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安心はモラルより優先する?

2012-02-20 00:13:42 | マスメディア
 社民党党首の福島瑞穂氏はチェルノブイリ事故が起きたとき、子育て中であったそうで、すぐに母乳を中止し、事故以前に製造された粉ミルクに切り替えたと最近述べておられます。健康第一は結構なことですが、皆が影響されてこのような行動に走れば事故以前に製造された粉ミルクはたちまち底をつき混乱を生じることでしょう。この時点で福島氏の発言力がなかったのは幸運でした。

 昨年、津波に流された陸前高田市の松を京都の五山送り火の護摩木として燃やす計画が、放射性物質の汚染を心配する数十本の抗議電話によって中止になりました。原発から200Kmほども離れた松を少量燃やすだけで健康被害の心配があるとはちょっと考えられないのですが、結果的にはこの抗議が行政を動かしました。

 また津波によって発生した瓦礫の受入れはごく一部の自治体を除けば、住民の反対によって進んでいないと言われています。汚染区域から出たものではなく、反対の理由が理解できませんが、彼らの活躍によって受入れは止まっています。

 これらを特徴づけるのはわが身かわいさの利己心や強い猜疑心に加え、数量に対する無理解、つまりどれほど微小な放射線量でも危険と判断する認識です。これはもうパラノイア(妄想症)というべきかもしれません。

 いろんな人間がいるのですから、こういう風変わりな人たちが存在することは仕方のないことですが、問題は彼らが瓦礫処理の受入れ拒否にみられるように全体の利益を損ねたり、風評被害を拡大させたりすることを許容することです。

 昨年、私は同じことなら福島産米を買おうと思い、米屋さんに行ったところ、福島はもちろん、岩手産の米すら買う人がないので置いていませんと、店の人に言われました。「絆」とか「助け合い」とか聞こえのよい言葉が出回っていますが、現実はこんなものかと思ってしまいます。応援はするけど、自分の健康はこれっぽっちも犠牲にしないという平均像を描くこともできますが、まあいろんな人がいるということでしょう。

 情けないのは理不尽な要求をきっぱりと断れない自治体です。このような無茶な要求に対しては、都知事のように明確に拒否するのが当然のことだと思います。自治体の長が毅然とした態度を取らないのは、それがマスコミに強権ぶりを批判されて次の選挙に影響するのが怖いからだと思われます。

 どちらかといえばマスコミは理不尽な要求をする連中を庇ってきたようです。少なくとも被災地の足を引っ張る無情な要求をマスコミが正面から批判をしたという記憶はありません。この優しさが彼らに勇気を与えたと言えるでしょう。背景には権力は悪で弱者は善というワンパターンの思考や、反原発の流れに利用したいという小ずるい気持ちがあるのでしょう。善き権力もあれば悪い弱者もあるのですが。

 安全・安心への過度の要求は宗教的情熱のようなもので、まともな人の理解が及ばぬものであり、それは共同体のモラルをも破壊します。まさに「無理が通れば道理が引っ込む」の模範例であります。

 まあ、こんな現象は平和ならではのこと、平和が永遠に続くものと思っていることの証かもしれません。戦争や疫病など、生命の危険が迫れば、安全への過度の要求などすぐに吹き飛ぶことでしょう。

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