし映像でも、迫力があるんだから、どんどん使ってよし! 今年は主人公が関ヶ原にいるってわけでもないんだしねぇ。

○関ヶ原でついに勃発した、日本歴史史上最大規模の野戦にのぞみながらも、一歩も引かずに出撃を指令する黒田長政。まさに死をも覚悟したまなざしですね。
 ……と思ったら、その次のカットで映し出されたのは、連戦連勝に酔いしれてボヤ~ンとだらけきった、輿の上の如水の休憩のご様子。
 息子さんがあんなに黒田家のために必死にがんばっているのに、お父さん、そんなにラク~な感じで空をながめてていいんですか!? まさしくこれは、映画『ルパン三世 カリオストロの城』の冒頭における、「平和だねェ。」のルパン三世と、必死こいて逃走をはかるクラリス姫とのカット対比の妙の、逆パターンと観た! 実に効果的です。
 いや、だからといって、如水が長政を助けるわけでもないんですけどね……がんばれ、わこうど!!

○「我がたくらみが明らかになる頃には、九州は全て、黒田のものじゃ! ハッハッハ~☆」
 いやいや、NHK 大河ドラマの主人公が、自分の作戦のことを「たくらみ」だなんてのたまっていいんですか!? こりゃまた、とんでもないダークヒーローが現れちゃったもんだねぇ! もう、たくらみだなんて言っちゃったら、成功しない雰囲気が出てきちゃうじゃないですかぁ。いやホントに、如水のキャラクターは初回からこれでいってほしかったですよ……たまんなくブラックでビターな1年間になったのになぁ。

 それにしても、あんなにものすごい知勇兼備の名将なのに、鍋島直茂さんはホンットに、大河ドラマに縁がないですよねぇ。今回も名前どまりで登場はなしですか……長宗我部元親は『軍師官兵衛』には出てきたぞ! ただし、俳優ノンクレジットで土下座降伏シーンだけだけどね……キビシ~ッ!!

○いやぁ、もう最低50回は観た計算になる『軍師官兵衛』のオープニング映像なんですが、もう観るのもこれが最後なのかと思うと、感慨深いものがありますなぁ。「最終回『乱世ここに終わる』」というテロップを観ただけで、すでにうるっときてしまうものがあります。
 ほんとに、時には「うわ~、また観なくちゃいけないのかよ……いや、自分で勝手に観てるだけなんだけどよ。」などとブツブツ愚痴をこぼしながらこの主題曲を聴くこともあったのですが、本編が始まれば、どの回もしっかり楽しませていただいておりました。
 おもしろければ純粋にお話を楽しみ、おもしろくなかったら、そのぶん自分のテンションを上げて喰らいつく……まことに大河ドラマを楽しんだ1年間でしたね。制作スタッフのみなさまには、もう感謝の言葉もありません。
 しっかし、最後まで凡庸な主題曲だったな……可もなし不可もなしって感じで。まぁ、最初っから最後まで静かなだけの曲よりはよっぽどましですけど。『花燃ゆ』は、あの押井守作品常連の川井憲次さんだそうなんですけれども、大丈夫かな!?

●ダーイシを熱演する田中さんは、声を張り上げると中学生男子みたいなハイトーンになっちゃうのね! いやぁ、それはそれでいい声なのかもしれないけど、鉄砲やら絶叫やらでやかましい戦場ではまったく通らないし、だいいち自軍のテンションが上がりやしねぇ!! 損だなぁ~。
 ……あれ、そういえば、オープニングのテロップに「島左近清興」の名前がなかったような。今年のダーイシは、ロンリー関ヶ原か! 最後の最後まで、今年はさんっざんですねぇ!!

●いや、「おどしの大砲」なんでしょ? さすがに、小早川秀秋の本陣にしっかり着弾するように斉射するのはいかがなものかと思うんですが……徳川軍の大砲隊はデューク東郷なみの絶妙な場所に着弾させてますねぇ。そんな命中精度が保てるんだったら、それで敵陣の大将を狙い撃ちしてくれやぁ!
 でも、着弾した大砲の「砲弾自体」は爆発しないで、地面がえぐれて土煙があがるだけなのは、いい効果演出だと感じました。そうそう、当時の大砲は、現代みたいにハデに爆発する仕掛けにはなってないんですよね! ただし、怖いものは怖い。

●今年の関ヶ原でも、家康が大砲で脅して優柔不断な秀秋を強引に東軍に寝返らせ、それをダーイシが裏切ったと理解して激高する、という定番の流れになっていましたね。
 でも、私はこれはどうかと思うんだなぁ。前になにかの本を読んでずいぶんと腑に落ちたのですが、秀秋は最初から東軍に加勢することに心を決めてはいたのですが、開戦してから数時間が経過しても、西軍の必死の奮戦によって東軍になかなか勝機が見えなかったため、そこを目ざとく見抜いた秀秋が、わざと出撃を遅らせてどちら側につくのかを不鮮明にしていたのだと思うのです。
 つまり、秀秋が自分の足元を見て出撃しないでいるという悪意を強く感じたからこそ、家康は激怒して大砲で脅す手段に踏み切ったのであり、それを受けた秀秋には、

「おうおう、怒ってる怒ってる! まぁ、ジイさんもここらへんが限界かな。へいへ~い、じゃあ行きますよ~いっとぉ。」

 という、実に憎ったらしい余裕があったと思うんです。ドラマのようなひ弱な人格では決してなかったと思うんですね。だって、東西両軍がそうとうに疲弊している頃合いになって、やっと満を持して無傷の精鋭1万5千が動くんですから! 合戦の勝敗は明らかに秀秋が決めたということになります。なんという、したたかであざとい戦国武将スピリッツか!!

 いっぽうの西軍ダーイシも、いまさら秀秋が東軍についたと聞いても、「まぁそうなるわな。」とだいたいの予想はついていたと思います。とにかく、彼は秀秋が実質東軍であることはちゃんと開戦前から見抜いていて、要は、いかに迅速に東軍をツブして、秀秋の動き出すタイミングをなくすか。そこのタイムトライアルに賭けていたと思うんですよね。そして、朝8時ごろから始まった大合戦は4時間後の正午になっても大勢が決せず、そこで秀秋軍がついに動いてしまったことによって、西軍の負けは確定になってしまったと思うのです。
 ダーイシは、ドラマのように秀秋の裏切りなどにいちいち動揺するような精神状態ではもはやまったくなく、「短時間の内に自軍以上の数の大軍に勝利する」という、人生最大の賭けに全身全霊ををなげうつ境地に達していたのだ……あっぱれ! でも、いくらなんでも逆境すぎ!!

