国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

サルコジ候補の有力化とコソボ問題:近未来の欧州によるコンスタンチノープル奪還の可能性

2007年03月13日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
トルコが周辺国との戦争に敗北した後、コンスタンチノープルを欧州側に割譲させる大義名分が必要である。クルド人迫害、アルメニア人虐殺は根拠にはならない。そこで、「かつての東ローマ帝国の支配民族であり、オスマントルコ時代もこの地域に多数居住していたギリシャ人・アルメニア商人達に領土を返還せよ」という主張を出すしかないだろう。しかし、五世紀以上前に滅亡した東ローマ帝国を引き合いに出すには、前例が必要である。そこで考えられるのが、現在ロシアやポーランドが支配している旧プロイセン地域とパレスチナ問題である。 旧東独からプロイセン、バルト三国地域へのドイツ人入植は「東方への衝動」とも呼ばれる中世以後の移民によるものであり、第二次大戦後のドイツ東方国境の移動はポーランドの領土奪還的な意味合いもある。もしドイツが「シレジアや西プロイセンは数百年前にはポーランドの領土であった地域であり、近世のドイツ領土化は侵略的側面があったことは否定できないのでこれを放棄する」と宣言し、ロシアも「東プロイセンはかつて一度もロシア人が居住したことのない地域であり、ロシアに領有の正当性はないのでドイツ(あるいは欧州)に返還し、ロシア人住民は全員本土に引き取る」と宣言するならば、モンゴル高原を故郷としておりコンスタンチノープルを領有する歴史的正当性を持たないトルコは窮地に追いやられるだろう。ロシアとドイツは国際平和のために自国の領土の一部を放棄した名誉ある国家として、新たな世界秩序の中で中核的地位を占めることになる。また、イスラエルを建国したアシュケナジーも東欧地域出身であることを告白し、イスラエルを去る(行き先はロシアからドイツに返還される東プロイセンなどが考えやすい)ことも考えられる。後に残されるスファラディはパレスチナを故郷としアラブ系の生活風習を持つ民族であり、帰還したパレスチナ人と共にイスラエルに住むことの正当性はある。 ただし、欧州はトルコの完全な滅亡は望んでいないだろう。むしろ、トルコがサウジ・シリアなどのアラブ国家やイランなどとの間の緩衝国家として機能することは欧州にとっても、アラブ国家やイランにとっても好ましいのだ。トルコを共通の敵とすることで欧州はイラン・アラブ国家と友好関係を持つ事ができる。 . . . 本文を読む
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