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辛坊治郎氏に言いたいこと~ヨット遭難事故その後

2013-06-29 | 日本のこと




今の時期どなたもが頭に思い浮かべるあの救出について、
もしかしたら発言なり感想を求められている気がしたので、書きます(笑)


2013年6月21日読売系列のフリーキャスター辛坊治郎氏(57)のヨットが
日本から1200キロ離れた太平洋上で浸水後沈没。
遭難救助には海上保安庁の航空機と巡視船がまず救助に出動。
波が高く救助は困難との海保からの災害派遣要請で、海上自衛隊が
救難飛行艇US-2などを緊急出動させ、辛坊氏と同行者の岩本光弘氏を救出。


これがこの事件の概要となります。

使用するヨットが事前に不具合を起こしていたのにもかかわらず、修理もろくにせずに
天候の悪い中出航を強行した末の救出劇であり、その無謀さとともに、
かつてイラクの人質事件のときに前代未聞の「人質の自己責任」という言葉を
舌鋒鋭く唱えた本人が今回自分がその自己責任を問われるという事態となったこともあって、
世論のほとんどはマスコミが「賛否両論」と誘導したがっているのとはうらはらに、
圧倒的に辛坊氏に批判的な様相を呈しています。

この一連の企画には、「不幸をばねに目的達成」という絵面でむりやり人を感動させることを目的に
いつも障碍者を利用する「24時間テレビ」の企画が絡んでいて、
そのスケジュールに合わせるために悪天候を圧して出港したいう批判が当初からわいていました。

「24時間テレビとこの企画は無関係だ」

と関係者がさっそく噂の否定に入ったことが、逆にそうであったことを印象付ける結果となっています。


この24時間テレビ、わたしは当然一度も見たこともないのですが、
間寛平の「24時間マラソン」で味を占め、その後それをウリとしてきたわけで、
その同工異曲の「感動企画」として、たとえば昨年は全盲のアルピニストに登山をさせたという話です。

これだけで、心象的には十分推定有罪は免れないわけですが、
実際のところ「24時間テレビ」と関係ないどころか、関係大いにありという証拠がでてきました。

今回使用されたヨット「エオラス」ですが、間寛平の元マネージャーで、
24時間マラソンの発案者である人物の所有するものであるということです。
これは何かの偶然でしょうか。
これを以てしても、まったく無関係だと当事者は言い張るつもりでしょうか。


「エオラス」号に出港直前に不具合が見つかったにもかかわらず修理をしなかったのも、
「テレビ的に」絵を間に合わせるためにスケジュールは変更できなかったというところでしょう。


不思議なことは他にもあります。

まず辛坊氏はもともとヨットという乗り物に知悉していたのでしょうか。
自身でもヨットを所有し、しょっちゅう外洋に出ている人物だったらともかく、
ウィキペディアを見ても決してそうではないんですよね。
つまりヨットにも「フネ」に関してもまったくの「素人」であったようなのです。

だからこそ、この企画に「応募してきた」セイラーの岩本氏とバディを組んだ、ということですが、
ここでなぜそれがわざわざ視覚障碍者である岩本氏だったのか。

もしこの企画と24時間テレビとが何の関係もないのなら

岩本氏には失礼ながら、非常に不思議な選択と言えます。

過去のニュースによると、辛坊氏は最近ガンが発覚し、その手術を終えたばかりとの由。

「ガンを克服したキャスターの太平洋横断(アシスト健常者のセイラー)」

十分それだけでも「ドラマ」としては成り立つような気もするのですが、
飽きられないように刺激をエスカレートさせていかなくてならないテレビ局としては
それだけでは「弱い」という判断でもあったのでしょうか。

しかもこの企画、辛坊氏当人が発案、つまり本人の希望ではなく、
この「24時間マラソンの発案者某氏」が辛坊氏に持ちかけた企画で、
辛坊氏はそれが決まったときのことを

「誰も止めてくれなかった」

と冗談とはいえ自分で言っていたというのです。

ここで慎重に、かつ最悪の事態を熟慮し断る冷静さを持てなかった辛坊氏は
あまりにもどっぷりと「テレビ界の人間」でありすぎたということなのでしょう。


というわけで最悪の事態は起こり、辛坊氏は海保と海自によって救出されました。
この無謀な企画の顛末は、税金からの救出費用概算1000万投入に加え、
成功していたらおそらく辛坊氏に殺到していたと思われる講演、
メディアの露出、そして各種出版物での利益、そしてなにより冒険家としての名声、
全てが(文字通り)水の泡と帰してしまったということになりました。

わたしはもともと「辛坊治郎」という個人ではなく、「テレビ業界」にこそ今回の責めどころがあると思い、
どちらかというと企画に乗らざるを得なかった辛坊氏には同情的でした。