●1日で終わるんじゃねぇよ!! と本陣のテーブル(盾)をひっくり返す如水。しかし、もはや覆水は盆に返らず……ダーイシはダーイシなりにがんばったんだろうが、西軍は思いのほか、もろかった。

 ……って、えー!? ちょっちょっ、まさか如水の「九州統一戦争編」、これでおしまいなの!?
 いやいや、まだまだ続くでしょ!? 関ヶ原合戦のあった九月十五日以降も、如水軍はイケイケドンドンで九州平定戦を続け、最終的には十一月に残る薩摩・大隅国を守る島津家を残すばかりとなったのですが、そこで島津家と徳川家が和議を締結したため、制圧した国々は各国の大名に返還し、再び豊前国へと帰還しています。
 つまり、関ヶ原合戦後の如水は、巧みに「わし、もともと東軍よ。」と態度を変えながらも戦争は続けていた、ということになるのですが、確かに、家康の指示があったらすぐにひっこむという、当初の如水の野望に比べたら格段にさみしい行軍になっていたことは、間違いありません。
 でもさぁ、関ヶ原から奇跡の生還を果たした島津義弘とか立花宗茂とか、鍋島直茂・勝茂父子とか、加藤キヨマーとかラスボスの島津義久とかが丁々発止の外交戦&実戦をまじえる最高の戦国絵巻が、あと2ヶ月も続いてたんですよ、九州では!? 『乱世ここに終わる』とかいいつつも、終わらせたくないとしぶとく戦い続けてたのが他ならぬ主人公だったって、どんだけ意外な真相のサイコサスペンスなんでしょうか、『軍師官兵衛』って。

 こりゃもう、関ヶ原合戦後の九州死闘編は、まさにここを映像化せずになにが『軍師官兵衛』だって話なんですが……残念というかやっぱりというか、まるごとカットされてましたねぇ。そりゃそうだ、最終回だから15分放送時間は拡大されていましたが、それで描ききれるはずがねぇもん、こんな濃厚な2ヶ月間! 昔の『新選組!』みたいに、いつか『軍師官兵衛・特別編! 実はあのあと九州はこんなことになってましたスッペシャル』みたいなの、やってくんねぇかなぁ。ダメ?
 せめて、島津義久役の永澤俊矢さんくらいは再登場するかと思っていたのですが、とりつくしまもなかったですね。ぎゃふん。

●あのー、関ヶ原合戦後の井伊直政さんが、2年後に42歳の若さで死去してしまう原因になったという重傷を、あの島津義弘の「捨て奸(がまり)」戦法との激闘の末に負ったようには、まるで見えないピンピンっぷりなんですが……受けた部位については諸説あるんですが、とにかく左腕か右腕のどっちかにどえらい鉄砲傷を負ったんでしょ? 大丈夫か!?
 あの、いつもどおりに平然としている東さんの演技は、周囲を安心させようとしての涙ぐましい配慮のたまものなのでしょうか。えらい! えらいぞ~。

○如水「その時、お前の左手は何をしておった……?」
 いやぁオヤジぃ、そりゃあ負け惜しみの八つ当たりってもんだよ。オレにはオレの立場ってもんがあるんだからさぁ。わかってくれよ~。
 黒田長政、身も心も徳川政権のサラリーマン大名と化した哀しき男よ! まぁ、それだけ守るべきものがあるってことなのよね。隠居したやつが言いたい放題言いやがってよう! 「左手がうんたらかんたら」って、あの、人をバカにしきったたとえ方、なんだよ!! もっとわかりやすく言ってくれよ! オレ、バカなんだから!! あれ?
 長政の憂鬱は続く……

○うお~、間に合った、間に合った! 中盤での如水との「天下とは」談義シーンで、寺尾家康、今までにないコンディションの良さで、右目が自然にオープンしてましたねぇ! そうそう、寺尾さんって、こういう顔の俳優さんだったんだっけ。実に深い優しさのある良いお顔。
 如水との、最初で最後の「たてまえナシ」の会話をするシーンで、とってもナチュラルな顔になってましたよ。やっぱり、今まではわざと演技で細くしていたのかな? すごいなぁ! じゃあ、後半に何回かあった「開けたのにすぐ戻っちゃう」パターンは、いったいなんだったんだろうか……ミステリアス。
 それにしても、寺尾さんは本当に「沈黙」をたくみに利用できる名優ですよね……つくづく、大河ドラマらしくない時間の流れを持った演技だ! すばらしい。

「天下は、一人の天下にあらず。天下の、天下なり。」

●「天下を争うことができたこと、本望にございました……」
 なんてこと、ダーイシが言うかなぁ? ど~もそれらしくない、いかにも後代の「三成奸物説」を後押しする創作っぽいんですが。
 だって、関ヶ原で勝利したからって、すぐに「ダーイシ政権」が発足するってわけでもないですしねぇ。毛利とか宇喜多とかキヨマーとか、黙ってられない面々はいっぱいいるわけでしょ?
 そこは「責任だけひっかぶっちゃった男」の哀しみでいってほしいんだけどなぁ、石田三成って。

○「わしが死んでも、争いの起こらぬ太平の世を創る。それが、わしの望みじゃ。」
 家康さんの意思は強い! その想いは子々孫々まで確かに受け継がれていったわけですな。
 だって、徳川慶喜が死んでも、争いは起きなかったんだもんね!! 翌年(1914年)に第一次世界大戦は起きちゃったけど。むしろ世界規模!?

○「息子に越えられたのう、如水どの。跡継ぎに恵まれ、うらやましきことよ……」
 そうしみじみ語る家康の跡継ぎこと、徳川秀忠……『軍師官兵衛』には、ついに1秒たりとも登場できず!! 津川家康みたいにめんと向かってブチギレてくれるならまだしも、寺尾家康は完全シカトかい! 徳川さんとこの父子関係も、なかなかにたいへんなのねぇ。

●キヨマー、おまえ、九州戦争んときにどこにいたんだよう! とっくに徳川幕府が始まっちゃったあとでの情けないグチりシーンになってやっと登場しやがって……
 『軍師官兵衛』における加藤清正は、ほんとに貧乏くじ引いちゃったみたいなダメなシーンにしか出てこなかったですよね。それで肝心の時にはいないんだもの~。かわいそうだったなぁ。

○如水最晩年での、息子・長政との和解、そして善助への「赤合子」兜の継承の一連のシーン、よかったですねぇ。
 「子に越えられるということは、悪いことではない……」というのは、ちょっと今のところは私には実感するすべもない言葉なのですが、なんか「そうなんだろうなぁ。」としみいるものがあるセリフでしたね。それ、私も現世じゅうに言ってみた~い! いろいろ、がんばろう。

