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電球色LEDは蛍光灯に及ばない・・・誤解の理由

2011-07-18 13:27:58 | マスメディア
 LED電球の販売量が急増し、量販店ではこの6月、すべての電球に占めるLED電球の割合が43%となり、白熱電球を超えてトップとなったそうです。LED電球は節電効果が優れていると広く信じられているので、これは当然の成行きかと思われます。

 しかし電球色のLED電球の場合、同じ電力での明るさは電球型蛍光灯に及ばないことはほとんど知られていません。それはマスコミが報道しないからであり、報道しないのはマスコミが知らないからでしょう。

 一般的なLED電球と電球型蛍光灯の消費電力と全光束(明るさ:単位はルーメンlm)は以下の通りです(代表的なメーカーP社の最新型の例)。発光効率とは単位電力あたりの全光束で表され、値が高いほど優れた光源です。

        消費電力(W)    全光束(lm)    発光効率(lm/W)
電球型蛍光灯   10       810       81.0
LED電球     9.2       650       70.7
LED電球     7.2       390       54.2 (広配光角型)
白熱灯       54        810       15.0 (60W型)

 もっとも発光効率が高いのは81.0 lm/Wの電球型の蛍光灯で、次が一般型のLED電球は70.7lm/W、最近発売された全方向に明るい広配光角型LED電球は54.2 lm/Wとかなり劣ります。将来はともかく、現状では電球型蛍光灯がもっとも優れています。

 昼光色のランプに関してはLED電球が電球型蛍光灯より発光効率が1割ほど優れているものもありますが(劣るものもある)、白熱電球の代替として使われるのは主として電球色のランプと考えられるので、LED電球は節電効果がもっとも優れているという誤った認識は少なからぬ影響を与えるものと思われます。消費者の多くは発光効率が高く低価格の電球型蛍光灯より、効率が低く高価なLED電球を選択しているというわけです。

 現在、LED電球の明るさの表示は全光束を表すルーメン(lm)に統一されています。箱には消費電力(W)と共に650ルーメンといった全光束の表示があり、発光効率は全光速を消費電力で割ればよく、中学生でも簡単にわかります。

 LEDは節電効果がもっとも高いという粗雑で単純な認識を広めたのはマスコミです。彼らは、節電の重要性を連日のように訴え、節電のための知識を熱心に「教授」してくださるのですが、その前にもう少しだけ勉強されたらよろしいのではないかと思います。

 上記は、マスコミが簡単なキーワードを広めることによって、ひとつの単純な潮流が出来上がる例だと言ってよいでしょう。「規制緩和」が流行したとき、メディアは規制の悪い例をあちこちから探し出してきて、規制はすべて「悪」のような印象をふりまきました。

 複雑なことを黒か白かというように単純化すれば、誰にもわかりやすく、大きい流れを作ることが可能でしょう。しかし粗雑な単純化は問題であり、誤った潮流を作ることになります。

 節電効果は科学・技術に関することであり、マスコミの完全不得意科目なので、少し特殊なケースだと思われるかもしれません。しかし正確な報道をするという最小限度の職業倫理と中学生程度の理解力があれば、たとえ不得意科目であっても、正しく伝えることができたと思われます。