噛みつき評論 ブログ版

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選挙よりスポーツ優先のマスコミ

2010-07-09 10:45:57 | Weblog
 元朝日新聞「天声人語」執筆者の栗田亘氏は、「この10数年、首都圏で催されるサッカー日本代表のほとんどの試合に足を運んできた」ほどのファンだそうですが、その栗田氏でさえ、W杯報道の洪水には辟易(へきえき)すると書かれています(6/23新聞案内人)。サッカーに興味のない私にとっては「辟易度」は何倍にもなります。

 一方、相撲界の野球賭博報道もサッカー報道に勝るとも劣らずで、連日トップ報道です。相撲ファンでない者にとってはムカつくほどの辟易度ですが、なぜ相撲の賭博をここまで大きく報道する必要があるのか、理解できません。暴力団の利益になったことは悪いにしても、たかが博打をやっただけのことであり、多くの人がやっていると思われる賭けマージャンや賭けゴルフと質的な差はありません。「けしからん」ことだと息巻いておられる記者の中にも「前歴」のある人は少なくないと思います。

 そして、大見出しの記事だけでなく、社説やコラムまでが野球賭博問題をそろって取り上げていることに驚かされます。つまりサッカーや相撲を大きく報じるのは読者・視聴者に迎合するためというより、メディアの記者や編集者自身が政治よりもスポーツに興味をもっているためではないかと推定できます。

 相撲に興味のない者にとっては無論のこと、普通程度に興味がある者にとっても、相撲はトップ記事を続けるほど重要な問題ではありません。参院選挙を間近に控えているとき、そろってスポーツ問題ばかり取り上げているメディアの見識を疑いたくなります。メディアの情報伝達量は限られており、スポーツが大きく占有すれば他の記事は縮小あるいは廃棄されます。その結果、選挙への関心が薄れ、投票先を選ぶ意欲も低下します。選挙がいまひとつ盛り上がらないと報道されていますが、メディアが自ら招いた結果に過ぎません。

 選挙を2日後に控えた本日(7/9)、ようやく主要紙は選挙情勢を一面で伝えていますが、それも情勢分析が中心であり、投票先を選ぶための情報は断片的なものしかありません。朝日によるとまだ選挙区で約4割、比例区で3割が投票態度を明らかにしていないそうで、彼らにはもっと情報が必要と思われます。

 放送や新聞は公共財であり、投票先を選ぶための情報を提供するという重要な役割があります。例えば、すっかりメディアから消滅した普天間基地移設問題や外国人参政権問題を民主党はどう扱うのか、財政再建の具体的道筋、中国の軍拡を含む外交政策、など投票に必要な情報は決して十分とは言えません。メディアが各党の掲げる政策を繰り返し、わかりやすく伝えなければ有権者は理解できないわけで、「また」不適切な議員を選ぶことになりかねません。

 政治のレベルを決めるのは民度である、といわれていますが、「民度」を「マスコミのレベル」と置き換えた方がよさそうです。