○岡田さんは、ほんとうに演技することがお好きなんですねぇ。実に見事な臨終シーンでした。竹中さんよりもよっぽどリアリティがあって、見ごたえのある最期でしたよね。それって、どうなんだろうか!?
 しかし、ここのシーンでの阿知波悟美さんの演技はものすごかったですねぇ! セリフがひとつもないのに、あの全身全霊をかけた悲しみの表情。ラストのラストにとっておきを持ってきましたねぇ~。プロはこれだからおもしろい!
 そして、最後の最後にも、ちゃーんと鼻筋を流れる岡田さんの涙……男前は、死んでも男前だわ。

●1615年の大坂夏ノ陣における淀の方の年齢は、諸説ありますが47~50歳といわれています。
 となるとやっぱり、おまけ映像みたいなちょっとの出番ではあるんですが、それを引き続いてピッチピチ20歳の二階堂さんが演じるっていうのは、さすがにムリがあるんでないかい!? 老けメイクも全然してないしねぇ。
 それだったら、どうせ秀頼くんも来希くんから大人の俳優さんに代わってるんだから、淀の方も最終回ゲストみたいな感じで、小川真由美さんに演じてもらったほうが良かったんじゃないかなぁ。そうするとホラ、視聴者の淀の方への同情の気持ちっていうのも、わくじゃない? 「あぁ、なんだかわかんないけど、彼女も大坂城でそうとう苦労したんだろうなぁ。あんなことになって!」みたいな。まぁ、それ以上に具体的なことは怖くて言えませんけどね。八つ墓明神さまはお怒りじゃ~っ☆

●オイオイオイオイ、黒田長政と後藤基次との決別の経緯が、まるごと抜け落ちてるじゃあーりませんか! そんなんアリ!? そこは『軍師官兵衛』としてはカットしちゃいけないとこだろう!!
 序盤から、この2人の関係は丁寧に描いてたじゃないの……ここまで互いを知り尽くした2人が、どうして敵同士になってしまったのかっていう部分をドラマにしないで、他のどの大河ドラマがやってくれるっていうんですか!? そこはあなたがやりきるところでしょ!!
 もうさぁ、大河ドラマを観てるほとんどの人が「あんな感じなんだろうな。」って知ってるような、秀頼と淀の方の最期のくだりにあんなに時間さいちゃって、なに考えてんの!? 優先順位が違いすぎるだろ……これはもう、ただただ、がっかり。

○1615年の寺尾家康の右目は、やっぱり最悪だった。ホント、さっきのシーンでの絶好調っぷりはなんだったんだろうか……つくづく、ミステリアスなお人よのう!

○「との……よく、生き抜かれましたなぁ。」
 という、お光の方の幽冥あいなかばな言葉をもって、『軍師官兵衛』、堂々の「完」!
 中谷さんだからこそ演じられる、実に幻想的なラストシーンでした。キャスティングが効いてますねぇ。

○あっ、そういえば、岡田さん、最後まで、あの如水のトレードマーク的な「おしゃれベレー帽みたいな頭巾」、かぶってなかったね! わざとかぶらなかったんだろうけど、1回くらい観たかったなぁ。岡田さんがかぶると、ほんとにおしゃれベレー帽にしか見えなくなっちゃうからやめたのかな。まぁ少なくとも、隠居した老人には見えなかったでしょうね。


結論、「1年間ほんとうにありがとうございました!!」

 あー、疲れた疲れた! もう、大河ドラマはほんとにおなかいっぱい。しばらくは、もうけっこう。今年2015年はほぼ観ないでしょう。
 思えば、大河ドラマを全話を観るという行為も、2001年の『北条時宗』いらいのことでそうとうに久しぶりだったのですが、『軍師官兵衛』はさらに、毎週毎週このような「視聴メモ」をつけるということで! 疲れたねぇ~。でも、やっててとても楽しかったですわ。もう、ひたっすら自己満足なことしかつづってないわけなんですが、それが個人ブログの醍醐味ってもんよぉ。大満足です。

 しかし、だんだんやるたびに書きたいことが多くなってっちゃって、最終的に、今回は「8千文字のメモ」という結果になってしまいました。それが果たしてメモなのだろうかという問題はさておきまして、読んでくださった方が万一いらっしゃったら、あんたも好きねぇ~!! ということで。

 お疲れさまでしたぁー! そして、こんなにおもしろいドラマを1年間、休みなく提供し続けてくれた制作スタッフのみなさま、そして出演者のみなさまに深く、ふかーく感謝したいと思います。ありがとうございました!! ゆっくり休んでね~。
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第49回『如水最後の勝負』

2014年12月31日 23時35分23秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第49回『如水最後の勝負』(2014年12月7日 演出・本木一博)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

豊臣 淀殿      …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

安国寺 恵瓊     …… 知力80、統率力31
 (演・山路和弘)

吉弘 統幸(むねゆき)…… 知力38、統率力70
 大友家重臣。主君・大友家の改易後に、如水に見出されて3~4年ほど井上九郎右衛門に仕えていたことがあった。(演・的場浩司)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

毛家 主水 武久   …… 知力15、統率力62
 黒田家旗奉行。のちに「黒田二十四騎」に数えられる。(演・春風亭昇太)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

平岡 頼勝      …… 知力70、統率力30
 (演・今井朋彦)

小早川 秀秋     …… 知力21、統率力34
 (演・浅利陽介)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

宇喜多 秀家     …… 知力50、統率力61
 (演・武田航平)

大友 吉統      …… 知力60、統率力46
 (演・増田修一朗)

吉川 広家      …… 知力59、統率力48
 (演・加藤頼)

大谷 吉継      …… 知力81、統率力80
 (演・村上新悟)

長束 正家      …… 知力87、統率力13
 (演・佐久間哲)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)


