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棒倒し始まる〜平成29年度防衛大学校開校記念祭

2017-11-30 | 自衛隊

さて、わたしが今回防大の開校記念祭に行こうと思ったのは、久しぶりに
棒倒しを撮ってみたいと思ったからでした。

午前中の観閲行進が終わったとき、偶然知り合いの方(息子さんが自衛官)
を見つけ、ちょっと立ち話をしたところ、棒倒しなら、今ガラガラのグラウンドの
向こう側の一番高いところを取れば後ろに座っている人がいないので
気兼ねなく撮れますよ、と教えていただきました。

なので早速真ん中に近いここに席を取りました。
上はもう同じことを考える人がシートで席を抑えていて、
ここしかなかったのです。
目の前の配電盤が邪魔ですが、この際仕方ありません。

場所取りをしてまだ棒倒しが始まるまで3時間もあるので、構内を歩きに行きました。

必見3大隊 恋の片道切符 あなたの心に捧げ銃

心に捧げ銃をしても一方通行、そういう状況しか見えないのだが。

プログラムによると、講堂で音楽演奏があるということだったので
暖をとるのも兼ねていってみることにしました。

途中の校舎の窓にこんなお知らせがありましたが、
迷彩服を着せてもらえて、訓練メイク体験・・・

これも「インスタバエ」狙いでしょうか。

さらに歩いて行くと、今日献花されたばかりらしい顕彰碑がありました。
花輪には防大校長と防大同窓会長の名前があります。

裏に回ってみると、防大出身者で殉職された方を顕彰する石碑であることがわかりました。

同じ一角に小さな「勇魂」と書かれたこれも慰霊碑があります。
第5期生の第一大隊岩崎正章学生は昭和33年1月26日、ラグビーの試合中
亡くなったということが書かれています。

第12中隊の学生長でありラグビー部でも主将だったということですから、おそらく
優秀で勇猛果敢な学生だったのでしょう。

講堂に入ると、ギター部が演奏中でした。
それにしても防大の講堂でかすぎ(笑)

演奏していた曲はパッヘルベルの「カノン」とか「第3の男」とか・・。

聞けば全員防大に入ってからギターを始めたということです。
校友会活動は文化部を選択するものは運動部と掛け持ちしなければならず、
しかも忙しい防大の学生生活で練習する時間もままならないと思うのですが、
こうして、これだけたくさんの学生がとにかく何曲かを人前で演奏しているのです。

そんな健気な彼らの演奏に対し、あれこれ音楽的に論うことは厳に慎みたいと思います。
うん、みんなよく頑張ったよ!聴いてて楽しかったです。

実はわたしはこれを聴きに来たの。
ピアノサークルの発表。

期待通りというか、迷彩服がピアノをステージに運んで来て、そのまま
ベートーヴェンの悲愴の二楽章を弾いた記憶があります。

最初はちゃんと弾いていたのですが、なんか色々と曲を省略したり
違うところに行ったりして、独自のアレンジをしていました。

クラシックピアノの先生からは叱られそうですが、彼は随分余裕があるというか、
わかってやってる感ありありで、実はかなりのやり手とお見受けしました。

もしかしたらジャズなんかも弾けるタイプかもしれません。
わたしは、へー、防大生にもこんな人材がいるのね、と感心しながら聴いていました。

しかし防大生はこの人だけだったので、しばらく聴いて講堂を後にしました。

一度だけ学生舎にも入ってみました。

ここは第三大隊の建物なので、緑の法被を着てます。

さて、そんなこんなで時間が潰れ、グラウンドに戻ってみることにしました。
この時には気づかなかったのですが、写真にはしっかり
宮嶋茂樹氏と愛用の白レンズが写っていました。

