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避雷球の前に考案した水平型避雷針

2022年07月20日 09時00分00秒 | 雷日記

こんにちは。 落雷抑制の松本です。

 一昨日に紹介しました「避雷球」ですが、これを発想する前に考案したのが「水平型避雷針」です。 これは、現在,某建材メーカー様とその実用化についての話し合いの途中なのですが、これから夏に向けて落雷が増えると高層ビルの中には、その屋上付近のコンクリート壁が雷撃を受けて壊れ、地上に落下するという事故がほぼ毎年発生します。 そのような事故が発生すると弊社に対策を求められることが多いのです。 

 これは、人災のようなもので、最近の高層ビルでは、屋上の周囲に「棟上導体」と呼ばれる導線を配置するのが普通の落雷対策になっています。「回転球体法」と呼ばれる考え方で、雷撃点がある高さに降りてくると、次に飛び火する(放電する)のは、距離だけの問題ですから、雷撃点を球体の中心点とすると、例えば、半径60m(半径は保護レベルにより20m , 30m,  45m, 60m)の球体の表面のどこにでも放電するという考えで、ビルの屋上の周囲に導線を張り巡らし、そこで雷撃を吸収しようとしてます。 それであるなら、外壁と同じ面に取付けるべきなのですが、壁面に取り付けた棟上導体が10年、20年後に経年劣化で地面に落下するのが怖い、という事で屋上の内側に取付けられているの事が多いのです。 すると雷撃を受けるのは「棟上導体」ではなく、コンクリートの外壁という事で雷撃を受けたコンクリートが割れて地上に落下するのです。 

 もし、高層ビル街を歩いていて雷雨に遭ったら、地下街や喫茶店に避難した方が安全です。高層ビルの脇を歩くのは危険です。 落雷による高層ビルの破損は建物の所有者は損害保険でカバーできますが、落下したコンクリート片で発生した二次災害はビルの所有者の損害保険ではカバーしてもらえません。 不幸な事故の最終解決法は金銭ですが、それが保険からは出ないのです。

 高層ビルの屋上付近への落雷を防ぐために、屋上の周囲を水平型のPDCEで囲えばという事で考案したのが「水平型PDCE」で、フランスでの放電試験で効果を確認し、日本での特許も取得しています。最初に考案したのは、この水平型で、外側の金属パイプと、外側とは絶縁された内部の金属製丸棒が地面に接地された構造になっています。この水平型に垂直軸を想定し、その軸を中心に水平回転させると球体になり中の丸棒が球体の内部電極、外側はパイプの直径と同じ球体になります。 これが避雷球へのアイデアとなりました。 水平型は例えば、屋上の腰壁の上に配置したり、ビルの外の窓ふきゴンドラと干渉しないようにビルの屋上とビルの四隅に屋上から地上まで雨どいのように設置すればビル全体が落雷から護れるのです。 しかし、弊社としての製品化はまだ行っていません。 建物の外側に装備することになると、今までの避雷設備は「設備設計」の一部でしたが、建物の外壁となると「意匠」の方の担当になるのでは? と思い、あいにく「意匠」の方へのアクセスを持たない弊社としては販売先が分からないのです。

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