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誤りは認めたくない

2015-02-23 09:05:48 | マスメディア
 国際政治上の危険要因を分析している米コンサルティング会社ユーラシア・グループは年頭に世界の10大リスクを発表しています。今年は次の通りです。

1位 欧州の政治
2位 ロシア
3位 中国経済減速の影響
4位 金融の兵器化
5位 「イスラム国」の拡大 (以下略)

 毎年メディアで報道されるので、ある程度の信頼性があるのでしょう。2010年発表の世界の10大リスクはとても興味深いものでした。「日本の鳩山政権」が堂々5位にランキングされたのです。5位と言えば今年の「イスラム国」と同じ、たいしたものです。そして「(鳩山政権)は年末までもたない可能性が相当あり、ひょっとすると参院選までもたないかもしれない」と分析したそうです。

 まさに慧眼というべきです。この発表は鳩山政権発足から3ヶ月しか経っておらず、しかも国外からの分析です。国内に比べ限定された情報しか得られない筈なのに、なぜこれほどの正確な分析が可能であったのでしょうか。

 ひとつの解釈は同社の分析能力がとても優れているからだと考えることです。しかし、同社の予測はごくあたりまえのものであり、日本国内にいる我々の方が間違っていたのだという解釈も可能です。

 共同通信の調査では鳩山政権支持率は2009年11月29日に63.7%、12月26日47.2%、翌年1月11日には50.8%となっており、日本の国民には世界のリスクになるほどの危機的な認識はないと思われます。

 我々の判断は日常接するマスメディアによって決定されるといっても過言ではありません。今の安倍政権とほぼ同じである50%程度の支持率は鳩山政権に対する好意的な、つまり不正確な報道によって実現されたと考えることができます。米コンサルティング会社は国内メディアの報道を軽々に信用しないだけの見識をもっていたと解釈できるわけです。

 民主党を持ち上げ、政権成立に力を貸した左派メディアは政権の無能さに気付いても、急に厳しい態度に変われなかったのでしょう。もし公正中立の立場で厳しい報道をすれば、民主党を応援してきたのは誤りであったことが明確になり、判断能力が疑われるからです。もしもっと早期に誤りを認めていれば民主党政権は支持を失い「失われた3年」はもっと短くて済んだかもしれません。報道には一種の慣性力が働くようです。

 一旦メディアが主張したことは途中で間違いだとわかっても、なかなか訂正されないようです。訂正に30年以上かかった朝日の従軍慰安婦報道はその好例です。誤りを放置すれば事態はさらに悪化することもこの例は示しています。戦時中、戦争へ国民を鼓舞した新聞が敗戦までその姿勢を変えることがなかったことも同様でしょう。せめて積極的な報道を控えたなら終戦は僅かでも早まったかもしれません。


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