噛みつき評論 ブログ版

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一流の顔をした三流新聞

2014-06-08 23:47:05 | マスメディア
 真面目そうな男が群集に向かって政治に関する自説を述べた後、「皆さーん、金運満開のブレスレットを紹介します。これを身につければパワーストーンと開運祈願絵柄によって金運上昇を招きます」などと言えば、その男の言うことは信用できないということになるでしょう。業者から金をもらっていたことがわかればなおさらです。

 6月7日の朝日新聞大阪版にはこの「霊験あらたか」そうなブレスレットの全面広告が載っていますが、これはどう考えても三流週刊誌に載るような代物です。ブレスレットつけるだけで「金運満開」など、あるわけがなく、それを期待させて売る商法はほとんど詐欺のようなものです。朝日は胡散臭い業者から金をもらって宣伝しているパートナーなのです。

 こんな広告を引き受ければ新聞の信用を落とすのは明らかです。それにもかかわらず引き受けるのは、何よりも収益を大切にするという体質なのか、あるいは広告担当がこのブレスレットの効能を信じるほどの無教養ぞろいなのかでしょうが、私にはわかりません。

 同じ日に怪しい全面広告がもうひとつ載っています。1本(720ml)7560円の酵素飲料の広告です。具体的な効能は書かず、「元気が出た」などの体験談を載せて効果があるように思わせる広告で、根拠らしきものはありません。酵素は蛋白質であるので食べればアミノ酸に分解され、酵素としての機能は失われます。詳しくは日本経済新聞の『「科学」にだまされないで 健康食品のウソ・ホント 』をご参考に。

 新聞が科学に弱いのは定評がありますが、担当者はこの酵素飲料の効果を信じているのでしょうか。それにしても同じ日にひとつならず二つまでも胡散臭い全面広告を載せるのは、この新聞のモラルが既に救い難いレベルにまで低下しているものと考えざるを得ません。

 三流紙に載っているものであれば、読者はまともに信じないので、被害は少なくてすみますが、一流紙(と思われている)に掲載される広告は概ね信用できるものと判断され、それだけに広告の効果は大きく、被害もまた大きくなります。

 それにしてもこの新聞の綱領に見られるような立派な看板とこの広告商法とはあまりにも大きな差があります。しかし収益優先こそがこの新聞の体質だと考えると、この新聞の二つの相容れない側面を矛盾なく理解できます。いささか偽善臭が漂うものの、立派な看板で人を集めて信用させ、広告でも稼ぐというビジネスモデルです。