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異文化の国

2018-01-14 23:44:07 | マスメディア
 「左(さ)れば斯る国人に対して如何なる約束を結ぶも、背信違約は彼等の持前にして毫(ごう)も意に介することなし」

「脱亜論」から10年余り、福沢諭吉が朝鮮に対して述べた言葉だという。これは11日付の産経抄に紹介されたもので、むろんこれは2016年の日韓の慰安婦合意では慰安婦問題を解決できないとした韓国政府に関しての引用である。明治の初期、朝鮮に強い関心を持っていた福沢がこのような見解を既に持っていたことは興味深い。これが信頼できるとすれば、韓国や北朝鮮における背信違約は昔からの伝統文化であり、両国と信頼関係を結ぶことが大変困難だということになる。

 文在寅大統領はそもそも慰安婦合意を再交渉することを掲げて大統領になった人物である。彼を民主的に選んだのは外国との約束を反故にすることを求めた人たちである。合意の破棄や再交渉は民意でもあるわけだ。約束を大切にしない風潮は多くの国民に共有されているようである。これは文化の違いとしか言いようがない。

 もっとも韓国では批判的なメディアもあり、保守系紙は文政権の対応を「合意を引っかき回し、元慰安婦と日本の不満ばかり増幅させた」、「日本の感情は悪化し、韓日関係は最悪になった」などと批判したそうである。

 日本にとっては従来からゴールポストを移動され続けてきた不満があり、「最終的かつ不可逆的」という文言はもう二度と繰り返したくないという気持ちが表われていたわけである。それをまたひっくり返そうという韓国の態度には日本のメディアもあきれたといった反応が多い。

 ただ朝日は少し違うようだ。10日の社説で、「理解に苦しむ表明である」「これでは合意が意味を失ってしまう恐れが強い」と批判しながらも、日本側も「1ミリたりとも合意を動かす考えはない」と硬直姿勢をとるのは建設的ではないと批判している。さらに「韓国側から言われるまでもなく、合意を守るためにその範囲内でできる前向きな選択肢を考えるのは当然だ」と日本側に合意以上の謝罪などの行動を求めている。合意を尊重せず、合意以上を求める点で韓国の主張と一致する。

 ゴールポストが何度も動かされてきた原因はこうした日本側の甘い対応が一因であると思われる。慰安婦問題に火をつけた朝日がなぜこのような優しい姿勢をとるのだろうか。日本の利益より韓国の利益を大事にしているように見える。朝日は慰安婦虚偽報道で、(仕方なく)国内向けには謝罪と訂正をしたが、世界に向けて訂正はしていない。ちゃんと謝罪・訂正をしていれば世界各地の慰安婦像の建設にも影響を与えていたかもしれない。韓国への暖かい配慮には感動する次第である。


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