
アメリカに来ると、野生の動物が多いのに最初は驚きます。
ピッツバーグのように、いわゆるダウンタウンから車で数分で
ちょっとした森林地帯でもある巨大な公園があるところならなおさら。
ただし、このことは、アメリカならではの問題も引き起こしていて、
車の犠牲になる野生動物の数は半端ではありません。
特に東部でフリーウェイを野生動物が轢かれて死んでいるのを見る頻度は
毎日走っていて3回に1回くらいの割合になるでしょうか。
わたしなど、何度遭遇してもこれには慣れず、道路の脇に
それらしいものを遠目に発見したが最後心臓がバクバクして
できるだけ見ないように目を背けるのですが、しばらく気分は落ち込みます。
今回ピッツバーグに着いてすぐ、フリーウェイ合流点で轢かれた鹿を見ました。
カーブを曲がったところに迷い込んだ鹿を避けようがなかったのでしょう。
同じくわたしもカーブを曲がった途端、遺骸をもろに見てしまい、
思わず小さく悲鳴をあげて家族を驚かせてしまいました。
しかも、衛生局が出動するのにまる三日はかかり、やっと片付いたと思っても
その後いつまでたっても道路に夥しい血が生々しく残っていて見るのも辛く、
そこを通る時にはいつも心の準備をしたものです。
さて、初っ端から気分の滅入る話をしてしまいすみません。
ここからはピッツバーグで遭遇した動物たちをご紹介します。
アメリカには日本の野良猫並みにあちこちにいる野うさぎ。
このウサギは大学のキャンパス内をウロウロしていました。
そして散歩していると3回に一度は遭遇するのが鹿。
これは斑点があるので子鹿ですが、その割にひねた顔をしています。
斑点のある子鹿は、大抵親に連れられて子供二匹という組み合わせで
行動していますが、子鹿だけで歩いているのも何度か見ました。
ピッツバーグ市内にあるシェンリーパークには天敵がいないらしく、
人にもある程度慣れていて、あまり近づかない限り逃げません。
子鹿二匹連れてきて、子供は掘ったらしで食べるのに夢中だった母さん鹿。
夜の8時くらいにMKが大学の研究室にお茶のボトルを忘れたというので取りに行き、
ついでに研究室の中を見せてもらって出てきたら、公園に鹿の群れがいました。
右側席のMKにカメラを渡して撮ってもらいました。
アメリカにはどこにでもリスがいます。
特に都会ではほとんどドブネズミの扱いなんだそうで、SATCでも
自称シティガールの(といってもあの四人全員30〜40なんですけど)
キャリーが「田舎大好き男」のショボい山の中のロッジに連れて行かれて
窓にリスが来るたびにギャーギャー騒ぐというシーンがありましたっけ。
この辺りのリスは小さくてシマシマで、しっぽがネズミのように細く、
地面を忙しく横切る姿をなんども目撃しました。
こういうリスを英語では「チップモンク」と呼び、尻尾のふさふさした
「スクヮレル」とは別の種類に区別しているようです。
地面にはこんな蜘蛛も走り回っていました。
日本の「イエユウレイグモ」に似ていますが・・。
アメリカに着いて二日目の散歩に出た日、家に帰ってきたら隣の芝生に
大きくて物静かな犬が座っていました。
彼の写真を撮りまくっていると、バックヤードから飼い主が戻ってきました。
1ヶ月だけお隣さんになりますのでよろしくね、とあいさつすると、
おじさんは自分がジョンだと名乗り、
「2週間くらい前にこのうちを買って引っ越してきたばかりなんだ」
と嬉しそうに言いました。
ジョンはちょうど「ウォーミングホーム」のための作業の真っ最中で、
毎日新しい家を住みやすくするため忙しく立ち働いていました。
アメリカでは家を買うときお仕着せのリフォームを好まず、
修理からペンキ塗りから全部自分でやってしまう人が多いのです。
その後、ジョンがポーチに飾り付けをしたり、クーラーを付けたり、
周りの土を耕して花を植えたりと毎日忙しく働いているのを目撃しましたが、
この物静かな犬にはこの時だけでその後二度と遭遇することはありませんでした。
このときも吠えもせず、かといって尻尾もピクリとも動かさず、
じっとわたしたちを見送っていました。
なんだか悟りきったような、賢人のような趣を讃える犬でした。
別の日のこと、家のまえの芝生でやはり憩っているネコ発見。
ネコだネコだとわたしたちが騒ぎ出すと、うるさいなあと言わんばかりに
立ち上がって行ってしまいました。