ざっとの感想

●慶長五(1600)年九月一日。東軍の総大将となった徳川家康ひきいる兵3万3千の大軍が、ついに東海道を西へ進軍開始! 同時に家康の三男・徳川秀忠ひきいる兵3万8千も中山道を西上したため、徳川軍本体だけで合計7万を超える大軍が動員されたことに! これはとてつもない大戦争の幕開けであります!
 とはいいつつも、実はこの徳川軍の九月一日出立は、先立つ八月二十三日に、西軍の重要な防衛拠点だった美濃国岐阜城が、福島正則や池田輝政、そしてわれらが黒田長政といった、いきりたちまくった豊臣恩顧の大名たちの総攻撃によって、たった一日で陥落してしまったことが直接の引き金だった、とされています。つまり、西軍にしても東軍にしても、この難攻不落の岐阜城攻防戦にはけっこうな時間がかかると予想していたらしいのですが、岐阜城を援護するはずだった竹ヶ鼻城・犬山城・大垣城といった諸城があれよあれよという間に落城するやら内応するやら補給路を分断されるやらで、とんとん拍子に岐阜城は孤立無援の状態に。そして、「いま家康に恩を売っとかなくて、いつ売るんだコノヤロー!」と士気MAX になった荒武者ボーイズが殺到したため、勝った家康までもが「えっ、ちょっ……」とあせる急なスケジュール前倒しになってしまったのです。
 なぜ家康があせるのかといいますと、ここでダーイシが滅んだとしても、他の豊臣政権の主だった大名がハバをきかせるようでは、徳川家による天下取りは遠いものになってしまうから。実際に、その後たのみの秀忠軍が「例の遅刻」で関ヶ原に間に合わなかったことなどの悪条件が重なったため、家康の「思い通りの」天下取りは、1615年の最晩年まで先送りになってしまうのでありました。家康の潜在的な敵は、ダーイシだけではなかったのだ。

 ……ということなので、先週のクライマックスでにおわされていた、「九州で如水があやしい動きを見せてるから、それを警戒した家康が江戸城を出立した」みたいな解釈は、意図的に長政たちの大活躍を無視した『軍師官兵衛』ならではの「主人公優遇サービス」とみた! 九州のことなんか気にしてる場合じゃねぇんだよ~、こっちは!

○如水「家康も江戸城を出陣した。思ったよりも徳川の進軍が早い!」
 とはいいつつも、家康が先週の小山評定で「石田討つべし!」と檄を飛ばしたのは七月二十五日のことで、今回の家康出馬は九月一日。ゆうに1ヶ月の時間が経過してから、やっと西軍と東軍が衝突するかしないかという空気になってきたわけなのです。
 これでも如水は「早い」とあせるし、家康だってもう少し福島たちを抑えて様子を見たかったらしいです。そして、西軍のダーイシだって、もちっと岐阜城には持ちこたえてほしかったし……
 なんか全体的に、当時の関係者の方々は、現在の私たちが認識しているような「全てが決する大戦争が勃発してハイ終了」ではなくて、かなり長期的に東西対立が続く構図を想定していたんでしょうかねぇ。
 だとすれば、かつての14世紀の南北朝時代みたいに、なんとも煮えきらない日本的な状況が続く可能性もあったようなのですが、そこを打開したのが、マンガみたいにわかりやすく恩賞と出世を望む福島とか長政といった「こまけぇこたいいんだよ!」的な面々の、きわめて俗っぽい戦功争いだった、というのが実に痛快ですね。
 如水をあせらせた本当の原因は、武将として思った以上に成長していた長政の活躍だったのだ! 息子のひたむきな勤勉さが、親父の老後の楽しみをおびやかす……皮肉な話よねぇ。

○「もっと! もっとはよう~!」と、大坂城の廊下で女中たちと楽しそうに木馬遊びに興じながらも、横ぎる一瞬のあいだに、部屋の中でダーイシを相手に思いっきりキレまくる母ちゃんをしっかり目撃してしまう秀頼ぎみ。
 お母さん、そういう姿は、あんまりお子さんに見せるものじゃありませんよ。いや、いや、「子どものため」とか「相手が以前に言っていたことと話が違う」とか、お話の内容は関係ないんです。そうやって激高するお母さんの姿を見てしまったお子さんのお気持ちを察してあげてください、という話なんですよ。
 数え年8歳って、もう小学校2年生でしょ? 平和な現代の小2だって、もう立派に人格は持ってますよ。キレる母ちゃんは見たくないよね~。そのうえ、後ろにいる女中さんたちが「見た? あれ……西軍、ヤバくね?」とか、「ヤバいよね……もうわたし、転職先さがしてんだけどさ。」とかってひそひそ話を始めちゃった日にゃあ……うおお! じいちゃんみたいな父ちゃん、カムバ~ック!!

○「ならぬと言ったらならぬ!」といった、けんもほろろの態度で秀頼の出馬を拒絶する淀の方。いや~、久しぶりに眉毛と目がきれいな「X」をつくってますねぇ。
 しかし、すぐに態度を切りかえて、「アメとムチ」を絵に描いたような猫なで声作戦に入ります。

「そなたが大坂に戻ったからには、なにも心配はいらぬのではないか……?」

 でも、しかし……え、私が戦闘の指揮も執らなきゃいけないわけ!? いや、確かに心配ご無用とは言いましたけど、それは太閤殿下のマネをしてテンションを上げたかったから言っただけでして……頭脳プレーとホントに野っぱらでやる殺しあいは、また別の話なんでありまして……あの、ちなみに、私の北条征伐のときの忍城の話は、誰かから聞いたこと、ありますよね!? 聞いてなかったら、『のぼうの城』っていう何年か前の映画、観たことあります?

 ここにきて、ことの重大さに初めて気づくダーイシなのであった。うそ、オレが戦場でもがんばんなきゃなんないわけ!? 助けてサコ~ン。

○秀頼出馬がムリだとしても、さらに西軍総大将である毛利輝元くんまでもが大坂城を出ないっていうのは、やっぱりおかしな話ですよね。そこはダーイシ、せめて輝元くんは引っぱり出してほしかった。もし、「でも大坂城の秀頼ぎみを守らなきゃ……」とかなんとか言うんだったら、ダーイシが大坂城に入ってでも輝元くんを出さなきゃいけなかったんでしょうね。
 う~ん、でも……もし総大将輝元が出ても、西軍は勝てたのだろうか!? そこで勝利をはっきり確約できないのが、輝元くんらしいところなのよねぇ。いいひとなんだろうけど、絶対に自軍の総大将にだけはなってほしくねぇ!!

