コメント欄でも少し話の出た「龍田」のパッケージです。
雷蔵さんのコメントで特にこの絵がいい、と言っていただいてまさに我が意を得たりでした。
篠突く雨の中、白波を蹴って進む「龍田」の艦尾には、軍艦旗が雨にもかかわらず翩翻と翻って。
雷蔵さんもおっしゃってましたが、これ探照灯を照射しているところなんですよね。
わたしも会場でこの絵を見たとき、つい立ち止まってどんな人が描いているのか聞いたくらいです。
なんでもまだ30代の画家だそうで、デジタルで描かれたものだとのこと。
今はほとんどがデジタルアートですが、未だに紙に筆と絵の具で描く人もいるそうですよ。
アメリカの「ホーネット」艦内の博物館には、そういえば「ハセガワ」の模型の箱絵を
そのまま額に入れて展示してあったわけですが(HAS"A"GAWAとなっていたのはご愛嬌)
模型の箱絵は昔から芸術作品みたいな格調の高い絵が選ばれていたんですね。
先日のコメント欄で話題になった「遼寧をやっつけているひゅうが」ですが、
改めて検索したところ、わざわざやっつけられているところに丸をつけた図をあげて
「日本の模型会社がこんな絵を描いて我が国をバカにしているアル!」
と怒りまくっている(らしい)サイトもでてきました。
悔しかったら自分たちで「遼寧」の模型作って仕返しでもすれば〜?
さて、ハセガワさんの展示はこれでおしまい。
模型業界ではツートップのひとつタミヤのコーナー。
「お菓子の家」ジンジャーブレッドハウスをつくるキット。
登場人物はジンジャーブレッドマンです。
あれは本物のクッキーで作るからいいのであって(以下略)
あれ?これタミヤだったっけ。
もっといろいろあったような気がするんだけど写真がない(−_−;)
この戦車はリモコンで動かすタイプで、坂とか砂利道、レンガも超えてしまう(はず)
会社の人が実演していた空飛ぶ円盤。
そういえば東京ミッドタウンの広場で、ある運動靴メーカーが
こんな円盤をプイーンと飛ばして、高いところに置いてある靴をとってくる、
というパフォーマンスをしていました。
商品そのものよりもその円盤に皆は注目していましたがこれだったのでしょうか。
操作していた人に聞いたところ、だいたい1時間もあれば誰でも動かせるとのことでした。
おお!懐かしい〜!俺これ乗ってたんだよ!
という方はおられませんか?
トヨタのトレノというのが、走り屋さんが乗るというイメージを持っていたのも、
昔これに乗っていた自称走り屋さんを知っていたからですが、
なんとこの日会場をご案内くださったFさんも、かつては乗っておられたとか。
頭文字(イニシャル)Dに使われていたからには本当だったんですね。走り屋専用。
さて、というあたりでお昼となったため、お弁当を購入してFさんに関係者が休憩する
上のフロアに連れて行っていただき食べることにしました。
テーブルとかはなく、ソファに座って皆膝の上にお弁当を乗せて黙々と食べていました。
横のスペースでは模型雑誌数社のカメラマンが、模型の撮影中。
下の展示場から借りてきては撮り、戻しては次のを取ってきて、とやるそうです。
「模型を撮影している時展示はどうなるんですか」
「ちゃんとそれをお断りする札をウチでは作って置いています」
お弁当を食べた上階から見た会場。
普通の客はもちろん、業者でも見ることのない光景です。
業者日ではありますが、ちょくちょくわたしのように招待された一般人らしい人も。
お昼を食べてからはわたし一人で会場を見て歩きました。
真っ先に目に付いたのが、航空自衛隊の航空祭という設定の模型。
ジオラマに航空模型を組み合わせるとなると航空祭はピッタリです。
それにしても駐機展示の顔ぶれがが異様に豪華な航空祭・・・。
F-2、ファントム、イーグルに・・もしかしてラプちゃんもいますか?
これはタカラトミーの「技ミックス」シリーズ。
先日ハーロック三世さんがフネの技ミックスを教えてくれましたが、
これはその飛行機バージョンです。
滑走路を飛び立っているのはT-4という設定?
そして、日の丸をつけたV-22オスプレイが!
