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「1万円でも満タン届かず」・・・朝日の印象操作記事

2008-06-05 09:58:32 | Weblog
「1万円でも満タン届かず」・・・朝日の印象操作記事

 6月2日の朝日新聞朝刊の1面トップの見出しは「ガソリン急騰 恨み節」で、ガソリン値上げを大きく取り上げています。小見出しの「1万円でも満タン届かず」を読むと、「そんなに値上がりしたのか」という印象を与えられます。しかし実際の値上がり率は7%程度です。

 史上最高の価格のように言われていますが、それはガソリン価格の統計を取り始めた1986年以来ということです。82年の第2次オイルショック時には、東京都区部平均で177円/Lを付けたことがあるそうです。私も160円台の記憶があります。当時の物価水準からすれば影響は今回の比ではありません。

 「1万円でも満タン届かず」については本文に説明があります。1万円でハイオクを満タンにできなかったという男性の話です。「ガソリンがなくなったので仕方なく入れたが、さらにお金を入れて満タンにしようとは思わない」とあきれたように話した、と書かれています。この程度で「あきれる」ものでしょうか。もっとも「あきれる」は記者の主観による「付け足し」で、記事の意図が見えるようです。

 記事にはハイオクの価格例として181円が載っています。それなら1万円では約55リッター買うことができます。ハイオクを55リッター入れても満タンにならない車、恐らく大型の高級車でしょう。1万円で満タンにできない車は少数です。なぜ一般例を出すべきところに、特殊な例を使うのでしょうか。あるいは、朝日の静岡総局長55歳で年収2,100万といわれるように、朝日記者にとっては「普通例」だと勘違いされているのでしょうか。

 5月2日の朝日新聞は「ガソリン税 地方の嘆息」と題する記事を大きく掲載し、月22万円のガソリンを消費する家族を紹介しています(参照)。これも同じように極めて特殊な例を取り上げてガソリン価格変動の影響を誇張しています。

 今回の記事は、本文を細部まで読む人が少ないことを承知した上で、誤った認識を与えるという意図を感じます。少なくとも事実を過不足なく伝えようとする誠実さをこの記事から感じることはできません。

 この記事自体は些細なことかもしれません。しかし新聞社の姿勢を表すものであり、見過ごすべきではないと思います。7%程度のガソリン値上げを1面トップに取り上げるという見識、特殊例までもってきて過大な印象を与える手法、これらはインパクトはありますが、誤解を招き、読者の不満感情を煽ります。不満の拡大を意図しているように見られても仕方ありません。

 如何なる意図によるものであれ、サンゴ事件のように事実を曲げたりせず、正確に報道するというのがメディアが信頼される基本条件です。これらの報道を見ていると、朝日の読者信頼度が3位に転落(参照)したのも無理からぬことと納得しています。