が、あくまでも追いかけて行って後ろから写真を撮るわたし。
「野良猫がいるのかな、この辺」
後日判明したところ彼女は野良ではありませんでした。
ある日キッチンで夕食の支度をしていると、外から猫の声が聞こえたので、
それっとばかりカメラを持って窓辺に近寄ると、この灰色の猫が
別の黒猫を威嚇して追っ払っている最中でした。
威嚇の態勢なので尻尾を巻き込み、後脚は爪先立ち?しています。
黒猫は身体は大きいのにすごすごと逃げて行き、彼女は満足して
このあとここに座り込み、しばらく天下?を満喫していました。
冬の寒さが半端ではないここピッツバーグでは
おそらく猫どもも外で越冬することはできないと思われますので、
彼らもどこかの飼い猫だったりするのかもしれません。
また別のある日、二軒隣の家の窓にサビ猫がいるのを発見。
ネコだネコだとまたしても近寄っていくと、伸び伸びポーズをしてくれました。
この日、この家の住人が若い男性で、白黒の犬とこの白黒猫、そして
窓際のサビ猫、合計犬猫三匹を飼っていることを知りました。
この白黒の「ソックス」は(多分そういう名前だと思う)、飼い主が
犬の散歩に行っている間、外に出してもらえて、
彼らが帰ってくる頃、家の前をうろうろして待っているのです。
このあと、白黒の犬と主人が帰ってくると、ソックス猫は、
おかえり〜、とばかりに尻尾をピンと立てて二人をお迎えし、
一緒に家に入って行きました。
犬も白黒、猫も白黒で柄が一緒。
偶然なのか意図的に犬猫の柄を揃えたのか、ぜひ聞いてみたかったのですが、
飼い主の若い男性とはそれっきり会うことはありませんでした。
ところでこのソックス猫ですが、ある日わたしが猫語で話しかけると、
確信的にずんずんと近寄ってきました。
この時のわたしとソックス猫の会話?は現在でも動画に残してあります。
わたしが呼びかけると彼女が明らかに反応し、返事をする、わたしよびかける、
猫返事、とちゃんと双方向の会話になっていて意思疎通できているみたいです。
ネコも人間の呼びかけにちゃんと返事してくれることを実証してくれた感じです。
猫といえば、シェンリー公園でこんな張り紙を見ました。
彼女がいなくなったらしい、ウェスティングハウスの銅像の近くの
トレイルを中心に、飼い主は何枚もポスターを貼っていました。
マイクロチップを埋め込んでいるというのに見つからないのでしょうか。
別の張り紙には、
「多分お腹をすかせています」
「見つけてくれた人には謝礼の用意あり」
などと書かれていて、飼い主の心配ぶりに心が痛みました。
ピッツバーグは冬になると五大湖に近いだけに猛烈な寒さなので、
まだ夏場でよかったというものの、何日に一度かは
猛烈な雷雨が降る天気が続いたので、飼い主も気が気ではないでしょう。
キャットフードしか食べたことがないネコは、そうなった時
一体何を食べたらいいのか自分でなんとかできるまで時間がかかりそうです。
1日も早く飼い主のもとに帰るか、そうでなければリビーくんに野生の本能がめばえ、
バリバリ狩をして新鮮な獲物を口にし、そのおいしさに
「今までむさぼっていたのは食べ物ではない。
あれは家畜の安寧にすぎなかったのだ」
と気づくか・・・いずれかの結末を祈るばかりです。
さて、そのうちAirbnbで借りた家をチェックアウトする日がやってきました。
MKの入寮まで三日ありますが、オーナーが次の予約を入れていたので、
取り敢えず地元のホテルで待機することになったのです。
Airbnbのチェックアウト時間は10時ということだったので、
前の夜から用意しておいて、朝に最後のゴミ出しをし、リネンを
オーナーに言われたように全部剥がして袋に入れるなど忙しく動きまわり、
それも済んだので車にトランクを積むために外に出たところ・・・・・、
ソックス猫の同居猫が、また窓側にいて外を見ていました。
このネコにもソックス猫にしたようにネコ語で話しかけてみると、
やはりいちいち返事をしてくれます。
そして、会話の最後に猫伸びポーズをしました。
どうも彼女にとって、このポーズは
「暇だから付き合ってあげたけど飽きたからもう終わりにゃ」
という意思を意味しているようでした。
そして横になったままこちらをじっと見つめていたので、わたしは
彼女に丁重なお別れの言葉を述べ、ピッツバーグを後にしました。
そして月日が経ち、ニューヨークでいつも通りわたしが現地のトレイルを探し、
