噛みつき評論 ブログ版

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愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

2016-01-10 23:48:11 | マスメディア
 6日、北朝鮮は"自称"水爆実験を行い、メディアは実験の事実とその影響、各国の反応などが報道しました。そこまでは当然なのですが、奇妙なことに朝日とNHKはそろって日本原水爆被害者団体協議会(被団協)と第5福竜丸関係者に意見を求め、それを紹介しています。

 核実験となればその被害者らの意見を紹介、ちょっとパターン化しすぎではないでしょうか。彼らからは反対や怒りなど予想通りの反応があるだけで、あまり意味があるとは思えません。それとも彼らの怒りを北朝鮮に知らせれば、核実験をやめるとでも思っているのでしょうか。おめでたいことです。

 なによりも、隣国の核実験に際し、メディアには傍観者の態度が感じられます。日本が武力攻撃を受けることなどあり得ないというように。しかし日本はミサイル発射後10分ほどで着弾する隣国です。

 北朝鮮が核弾道弾を実戦配備すれば日本の安全保障にとって大きな脅威となります。水爆実験の成功はそれが間近に迫っていることを示します。安保法制はこのような事態に備えるものですから、意見を求めるのなら安保法制に反対した人々や政党に対してすべきでしょう。それならば興味深く聞くことができます。

 まあそれはともかく、隣国が核実験をしたとき、許せない、暴挙だ、などと大騒ぎしても意味があるとは思えません。隣国は予測のつかない行動をする独裁国家であり、あらゆる可能性に対してできる限りの備えをする必要がありましょう。

 中国や米国が脅威を取り除いてくれればいいのですが、火中の栗を拾うようなことはあまり期待できません。そのような他力本願だけでなく、自力での防衛もまじめに考える必要がありましょう。可能性は小さくても核攻撃の被害は致命的だからです。

 ミサイル防衛(MD)システムや敵基地攻撃能力などが議論されるのが当然だと思われますが、従来も現在もそのような議論が広くなされることはありません。迎撃ミサイルPAC3やSM3がどの程度の能力を持ち、どれくらい配備されているのか、ほとんど報道されません。多くのメディアは他国からの攻撃なんてあり得ないと考えてるようです。そう公言して憚らない鳥越俊太郎氏のように。

 メディアの楽観的な認識は国民にも伝わります。依然として多くの人が防衛の必要性を認めず、防衛予算の増額には強い抵抗があります。戦争をやめようとしている人たちやメディアが防衛を困難にし、戦争の可能性を高めているという、皮肉な話です。

 ビスマルクの言葉に「 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というのがあります。阪神大震災の後、メディア、とりわけNHKは地震に対して過敏なほどになりました。「経験」に学んだというわけです。しかし日本が外国の侵攻を受けた元寇は「歴史」なので、ちょっと無理ということでしょうか。


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