噛みつき評論 ブログ版

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高利を追って天罰下る

2011-11-24 10:59:27 | マスメディア
 このところ、金融経済のニュースに世の中が振り回されている観があります。対岸の火事とばかり見物を楽しんでいる人は別ですが、大多数はもううんざりというところでしょう。

 わが国のバブル崩壊やリーマン破綻、そして今の南欧諸国の信用不安、どれも金融機関が高利を求めて貸し込み過ぎたのが一因です。直接的にはリスクの査定が甘かったなどの理由があるのでしょうが、その背景には高利を追うのはあたりまえという風潮があったと思われます。まさに「強欲は善」(1987年の映画「ウォール街」の中の有名な言葉)の時代なのです。

 高利追求の代表のように言われるヘッジファンドですが、その資金運用の委託者は年金組合などの公的な性格を持つ団体が多くを占めているとされています。日本でもいくつかの自治体が株屋の甘言に乗って危険な仕組み債を購入して巨額の含み損を出したことがありました。本来、堅実な運用を求められる資金まで高利を追うことになったのはこの風潮によるものでしょう。

 かつてキリスト教では他人に金を貸して利息を取ることは罪悪でありました(そこで金貸しはユダヤ人が多くなったとされています)。しかし今米国では全産業の利益の4割を金融業が稼ぐという異常な状況になっているそうで、まさに天地がひっくり返ったような変化です。

 高収入が見込める金融業界には有能な人間が吸い寄せられ、多数の人間が相場に向かって日夜仕事に励んでいます。昨日は勤労感謝の日でしたが、彼らの「勤労」にも感謝する必要があるでしょうか。

 金融の混乱は実体経済にも大きい影響を与え、失業の増加などを招いています。飽くなき高利の追求がもたらした天罰といってもいいでしょう。ただ罪を犯した人々と罰を受ける人々が必ずしも一致しないが腑に落ちません。震災では子供の命まで奪われたように、差別しないのが神なのでしょう。