東京の丸の内にあるフォーシーズンズホテルのメインレストランは
今年に入ってずっと改装工事をしていたのですが、それが完成したので、
さっそくディナーを楽しんでまいりました。
少し息抜きにおつきあいください。
規模としては大きなホテルではないのですが、5つ星で、
在京ホテルの中ではマンダリンオリエンタルとともに我が家の評価の高いホテル。
どんな風に変わっているのか楽しみです。
エレベーターを降りたところのインテリアも変更あり。
開業当時はフロントがこのフロアにあり、この部分から右側が
全てフロントスペースのソファなどになっていましたが、
一階にフロントを移し、ソファスペースをティールームのようにしていました。
今回の改装で、このフロア全部を飲食のスペースにしてしまい、
左をダイニング、右をバー&ティーコーナーにしつらえたようです。
ダイニングスペースも大幅にリモデル。
花瓶に生けられた満天星 (どうだん)が広がりを感じさせます。
バーテンダーも変わったそうです。
どんなカクテルでもイメージだけ頂ければ作ってみせるということだったので、
まずはグレナデンを使ったノンアルコールカクテルを注文してみました。
通されたテーブルはもっとも上席であるコーナーで、東京タワーが見えます。
グレープフルーツを使って甘さ一辺倒にしていないのが大人、なお味でした。
しばらくお料理は大皿の上に敷かれたリネンの上にサーブされます。
プリフィックスコース、まずはタマネギのキッシュ。
熱々で火傷しそうなキッシュは、タマネギの甘みが生きていました。
実はこの少し(3日)前に、お昼にお茶を飲みにきたのですが、
そのときにもこの木の枝にクッキー?を引っ掛けて持ってきました。
見かけからは何か想像もつきませんが、要は練り物系天ぷらです。
これも熱々で、噛むとフキノトウのほろ苦い味がしました。
見ればわかる。ウニですね。
息子はウニカニの類が大嫌いなのですが、これは食べていました。
普通の味付けでは食べられないものでも、創作したものであれば口にできるようです。
オクラのとろりとしたジュレの中に浮かぶウニをすくって食べるのですが、
お味はともかく大変食べにくかったです。
ウニの殻に入っていなければぐいっと一飲みしたい感じでした。
安物のウニは型崩れを防ぐためにミョウバンを大量に使うので、
苦くて妙な味がするものですが、ここのはもちろん塩水ウニといって、
ミョウバンを使わず塩水で保持しているものですから美味しかったです。
北海道出身のアドバイザー(シェフのことかどうかはわからず)が、
今調理を担当しているので、素材も新鮮なものばかりということでした。
このカップが出てきたときに息子が、
「このカップ、ホテルの客室に置いてあったコーヒーカップだ」
といいました。
確かにそうです。
ホテルの部屋でコーヒー紅茶を淹れて飲むために備え付けのものなのですが、
なにしろデミタスサイズなので不便で堪らず、わたしたちは
お茶を飲むときわざわざ大きなカップを持ってきてもらっていました。
「もしかして部屋で不評だからこっちで廃品利用することにしたんじゃ」
「・・・それはないと思う」
真偽はともかく、これはオマール海老のビスク。
フォームの上にかかっているのはカレーパウダーで、このカレー味が
オマール海老独特のちょっとした「臭み」を見事に消す役目をしていました。
お酒の飲めないわたしたちは、「白」といってもこのようなものを注文。
ぶどうジュースじゃありませんよ。
ノンアルコールワインといって、ワインからアルコールだけを抜いたものです。
ジュースのような渋みが全くなく、全くワインのような風味があります。
実は一番美味しかったのがこのお皿。
ただのサラダのようですが、アスパラガスを細かくナイフで刻み、
お皿に乗せられた3種類のゴマやソースで味の変化をつけていただきます。
ウェイターが銀色のドームをばーん!と開けてこれが出てきたので驚きました。
ホッキ貝です。
そういえば北海道の漁港で、ホッキ貝専門食堂のホッキ貝のカレーを食べたことがあるなあ。
今にして思えば、ホッキ貝をカレーに入れるってなんてもったいないんだろうというか、
