海辺のねこ

どんな日もかけがえのない一日。

「さくら」

2013-04-03 | 思い、想う


毎年、桜の頃に思うこと。
(あと何度、愛でることができるのだろう)
他の花たちだって同じことなのに、桜は特に―。

桜の歌が多いのも、そのどれもが心に響くのも。
多くの方たちにとって、桜は特別な花なのでしょうね。

今年の桜は何方と一緒にご覧になりましたか?
何方とご覧になる予定なのでしょう。

誰かと共に愛でる桜も、ひとり眺める桜も。
どうぞあなたの心を温めるものでありますように。




  さくら        茨木のり子

 ことしも生きて
 さくらを見ています
 ひとは生涯に
 何回ぐらいさくらをみるのかしら
 ものごころつくのが十歳ぐらいなら
 どんなに多くても七十回ぐらい
 三十回 四十回のひともざら
 なんという少なさだろう
 もっともっと多く見るような気がするのは
 祖先の視覚も
 まぎれこみ重なりあい霞だつせいでしょう
 あでやかとも妖しとも不気味とも
 捉えかねる花のいろ
 さくらふぶきの下を ふららと歩けば
 一瞬
 名僧のごとくにわかるのです
 死こそ常態
 生はいとしき蜃気楼と



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