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都知事選挙と情報

2016-05-23 09:23:59 | マスメディア
 今を時めく舛添都知事。たいていの人は叩けば多少の埃(ほこり)は出るものですが、この方の場合、どんどん埃が出て、まるで埃で出来た人のような感があります。それにしてもメディアのターゲットにされると恐ろしいです。その一方、四面楚歌の窮地に立つ知事のしぶとい頑張りもたいしたもので、潔くないことも一流です。

 都知事に立候補する前の政党交付金の使途にも問題があるとされていますが、有権者がそれを知っていたら選挙の結果は違っていたかもしれません。今、後追い報道で「精査」しているメディアが選挙前にその1割でも努力していればこんなことにはならなかったでしょう。

 政治資金収支報告書は公表されているものなので、決して不可能ではなく、それが選挙民に対するメディアの役割でありましょう(どうでもよい情報は実に豊富に流してくれるのですか)。しかし不祥事の発覚した現在、メディアが過去の不作為を反省したり、その責任に言及した様子は一切ありません。これは立候補者の情報を提供する役割があるという自覚がメディアにないことを示しています。

 舛添氏は東大法学部卒で助教授になった後、評論家、参院議員、そして都知事になられたそうで、輝かしい経歴の持主です。しかも東大入学前の模擬試験では2位、3位を争うほどの優秀な頭脳の持ち主であったそうです。

 しかし今回、高すぎる海外出張費や公私混同に対する批判に対し、知事は何度も言い訳をされていますが、その弁解に納得した人は2~3%とも言われます。ほとんどの人が彼の弁解に納得していないわけで、これほどまでに無意味な弁解、さらには逆効果にもなり得る強弁を続ける姿勢からは優秀な頭脳が感じられません。「窮すれば鈍する」ってことでしょうか。それとも他人の心が読めない人なのでしょうか。

 徴税の立場にあるものが税金を私物化しては納税者に対して言い訳ができません。パナマ文書によって税逃れが発覚したアイスランドの首相は違法ではないけれど、潔く辞任しました。きっと恥を知る人なのでしょう。

 まあ過去には大阪府知事の身で強制わいせつ事件を起こした横山ノックや青島幸雄らの「大物」がいました。彼らに比べればまだマシかもしれません。しかし彼らもまた、都民や府民の選挙によって選ばれた知事です。民主党政権の誕生と同様、メディア情報に基づいた選挙がいかにいい加減で、頼りないかを改めて考えるよい機会でもあります。