○すでに、七月十八日から八月一日まで繰り広げられていた京の伏見城での激しい攻防戦に、西軍側の副将としてがっつり参戦していたにも関わらず、ここにきて「東軍につく」と翻意を明らかにした小早川秀秋の家老・平岡頼勝が、陣中の黒田長政に面会。いや、もう東軍の陣中に平岡が来たって時点で、秀秋は悩むもなにもねぇだろ……西軍は秀秋の家老の動向を把握する余裕もないのか!?
 しかし、平岡を演じる今井さんののらりくらりした言動は、実ににくったらしいですねぇ! 長政から、「京の近くの2ヶ国に所領を安堵する」という家康の伝言を聞いて表面上は喜んでますけど、「それだけかよ……もうちょっと考えてみっか。」っていう内心が見え見え!
 いいですねぇ。そうでなきゃ戦国なんてやってらんないよね。

○さすが、秀秋の東軍内応をしっかり把握していたダーイシ。向こうが畿内2ヶ国で釣ろうとするのならば、こっちは「筑前+播磨+関白職+平岡10万石独立」、そして大坂城名物「黄金いっぱい♡ 」の大盤振る舞いで、ムリヤリ秀秋の顔をぐいと西軍に向きなおさせます。これはダーイシらしからぬサービス満点っぷり! いよいよ彼も覚悟を決めてきましたね。

 ……ただ、ドラマの中でダーイシが力説していた、「所詮は利で動く輩……とびきりの利で釣ったら目の色を変えておったわ。これでつなぎとめられただろう。」という論理は絶対におかしい。というか、甘い!!
 利で動くやつなんか、一刻も早く自軍から出ていってもらうに限るんです! 自分の提示する利と敵軍の提示する利をはかりにかけてる勢力なんか、完全に邪魔な「第三勢力」でしかないんじゃないの!! そんなの、身内においといちゃダメですって。
 とにかく、持ってる兵力を動かせないような場所に封じ込めるか、なんくせつけて追放するしかないんじゃないですか。

 私もそこはキビしいですよ……ゲームの『信長の野望』だったら、こんなヤツはわざと「兵100」くらいの最低値に設定して戦場に出して、裏切った瞬間に包囲して串刺しにします。たとえそれができないにしても、暗殺か強制出家の処分にしたってバチはあたんないだろ、こんなヤツ。「小早川」ったって養子だしねぇ。まぁ、ダーイシは北政所おねに配慮しちゃったのかな? そんな甘さじゃあ、天下分け目の大合戦に勝つことはできませんよね。

●九州各地の諸大名に降伏勧告の書状を送りつける強気な如水! 情報戦で機先を制するわけですな。
 それは別にいいんですけど、宛名もろくに読んでいない足軽どもに、箱の中からつかみ取りで書状を持たせるとは……アバウトすぎ!

「やべっ、おれ、対馬と大隅の書状いっしょに取っちゃった……何週間かかるんだろ、これ?」
「ラッキー☆ おれ、島津あーたった! 最強キラ書状ゲットー!!」
「それ……ラッキーなのか?」

○如水の姿を見て、早くもテンションが最高潮に達する如水軍。士気高いなぁ!
 ただ、ドラマの流れからすると、現当主の長政が如水と決別した6月の時点から徴兵と訓練を開始した民兵というかたちになるので……できて3ヶ月前後でしょ? ほぼプロの戦争屋さんたちと、これからず~っと戦い続けることになるわけでして……中津のみなさんは、ホンットにお元気ですね!! 私も見習いたいわぁ、そういうポジティブシンキングっぷり。

○「大友吉統は、かつて朝鮮にて敵を見る前に逃げ出し、豊後をめしあげられた臆病者じゃ! その臆病者が、わしの首を取りに来るという……敵がたとえ何万騎で来ようと! 百に一つも負けることはない……」

 大河ドラマの主人公とはとても思えないブラックな笑みを浮かべて、徹底的に大友吉統をディスる如水。
 出陣直前の演説として、これほどにリアリティのある内容もないんですが、なんだか最終回目前のここにきて、如水が完全に悪役に見えてきてしまいました……こういう感じの演技で活き活きとされてもなぁ! まぁ、戦国武将の分際で「命をだいじに」とかってほざくよりはよっぽどましですけど。やるんだったら、初回からこういうテイストでつっきってほしかったなぁ。松永さんとか宇喜多さんとめちゃくちゃ意気投合しちゃったりして。

○久しぶりの出陣シーンで、ついにトレードマークの「銀白檀塗合子形兜(ぎんびゃくだんぬりごうすなりかぶと)」もおっかぶって出たかと思ったら、如水本人は輿に乗っての進軍ですか。まぁ、もともと脚もよくないし、なんてったって55歳だしねぇ。でも、輿での移動はそんなに快適じゃないぞ! 長旅なんで酔わないように気をつけましょう。

○これまた久しぶりに「竹中」の名を持つ武将が出てきたかと思ったら、ブラック如水の格好の餌食になってしまう、竹中重治のご親戚のおぼっちゃんでした。かわいそうに……失礼ですけど武将としての竹中家って、みなさん基本的に「どこか残念」ですよね。重治は寿命が残念。

○「殿ォ! おなつかしゅうござりまする……」という、感慨深げな第一声で登場した、大友吉統の忠臣・宗像鎮続。
 でも、あたしゃ、その鎮続を演じている丹古母鬼馬二さんがおなつかしゅうござりまするよ……元気そうですね~!!
 丹古母さんといえば、かつて、あの難攻不落もいいところな名城「風雲!たけし城」(1986~89年)を守っていた名将ですよ。当時小学生だった私にはたまんないルックスとお名前だったなぁ、たんこぼ・きばじ。
 そんな丹古母さん演じる鎮続といい、「あのお方」が演じる吉弘統幸といい、大友吉統、自分はダメだけど最高級のフォロー陣で豊後奪回戦にのぞむ万全の態勢と見た! 相手にとって不足はなァし!!
 いや~しかし、「片肌脱胴具足(普通の胴丸を片肌脱ぎしたように見える半分裸形のデザインの鉄板甲冑)」とか、「仁王胴具足(胴体を金剛力士天をイメージした裸形でかたどった鉄板甲冑)」がこんなに似合う現代人がいたとは。軍装スタッフさま、グッジョブ中のグッジョブ!

○うわー、ついに出たー! 歴史ドラマでこんなに頼りがいのある俳優さんもいません、吉弘統幸役に的場浩司さんがきたぁああああ!!
 まさに、怒ったらそうなる、なんていう二階堂さんの一時的な「X」が瞬時にふっとんでしまう、「24時間オルウェイズX字顔」!! ただし、お子さんとスイーツのことに関しては「X」でなくなるらしい。
 ドラマの主人公を敵にまわすという、「敗北フラグもへったくれもない」悲しみトワイライトな吉統軍に所属するのがあまりにももったいなさすぎるキャスティングなのですが、ともかく出演してくれただけで、はい、もういいです満足です。

 たとえば、「速水もこみちが母里友信を演じる」となると、たいてい武将のイメージにあわせて現代の役者がいかつくなる、という構図が当たり前の昨今で、的場さんは「武将が現代の俳優のオーラにあわせて通説よりも数倍いかつくなる」そうとうに稀有な俳優さんのおひとりですもんね。
 だってさ、『信長 KING OF ZIPANGU 』(1992年)の池田恒興、観た? あんなの、前田利家とか柴田勝家がはだしで逃げ出す狂犬っぷりだったじゃない!? あれは歴史が改変されかねない、的場さんの覇気でしたよ。
 実際、私は『信長の野望』のイメージしか持ってないんだけど、吉弘統幸って、他の大友家臣団にくらべたら、正直いまいちパッとしない方ですもんね。よかったねぇ、的場さんが演じてくれて。

○吉統「おぬしは以前、黒田の食客となっておったそうだな……情が移ったか、統幸!?」

 ンだとぉ!? だぁれのせいで黒田の食客になったと思ってんだコラー!!

