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堤防よりシェルター

2017-12-10 23:20:22 | マスメディア
 このひと月ほど、テレビの関心は相撲界の出来事で占められた。いくら国技とは言え、たたがスポーツのことであり、これほどの騒ぎようは異常であろう。国会では野党がモリカケ問題を主要なテーマにしている。追及が成功したとしてもせいぜい役人の忖度程度であろうし、日本が戦争に巻き込まれる可能性があるときに騒ぐことではなかろう。

 しかしようやくではあるが、敵基地攻撃能力に関する議論が出てきた。また石破氏は次のように発言した。
「スイスやイスラエルは(核兵器に備えた)シェルターの整備率が100%で、先進国は70~80%。最近整備を始めたシンガポールも60%近い。ソウルは300%あるので、北朝鮮が何かやったらソウルは火の海になるという人がいるが、火の海になってもソウル市民が死なないような対策はとっているはずだ。日本は整備率が0・02%で、それって北朝鮮が撃ってみようかという思いをかき立てることにならないとは限らないはシェルターの整備率が日本は0・02%と、それって北朝鮮が撃ってみようかという思いをかき立てることにならないとは限らない」

 北朝鮮側から見れば、日本ほど攻撃対象として優れた国はないのではないか。世界に対し示威行為をしたいと考えたとき、日本はシェルターの整備率が低く、ミサイル攻撃により予想される人的被害は膨大である。また専守防衛の国であるから、反撃で国土を破壊される心配もない。北朝鮮にとってまことに安全で効果的、攻撃しやすい国なのである。おまけに国民は相撲やモリカケ問題に明け暮れるほど危機意識がない。その結果がシェルター0・02%なのである。世界でもっとも安全性の低い国かもしれない。

 戦後、左派メディアや進歩的文化人らが営々と築き上げたこの国はもっとも攻撃を受けやすい国、つまりもっとも戦争の危険が高い国になったわけである。平和を望みながら逆の結果となったわけで、なんとも皮肉な話である。メディアなど、国の政策に影響を与えてきた人たちが近代の歴史や国際政治の現実を理解せず、非現実的な認識にこだわった結果でもある。

 現在は日米安全保障条約があるので攻撃を受けるような事態が起きる可能性は低いが、北朝鮮が米国に対する核攻撃能力を保有することになれば、いつまでもあてにできるとは限らない。誰しもわが身が一番大事なのである。

 過去数千年間は確認できていないというM9.1の南海トラフ地震や30年以内に発生する確率は60~70%とされるM8~9地震に備えて巨大な堤防を作るより、今はシェルターを整備したり、抑止力となる敵基地攻撃能力を保有する方が重要だと思う。少なくとも必要度は60%のシンガポールも高いと思われる。地震が起きる確率はあまり信用できない。まして戦争が起きる確率は見当もつかない。しかし確率が無視できるほど低いことが証明できない限り、準備するのがあたりまえだと思うが、なぜかメディアにはそんな議論は見当たらない。


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