ただ、「この国の国民でよかった」という救出直後の涙ながらの言葉には

「どの国の国民でも助けるのが海保であり自衛隊なんだけど・・・」

とわずかに白けた気分を味わったのも事実です。


たとえこの人物が、かつてイラクの人質救助に対し「自己責任だから税金使う必要はない」
と叫んでいたとしても、シーシェパードであっても、敵対する国の侵入者であっても、
助けを求めていたら救助に向かうのが自衛隊というものです。

「この国の国民だから助けてもらった」のではないのですよ。
辛坊氏は、まずお父上が所属していたという、その自衛隊に対して一言、
ちゃんとお礼を言うべきだと思います。

まあ、こんな風には考えましたが、先ほどもいったように「宮仕え」でもある氏に
全ての責任を負わせるのは間違っている、むしろ責められるべきは
この企画をゴリ押しした連中であろう、と思っていたのです。

しかしね。

さきほどこのニュースを見て、わたしはあまり氏に同情できなくなりました。


文春は辛坊さんの救出で4000万円の税金が消えたとして、
辛坊さんに費用を払う考えがあるのか質問し、

「“払います”と言えば、助けてくれた自衛隊員が喜ぶと思いますか。
命をかけて助けてもらって、それが金かよって思わないか。
目の前で命がけの彼らを見ていて、それで金払いますとは言えないだろ……」


という辛坊さんのコメントを掲載。
それゆえ特集の小見出しが「本誌直撃に“金は払わない”」となっている。


取りあえず相変わらずのマスコミですね(笑)
辛坊氏はつまり、自衛隊は金のために任務遂行しているのではない、金じゃないだろう、
それをいうのは失礼だろう、といっているわけです。
それを

「金は払わない」

こう一言でまとめてしまう相変わらずのマスゴミ手口には呆れてしまいますが、
いや、なかなか辛坊氏のこの発言も・・・・・・。

確かにその通りだとは思います。
お金に自分たちの行為を換算されるのは、自衛隊の隊員の本意ではないでしょう。
そんなこととは全く無関係に、彼らは任務を遂行するのですから。

しかしこれ、
実際に税金から大金を投入させて助けられた本人が言っていいことでしょうか。

しかも、今回の無謀な冒険?の目的って、いったいなんだったんですか?
本人は「24時間テレビは関係ない」という。
じゃあ、何のためにこんなことを企画したんですか?

企画立ち上げのときの記者会見では、何社もの「スポンサー」のロゴが、
その後ろのボードに書かれていましたね。
これだけスポンサーがいたからには、「営利活動」でしょう?

さらに、もし成功していれば、名声、講演会、出版物、その他諸々の
「成功報酬」が見込まれていたわけだから、「営業活動」でもあったわけですよね?


こういう目的で無茶をしておいて、助けられたら

「目の前で命がけの彼らを見ていて、金払いますはないだろ」

と、無償の任務を彼らが喜んでやるのが当然であるかのように言う。
これが、自衛隊や海保ではなく、もし民間の救難隊であれば、辛坊氏はどう言ったのでしょう。

これが山岳救助なら、時間いくらの救難費用は辛坊氏とその事務所に請求されるわけですが、
必死に救助に当たってくれるであろう救難員に対し、

「目の前で命がけの彼らを見ていたからこそ喜んで金払います」

とでもそのときには言っていたのでしょうか。
それとも、無謀の代償として不承不承支払ったのでしょうか。
民間の救助に対し「金払うというのは失礼」などとたわけた寝言をもし言ったとしたら

「いや、払えよ」

と言われるだけだと思うのですが、辛坊氏はこの矛盾をどう考えるのでしょうか。


自衛隊の隊員の気持ちになって考えてみれば、もちろん、
自分の任務に対して救助者がいくら感激したといっても「金払います」
などと言い出したら「金銭のためにやっているのではない」と思うにきまっています。

が、

「金払いますと言われて喜ぶと思いますか」

と助けた本人に代弁されてもねえ。
むしろ、

「そんなこと勝手に慮られたくない」

という風に内心カチンときませんかね。
しかも先ほども言いましたが、この人、自衛隊と海保に対して直接の謝意は表明していないんですよ。

「自衛隊の皆さん、海保の皆さん、
あなたたちが守ってくれる国の国民でよかった。
有難うございました」

ときっちり言ってからなら、上記のセリフにもかろうじて意味はあるという気がしますが。


しかし実際、この救助に向かったのが海上自衛隊の、
しかも世界に誇る水上艇U-2でなかったらおそらくこの二人の命はなかった、
というのは大筋の認めるところです。
海保では波が高すぎて助けられなかったので海自に要請が出され、
その海自レスキューの隊員ですら

