噛みつき評論 ブログ版

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坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

2020-09-06 22:17:40 | マスメディア
 朝日新聞社が9月2-3日に実施した世論調査で、第2次安倍政権の7年8カ月の実績評価に関し、「大いに」17%、「ある程度」54%を合わせて、71%が「評価する」と答えた。全く「評価しない」は9%に過ぎない。また前に紹介したが、共同通信が29-30日実施の世論調査でも、安倍内閣支持率は56.9%で、8月22-23両日の調査より20.9ポイント増加した。

 一方、辞任表明直後の朝日・毎日の社説は安倍批判がほとんどで、評価はむろんのこと、労いの言葉もなかった。朝日は安倍首相によって日本の民主主義が深く傷つけられたとまで主張する。これらの新聞の評価と、上記の調査に表れた国民多数の評価とは大きすぎるほどの違いがある。また欧米の首脳・メディアは安倍首相に高い評価を与えているが、中韓は逆である。中韓と朝日・毎日が共通する点が興味深い。しかし同じ日本に住み、同じ日本語を話し、同じような教育を受けた人間がなぜこれほど極端な低評価を下すのだろうか。

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という言葉がある。とても上手い表現で、普通、無生物の袈裟が憎しみの対象になることはないと思うが、坊主が憎ければ袈裟まで憎くなるという不合理な感情を表している。この不合理な感情、憎しみが拡大するという仕組みは攻撃力を高め、戦争のときには役立ったかもしれない。しかし不合理な感情であることには違いないわけで、認識や判断を狂わせるものである。過剰に憎んだり、逆に過剰に好きになったりすることは誰にでもある。ただ教育を受け、社会経験を積むにしたがって客観的な思考もできるようになり、不合理な感情の影響は小さくなるのがふつうである。むろん例外はあるわけで、歳をとっても子供のような反応を示す人も少なくない。

 戦後教育、あるいは戦後の政治思潮のためであろうが、多くの若者が左翼に走った時期があった。だが、その多くは社会に出て、現実を見るにつれ左翼思想から遠ざかった。若い頃の左翼思想を頑なに守っているのはかなり少数である。ぶれないと言えば聞こえがよいが、変化を受け入れないただの頑固者である。「25歳のとき左翼にならない人には心がない。35歳になってもまだ左翼のままの人には頭がない」という名言は出典については不明確ながら、広く引用されるのは真実を含むからであろう。

 この名言は歳を食っても左翼のままである理由を頭、つまり知能に求めているが、そればかりではなく、別の理由もあると思う。ここで「坊主憎けりゃ…」が出てくる。彼らは一度憎いと思ったら、その不合理な感情を変えられないという特殊な特性を持っているからではないかと思うのである。こだわりの人である。

 安倍首相の功績を一切認めず、ひどい批判ばかりする人たち、彼らはよほど安倍首相が憎い、あるいは嫌いなのではないか。そう考えないと彼らを理解することはできない。つまり合理的には理解できないのである。いろんな人がいるのだから、そのように憎く思っている人がいることは仕方がない。しかしそのような人たちが集まって特定のメディアを支配し、プロパガンダの手段とすれば、影響は増幅され、政治を歪め、社会にとって重大な問題になる。それに中韓と共通する部分が多いことから、中韓に利用される可能性もある。彼らは一種の過激派であるが、暴力を伴なわないため取り締りの対象外となる。言論の自由はとても大切な原則だが、負の側面もある。