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マスコミは褒めるのが大嫌い?

2012-01-19 13:32:18 | マスメディア
 1月17日のNHKクローズアップ現代は184人全員が津波から逃れた釜石小学校を取り上げました。地震直後、100人近い子どもたちが津波で浸水した場所で遊んでいたのですが、全員が各自の判断で安全な場所に逃げたということでした。学校の管理下で全校児童108人の約7割が犠牲になった大川小学校の悲劇と対照的な結果となりました。

 番組は子供たちの的確な判断と行動に賛辞を送る内容となっています。子供たちは「津波てんでんこ」つまり、てんでんばらばらに自分で責任を持って逃げろという教えに従って行動したとされています。しかし、誰がどのようにその教育を行ったか、なぜこれほどまでの教育効果が実現したか、などついては残念ながら触れられていません(*1)。

 子供たちを英雄視するのは筋違いです。子供たちを救った本当の功績者はこの教育を実施した方々でありましょう。子供たちは役所が作ったハザードマップを信じるな、とまで教えられていたそうですから、この教育方針を作った人物はただの凡人ではなさそうです。

 子供たちを主人公にした感動ものに終わるのでなく、この教育を実施した方々に対する評価や教育方法の紹介があって当然だと思われます。評価されれば、当人も報われ、さらに広範囲で好ましい影響も生まれることでしょう。優れた題材だけに残念です。

 釜石小学校の津波教育についてほとんど言及しなかったのは、それを褒めたくなかったからだ、とまではいいませんが、マスコミには褒めるのを嫌う傾向があるようです。前横浜市長の中田宏氏の著書「政治化の殺し方」には「阿呆なマスコミが日本を滅ぼす」という一節があります。節の最後の部分を引用します。

「我々を褒めてくれと言っているのではない。我々も他者のいい事例をもっと知りたいのだ。いい取り組みが報じられれば、それが共有されて、次の事例につながる善循環になっていくはずだ。しかし、現実には悪いことしか報道されない。悪いニュースで溢れる日本は、悪循環のスパイラルにあるように思えてならない。」

 マスコミは活躍したスポーツ選手を手放して褒めることはあっても、政治家を褒めることはまずありません。「権力は腐敗する。絶対権力は絶対的に腐敗する」という言葉があります。だから権力など力を持つ者を常に監視するのが自分たちの役割だと思っているのでしょう。そこには権力者は悪、という観念が染みついているように思います。

 こういう観念に支配されていると暗い記事が多くなります。皮肉や揶揄、ユーモアもなく、クソ真面目一辺倒の批判記事ばかりでは面白くもなく、こちらまで暗くなります。それは叩かれるばかりの政治家にも好ましくない影響を与えるのではないでしょうか。

 子供は叱るだけでは駄目で、褒めることも必要だと言われます。良いことを褒められれば、好ましい方向への意欲が生まれます。これは大人も、政治家も同じでしょう。人は衣食住に満足すると名誉が欲しくなると言われます。褒められることは名誉欲を満たすことです。

 政治家が叩かれるばかりで、名誉心を満足できなければ、名誉を重んじる人間は減り、権力志向の人間が増えるでしょう。金や権力を追い求める政治家より、名誉を求める政治家の方がまだマシです。尊敬されるような政治家が少ないのは「阿呆な」マスコミの暗い姿勢と無関係ではないと思っています。

(*1)片田敏孝群馬大学大学院教授が、長年釜石市の小中学校の生徒に対して教育指導を実施していたことが番組の中で報じられていたというご指摘をいただきました。私が見逃してしまったのかもしれません。お詫びして訂正します。

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