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国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

コソボ紛争の行方

2011年04月18日 | 欧州
プリスティナはかつては少数派のセルビア系住民も住んでいたが、今は彼らは一掃されてアルバニア系住民だけの町になっている。町の中心にあるセルビア正教の教会は全ての装飾が破壊され、煉瓦とコンクリートの壁だけが残された無惨な状態になっていた。ドームの頂上に残された金色の十字架だけが、ここがかつてキリスト教の教会であったことの証拠となっている。恐らく、セルビア系住民への怒りに燃えるアルバニア系住民が破壊し尽くしたのだろう。教会周辺の土地も荒野となっていたが、かつては公園やセルビア系住民の住居などが存在したのだと思われる。しかし、欧州がキリスト教の大陸であること、欧州の先進国でイスラム教徒の移民に対する反感が非常に高まっていることを考えるならば、このコソボのアルバニア系住民によるキリスト教教会の破壊は今後大きな問題になってくるのではないかと感じた。プリスティナには幾つかの大きなモスクがある。参拝者は少なかったが、サウジアラビアがモスクの経営を支援している様であった。まさに文明の衝突である。コソボがセルビア系住民のものなのか、アルバニア系住民のものなのかは難しいところだ。紛争直前でもコソボの多数派はアルバニア系住民であった。ただ、何世紀か前の状況を見ると、コソボの住民の多数派はセルビア系住民であった。イスラム教徒のアルバニア系住民はイスラム教のオスマントルコの統治下でコソボに移住し、高い出生率によって人口を増やして多数派になったのだ。従ってコソボの歴史的建造物は全てセルビア系であり、アルバニア系のものは存在しない。この状況は、現在の欧州諸国のイスラム系住民居住地区と似通っている。コソボ紛争は、ボスニア紛争と類似した面を持っている。セルビア系住民が悪役とされ、イスラム系住民が正義役とされた。また、旧ユーゴスラビアから独立したスロベニアとクロアチアを真っ先に承認したのはドイツとオーストリアであった。これは、第一次世界大戦を起こしたセルビア人に対する、ドイツ人による懲罰であったのだろう。しかしながら、欧州を事実上支配するドイツ人にとって、真の敵はイスラム教徒であり、セルビア人はイスラムと戦う点でドイツ人の味方である。セルビア人のアルバニア系住民に対する鬱積した不満を将来爆発させることで欧州からイスラム教徒を一掃してしまう計画をドイツ人は持っているのではないかと私は感じた。 . . . 本文を読む
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