前田ハルさんのすぐ下の妹は、末の子を背負い、与那城のよし子さんはもう一人の子の手を引いて壕の外へ出た。前田ハルさんのいる所へ行こうと必死で走った。隣のやしきの前を通り、次の所の空地で、一人の兵隊が手を引っぱり、ハルさんの妹の腹部に軍刀をズバッと差し込んだ。弟をおぶっている手がはなれ、弟は地べたに転げ落ちた。そこを思いのままに長い軍刀が走った。
いっしょに壕を出た与那城のよし子さんは、兵隊と何やら話をしていたが、前田さんが泊っていた屋敷へ行く途中、兵隊にとらえられてしまった。西新川小の家の前で、「姉さん姉さん」と声をふりしぼっていたが、まもなく、その声も闇に消えた。
夜が明けてからよし子さんは発見されたが、カスリのモンペをきりっとつけて倒れていた。
いっしょに壕を出た与那城のよし子さんは、兵隊と何やら話をしていたが、前田さんが泊っていた屋敷へ行く途中、兵隊にとらえられてしまった。西新川小の家の前で、「姉さん姉さん」と声をふりしぼっていたが、まもなく、その声も闇に消えた。
夜が明けてからよし子さんは発見されたが、カスリのモンペをきりっとつけて倒れていた。