 ……って、よく統幸が吉統に殴りかからなかったですね。的場さんもまるくなったもんだね。
 たぶん、それを聞いてた鎮続だって、「いや、それはいいっこなしだろ。少なくとも、あんたが言う資格はねぇだろ!」と思ったんじゃないんでしょうか。吉統は演技の棒読みっぷりも、言ってる内容もどっちも0点だな!!

○「大友軍が3~4千名規模にまで拡大した」というニュースよりも、「大友軍に吉弘統幸がいる」という情報のほうに慄然とする如水陣営。
 いや、そこまで統幸を持ち上げるのもどうかと思うんだけど……どっちかっていうと、「吉弘統幸」の部分を「的場さん」に変換したほうが、その恐れっぷりにも納得がいく気がします。演じている俳優陣の世代からしても、的場さんの勇名はとどろきまくってるでしょうよ。

○この『軍師官兵衛』に7月あたりから登場するようになって放送およそ20回、今週になって初めて、目に見えてあせる様子をあらわにした家康。そうそう、関ヶ原合戦ではダーイシは当然あせってるんだけど、家康もそれと同じかそれ以上にあせってたのよねぇ!
 さぁ、盛りあがってまいりました!!

○なんかもう、まともな野戦シーンがほんとに久しぶりで……もう、いい。ツッコもうとすればそれはポイントがいっぱいあるわけなんですが、もういいです。どんどんやってくだしゃ~い。いつぶりって……ヘタしたら、小寺 VS 毛利の「英賀合戦」(3月放送)ぶりなんじゃないの!? ひえ~、秀吉の天下取りの覇業は、どの戦闘も直接には映像化されなかったのか。そんなん、あり!?

○一時は主従の関係にもあったという、九郎右衛門と統幸、因縁の対決! 燃えますね~。
 すでに左脚に矢を受けているとはいえ、相手は武名名高い的場さ……いや、吉弘統幸。九郎右衛門の「もう充分じゃ! 命を無駄にしないでくれ……」という言葉の震えが、決して悲しみの感情だけからきているのではなさそうに感じるのは、私だけでしょうか。高橋さん、やっぱり、いいところでいい演技をするねぇ~!

○ぐわ~! 的場さん、そこで「みそ汁」はないっすよぉお!! 激しく感動いたしました。ずるいずるい!
 ほんとに、1回ゲストという扱いがなんとももったいないキャスティングでございました。だったら伏線として、大陸出兵のころから黒田家預かりとしてドラマに登場させてあげてくださいよぉ~!! 実に良いお仕事でございました。

○岡田さん、大友降伏後の勝どきのときに、しれっと武藤敬司のマネしてなかった? 岡田さんのそういうところ、いいですよね……

○輝元は「なんか長盛があやしい」とかなんとか言って出馬しないし、家康は超得意な野戦に持ち込むつもりだし、自慢の「乱髪天衝脇立兜(らんぱつてんしょうわきだてかぶと)」は、いざかぶってみたらサイズがでかいし毛が雨水吸っておもてぇしで、もうさんざんすぎる哀れなダーイシ。こりゃもう、恥も外聞も捨てて大坂まで撤退するしかないんじゃない!?

 関ヶ原前夜もいろいろ交渉をがんばるわけなんですが、たぶん、史実の雰囲気でいけば、この時点でダーイシが小早川秀秋に面会する、なんていう悠長な関係ではなかったと思うんですが……おそらく、AKB には会えても、吉川広家と会うことも難しかったのではないのでしょうか。
 もう、このときのダーイシには、広家や秀秋に泣きを入れるとかいう余地はなかったと思うんですよね。状況はドラマよりも遥かにシビアだったはずなのです。がんばれ、ダーイシ! ていうか、逃げるしかねぇって、マジで!! 雨にそぼ濡れてる場合じゃねぇえ。

○なるほど、毛屋武久の報告は単なる「あえてついたウソ」だったのではなくて、黒田家の精確な敵状把握の結果もたらされた「実動兵力」の報告だったのか! にしても、さすがに「多くて3万」というのは少なく見積もりすぎなんじゃないかと思うんですけど……4万前後くらいはあるんじゃないの?
 まぁ、いっか。ハイおまんじゅう。ほんじゃま、開戦すっか。


結論、「最終回がとってもとってもたのしみです。」

 というわけで、最終回の視聴メモを残しまして、『長岡京エイリアン』、2014年おしまいでございま~っす。あ~、疲れた。

 そんなこんなで、みなさま、良いお年をお迎えくださ~い! 私も、2015年は良い年にするぞ。南無八幡大ぼさーつ!!
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『軍師官兵衛』  視聴メモ 第48回『天下動乱』

2014年12月26日 23時27分49秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第48回『天下動乱』(2014年11月30日 演出・大原拓)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

豊臣 淀殿      …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

安国寺 恵瓊     …… 知力80、統率力31
 (演・山路和弘)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

平岡 頼勝      …… 知力70、統率力30
 小早川秀秋の家老。黒田長政と親交がある。(演・今井朋彦)

小早川 秀秋     …… 知力21、統率力34
 (演・浅利陽介)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

毛利 輝元      …… 知力85、統率力80
 (演・三浦孝太)

大友 吉統(よしむね)…… 知力60、統率力46
 旧名・義統。豊臣政権下で失脚して領地を失い、現在は豊臣家直属の家臣になっている。(演・増田修一朗)

長束 正家      …… 知力87、統率力13
 (演・佐久間哲)

豊臣 秀頼      …… 知力44、統率力39
 (演・小美野来希)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)


