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予測通りの展開に慌てる政府

2021-08-01 22:04:41 | マスメディア
 新型コロナウイルスのデルタ株の活躍が目覚ましい。拡散の速さは出身地のインドや欧米諸国で確認済である。さらにその感染力は英国のアルファ株の1.5倍とされている。アルファ株は中国製の従来株に対して感染力が1.5倍とされていたのでデルタ株は元祖中国株に対して2.25倍の感染力を持つことになる。この事実は既に5月21日に田村厚労相の発言として報道されている。

 2.25倍の感染力があるということは感染の主な原因となる人と人の接触を中国株に対する規制をもっと強力に行う必要があることを意味する。大雑把な計算であるが過去の非常事態宣言のとき、人流が50%減ったとすれば、今回は同じ効果を出すためには約78%減らす必要ということになる。同じ非常事態宣言でこんな効果は期待できないばかりか、その効果は低下しているので尚更である。

 5月に感染力が政府レベルで明らかになっていたわけだから、今急激な感染拡大は容易に予測出来た筈である。むろん100%の信頼のある予測は無理であるが、このような緊急時はある程度の確度があればよい。もし根拠に基づく科学的な実証を求めていたら流行が終わってしまうだろう。感染力の強さからも、また外国の例からも感染急拡大は予想できた。そして従来通りの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置では歯が立たなくなることもかなりの確度で予測できたと思われる。

 従来通りの手法で感染の抑止が可能である可能性もあるかもしれないが、そうでない可能性も否定できないのなら、ロックダウンなど、より強力な強制力を伴う措置などを用意しておくのが政府の役割であろう。新型コロナが拡散し始めてからもう1年半も経っており、立法の時間はあった筈だ。これを千載一遇の機会として非常事態法を作り、ようやく世界の諸国の仲間入りをしてもよかった。今からでもないよりはマシである。

 一部では報道されているが現在の感染拡大状況に危機感が伴っていないことが問題視されている。その通りだと思うが、一方で、菅総理の会見で目立つのは非常事態宣言によって人流は減ってきている、ワクチン接種は着実に進んでいると、いまさらの自慢話である。国民に危機を伝えるという意思は感じられない。つまり問題の認識が十分ではないと感じる。

 新型コロナの重大性を読み誤り、ワクチン接種の実施においてOECD37ヵ国中の最下位に甘んじて、遅れによる経済的損失は何兆円か何十兆円が知らないが莫大なものになる。ワクチン遅れによる損失額を計算してほしいと思う。前々回も書いたが、新型コロナを通じて我が国政府の統治能力に疑問が生じた。とはいっても野党となるとさらにレベルが低い。民主主義、それを支える選挙民、それに影響するメディア、いったいどれが悪いのだろうか。

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