と、このオスプレイがプロペラを回しているあたりが「技ミックス」なんですね。
このシリーズは、
「今からでも楽しめるプラモデル」
がキャッチフレーズで、彩色作業を省いてその分「ギミック」、
たとえばプロペラを回転させたりアフターバーナーを再現したり、
なんとジェット発進ユニットを付ければ実際に旋回飛行するという・・。
そうやって集めた飛行機を飾るステージとして「基地ストラクチャー」として
このような航空基地のリアルな建物や観客なども用意しているのです。
「ギミック」を楽しみたい人向けに、工程を一つ省略してくれてるんですね。
しかしこんな手取り足取りのメーカーの誘導にもかかわらず、
5年間作業が進まないという人も、世の中にはいらっしゃると聞きます。
どこのメーカーかは写真を撮らなかったのでわかりませんが、
この紫電改の箱絵は誠に失礼ながら少し大雑把なような(以下略)
ここに来るなり、なんだかウッディでほのぼのとした飛騨高山の民家が現れ、
そういえば小さい時うちにはこんな水車小屋の形をしていて屋根を開けると音がなる
オルゴール(曲は峠のわが家)があったなあと思い出しました。
石臼が中にあって、横に小川が流れている光景。
ジオラマ好きのわたしがつい熱心に見ていると、
「今日はどこから来られたんですか」
とこのブースの社員さん(年配の男性)が話しかけてきて、説明してくれました。
この会社は一切プラスチックを使わず、木と金属だけの模型を扱っています。
雷門に銀閣寺。
国宝姫路城は圧巻です。
お値段はこれが5万8千円となっていますが、ここの商品は小さいものでも2万円から。
五重塔。
五重塔は一段ごとに取り外せるので、その状態で手に取れるように展示しています。
欄干の木の細工なんか緻密ですごいですね。
「レーザーカットの技術ができてからこういう細工ができるようになりました。
やはりそれまでの模型はこういうところは荒かったですね」
ここの主力はお城などの建物と帆船です。
慶長時代に遣欧使節を乗せていった「サン・ファン・バウティスタ」号。
「このネットみたいな縄ばしごは一体どうやって作るんですか?」
「一本ずつ糸を撚っていって作ります」
東郷平八郎のフィギュアくらいでビビっている場合ではありません。
気の遠くなりそうな細かい作業です。
石巻にはこの帆船が繋留展示されているそうです。
津波がやってきた時、このサン・ファン・バウティスタは浮き上がり、
周りのものにぶつかったものの決定的な被害には至らなかったので再建されました。
カティサーク。
昔うちにカティサークの小さな模型がありましたが、遊んでいるうちに潰してしまいました。
そのときについていた帆は茶色くて羊皮紙みたいにみえたのですが、そのことをいうと
「それは羊皮紙に見せた紙だったんじゃないでしょうかね。
うちのは布を糊で固めて作っています」
ボトルシップもあります。
こんなものどうやって作るんだろうと兼ねてから不思議だったのですが、
「折りたたんである材料を中で形にするだけです」
ちなみにこの方は、
「私はボトルシップは好きではありません」
だそうです。
時間と飾る場所と根気があれば、これ作ってみたい。
というか、もっと本音を言えばできたものが欲しい。
東京駅の模型は後ろから明かりを照らすことができます。
ところでボトルシップの写真のボトルの後ろにあるのがこの東京駅の壁素材。
なんと、これ裏に薄い布を張った木なんだそうです。
これもレーザーカッターで切れ込みが入ったものがあらかじめセットされているので
それを組んでいけばいいという話なんですが、たとえこの細工をせずにすんだとしても
木のじゃなくて気の遠くなるような作業を繰り返さないとこんな大物はできません。
この会社の模型に「お客さんが作った」という展示物がありました。
「いくつもうちのを作ってくれる人なんですが、飾ってくれと言って持ち込んで来られるんです」
こんなものを作ったらそりゃ一人で眺めていないで多くの人に見てもらいたいでしょう。
昔、阪急京都線の京都行き特急ロマンスシートに乗ったとき、隣に座ったじいちゃんが
いきなりアルバムを出して、こういう模型の写真を次々と見せてきたことがあります。
こういうときに決して嫌と言えないわたしは、30分の間、
ずっとその写真のお城を作るのにいかに大変だったかという苦労談に
付き合わされ、相槌を打つはめになったのですが、あのじいちゃんもきっと、
せっかくの大作を隙あらば?誰かに見てもらうつもりで、いつでも
アルバムを持ち歩いていたのに違いありません。
この木の模型店ではお店の人が気合を入れてつきっきりで説明してくれたため、
異常なくらい長居するはめになって、あとはほとんど駆け足でした。
ここは宮崎アニメに登場するものをプラモにしている会社。
「紅の豚」は気合いが入っていて、登場する水上機にカーチスのフィギュア。
ジーナさんのフィギュアもあります。
こちらも宮崎アニメですが、これは以前ご紹介した紙を積んでいってつくるタイプ。
たとえばトトロだったら、輪切りにした丸い紙を一枚ずつ重ねていくのです。
これならわたしも作れそう。
本格派モデラーの人には、何がそんなの面白いんだ、って言われそうですが。
ガンダムシリーズは大きなコーナー一角全部を占めていました。
模型の世界の奥の深さをつくづく思い知ったコーナー。
これ、「エンジンの模型」なんですよ。
奇しくも模型会社の人から「わたしたちが再現するのは外側だけ」という至言を聞いたばかりですが、
この会社はその「内部」の模型に興味のある人もいるよね?と商品展開しているのです。
飛行機や船、お城や帆船やトトロやジオラマ、何れにしても興味のない人には意味がなく
興味のある人にはたまらない惹きつける魅力を持っているものですが、
世の中には「エンジン」にそれを見いだす人がいるってことなんです。
模型、というものは人類の「興味」のあらゆる可能性や方向性を「模索する型」ではないのか?
つい自分で誰がうまいこといえと、と思ってしまったわたしです。
タミヤのお土産コーナーでウケた静岡ホビーショー限定品。
こんな人、いるよね(笑)
終わり。