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偵察隊のアヒルと曳火富士の特練〜平成29年度富士総合火力演習 本番予行 

2017-08-28 | 自衛隊

 

というわけで、昨日富士総合火力演習見学のために御殿場におられた方、
お疲れさまでした。

老人が行方不明になったり戦車の破片が飛んでくるなどの事故は全くなく、
その上午前中からありえないくらい涼しい風が吹き渡る総火演会場で
あの演習を見る幸運を分かち合えたことを心から嬉しく思います。

木曜日に続き、日曜本番にも(というかこちらがメイン)参加し、
改めてやはり本番はいいなあと余韻を噛み締めているわたしですが、
予行の報告を途中でやめて(やめるのかい)今日は本番の予行からお話しします。

駐車場は前回と同じ高塚でした。
前回と同じ時間に着いたのですが、すでにその時数十台の先客が・・・!

仮眠を取っていると5時過ぎに自衛官に窓を叩かれて起こされました。
前回より早く、駐車場に車を入れることにしたようです。

車を動かしていると、道路右に「鶏魂碑」がありました。
昔この周辺に養鶏場か食肉工場があったのでしょうか。
今は演習の時に駐車場になるような広大な空き地です。


駐車場の入り口で誘導の自衛官が行き先整理をしていました。

「あの手を振っている自衛官のところに行ってください」

そちらを見た途端、後ろ向きにこちらを誘導していた自衛官が派手に後ろに転びました。

もちろん日頃鍛えている自衛官ですので、何事もなくすぐに立ち上がりましたが、
わたしが思わず息を飲んでいるのに、最初の自衛官は思いっきり大笑い。
転んだ自衛官も照れ笑いしています。

迷彩服にヘルメットの下の「普通の若い男の子」の素顔を見た気がしました。

 

車を駐めた人は駐車場に待機している大型バスにどんどん乗せていきますが、
0600の出発予定時間になるまでバスを動かしてはいけないらしく、
4台がきっかり満員になるまで皆は車中で出発を待ちました。

前にはバス二台、つまりわたしより早く来た人は100人くらいいたことになります。

し か し (笑)

バスが会場に近づいた時、E席前に人垣が分厚くできているのをみて、
E席チケットを持っている人たちがざわめきました。

「おい、もうあんなに並んでるぞ」

そして、現地に着くと、自衛官が

「Eスタンド席はもう満員で座れません」

そう、朝3時から駐車場前に並んだとしても、バスが6時にならないと発車しないので、
会場に着くのはどう頑張っても6時20分。(他の駐車場はもっと時間がかかる)

その頃にはもうE席スタンドは前夜徹夜組によっておさえられている、
これが総火演本番なのです。

この過熱傾向は年々酷くなる一方で、わたしの前述の知人など、本番前日は

「夜間演習の時(つまり7時ごろ)にはすでに並んでいた」

らしいのですが、それでも朝メールが来たところによると
ゲットしたのは最上階ではなく、上から2段目だったとか・・・・・。

このまま酷くなって何か問題が起こると、自衛隊側としても
何らかの措置を取らざるをえなくなってしまうかもしれません。

入場すると、すでにまず戦車がリハを始める状態で待機していました。
この写真は戦車隊のリハが6時半に始まって20分後の撮影です。
この時点ですでにこれだけシート席前4列が埋まってしまっています。

わたしは今回C席最上段付近から高みの見物(文字通り)です。

席についてほどなく、フィールドに待機していた戦車隊が
試射を始めたので、周りが途端に戦闘モードになりました。
戦闘モード、つまり高級機種カメラでの写真撮影です。

昨日家に帰ってから現地の熱心な人たち(冒頭の人とか)の話をしていて
TOに、

「その人たちって、そんなにしてまでなぜ、つまり何が目的なの」

と聞かれてわたしもふと考えたのですが、それはつまるところ、

「砲弾を発射し、爆発炎に包まれる一瞬の戦車を撮ること」

つまり、本日冒頭写真のようなのをたくさん撮ること、
ではないかと思うのです。

それを確信したのは、この戦車リハーサルの時の周りの様子でした。
リハーサルなので、フィールドに並んだ戦車のどれが次に撃つのか
というのは普通に見ているだけでは全くわかりません。

本番なら射撃命令が下され、それがアナウンスされるのですが、それでも特に
74式戦車の射撃のタイミングはわかりにくく、

このイベントに死ぬほど来ている人たちでも百発百中などないらしいのです。

ましてや、リハーサルになると・・。

しかも前回近くにいた「無線傍受おじさん」が今回もなぜか近くにいて(笑)
その方が大きな声で
聞き取った部隊内の通信(総火演の時には公開しているらしい)
を逐一、

「次3号車!」「射撃用意!」

などと周りにずっとアナウンスし続けておられました。
みんなが次に撃つ戦車を狙えるように、おそらくは善意でやってくれていたのですが、
自衛隊の命令や通信もそんなに単純ではないため、予想通りにならないことがほとんど。

あっちが撃てば次にこれだと思っても、全く違う戦車が撃ったり、
つまり傍受おじさんの情報は往往にして役に立たないわけです。

周りの人たちが聞きたくなくても聞こえてくる傍受無線情報に
良くも悪くも翻弄されて、カメラを右往左往させては予想を外し、
落胆しているらしい様子を肌身に感じながら、わたしはふと

「モグラ叩き」という言葉を思い出したりしておりました。

というわけで、リハの最初で少なくとも近辺のカメラ持ちは
必要以上に精神を疲弊しまくったはずです(笑)

まあただ、予想によると皆このために来てるんだし、以て瞑すべしでしょう。
え、別に誰も死んどらんって?