「こんな高い波の中での救出は初めて」

というほどの、いわば決死の救助だったわけです。

辛坊氏とこの盲目のセーラーの命は要するに自衛隊に拾ってもらったようなものです。
今までは「局是」で、特定の保守政治家に自殺しろといったり、あるいは
民団で講演活動をしたり、どちらかというと「反体制」が目についてきたわけですが、
是非今後の人生、辛坊氏にしかできない
「報道関係者としての自衛隊への恩返し」、
(自衛隊の救助活動について広く喧伝するための講演活動をボランティアでするとか)
をせいぜい心がけて生きていっていただきたいと思います。


あ、それから、お金を返す方法は「自衛隊に払う」だけじゃありませんからね?
国庫に寄付するという方法もありますので、ぜひ考慮なさってみてはいかがでしょうか。

それならきっと、その気持ち、というか志に対し「自衛官たちも喜ぶ」と思います。



・・・というか、助けられたモンが居丈高に自衛官の感情を楯にしてんじゃねーよ。(迫真)

 

 


 



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7 Comments

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ヨットマン (しん)
2013-07-01 17:40:29
(`・´)ゞエリス中尉殿、本件、起こるべくして起こった事故と考えます。
クジラと正面衝突したな、と即座に考えました。
金華山沖は、昔からクジラの漁場でしたから。
辛坊さんと言う人、良く知らなかったんですが、調べてみたらヨット歴40年らしいです。
ただ、趣味でクルーズする並みのヨットマンでしょう。
この様な人が、太平洋横断!?
岩本氏は、おそらく一流の盲目ヨットマンでしょう。
シングルハンダーといって、一人で大洋横断、世界一周に成功した人は大勢います。
これらの偉業、何が大変な偉業かっていいますと、ほとんどゆっくり寝られないんです。何ヶ月も・・・。
航路監視役が一人しかいないので。
とてつもなくシンドイ冒険の旅なんです。
今回のケース、一流の盲目ヨットマンは、監視役ができませんので、辛坊さん一人が、航路監視役。
航路監視においては、シングルハンダー同然です。
鯨との衝突時、辛坊さんは就寝中・・・。
周囲20マイル=30km圏内障害物無し、をレーダー確認したとの事、時速4kmでの航行なら3時間は寝られるな、と踏んだのだと思います。
この様な心構えでは、とても太平洋を横断なんて、夢のまた夢、と即座に考えてしまいました。
それを予測できなかった岩本さんも、本物なのかと疑いたくなってしまいます。
海自、海保のおかげで命拾いしましたね。
でも、ヨットとクジラの衝突、良くあるんですが、普通は、船底にあるキール(船を水平に保つ重し)が折れて、ヨット転覆なので、助かりません。
二人とも運がよかったですね。
クジラさんも、頭にこぶが出来た程度で済んだ事でしょう。 (`・´)ゞ
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そうでしたか (エリス中尉)
2013-07-02 05:41:02
そういえばしんさん、ヨット持っておられましたっけね。
辛坊氏が少しはヨットの経験があるということを認識しないままに記事を書いてしまいました。
これについては事実誤認でお詫びします。

しかし、ヨットの知識のある方の話をこうやって聞けば聞くほど、
話の無謀さが浮き彫りになってくることに変わりはありません。
ハンディキャップのある方を健常者と同様に扱う、というのも時と場合によりけりで、
この場合結局辛坊氏一人が見張るしかない状態になってしまっていたと・・・・。
いくらレーダーで障害がないことがチェックできても、相手が生き物ではどうしようもなかったのですね。

今回見たあるサイトで「原潜ではないか」と疑問を呈している人がいましたが、
もし潜水艦なら間違いなくヨットは大破していていたわけで、これはありえない推論です。

クジラも軽症で済んだようで、よかったよかった。
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ヨットマンー2 (しん)
2013-07-02 16:01:40
(`・´)ゞエリス中尉殿、おっしゃる通り。
潜水艦なら、ヨットは即座に大破、沈没でしょう。
海上航行中の潜水艦で有れば、辛坊さんがレーダー確認時に把握できたでしょう。
レーダー確認後、浮上してきたら別ですが。
それにしても、早朝ですし、浮上した潜水艦は、必ず航路監視します。深呼吸しながら・・・(想像)。
金華山沖で、潜望鏡深度、と言うのも普通有り得ません。
従い、クジラさんに、頭突きを喰らった、と言う事です。
オーストラリア等の動物愛護団体、シーシェパードが、日本の捕鯨を厳しく批難、禁止したおかげで、クジラの個体数は、激増しているらしいですので、外洋のヨット航行は、注意が必要ですね。
クジラさん、モーター音には敏感で、避けてくれるそうですが、帆走中のヨットは無音なので・・・。
また、辛坊さんが、ヨット経験が無かったら、普通出発後、一時間ぐらいで、船酔いでダウンしていたでしょう。
4mのうねりは、10秒毎に、一階から三階をエレベーターで行ったり来たりする感じですから、想像付きますよね。
かなり気持ち悪い状況です。この船酔いは、陸に上がらないと直らないから、きついですよ! (`・´)ゞ
返信する
ヨットの船酔い (エリス中尉)
2013-07-03 00:41:36
小さいフネの動揺は半端じゃないでしょうね。
10秒ごとに一階から三階を行ったり来たり・・・・。
しかし、その中でも辛坊さんは寝ていたと。

