噛みつき評論 ブログ版

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横綱が品行方正とは限らない

2017-11-19 23:57:03 | マスメディア
 このところメディア、特にテレビは日馬富士関の暴行問題一色の観がある。目撃証言の食い違いがあったり関係者の行動が不自然であったりと、謎が多いことも話題性が強くなり、不手際の続出は相撲界の管理体制にまで波及し、メディアにとってますます好都合なネタになったようである。それにしてもこれは騒ぎすぎであろう。民放はともかく、NHKまでもがメディアスクラムである。

 メディアには、横綱は角界の頂点に立つ者であるから暴力沙汰などあってはならない、国技の品格を損なうといった意見が多い。概ね同工異曲、付和雷同であり、そのような意見を何度聞かされてもあまり意味はない。

 相撲界でもっとも重視されるのは強さであろう。昇進の際にも当然強さが重視される。あの力士は弱いけれど品行方正だから横綱になった、とは聞かない。逆に問題行動が多いとされた朝青龍でも横綱になれる世界である。過去には賭博問題や暴行による死亡事件もあった。どんな業界にも不祥事はあるだろうが、相撲業界は数百人の力士で構成される少人数の世界であり、その発生割合は決して低くないと思われる。

 検事が暴力事件を犯したり、教師が強姦(強制性交等)すれば、そのコントラストの鮮やかさから世間の注目を集める。では横綱も同様であろうか。私はそうは思わない。相撲は格闘技のひとつであり、いわば規制のある暴力競技である。規制が守られなければ今回のような暴力事件となる。両者の距離はさほど遠くない。

 暴力事件を認めるわけではないが、これ程の大騒ぎをするようなことではないと思う。横綱はスターである。我々はスターに強さ以外のものを求めすぎているのではなかろうか。ある野球の有名選手はドリンク剤のCMに出るが、かれはドリンク剤に詳しいわけためではないだろう。また飲用しているとも限らない。有名な俳優が軽自動車のCMに出ていた。おそらく俳優はその軽自動車に乗っていないと思う。スターに宣伝効果があるのは知らない間に感情移入しているからだであろう。米国では自分が使ってもいない商品の宣伝には協力しないというモラルがあるそうだが日本ではなんでもOKだとも言われている。

 マスメディアはスターに実際以上のイメージを作り上げる。出来上がったスターは話題を提供してくれるので、メディアにとってもありがたい存在である。いつの間にか横綱にも品行方正な理想像が出来てしまったのだろう。本人が知らぬ間に期待値が高くなってしまったというわけである。スターのイメージは実態と乖離しているのが普通である。悪いところは伏せ、良いところだけを見せることによって作られた幻想と言ってもよい。


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1 コメント

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いいおもちゃのようですね (腹一杯)
2017-11-20 21:54:32
いつも拝見しております。
日馬富士の暴力事件ですが、まあ、マスコミがうれしそうです。
ブログ主様のおっしゃるとおり、格闘技ですし、力士も若い人が多いので、ありそうな話です。
まだよくわからないところが多そうですけれど、そこまで騒がなくても。と思います。
10年ほど前だったか、朝8時からのとくだね 小倉智昭さんが司会と思いますが、今は亡きニューズウイークの竹田さんが、「スポーツの有名選手をマスコミが取り上げて、それで駄目になるようなら、本人の資質の問題」との意味合いをおっしゃったときは、耳を疑いました。
マスコミ様はそれくらいしか思っていないようです。
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