日課の散歩をしていたある日のこと。
トレイルの脇から猫の影が現れたので呼び止めてみました。
もしやあなたはピッツバーグで行方不明だったアビーさん・・・なわけないか。
終わり。
おまけ:
その後「猫と何語で会話したのか」というおたずねがありましたので、
YouTubeに会話をアップしておきました。
音声が悪くて聴き取りにくいですが、最初に声をかけているのがわたしです。
アメリカのネコにネコ語で話しかけてみた
野良猫の子猫がヘルペスに掛かり、治療したため飼うこととなりましたが血液検査から生粋の野良と動物病院の先生に言われました。
カーテンを上ったりしていましたが、飛び降りた衝撃で首を痛めたり、他の猫に噛まれ、腎臓を傷めたりで結構病院通いでした。最初は季節替わりで良く毛が抜けたりしていましたが、外に出ることを嫌い、家猫となり、段々毛も多量に抜けることも無くなりました。爪研ぎも爪とぎ用板(百均で売っています)を与えておけば、壁等ではやりませんでした。
腎臓が悪いため病院の先生からは長くは生きないと言われましたが13年間我が家の癒し役をやってくれました。最後は入院を何回かしましたが我が家に入ると何か文句を言っていましたが、妻は入院させた事を怒っていたのではと解釈していました。
失礼ですが中尉、ちと過保護とちゃいまっか?(^▽^;)
それはさておき、ウォーミングホームというのはアメリカ人のライフスタイルに合致する単語ですね。セットアップという言い方もしていたと思います。住環境を自分の好みに自ら整えるノウハウには(これだけ広い家なんだから当たり前だろう、というのはさておき)一日の長があることは認めざるを得ませんね。
あー、そのクモ、サンフランシスコにもいるらしくて、海岸沿いの公園に
「こんなものもいます」と張り紙がありました。
いかにも獰猛な感じでしたが毒はないんですね。
毛がふさふさしているので「クモ派」なら喜んでモフるかもしれません。
写真のクモの大きさは全長3センチというところでしょうか。
真ん中の胴体部分は小豆粒くらいもないと思います。かわいいものです。
お節介船屋さん
13年とは天寿を全うしたといってもいいでしょうね。
わたしの実家もわたしが高校生の時に妹が学校で子猫を拾ってきて、
それから16年間生き、家族に見守られながら逝きました。
うちは三姉妹で、当時その全員がいわゆる難しい年頃となり、家の中も
互いの主張やなにかがぶつかり合い険悪になりがちだったのですが、
猫が来たことで嘘のようにその不穏な空気がなくなったものです。
ペットは人を和ませるだけでなく、その存在で人と人との関係も不思議と
クッションが当てられたように楽なものになると感じさせられました。
ウェップスさん
ボトルに入れていたのがミルクティだったのですよ。
夏場冷房のないところに一晩放置した牛乳の成分が、次の日
どんなおぞましい匂いを放つか、考えただけでソワソワしてしまい、
学校まで5分と近いところに住んでいたこともあって車を走らせました。
もちろん「送って行ってくれるならついでに中見せてあげるよ」
という息子の言葉にホイホイと乗せられたということもあります(´・ω・`)
おっしゃるとおり、「ウォーミングホーム」言いたくてそう書きましたが、
ジョンのやっていたことは正確には「セットアップ」でしょうね。
それがすんで、たとえば親しい友人にお披露目などをすることになると、
それが「ウォーミングホームパーティ」となります。
うろうろする人さん
アメリカでは本当に野良猫いないんですよ。
気候の良い西海岸でもほとんどみたことがありません。
たまに猫がいても、散歩中の飼い猫だったりします。
ましてや寒い地方ではマジで猫も生きていけないので野良も育ちにくいかと。
そしておっしゃる通り和猫とは微妙に顔つきが違いますよね。
わたしとソックス猫の会話、もし興味がおありでしたら
いつかYouTubeにアップしましょうか。
まだTOが動画消してなければですが。
本文一番最後に上げておきましたのでお確かめください。
拝見すると、中尉から話しかけられてソックス猫が一瞬戸惑いますが、直ぐに近寄ってきますね。「あれ?この人、聴き取れる猫語で喋れる人らしいぞ?]って感じで。「音楽家」の方なので、自然に猫的に正しい発声・音階(?)で話せているので会話可能なのですね。納得しました。猫語の内容はさっぱり分かりませんが(^^)