十人十色(太田仁美)。

2013-03-23 14:22:37 | 自ら援くる者以外はその在るを神も認めず。
すみませんメモ餓鬼です。
岡田尊司の本が見当たらず同じ段にあったこれを借りてみたのは、一般的な意味での「十人十色」ではなくアスペルガー症候群でのそれだというプロローグを見たからだったが、大部分を占める姑の描写は一人一色的であり、子供っぽいこと、普通はひとつの流れである料理と会話が別次元であり両立しないことのほかは、その多くが共感し得なかったり既に見聞きしていたことだった。後段の、隔世で遺伝子を受け継いだ息子さんを綴る章で、初めてではなかったかもしれないのに声を上げそうになったことは、「小学校中学年で作文が書きにくい」。(息子さんはセカンドオピニオンでは境界線だと言われた。)

時間割に「作文」があった。同級生の鉛筆の音が耳に重なる中で私はどうしたらいいかほとほとわからなかった。ほかの宿題は授業中に済ませたりしていたのに作文は家でやっとひねくり出した。夏休みの宿題の感想文では、図書室の本に掲載されていた文章をほんの一部脚色して提出したら最優秀賞に選ばれ、誰も知らないハズはないという恐怖的呆け感の中、校内放送で朗読させられた。私は澄ましている以外なかった。

最初は文章・文体が気になったが、終盤に向かって整理された展開を感じつつ、自分の集中力は既に切れていた。ただ、「アスペルガー症候群の人は、認知症になりやすいのだろうか、(略)あまりデータがないそうだ。」以下の認知症に対する思いには目を引かれた。

私は認知症グループホームに勤務するが、遠因には認知症の人の感覚がどこかしら自分に似ている気がしたことが一つにある。「七、八年前は、大昔です」と主治医に言われる場面がある本の出版は2007年ほぼ大昔。
コメント
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