やっぱり防衛大学校の写真集をお出しになるんでしょうね。
この日棒倒しに出た人は写真集に載る可能性大だ。

グラウンドの端には怪我人を即救急輸送できる態勢で救急車も待機。

誰もいないグラウンドをその辺の人の視線を一身に受けて歩いていた医療関係者。

さて、いよいよ棒倒しの始まりです。
まず隊長と大隊旗が入場してきました。

旗の色はそのまま大隊のカラーとなります。
シンボルは第1=龍、第2=獅子、第4=鷲。

第2大隊の旗には同大隊の職員一同からの寄贈とあります。
第3大隊の旗にはシンボルがありませんが、自分の過去ログによると、
それはペガサスだそうです。

昨年優勝した第2大隊による優勝旗返還の儀式。
優勝旗を預かるのはいつのまにか迷彩服にお色直ししてきた国文校長です。

試合は単純に勝ち抜き戦で勝敗を決めます。
まず、第一試合を行う第1大隊が入場してきました。

ソイヤ、ソイヤ、という感じの掛け声とともに入場してくる一団。
最初に棒倒しを観る人はここでもう圧倒されてしまうくらいの迫力です。

第1試合は第1大隊(赤)対オレンジの第4大隊。

試合前にそれぞれのチームがエールで気合を示します。

時間が経って詳細は忘れてしまいましたが、基本挑発していくスタイル。

皆、気合い入ってるかー!うぇーい!

みたいな?

こちらは「いただきます」と「相手を食う」スタイル。
前にも同じのを聴いたことがありますが、大隊ごとに決まったのがあるのかも。

こちら顔に日よけペインティングしてただでさえ凄みのある集団がさらにすごいことに。
応援部はこの日自分の所属する大隊を応援することになっているようです。

試合準備が始まりました。
向こうに攻める色シャツ軍団、自陣の棒を守る白シャツ防衛軍。

えーと、応援団の方達は一体何を・・・。

棒の上には「上乗り」。
その周りをサークルの肩に乗って守るのが「四天王」(多分)。

攻撃の方法なども各大隊で作戦を練って訓練を積みこの日に臨むそうです。

始まりを待つ一瞬、上に乗っている人はきっとドキドキしてしまうんだろうなあ。

開始の合図と同時に敵陣に駆け込んでいくオフェンス。

こちらには敵の攻撃隊が襲いかかりました。
右側で相手に向かっていっているのがおそらく「キラー」。

敵の武闘系運動部員をサークルに寄せ付けないように
複数人で襲いかかる役目のことをキラーといいます。

もちろんサークルの後ろから回り込んでくる敵もいるわけで・・・。

オレンジの手を伸ばしている人はおそらく「突攻」という役目でしょう。
「スクラム」がサークルの手前で組んだスクラムを駆け上り、
サークルの上に攻めていこうとしております。

サークルの周りを固める人たちは皆左手に赤いバンドを巻き、
それを体に付けて反対の手を高々とあげています。

どこからともなく襲ってくる敵に対し、防御する姿勢になるのでしょうか。
もしかしたらベルトはスクラムを組むために他の人と繋いである?

右側でサークルに寄せ付けまいとするディフェンスとオフェンスが戦い、
地面では早速一対一の取っ組み合いが始まっています。

上乗りの生徒は「猿」と言われるくらい身軽で、登ってくる敵を
上からけり落とすのが仕事。

ディフェンスのスクラムに割って入ろうとするオフェンス、
それを引き戻そうと後ろから羽交い締めにするディフェンス。

どうしてこの状況で一対一になるのかわからないのですが・・・。

一旦タイマンになってしまうと、ずっともみ合ってしまうことになるようです。
もしかしたら日頃気にいらんやつ、とか思い合っていたりして?

