噛みつき評論 ブログ版

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新聞・テレビの知能低下は深刻

2020-08-23 20:53:08 | マスメディア
 内閣府が17日発表した4~6月期のGDP速報値は前期比で7.8%、年率換算(*1)で27.8%減少した。要するに1~3月期より7.8%減ったということであるが、ほとんどの新聞・テレビ各社はトップで年率の27.8%を強調し、過去最大などと大々的に伝えた。年率という表示はあったものの注意しないとわからないものもあった。年率換算というのはこの減少率が1年間続いた場合の数値である。現在の新型コロナによる影響は恐らく1年間も続くことは考えにくい。近いうちに反動があるだろうし、現に中国はV字回復している。この27.8%という数値は現状を表すものとして不適当であり、事態を実際より深刻だと誤解させる恐れが強い。

 27.8%を強調したのはその方がインパクトが強く、読者・視聴者の注目を引くからだと思う。読者・視聴者に事実を正確に伝えるというのが本来の使命である筈だが、それは優先事項ではないらしい。読者・視聴者は全文を読んで理解するとは限らない。恐らく大部分は見出しやリードだけで済ませることは彼らにもわかっている筈である。従って全部読まなくても大まかな意味が理解できるように書くのがマスコミの仕事である。事実を正確に伝えようという職業意識が乏しい。

 また、テレビの情報番組は製作コストが低いせいかは知らないが、長時間の情報番組が多くなっているように感じる。そして司会者などの出演者にはお笑い芸人出身者が多いように思う。つまり優先されるのは事実を正確に伝えるのではなく、事実をいかに面白おかしく伝えるかであるのではないか。ここでもテレビが本来の役割を軽視している姿勢を感じる。一部の番組が井戸端会議のような低レベルであってもいいと思うが、そのような風潮が全体に広がっているように思う。もしかするとマスコミ自体、年率換算の意味もちゃんと理解していないのかもしれない。

 昨今の暑さについて気象予報士がいろいろと解説しているが、その中にフェーン現象(*2)を理由に挙げる人が多い。フェーン現象とは水蒸気を多量に含んだ空気が山を越えたときに起きる現象で、風が山を越えるときの上昇気流によって温度が低下し水蒸気が雲・雨となるときに凝縮熱を放出し、それが山を越えると、下降気流による温度上昇に凝縮熱が加わるためだと理解している。つまり山を越えるとき、雨が降ることが必要条件なのである。しかしどこにも雨が降っていないのに山越えの風があるだけでフェーン現象だと説明している。気象予報士はどんなことを勉強されているのか知らないが、テレビ側のチェック能力も怪しくなっているようだ。

 メディアがアホになり、くだらない番組ばかり作ること自体はかまわない。しかしその政治的影響力は強く、選挙の行方を左右する。メディアは第4の権力と呼ばれるくらいである。その権力がアホになったら、国の命運さえも左右されることになりかねない。

 ニュースの取捨選択にも興味本位を優先する姿勢が感じられる。ある程度は仕方がないが、度が過ぎる。情けないことにNHKが民放の後追いをしているように思われる。地上波テレビと新聞だけでは世の中の半分しかわからない。残りの半分を知るにはインターネットと雑誌(週刊誌を除く)を見ることであろうが、選択が大変である。

(*1)次の式が使われます。近似的に四半期成長率を4倍してもよいです。
年率換算成長率=((1+四半期成長率)^ 4 - 1 )*100

(*2)乾いたフェーン現象というものがありますが、あまり一般的なものではないようです。上空に温度の高い空気があってそれが下降する場合に起きるものとされています。


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