自分から語りかけて
私の会話は続かない。
ごめんくださいと肩越しに去る。
ガラスの向こうで息を吐きかけ
描くのの字に気をとられる
ぽん・で・ら・りんだの足元に
への字が躍り誘い去るのを見た。
見えないほど遥かな空が揺れて滑るのを
見た気がした。
速い風がゆくのを
あまおとの隙間に鳥の声を
見た気がした。
目を凝らしたら水平を
やっと微かに感じる。
垂直なら森へ行け。
集中しても私の耳には届かない天使の諧音。
この小さな瞳孔に
頼りない微かな睫毛の根もとが揺れる
ああ水があるよ。
微かといえば
そう。おもいがけない光。