ちなみにわたしは轟音から耳を守るため、早くから耳栓をしていました。

さて、戦車隊の試射が波乱のうちに()終わり、続いて偵察隊オート部隊のリハです。
偵察バイクで入場して来た隊員たちが、ジャンプ台のところに集合しました。

車でやってきた(多分)偉い人を迎えるために整列。

お、おおおおお!

右から二番目の隊員さんが去年も話題になったアヒルを持ってる!
皆が微笑みを浮かべてアヒルさんを見つめています。

ジャンプのために皆マスクを手早くつけながら、待機。

アヒルさんを両手で恭しく受け渡し。

このアヒルはお風呂に浮かべて遊ぶおもちゃではなく、
お酒(お神酒)が入っているらしいという噂を聞きました。

受け取った隊員はそれをジャンプ台にお供えしている模様。

しかるのち、全員が目を閉じて一礼を行いました。
つまりアヒルがはオート隊の安全祈願のマスコットだったんですね。

去年はジャンプ台の横に立っている人が腰につけていましたが、今年は
ジャンプ台の下から見守ってもらうことにしたようです。

装備展示を見た人の写真を検索していただければどこかに出て来ますが、
実はジャンプ台の下には祠状の窪みがあって、アヒルがいっぱい奉納?されています。
各アヒルには皆の安全祈願の一言が書き込まれているんだとか。

ジャンプのたびに安全を祈願してアヒルをお供えするという慣習でもあるのでしょうか。

全員で集まり、円陣を組んで掛け声。

「頑張ろう!」「おう!」

みたいな?
普通の国民が知ることのないこういう自衛隊の日常訓練の様子を
垣間見ることができるのも、総火演ならではです。

オート隊の見せ場は、全員が次々に行うジャンプです。
簡単そうに見えても、高い技量が必要だと思われます。

このオート隊は正確には富士教導団偵察協働隊に属します。

こちらの攻撃中の偵察車も同じ偵察教導団所属。

青ヘルの人何してるのかなー。

87式偵察警戒車、通称RCVが目標の25mm機関砲で白いボード攻撃中。
面白いくらい命中します。

写真班ではなく、偵察隊の人が宣材用?の撮影をしているようですね。
一番向こうはアヒルをお供えしていた隊長でしょうか。

続いて特科火砲のリハーサルに移りました。
当ブログ的にはもうおなじみ?203ミリ自走榴弾砲です。

横一文字の後の曳火射撃による富士山、富士が頭を出している絶好のチャンスですが

・・・・ん〜?

「あまり綺麗じゃないですねー、形が」

特に右半分が前回もそうですが、ガタガタです。

「まあリハだから、本番にはきっちり修正してくるんじゃないですか」

などと言っていたら、フィールドのリハーサルが終わってから
後方からの射撃で富士山がいきなり空中に浮かび上がりました。

「あ、練習してる!」

しかも間を空けて三度、練習は行われていました。
やっぱり今日は本番で防衛大臣観閲なので、念には念を入れたのでしょう。

ところで、フィールドには一台も曳火射撃を行う特科火砲はいないのに、
なぜ普通に富士山がなんども描かれていたのか全くわかりません。

もしかしたら、フィールドの火砲は空砲を撃ってるだけなのでは?
あの富士山は実は別のところにいる火砲だけで描いてるのでは?

という密かな疑惑がわたしの中で生まれた瞬間です。


とにかく、リハーサルで(おそらく)ダメ出しされ、3度に渡って行われた特訓。
この成果がどう表れたのかは、昨日御殿場にいた方ならご存知ですよね?


続く。



 



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1 Comments

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射撃号令 (Unknown)
2017-08-29 01:21:01
総合火力演習で射撃を見た時に感じましたが、陸上自衛隊の射撃号令は非常に早口に聞こえます。

絶対に間違いがあってはならないので、船では極力ゆっくり掛けます。例えば「右90度一斉回頭」(単縦陣で走っている各艦が号令で一斉に右に90度変針する)は「Turn Starboard 9」となりますが、一語一語切って「Turn(一息)Starboard(一息)9」のように掛けます。

一語一語切らないと、無線を通じて聞くと、よく聞き取れないことがあり、錯誤を避けるためです。

総合火力演習で聞く射撃号令は言葉の間で切らないし、早口なので、あまりよく聞き取れません。聞き取れても間違えないかと心配になるくらいです。

無線おじさんは案外、ちゃんと聞き取れていて、参加している部隊が間違っていることもありそうな気がします。それくらい早口です。
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