海上自衛官の方に聞いたのですが、船酔いは誰しも最初に見舞われる洗礼で、先輩からは
「吐いた物を飲み込め」と言われるのだそうです。

この話は確か豊田譲氏の戦記にもでてきていましたが、
海軍時代から伝わる「対処法」のようですね。
この通りにすると、なぜか酔わなくなるということです。

それにしても、シーシェパード・・・・・(笑)
返信する
船酔い (しん)
2013-07-03 02:49:02
敬礼!エリス中尉殿、経験上、船酔いの時、一番楽なのは、横になって記憶を失うことでした。
本日、一週間遅れの週刊文春が届きまして、今回の遭難記事を読みました。
衝突時、二人とも就寝中だったとのこと!
朝、7時半に!
普通、一般のサラリーマンは、苦難の通勤電車のなかです。
やはり、税金返せ!!!と言いたくなりますね。
敬礼!
返信する
読者登録機能 (エリス中尉)
2013-07-04 23:27:29
初めまして、みね姉さん。

7月に入って「読者になる」という機能が追加されており、
登録することにどう言う意味があるんだろうといぶかしく思っていましたが、
みね姉さんが読者登録をしてくださったおかげでわかりました。

これは「どんなブロガーがこのブログを読んでいるか」
ということがわかる相互機能のようです。
ですから、「読者になる」をクリックすると、「読者のブログ」が読める、
読者からみると、たとえば当ブログの記事内容に興味を持つ層を自分のブログに誘導することができると。

ご自分のブログを展開されている方、そういうことですのでどうぞご利用ください。
わたしもどんなブロガーが読んでくださっているのかがわかって興味深いです。


というわけで「読者一号」のみね姉さんの記事も読ませていただきました。

辛坊氏が自衛隊不要論を声高に唱えていた、ということはインターネットで目にしていましたが、
わたしはその発言そのものを見たことが無いので、この記事では言及しておりません。

中川昭一氏に「自殺しろ」と言ったり、「自衛隊は税金の無駄」といった辛口は
辛坊氏の言論人としてのいわば「ウリ」だったのだと思われます。
しかし、人間明日には何が起こるかわからないものです。
あまり極論を声高にぶっているといざというときに
「お前が言うな」「どの口が言うか」
などと、返ってくる非難もそれだけ激しいということですね。

こうなってしまったからには辛坊氏はこれからのジャーナリストとしての立ち位置さえ
どこに軸足を置くべきか微妙になってしまいましたし。

もっとも、そんなことを気に病むような人物でないことは
「この国の国民でよかった」
という発言に見える調子の良さに表れていますが。

「金を払って自衛官が喜びますか」
という発言も、口先だけで成り上がり、その場その場で「売れる」発言を繰り返してきたこの人物の
いわば「真骨頂」だとわたしは感じました。

しんさんの情報によると、事故当時二人とも寝ていたということですが、
呆れて口もきけないとはこのことです。
返信する
並み以下のヨットマン (しん)
2013-07-05 11:11:32
(`・´)ゞエリス中尉殿、追伸です。
週刊文春の記事によりますと、辛坊さん、並み以下のヨットマンですね、どうも。
長いヨット経験(30年~40年?)のなかで、オーバーナイトクルーズを一度もやった事が無い、との事!?
つまり、夜間航行の経験無し・・・。
これで、太平洋横断とは、大変な勘違い野郎でした。
だから、二人で仲良く熟睡したんですね・・・。残念!
私ですら、何度か経験しておりますが、夜間は、法律に基づき、夜間灯を点灯し、交代で、クルーの一人は必ず起きていて、双眼鏡で航路監視します。
エリス中尉殿のおっしゃる通り、世の中を甘く見てましたね、彼ら。
4,000万円の費用は、P-3CやUS-2などの、飛行機の燃料代の合計金額の様です。
これに、海保、海自の方々の人件費、飛行機の減価償却費を合わせれば、いくらになるか分かりませんよ。
やっぱり、税金かえせ!!!。(`・´)ゞ
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