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アルカトラズ刑務所に行った

2010-08-10 | アメリカ

住んでいると決して行く気にならないのが地元の観光名所。
しかし、息子が興味を示したこともあり、去年サンフランシスコにいたときアルカトラズ島観光を目論みました。
ところが連日満席御礼で、船が取れず、断念。
今年は行くべし!ということで、出発前から予約しておき、今日行ってきました。

いろんな映画に登場するこの島、ご存じとは思いますが1898年から1963年までの間、刑務所島として使われます。
サンフランシスコの埠頭からフェリーでわずか15分。
私たちのフェリーに、ずっと並走(飛?)していたカモメ。
船上にピタリと停止したまま、ずっと飛び続けて観光客からクッキーを貰っていました。
このへんはカモメの世界で一番大きなコロニーがあるところですが、彼はその中でも特に有能なカモメに違いありません。
名前はきっとジョナサン。

着いてすぐに浴びされられるシャワーと独房。
勿論ドアは無く、檻で廊下と仕切られているだけ。
特に素行が悪い囚人には「懲罰房」が待っていました。
ここに収監される気分を体験させてもらえます。
何人か入ったところで

扉を閉めます。
これで何日か過ごしたそうですが、精神の平衡を失うほど怖かったそうです。

当然のことながら脱獄を試みる囚人もいました。

大規模な脱獄事件「アルカトラズの戦闘」の際、囚人が使った道具と、そのとき犠牲になった看守たち。鍵を奪ったものの出口の鍵穴に合わなかったため、腹立ちまぎれに独房に押し込めた六人を次々射殺するという残忍さでした。

元々ここに収監されていた囚人は、他の刑務所から「脱獄の危険あり」と厄介払いされた者ばかりだったということです。

つまり、いかにここを脱獄するのが難しかったか、ということなのですが、その理由は、周りを取り囲む海の「温度の冷たさ」「潮流の速さ」にありました。

ケビン・ベーコンが囚人役をした「告発」という映画では、当時の囚人が非人道的な扱いをされていたという風に描かれていましたが、この刑務所では、収監者を虐待していたという事実はなく、例えば当時他の刑務所ではありえない温水のシャワーを収監者に使わせていたということです。

しかし、その最大の理由は決して囚人のためを思ってのことではなく「温水に慣れた身体で冷たい海に飛び込んでもほとんど助からない」というメッセージを暗に囚人に送るためだったとも言われています。

ある囚人は海に流され、ゴールデンゲートブリッジの橋脚で目撃されていますが、そこで力尽きそのまま刑務所に逆戻り。
また、途中であまりの辛さにあきらめ、泳いで戻った人もいたそうです。
懲罰房に入ることになっても刑務所の方がまし、と思えるほど過酷な海だったのでしょう。
囚人にとっても死んでは元も子もないわけですからね。


それでも14回の脱獄事件が起き、それに関与した受刑者は36人。
(うち2人は2回脱走を試みた者)。このうち23人は身柄を確保され、6人は射殺され、2人は溺死しました。
5人は行方不明ですが、溺死したものと推測されています。
つまり脱獄に成功した囚人は一人もいないということです。
「風の強い日はクリスマスを祝うパーティの歓声が風に乗って聴こえた」
というくらい、すぐそこに手を伸ばせば届く距離に自由があるにもかかわらず、です。

最も有名な三人の脱獄者が使った「自分のダミー」。
こうして見ると気持ち悪いですが、よくこの収監生活の中でこんなものが作れたものです。
看守はすっかり人間だと思っていたので、首がポロリと落ちたときすさまじい叫び声が監房に響き渡ったということです。
パイプに隠した金属で夜中に少しずつ掘り続けたという穴。

島から脱出するのには成功しましたが、三人の浮輪らしきものが見つかったきりで、遺体も発見されませんでした。
これが行方不明5人のうち3人に数えられます。
しかし、遺体が見つかっていないということは、生きていた可能性もあるわけですよね。
この事件をモデルにした映画にクリント・イーストウッド主演の「アルカトラズからの脱出」があります。



アルカトラズでは死刑は執行されたことはありません。
しかし、自殺は五件、殺人事件は八件ありました。
その中で最大のものは前述のものですが、食堂でナイフとフォークを使ってといったものもあったそうです。

食堂と檻で仕切られたキッチン。
ここでは包丁を使うのですから、料理人はいつもピリピリしていたでしょう。

巷間「残酷すぎて人道的に非難されたため」という話もあるようですが、閉鎖の本当の原因は維持費が膨張し財政的に支えきれなくなったからだということです。
時の司法長官、ロバート・F・ケネディの命によって、アルカトラズは1963年最後の囚人を送り出し、刑務所島としての役目を終えました。








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