ざっとの感想

○「採用即ボーナス」、「武具貸し出し」、そして「士分取立て」という、ちょっとよその武家では考えられないなりふり構わなさで、領国・豊前国の中津でアマチュア民兵を急募する如水。なるほど、長政が連れてって領内に兵がいないのならば、また作ればいいんじゃないのという柔軟な行動力!
 でも、長政が率いる黒田軍も含めて、当時、国際戦争という最大の戦役も経験した、ほぼプロフェッショナルといってもいい全国諸大名の正規軍は、おそらく長い日本史上の中でも最強クラスの熟練度に達していたはずで、そこに急ごしらえの如水軍が、どこまで追いつけるのかどうか。
 おらが大殿のため、ということで士気は高いでしょうが、攻められての決死の防衛戦、みたいな危機感もないだろうし、ほんとのところ、如水はどういう情報戦略をとって自軍のテンションを上げたんでしょうかね?
 「天下統一しま~す。」とか言ったって、いまいち実感がわかないもんねぇ。大義も、よくわかんないっちゃあわかんないし……お祭り感覚は長くは続かないですからねぇ。ましてや、おっかないベテラン兵を相手にした戦争なんですから。

○家康の上杉討伐に従軍した黒田長政の動員兵力って、「5400人」だったのかぁ。なかなかシビアな数字ですよね。
 当時の黒田家、つまり豊前国中津藩は石高が公称「12万3千石」で、実状は「18万石」くらいまで成長していたということなんですが、やっぱりそれくらいが限界だったのねぇ。
 決して広くはない領内からの兵力の調達は、ゲームの『信長の野望』みたいに簡単にはいきませんわなぁ! 1万人超えはキッツいわぁ。

○ケチなダーイシを見越した、如水の「九州7ヶ国をくれるんだったら、加勢も考えるよ。」というムチャクチャな NO回答なんですが、ケチでなくともこれは飲めないよなぁ。だって、如水の異常な徴兵の情報を知らなかったはずのダーイシからしたら、主要な兵力のいなくなった中津の留守番をしているだけの隠居したおじいちゃんなんですからね。ただ、それでもそんなおじいちゃんに加勢の誘いを送ったのは、そのネームバリューで西軍の士気を上げることと、離間策で長政軍の動揺を引き起こすことが狙いだったのでしょう。
 でも、そんな自信マンマンな拒否の返事を受けちゃったら、ダーイシも「こいつ、な~んか考えてんぞ。」といよいよ疑いを深めたことでしょう。うわ~、今は前の敵だけに集中したいのに、後ろにわけのわかんないヤツがいる! こわいよ~。

○あんまり知らない大名と結婚したかと思ったら、さっそくの大ピンチで義母といっしょに農婦コスプレの脱出作戦かよ! あたし、ヤバいところにとついできちゃったかも……と不安の色を隠せない栄姫であった。
 って言っても、栄姫だって、とてつもなく波乱万丈な生涯を送ってきた叩き上げ武将・保科正直の娘なんですからねぇ。保科家の当時の領地だった下総国多胡藩(現在の千葉県香取郡多古町)で、こんなどろんこ遊びくらいはしょっちゅうやってたんじゃないですか?
 まぁ、ここはカマトトぶっとくか、と腹を決め、「こ、こんなところへ入るのは、初めてでございますっ。」と恥じらう演技をする栄姫。も~う、生まれたときから徳川家の深窓の姫君だったような顔しちゃって~、この!

○さすがにまったく同じ重さのものまでは用意しなかったかもしれないのですが、リアリティのためか、けっこうバカにならない重量のものをかついでいたらしく、女性2人を隠した俵袋を運ぶ母里……というか、もこみちさんの足元はかなり情けなくフラフラしていましたね。こういうのはやっぱりねぇ、背は高いにしても、足が短くて多少太ってるくらいのおじさん体型のほうがたのもしく見えるんだよなぁ。おじさん体型は、いいよね! いや、自分がなりたかねぇけど。

○そういう逸話が黒田家に実際に伝わっているのかどうかは知らないのですが、いかにもありそうな「お光・栄姫偽装作戦」エピソードでしたね。ベッタベタな展開ですが、こういうのがないと関ヶ原前夜じゃないんだよなぁ。定型ですよね。
 それにしても、主君もたいした軍勢もいない大坂の黒田邸に対して、これほどまでに西軍勢力が弱腰とは……ささいな武力制圧にも労力をかけたくないのか、それとも、そもそもその武力が調達できていないギリギリ状態なのか。とにかく全体的にダーイシの苦境が、無言ながらもひしひしと伝わってくるような哀しさがありますよね。ひっじょ~に、キビシ~ッ!!
 だいたい、新妻で大坂に来たばっかりの保科家の娘の顔を知らない、というのは百歩ゆずってわかるにしても、さすがに、そろいもそろって黒田家の先代の奥方の顔も知らないようなデクのバーばっかが使者って時点で、まったく緊張感がありません。ダーイシは、また人選をミスったな! そんなんじゃダ~メよ~。

 なんでもいいんですが、善助も、経産婦のことを「16歳には見えない」って言われただけで、そんなに動揺するんじゃない! どんだけヨメLOVE なんだって話ですよ。はいはい、アツいアツい!

○栗山善助と日本号ひっさげた母里友信が、なんかものすごい形相になりながら、人間が入りそうな大きな木箱を運んでるんですよ。真っ黒も真っ黒だろ、そんなもん! 港に行かせるんじゃないよ~、この腑抜け侍どもが。
 善助も友信も、実においしいタイミングでくしゃみが出そうになったカトちゃんみたいな栄姫もみなさんグッジョブだったのですが、いちばん黒田家に貢献してくれたのは、4人の逃亡のきっかけを命がけで作ってくれた、細川さんちのガラシャさんですよね。結局、今年は1秒も大河ドラマには出てこなかったけど、よくやってくださいました。あんたは、エラい!!
 藤孝は出るには出たけど、将軍・足利義昭公のインパクトのせいでだいぶ影が薄かったし、忠興も俳優ノンクレジット&セリフゼロでちらっと出てただけ。今年は細川家はかなりの冷遇でしたな。ま、そんな年もあっていいんじゃないかしら。

○非常に有名な「小山評定」で、先陣切っていきりまくった決意表明をする福島正則。いいですねぇ~、こういうお祭り男がいるかいないかで、場のテンションは天と地ほど違ってくるんですよね。そのうえ、戦となると正則はめっぽう心強い!
 ただ、いくら豊臣秀頼を奉じているとは言っても、正則がダーイシの挙兵にくみするとはだぁれも考えていないわけで、全体的に「まぁ、そうなるわな。」という雰囲気ではあったんでしょうけど。やっぱり、「旧主の恩よりオレの好き嫌い」なんですよね~。まさに戦国武将! のちの「サムライ」とはまったく違う、ビジネスライクきわまりない論理ですね。朝倉宗滴教景も、草葉の陰でサムズアップよ☆

