噛みつき評論 ブログ版

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中国はWHOを支配して無能化した?

2020-02-02 22:00:46 | マスメディア
 新型コロナウイルスの感染拡大で世界中が大騒ぎになっている。感染の拡大が広まるかどうかは火事の初期消火と同じで、初期の対応が適切に行えるかどうかにかかっている。初期なら小さな努力で収束が可能であるが、ある程度以上広がると、多くの人が免疫を獲得するまで止まらない。火事が燃えるものがなくなるまで終わらないのと同じである。

 ウィルスの広がりは火事のように目に見えないから、最も重要なポイントは情報の周知である。情報が隠蔽されたり、故意に曲げられたりすれば適切な対応は不可能である。12月には武漢に箝口令が敷かれたそうだが、論外のことである。中国が人から人への感染を認めたのは1月21日になってからであった、武漢の感染者数も過小であると指摘されている。

 WHOの信頼性も地に墜ちた。WHOは1月23日、国際的な公衆衛生上の緊急事態の宣言を見送っていた。この時の理由は、外国では人から人への感染が見られないからだとした。愚かな判断である。武漢で恐ろしい勢いで感染が広がっているときに人から人への感染がないとは考えられない。外国でそれが起きるのは時間の問題であることは明らかである。また27日、中国の新型コロナウイルスが世界に及ぼすリスクを「中程度」と評価したことは誤りだったと認め、「高い」に修正した。これは単なる表記のミスだという(故意の可能性も)。あきれてしまう。そして30日になってようやく国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言したが、すでに各国は航空便の停止など移動制限をした後である。

 WHOの事務局長テドロス氏はエチオピアの元外相であったそうである。エチオピアは中国から多額の投資を受け、その債務にも苦しんでいるとされる国である。テドロス氏は中国にものが言えない立場であることは想像できる。テドロス事務局長は記者会見で主として以下のように述べている(ニューズウィーク日本版によると)。

1.WHOは新型肺炎の発生を制御する中国の能力に自信を持っている。
2.中国への渡航や交易を制限する理由は見当たらない。
3.しかし医療体制の整備が遅れている国への感染拡大防止を支援しなければならない。

 さらにテドロスは「中国が疫病の感染予防に対して行っている努力とその措置は前代未聞なほど素晴らしい」とさえ言っている。

 「渡航や交易制限を制限する理由は見当たらない」と言っているがこれは感染拡大を防ぐために既に実施されている措置を逆行させ、感染を広げようとする方向である。もはやWHOは有害ですらある。

 WHOの事務局長ともあろう立場の人間がその立場を忘れ、中国の利益のために行動しているのである。そのあからさまな姿に驚く。世界を感染から守るという事務局長としての職務の自覚が感じられない。普通は中国の利益を考慮するとしても世界のためという建前くらいは用意する。躊躇なく本音を出すとは正直な人なのだろう。ただし見識はないに等しい。

 中国はアフリカ諸国に大きい影響力を持っている。アフリカは国の数が多いので、国連総会での議決には強い影響力がある。中国が国連に影響力を及ぼしているという話を聞いていたが、今回、WHOにも及んでいることが分かった。WHOの意向は中国の意向の反映であろう。それにしてもあからさまに自国の利益を優先する姿勢には驚く。反対者は武装警察や人民解放軍で黙らせるという自信があるのだろう。今回、そのごり押しの姿勢を世界にも見せた。傲慢さが判断を誤らせた例を歴史は教えている。新型コロナウイルスより恐ろしいのは中国である。

 ついでながら、中国の発表にも多分信用できることはある。人口1100万の都市、武漢の封鎖とすでに500万人が武漢を離れているという事実である。都市の封鎖には膨大な犠牲を伴う。それを強行せざるを得ない事情を想像すべきである。また500万人が逃げたというが、事情は様々であろうが、住む町を捨てて移動するにはよほどのことがあるのだろう。また逃げたくても封鎖によって逃げられない人もいるだろう。武漢のような事態が他の都市に広がる可能性を誰も否定できない。武漢から帰還した日本人565人のうち8人が感染していたのでこれは1.4%にあたる。この率を武漢の人口に適用すると武漢の感染者は約15万人となる。中国政府の発表とは大違いである。武漢では日本人だけが感染しやすいという理由は思いあたらない。