味がわからなくなってホッキ貝の意味ないんじゃね?というものでしたが。
「イメージキャラクターがホッキー君・・・・だったっけ」
「そういえば、ホッキ貝がホッケー選手の格好してましたね」
「英語でホッケーは”ホッキー”だから・・・」
などと思い出話をしながら貝の蓋を取ります。
これも泡か。
この中にホッキ貝の身が入っているわけですが、さらにその実態はリゾット、
つまり底の方にはご飯があるのだった。
貝も嫌いな息子がなぜかこれにも果敢にトライしておりました。
これだけ手間ひまかけてれば、家でも好き嫌いなくなんでも食べるってことなんだろうか(笑)
うーん、悪いが、母ちゃんそんな料理にかけている時間はないんだよ。
続いての銀色ドームを一応写真に撮るわたし。
ちなみにバケットとバターは死ぬほど美味しかったです。
しかしウェイター氏は
「パンをあまり召し上がられると、お料理の方が・・」
とおかわりを勧めませんでした。
ごもっともです。
さて、例によって恭しく三人のウェイターさんが一斉にドームを持ち上げると、
続いてのお料理は北海道でしか獲れない、カスベでございます。
「ああ、そんな歌ありましたね。カスベの女って」
「それはカスバ」
さすがは関西人、こまめに突っ込んでくれてありがとうTO。
「へー、初めて見るけどカスベって変わった調理法で食べるのね」
と思う間もなく、
こちらがカスベでございます。
奥の立柱はジャガイモでした。
ジャガイモだけをわざわざシルバーのドームかぶせて持ってくるんじゃねー(笑)
で、カスベって何者なのかね。
「エイのヒレのことです。北海道や東北などでは煮付けにして食べます」
お味は柔らかくて、なんというか、ハモをこってりと脂っこくした感じ。
ケッパーのと後からかけられたバターソース(冒頭写真)が合う味でした。
ここでまた再びTOがバーテンダーに無理難題を吹きかけます。
(このひとはこういうことになると情熱を燃やす傾向に)
「ウーロン茶を使ったさっぱりめのカクテルを・・」
職人肌のバーテンダー(たぶん)が、一旦できた完成品を気に入らぬ!と捨てて(!)
もういちど作り直した自信作がこれ。
確かに食事と一緒にいただくのに最適のあっさり味でした。
松の香りを肉に移すため?
今からこれを焼きます、と持ってきたカモ肉。
メインはコースによって牛肉、豚肉、そしてこの鴨肉の三種類があります。
実はこのころには十分予想されたことですが、お腹がいっぱいになってきていました。
決して大きな肉ではないのですが、食べられるかどうか不安。
付け合わせもあとから乗せてくるし(笑)
ポテトも肉も、わたしは残してしまいましたm(_ _;)m
しかし非情にもまだまだデザートが終わっていないのだった。
別腹などと言えないレベルにお腹いっぱいですが、頑張ります。
いちごのシャーベットにいちごを煮たソースがけ。
ここで終わりと思ったら、
駄目押しで出てきたケーキは日本酒のババ。
babaというのは決してお皿に書いてある「ハッピーバースデイ」とは関係なく(´・ω・`)
お酒(たいていラム酒)を染み込ませた焼き菓子のことなのですが、
これは日本酒を染み込ませてありました。
そこで運ばれてきた花束代わりのニコライバーグマン・フラワーボックス。
ケーキに火のついたローソクがさしてあって、従業員が皆でハッピーバースデーを歌うというような
恥ずかしいサービスは、ここではやらない主義のようです。よかった。
この日は祝日だった(みどりの日)にもかかわらず、レストランには我々を含め
ディナーを取っているのは3組だけで、わたしたち以外はどちらも
白人系外国人のゲイカップル(多分)の旅行者でした。
最後のお茶と共に出してくるお茶菓子。
だからもう寸分たりとも入らないんだよ!
と思いながらも、ウェイターがこのマシュマロを好きな長さに切ってくれるというので、
本来の大きさくらい、と頼んで切ってもらい、口に押し込む羽目になりました。
というわけで本年度の誕生日は滞りなく終了したわけですが、
今年プレゼントにもらったのは、・・・・・・ニコンのレンズでした。
これについてもいろいろあったので、またそのうちご報告します。