○「上杉討伐に従軍した武将は、ほぼ全員が家康軍に加勢するもよう」という急報に接し、歯ぎしりして悔しがるダーイシたち。

ダーイシ「太閤殿下に取り立てられたご恩を忘れおって……」
長盛  「人質を取ったことが裏目となったか!」

 それを聞いて、内心で「いや、おめーらがいるから、あっちにいっただけなんじゃね?」とつぶやく AKB。
 ま、アタシたちもうすうすそうなんだろうなとはわかってるんだけど、自分たちからは言えないし~! もう遅いしぃ~!! もはや開き直るしかない奉行ズであった……

○いつの間にか AKBが入手していた、「如水軍1万までに膨張」というニュースに驚愕する西軍首脳陣。しかし、ダーイシには秘策があった!?
 「クックック……なんという男だ……だが、手は考えてある!」

 ……ときて、いったいどんな大作戦なのかと思ったら、如水攻撃軍の大将が大友吉統て! くわ~、こらまた、古くさ~いお名前が出てきましたなぁ!
 確かに、九州北部では絶大なネームバリューのある大友家の末裔を派遣する、というその着眼点は的確ですし、吉統も旧領奪回のためならばと決死の覚悟でのぞむことは間違いないわけなのですが……吉統さん、戦争の勝敗とかじゃなくて、自分の力量の足りなさで失脚して豊後国を失ってるからね。な~んか、あの尼子勝久とかとは違って、「自業自得でしょ」みたいなしらけムードがぬぐえないんだよなぁ。
 長盛から、念を押すように「敵は武名高き黒田如水! くれぐれも油断めされぬよう。」とか言われてますけど、これ、完全なる皮肉ですからね! だって、むかし吉統とその父・宗麟が島津家に危うく滅ぼされかけたところを救ってくれたのが、その「武名高き黒田如水」だったんですから。なんか、「自業自得」な上に「恩知らず」のレッテルさえもつきかねない、吉統の厳しい立場です。

 しかもさぁ、とどめはこれですよ、一時的な関係だとはいえ、自分にその命を下す総大将さまが、よりにもよって、あの毛利輝元なわけ!!
 キィイ~、なんで毛利!? なんで、かつて関門海峡を挟んで「西日本最大」の覇権をめぐる熾烈きわまりない抗争を繰り広げていたライバルの当主が西軍総大将で、オレが「領土は働き次第」のアルバイト待遇なわけ!?
 親父の宗麟も、天国で慟哭してますよ……おぉ神さま、神さま……助けてパパ~ヤ~♪

○「上善如水」の、『老子』の一節を如水が朗読するシーンなんですが、なんか、なつかしいな。そういえば、『軍師官兵衛』もそうとう初期には毎週ひとつずつ、兵法の一節を字幕で出して如水が実践する、みたいなパターンがありましたよね。
 あれ、いつの間にかなくなっちゃったよな……私個人はそういうのを、見てる人が飽きてもかまわないから50回ぜんぶでずっとやり続けてやる、みたいな「骨」が観たかったなぁ。好きです、そういうヘンなこだわり!

●如水の語りかけた「黒田家天下取りプラン」を、機先を制して自信たっぷりにとうとうと語りつくす、善助ら重臣ズ。
 もはや言葉さえもいらないツーカーの主従関係に思わずウルッときてしまう如水だったわけですが、いや~、その未来設計図、そんなにうまくいくかぁ!?
 だって、四国の反応がまったく計算に入ってないし、だいいち、その時点で九州には島津家と加藤キヨマーがいるんじゃないの! そりゃ、島津義弘は出張中だしキヨマーも敵になるとは確定していないんですが、危なっかしいメンツがうじゃうじゃしてる九州地方を統一して中国地方も制圧して、果たしてそのときの黒田軍が、西軍や東軍より「疲弊してない」なんて言えますか?って話なんですよ。そりゃムリな話だろ~。このプラン、西軍と東軍がいったい何年戦争してなきゃいけない想定なんですかね!?

 感動したあまりに3人の重臣に頭を下げる如水だったのですが、どっちかというと、「……とかって思ったんじゃけど、やっぱやめますさぁ~せん。」と言いたいようにしか見えない一礼なのでした。野望ってもんは、ほんとに人の目を狂わすのねぇ。

●如水のセリフ「軍師として重用されることができた。」の「重用」って、「じゅうよう」じゃなくて「ちょうよう」じゃないの? いや、まぁ、21世紀の読み方がそうなるっていうんなら、あたしゃ文句は言いませんけど。だいたい、如水が自分のことを「軍師」って言ってる時点でもうセリフおかしいからね。
 私は「ちょうよう」、好きなんだけどなぁ。私は死ぬまで「ちょうよう」派よ! あと、「どくせんじょう」派。

○関ヶ原最大のキーマン・小早川秀秋、ついに動く! あら、やっぱりそういう、おどおどキャラ? 今年もベタなのねぇ~。
 「勝つほうにつきたいです。」ってあなた、今回の大戦争は、あなたがついたほうが勝つのよ! どっちでも好きなほうにすればいいのよ~。こんなにラクなことって、ある!?
 今週は初登場ながらもセリフゼロだったんですが、秀秋付きの家老・平岡頼勝を演じる今井さんの存在感がハンパないですねぇ! いっつも情けないやりとりばっかりのこの2人ですが、今年はなんか、かっこよくなりそうだぞ~。

○別撮りで肉に食らいつくカットは用意されたものの、江戸城内の庭で飼われていたタカ、寺尾家康のたっぷり30秒間にもおよぶ「肉ほれほれ」モーションにも、まったくつれない無反応!! 少なからず気を落とす家康……ていうか寺尾さんがかわいい。
 あれほど、長政をはじめとする全国の大名どもを軽々と手玉に取る家康も、なれないスタジオ撮影に緊張するタカを制することはできないのであった……動物と子どもは、素直だねぇ~。秀頼役の小美野くんも、今週やけにカメラ目線になってましたよね。いよいよ近づいてきた天下分け目の大合戦の気配に、思わずちらちらしてしまう、大坂の子どもと江戸のタカ。みんなかわいいですね。


結論、「第49回がとてもたのしみです。」

 はいっ、というわけで、『軍師官兵衛』の本放送はもう終わっちゃったわけなんですけれども、こっちの企画は、まだ終わっておりまっせ~ん。
 まぁ、マイペースに、ね。なにごともムリをせずにやっていきましょう。のんびりのんびり~。

 うをっ、あの予告映像に出てた甲冑武者、もしかして、的場浩司さんじゃね!? これはものすっごい戦争になりそうだぞ~!! 今年は関ヶ原以上に、九州の石垣原がヒートアップするもよう! 見逃せないぞ。
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