まあ元祖の海軍兵学校では棒倒しが下級生にとって日頃の恨みを晴らす
いいチャンスだったという話も残っていることですし。

ああ、こちらでも取っ組み合い続出。
一方棒の周りにはついにオレンジが迫る事態に。

オフェンスの役割に土竜(モグラ)というのがあります。
敵の円陣の足から下を潜り込んで崩すというものなのですが、
大抵は踏み付けられて全滅してしまうそうです。

オレンジ、いいところまで何度も迫っているのですが・・・。

場外乱闘も佳境に入っております。

ああ、上に乗っている人が足を踏み外した!?
十分棒は倒れているような気がしますが、まだ人がいるので判定にならないのでしょう。

上の人落ちちゃったよー。

上も下も大変なことに。
オレンジが上の人のシャツを掴んで引き摺り落としています。

ちょっと右端で取っ組み合いしている人たちに注目してみましょう。

棒が倒されるかどうかの瀬戸際にこんなところでなにをやっているのか、
という気もしますが、彼らは真剣です。

ごんずい玉みたいになってますが、よく見ると皆一対一で戦ってます。

棒を抱えている人「せいやあ〜〜〜!」

その時判定の笛が鳴りました。
まあ、これだけ傾けばオレンジが倒したといってもいいんじゃないでしょうか。

皆で手を挙げているのでなぜ負けた方が?と思ったのですが、どうもこれは
試合が終了してもう何もしてませんよ、ということをアピールするためと思われます。

でも、端っこではオレンジが喜んでいる様子がわかりますね。

どうもこれは試合終了後の決まりで、左にいる審判団が
全員の手が上がって凶器を持っていないか(多分)チェックしているのでは。

第1大隊の攻撃隊が帰ってきました。
ちょっと意気消沈している様子。

かたや決勝戦に進む第3大隊は退場の時も拳を振り上げ、ガッツポーズです。

さて、続いては第2大隊対第3大隊の予選が行われます。

 

続く。



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3 Comments

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演奏 (nohira)
2017-11-30 20:53:32
初めまして。
いつも興味深く拝見させていただいています。
防大4年海上要員の父親です。
防大に対番というものがあるのはご存知かと思います。息子下対番の同室学生を裏対番というのだそうですが、その彼が、高校時、国内or世界的なコンクーで準優勝だと聞きました。(うろ覚えで申し訳ありません)そんな学生もいるのが防衛大学なんですね。
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出た(笑) (Unknown)
2017-11-30 21:26:30
出ました。棒倒し。人気ですよね。赤は1大隊。橙は4大隊です。

棒を倒すことに尽きるのですが、出来るだけ多く攻撃側が棒にぶら下がることが肝なので、逆に言えば、防御側は出来るだけ攻撃側を棒に近付けないように抑え込むのが肝です。

防御側は近寄って来る攻撃側を一対一で抑え込み、試合時間の間、スクラムに近付けないようにします。

見た目取っ組み合いしているように見えますが、互いが憎くてやっている訳ではなくて、攻撃側は振りほどこうと、防御側は振りほどかれまいとしているので、取っ組み合いしているように見えます。

一対一で防御側が攻撃側を抑え込んで、誰もスクラムに近付けなければ、理論的には防御成功となり、その間に敵方の棒を倒せれば、勝ちとなります。

攻撃側は防御側に抑え込まれないように、遠距離から助走をつけて、二人で足を持ち上げてジャンプさせます。そうして敵のスクラム上に着地し、棒に取っ付く人を特攻と呼んでいます。

特攻が一旦スクラムの上にたどり着ければ、防御側は取っ組み合いで抑え込むことは出来ません。あとは棒に取り付いて、自らの体重でぐいぐい引っ張るだけです。何人特攻を成功させるかが肝になります。
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みなさま (エリス中尉)
2017-12-01 10:15:13
nohiraさん
初めまして。息子さんが海上要員、ということは来年には江田島ですか。
末が楽しみでいらっしゃいますね。

対番制度は海軍兵学校からの伝統で、兵学校ものでは、昼間ビシバシ厳しく下級生に
指導修正してくる上級生が、夜ベッド脇にきて布団を直してくれ感激したと描かれています。

対番生徒がどんな学生だったかで学生生活のかなり大きな部分が決定される、
なんてこともあるのだろうと思います。

ちなみに、対番の絆はずっと続くので、将官になっても「彼は自分のの対番だった」
ということをおっしゃる自衛官は多く、「対番が出世すると嬉しい」というような
意識も共通して持たれるようです。

息子さんの対番生徒が入賞したコンクールというのはピアノか何かですか?
だとすれば、一日起きている時間を全て楽器に向かっているのが当たり前の世界で
それは天才、あるいは人間離れしているとしか言いようがありません。

それこそ「なぜあなたがここにいるの?」ですね。

unknownさん
お、unknownさんも棒倒し参加されたことがおありなんですね。
昔から一対一で取っ組み合いしている人がたくさんいるのが不思議でしたが、
サークルに近付くことを一人でも阻止するために自然発生的にそうなってしまうとは・・
なんかすごく納得しました。
どちらも戦略的な計算あってのぶつかり合いなんですね。
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